危険物乙4の過去問は、試験を行う一般財団法人消防試験研究センターが、過去の問題から35問をまとめた1回分をPDFで無料公開しています。ただし 付いているのは最後の解答の表だけで、解説はありません。この記事では、公式の1回分(令和8年6月更新)から5つの型を選び、公式の問の答えと決め手を1行で示したうえで、数値と問い方を変えた自作の例題で、解き方と、条文や表のどこを見れば答えが出るかまで説明します。公式の問題文と選択肢は写さず、問番号と何を問う型かだけを示します。
解説はどこにあるか
| 探す先 | あるもの | 気をつけること |
|---|---|---|
| 消防試験研究センター | 乙種第4類の35問1回分と解答の表(年度・回ごとの問題は公開されていない。2026年10月21日に確認。詳しくは入手先の記事) | 解き方の説明はない |
| 市販の問題集・講座の教材 | 問題ごとの解説 | 法令の数値が、受ける日に施行されている法令と合っているかを確かめる |
| 自分で作る | 型ごとの解き方のメモ | 同じ型の問題を、数値を変えて解き直す |
公式の1回分の場所と中身は「危険物乙4の過去問の入手先」、35問の内訳と科目ごとに落とせる数は「危険物乙4の問題はどんな形か」にまとめています。
試験は35問(法令15問・物理学及び化学10問・性質と消火10問)の五肢択一で、試験時間は2時間、科目ごとに60%以上 で合格です(消防試験研究センター)。法令は9問、物理学及び化学は6問、性質と消火は6問の正解が要ります。
型1 法令:指定数量の倍数は「品目ごとに割ってから足す」
公式の1回分の問3は、品名の違う3つの危険物を同じ場所に貯蔵するときの、指定数量の倍数を求める 式 を選ぶ問題です。答えは4で、「品目ごとに貯蔵量を指定数量で割り、それを足す」式が決め手です。式の形が分かれば、計算の問題も同じ考え方で解けます。
例題(自作) 同じ屋内貯蔵所で、アセトン 800 L、灯油 1,500 L、重油 3,000 L、ギヤー油 3,000 L を貯蔵する。指定数量の倍数の合計はいくらか。
解き方
- 品名を決める。消防法 別表第一の備考に名前が出ている品目は、そのまま当てはめる。アセトンは第1石油類、灯油は第2石油類、重油は第3石油類、ギヤー油は第4石油類
- 指定数量を危険物の規制に関する政令(以下、危政令)の別表第三で確かめる。アセトン(第1石油類・水溶性)400 L、灯油(第2石油類・非水溶性)1,000 L、重油(第3石油類・非水溶性)2,000 L、ギヤー油(第4石油類)6,000 L
- 品目ごとに割る。800 ÷ 400 = 2、1,500 ÷ 1,000 = 1.5、3,000 ÷ 2,000 = 1.5、3,000 ÷ 6,000 = 0.5
- 足す。2 + 1.5 + 1.5 + 0.5 = 5.5
ポイント 式は「Aの貯蔵量 ÷ Aの指定数量 + Bの貯蔵量 ÷ Bの指定数量 + …」です。量を全部足してから割る式や、掛け合わせる式が肢に並びます。水溶性の液体は、同じ石油類の非水溶性の 2倍 の指定数量です(特殊引火物・アルコール類・第4石油類・動植物油類は水溶性の区分がない)。
同じ型の練習(ぴよパスのオリジナル問題): ガソリン・灯油・エタノールの倍数・アセトン・軽油・重油の倍数
型2 法令:保安距離が必要なのは5つの施設
問4は、学校や病院などから一定の距離(保安距離)を保たなければならない施設の組合せを選ぶ問題です。答えは1で、保安距離が必要な施設どうしの組合せ(製造所と屋外タンク貯蔵所)を選べるかが決め手です。
例題(自作) 次のうち、保安距離を保たなくてよい施設はどれか。
- ア 製造所
- イ 屋内貯蔵所
- ウ 屋外タンク貯蔵所
- エ 給油取扱所
- オ 一般取扱所
解き方 保安距離の決まりは危政令 第9条第1項第1号(製造所)にあり、屋内貯蔵所(第10条)・屋外タンク貯蔵所(第11条)・屋外貯蔵所(第16条)・一般取扱所(第19条)が、製造所の例によるか製造所の基準を準用すると定めています。給油取扱所には保安距離の決まりがありません。答えは エ。なお、ほかの用途の部分がある建物の中に設ける指定数量の倍数20以下の屋内貯蔵所(第10条第3項)のように、例外の形もあります。
| 保安距離を保つ相手 | 距離 |
|---|---|
| 住居(同じ敷地内のものを除く) | 10 m以上 |
| 学校・病院・劇場など多数の人が集まる施設 | 30 m以上 |
| 重要文化財・史跡など | 50 m以上 |
| 高圧ガスなどの施設 | 規則で定める距離 |
| 使用電圧 7,000 V超 35,000 V以下の特別高圧架空電線 | 水平距離 3 m以上 |
| 使用電圧 35,000 V超の特別高圧架空電線 | 水平距離 5 m以上 |
ポイント 保安距離が必要なのは「製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・一般取扱所」の5つです。名前に「屋外」が付く貯蔵所は2つとも入り、地下タンク・屋内タンク・移動タンクの貯蔵所と、給油・販売の取扱所は入りません。
同じ型の練習: 製造所の保安距離・一般の住宅から保つ距離
型3 法令:定期点検は「1年に1回以上・記録は原則3年」
問9は、定期点検の点検記録に書かなければならない事項を問う問題です。答えは5で、危規則 第62条の7 にある4つの事項(名称・方法と結果・年月日・点検した者の氏名)に無いもの(市町村長等への報告に関する日付)を選びます。記録の中身と一緒に、点検の回数・記録の保存期間・点検できる人を、危険物の規制に関する規則(以下、危規則)で押さえます。
例題(自作) 製造所等の定期点検について、正しいものはどれか。
- ア 定期点検は、原則として3年に1回以上行う
- イ 点検記録は、どの点検のものもすべて3年間保存する
- ウ 危険物取扱者の立会いを受ければ、危険物取扱者でない者も点検を行うことができる
- エ 点検記録には、点検を行った者の住所を書かなければならない
解き方
- ア:危規則 第62条の4 は、定期点検を 1年に1回以上(告示で別の期間を定めるものを除く)としている。誤り
- イ:危規則 第62条の8 は、記録の保存期間を原則 3年 とし、屋外貯蔵タンクの内部点検は26年(保安のための措置を届け出て点検の間隔が15年になるものは30年)、移動貯蔵タンクの漏れの点検は10年と、長いものを別に定めている。「すべて3年」は誤り
- ウ:危規則 第62条の6 は、点検は危険物取扱者か危険物施設保安員が行うとしたうえで、危険物取扱者の立会いを受けた場合は、それ以外の者も行える としている(漏れの点検などは、決められた知識と技能を持つ者に限る)。正しい
- エ:記録に書くのは、製造所等の名称・点検の方法と結果・点検の年月日・点検を行った(立ち会った)者の氏名(危規則 第62条の7)。住所は入らない。誤り
答えは ウ。
ポイント 「1年に1回・3年保存」が基本で、例外の「内部点検26年・移動貯蔵タンクの漏れ10年」を一緒に覚えます。定期点検が必要な施設は、危政令 第8条の5 が第7条の3を引いて決めています。指定数量の倍数が10以上の製造所と一般取扱所、150以上の屋内貯蔵所、200以上の屋外タンク貯蔵所、100以上の屋外貯蔵所、移送取扱所(一部を除く)に、地下タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所と、地下タンクを持つ製造所・給油取扱所・一般取扱所を加えたものです(総務省令で定めるものを除く)。予防規程を定める施設(第37条。給油取扱所はすべて入る)とは範囲が違います。
同じ型の練習: 定期点検の記録の保存期間・定期点検を行う者と点検記録
型4 物理学及び化学:燃焼熱から生成熱を出す
問22は、水素・炭素・ある化合物の燃焼熱から、その化合物の生成熱を求める問題で、公式の1回分でただ1つの数値の計算です。反応熱は経路によらず等しい(ヘスの法則)ことを使います。答えは1(107 kJ/mol)で、炭素 3 mol と水素 4 mol の燃焼熱の合計から、プロパンの燃焼熱を引けば出ます(394 × 3 + 286 × 4 − 2,219 = 107)。
例題(自作) 炭素(黒鉛)・水素・メタン(CH₄)の燃焼熱を、それぞれ 394 kJ/mol・286 kJ/mol・891 kJ/mol とする。メタンの生成熱は何 kJ/mol か(燃焼で生じる水は液体、発熱を正の値とする)。
解き方
- 生成熱は、単体(炭素と水素)から化合物 1 mol ができるときの熱。メタンは C + 2H₂ → CH₄
- 単体を燃やした熱の合計は、炭素 1 mol と水素 2 mol で 394 + 286 × 2 = 966 kJ
- メタン 1 mol を燃やすと 891 kJ。単体から直接燃やしても、いったんメタンにしてから燃やしても、出る熱の合計は同じなので、生成熱 + 891 = 966
- 生成熱 = 966 − 891 = 75 kJ/mol
ポイント 「単体の燃焼熱の合計 − 化合物の燃焼熱 = 生成熱」です。よくある誤りは、水素の係数(メタンなら2、プロパンなら4)を掛け忘れることと、引き算の向きを逆にすることです。分子式から、炭素と水素がそれぞれ何 mol 要るかを先に書き出します。
同じ型の練習: 黒鉛・水素・エタノールの燃焼熱から生成熱・燃焼熱・生成熱・中和熱の定義
型5 性質と消火:第4類に使えない消火器は「水」の消火器
問30は、第4類の危険物の火災に使った消火剤のうち、誤っているものを選ぶ問題です。危政令の別表第五で、第4類の欄に○があるかないかで決まります。答えは5で、棒状の水を使った肢が誤りでした。
例題(自作) 第4類の危険物の火災に適応しない消火器はどれか。
- ア 霧状の強化液を放射する消火器
- イ 泡を放射する消火器
- ウ 二酸化炭素を放射する消火器
- エ 霧状の水を放射する消火器
- オ 炭酸水素塩類等の粉末を放射する消火器
解き方 別表第五で、消火器のうち第4類に○がないのは、棒状の水・霧状の水・棒状の強化液・粉末(その他のもの)の消火器です。強化液は霧状なら○ですが、水は霧状でも○になりません。答えは エ。
| 第4類の欄 | 消火器 |
|---|---|
| ○(適応する) | 霧状の強化液、泡、二酸化炭素、ハロゲン化物、粉末(りん酸塩類等・炭酸水素塩類等) |
| ×(適応しない) | 棒状の水、霧状の水、棒状の強化液、粉末(その他のもの) |
ポイント 第4類の液体の多くは水より軽く水に溶けないので、水をかけると燃えている液体が浮いて広がります。消火器は「水は棒状でも霧状でもだめ、強化液は霧状ならよい」と覚えます。消火設備 は別で、水蒸気消火設備・水噴霧消火設備・泡消火設備は第4類に適応し、屋内・屋外消火栓設備とスプリンクラー設備は適応しません。「水」と「水噴霧」を分けて読みます。アルコールやアセトンのような水溶性の液体には、普通の泡は消えてしまうので、水溶性液体用の泡消火剤を使います。
解説のない1回分を、解説つきの練習に変える手順
- 解答の表で答え合わせをする — 科目ごとに正解数を数え、60%に何問足りないかを出します。
- 間違えた問題に、型の名前を付ける — 「保安距離の5施設」「水は霧状でもだめ」のように、何を問う型かを短く書きます。
- 型ごとに、条文か表の場所を書く — 法令は条番号、消火は別表第五、と答えの出どころを書き添えます。
- 数値や組合せを変えて解き直す — ぴよパスの同じ分野の練習問題にも、1問ごとに解説が付いています。
- 元の1回分に戻る — 何日か空けて、もう一度35問を通して解きます。
ぴよパスの危険物乙4の練習問題は、科目ごとに登録不要・無料で解けます。間違えた問題の解き直しも無料です。
本番と同じ35問・2時間で通して解く 模擬試験 は Premium(月980円)の機能です。
当サイトの問題について
ぴよパスの問題と、この記事の例題は、消防試験研究センターが公表している問題を写したものではなく、消防法・危険物の規制に関する政令・危険物の規制に関する規則などの法令と、化学の基本的な法則をもとに独自に作った オリジナルの予想問題 です。本試験の問題は、センターのホームページでご覧ください。
出典
- 一般財団法人消防試験研究センター「過去に出題された問題」乙種第4類(令和8年6月更新。問3・問4・問9・問22・問30の型と解答の確認にだけ使い、問題文と選択肢は写していません)
- 同「試験科目及び問題数」「試験の方法」(問題数・試験時間・合格基準。2026年10月21日に確認)
- 消防法 別表第一の備考(第4類の品名)
- 危険物の規制に関する政令 第8条の5・第9条・第10条・第11条・第16条・第19条・別表第三・別表第五
- 危険物の規制に関する規則 第62条の4・第62条の6・第62条の7・第62条の8
- 法令は、2026年9月25日に施行されている版を e-Gov 法令検索で確かめました。
次に読む
- 危険物乙4の過去問の入手先 — 公式の35問の中身と場所
- 危険物乙4の試験対策 — 科目ごとに落とさない準備の順番
- 危険物乙4の語呂合わせ — 指定数量・引火点・消火を音で覚える










