出題は4つの箱に分かれ、どれも捨てられない
甲種1類の出題構成は次のとおりです(消防試験研究センター公表)。
| 科目 | 問題数 | 足切り(40%) |
|---|---|---|
| 消防関係法令(共通8+第1類7) | 15問 | 6問 |
| 基礎的知識(機械6+電気4) | 10問 | 4問 |
| 構造・機能・工事・整備(機械10+電気6+規格4) | 20問 | 8問 |
| 実技(鑑別5+製図2) | 7問 | 実技単独で60% |
筆記45問・実技7問を3時間15分で解きます。筆記全体60%・各科目40%・実技60%を同時に越える必要があるため、苦手科目を捨てて得意で稼ぐ戦略が構造的に取れません。配点の詳細は配点と合格基準にまとめました。
法令15問 — 共通8問は他類と同じ、類別7問が1類固有
共通8問は消防法の目的・用語、消防用設備等の種類、設置届と検査、点検と報告、免状の書換え・再交付、講習、着工届、防火対象物の設置単位といった範囲です。甲4や乙6を持っている人はここがそのまま得点源になります。
類別7問が1類固有で、屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備をどの防火対象物に設けるかが中心です。「何を」ではなく「どの規模・用途に」を問う形になります。
基礎的知識10問 — 機械6問が甲4との最大の差
甲4は電気10問ですが、甲1は機械6問+電気4問です。甲4の勉強法をそのまま持ち込むと、ここで足切り(4問)に触れます。
機械側は力とモーメント、圧力(ゲージ圧と絶対圧)、水頭とMPaの換算、流量と流速、連続の式、摩擦損失、金属材料の性質。電気側はオームの法則、合成抵抗、電力と電力量、測定器の接続です。
水頭とMPaの換算は製図の計算にも直結するので、ここは基礎的知識の1問で終わらず実技まで効きます。
構造・機能20問 — 規格数値の「似ているが別物」が狙われる
甲1で最も差がつくのがここです。水系設備の規格数値は似た数字が並ぶため、単独で暗記すると本番で取り違えます。
| 設備 | 放水圧力 | 放水量 | 水源水量 |
|---|---|---|---|
| 屋内消火栓 1号 | 0.17MPa以上 | 130L/min以上 | 2.6m³×設置個数(最大2) |
| 屋内消火栓 2号 | 0.25MPa以上 | 60L/min以上 | 1.6m³×設置個数(最大2) |
いずれも消防法施行令第11条の値です。圧力が高い方(2号)の放水量が少ないという逆転が起きているので、対で覚えないと混ざります。
さらに間違えやすいのがポンプの吐出量で、これは放水量とは別の規定です。
屋内消火栓の設置個数が最も多い階における当該設置個数(2を超えるときは2)に 150リットル毎分 を乗じて得た量以上(消防法施行規則第12条)
130はノズル先端で確保する放水量、150はポンプが出す量です。この2つの取り違えは甲1で最も落としやすい論点のひとつなので、「ノズルは130、ポンプは150」と役割ごとに紐づけてください。
実技7問 — 鑑別5問を先に固める
実技は鑑別等5問と製図2問。先に固めるべきは鑑別です。出題される機器が水系設備の構成部品に限られ、「見た目 → 名称 → 用途」の3点セットで答えられれば得点になります。しかも鑑別で覚えた機器がそのまま製図の系統図の要素になります。
鑑別で狙われるのは役割の似た別物です。連成計(吸込側・負圧も測れる)と圧力計(吐出側)、末端試験弁(閉鎖型系統の試験用)と一斉開放弁(開放型系統の起動用)、性能試験配管(吐出性能の確認)と逃し配管(締切運転時の水温上昇防止)。機器の一覧は鑑別対策に整理しています。
製図は系統図の読み取りに加えて全揚程と水源水量の計算が入ります。ポンプ方式の全揚程は消防法施行規則第12条で次のとおりです。
H = h1 + h2 + h3 + 17m(h1 ホースの摩擦損失水頭、h2 配管の摩擦損失水頭、h3 落差)
末尾の17mは必要放水圧力0.17MPaの水頭換算です。「なぜ17なのか」を理解していれば設備が変わっても導けるので、数字を3つ暗記する必要はありません。手順は製図対策で解説しています。
合格率24.1%をどう読むか
令和6年度の甲種1類は受験者12,086人・合格率24.1%で、甲種の中で最も低い数字です(甲4は34.0%)。ただしこれは試験が理不尽に難しいという意味ではなく、三重の関門を同時に越える設計に対して準備の順序を間違える人が多い、と読むのが正確です。
落ち方の類型は落ちる人の4パターンに分けました。根はどれも「規格数値が曖昧なまま演習に進んでいる」ことに行き着きます。











