甲1 製図の出題は「2問」— 形式を知れば怖くない
甲種1類の実技試験は鑑別等5問と製図2問で構成されます。製図といっても白紙に図面を書き起こす問題ばかりではなく、次のような図の読み取りと計算を練習します。
- 系統図・平面図の誤り探し / 空欄補充: 屋内消火栓やスプリンクラー設備の図から、機器の配置・配管の接続・弁の向きの誤りを指摘する、または欠けている機器名を答える
- 水理計算: ポンプの全揚程、水源水量、放水量など、与えられた条件から数値を算出する
つまり対策は「系統図を言葉で説明できること」と「計算の型を身につけること」の2つに集約されます。筆記で学んだ機器の働きと計算を、図の条件に合わせて説明する練習も進めましょう。
計算の柱①: ポンプ全揚程の式
通常の屋内1号消火栓設備のポンプ全揚程は、消防法施行規則第12条第1項第7号ハ(ロ)の式で求めます。2号消火栓などへ一律に使う式ではありません。
H = h1 + h2 + h3 + 17m
- h1: 消防用ホースの摩擦損失水頭
- h2: 配管の摩擦損失水頭
- h3: 落差 (ポンプから最上部のホース接続口までの垂直距離)
- 17m: 1号消火栓のポンプ全揚程の法定式に加える定数
2号消火栓は末尾が25m、広範囲型2号は17m、屋外消火栓は25mです。通常のスプリンクラーは配管損失+落差+10mで、消火栓の式にあるホース損失の項を含みません。補助散水栓などがある場合の比較条件も含め、設備区分から法定式を選びます。「MPaの数値×100」は厳密な物理換算ではありません。
例題: 通常の屋内1号消火栓設備でh1=4m、h2=8m、h3=20mなら、H = 4+8+20+17 = 49m以上。問題文で設備の種別や加圧方式が変われば、使う式も確認し直します。
計算の柱②: 水源水量
通常の消火栓設備の水源水量は、法令で算定に用いる個数と1個分の係数から求めます(施行令第11条・第19条)。
| 設備 | 1個あたり | 水源算定に使う個数 |
|---|---|---|
| 屋内消火栓 (1号) | 2.6m³ | 設置個数が最も多い階の個数 (最大2) |
| 屋内消火栓 (2号) | 1.2m³ | 同上 (最大2) |
| 広範囲型2号消火栓 | 1.6m³ | 同上 (最大2) |
| 屋外消火栓 | 7m³ | 設置個数 (最大2) |
例題の型: 1号消火栓が最多の階に3個ある建物 → 同時使用は2個とみなすので 2×2.6 = 5.2m³以上。「3個だから7.8m³」と引っかけるのが定番です。
通常の屋内1号消火栓のポンプ吐出量は別の規定で、最多階の設置個数 (上限2) × 150L/min 以上です(施行規則第12条)。2号は70L/min、広範囲型2号は90L/minの係数を使います。ノズル先端の放水量 130L/min と混同しやすい定番の引っかけなので、「ノズルは130、ポンプは150」と分けて覚えてください。
系統図の頻出チェックポイント
図面を読むときは、問題で示された方式と各機器の役割を照合します。次のリストを確認の手掛かりにできます。
- ポンプまわり: 呼水装置 (水源がポンプより低い位置にある場合に必要)・性能試験配管・締切運転時の水温上昇防止の逃し配管が揃っているか
- 逆止弁・止水弁の向きと位置: 流れの方向と整合しているか
- スプリンクラーの流水検知装置: 各階 (又は区画) ごとに設けられ、一次側/二次側の区別が正しいか
- 末端試験弁: 放水圧力が最も低くなると予想される配管の末端にあるか (最も近い場所に描いてある図は誤り)
- リターディングチャンバー: 自動警報弁の誤報防止として正しい位置にあるか
- 乾式・予作動式: 凍結のおそれのある場所に湿式が描かれていないか
鑑別との境目の論点として、閉鎖型ヘッド (感熱部あり) と開放型ヘッド (感熱部なし) の識別、標準型/側壁型の区別も頻出です。
学習の進め方 — 「描く」前に「読める」を作る
- まず構造・機能の練習問題で機器の名称と役割を固める (流水検知装置・一斉開放弁・末端試験弁が説明できるか)
- 市販テキストの系統図を見て、各機器がなぜその位置にあるかを口頭で説明する練習をする
- 全揚程・水源水量の計算を、数値を変えながら型として反復する
- 最後に誤り探しの演習で「チェックポイントを順に見る目」を作る
図を読む練習に加え、図示や記述を求める練習問題では、自分の手で答えを書く練習も行ってください。
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