語呂を作る前に、計算で出せる数値を捨てる
甲種1類は屋内消火栓だけで4種類(1号・易操作性1号・2号・広範囲型2号)あり、そこに屋外消火栓とスプリンクラーが加わります。項目も水平距離・放水圧力・放水量・水源水量・ポンプ吐出量・立上り管の呼び径と多く、全部を語呂にすると語呂どうしが混ざります。
先に手を付けるべきは、条文の数値どうしの関係です。実際に並べると、覚える必要のない数値がかなりあります。
以下の値は消防法施行令第11条・第19条、消防法施行規則第12条・第22条の条文から取っています。語呂は思い出す入口であって根拠ではないので、必ず条文で確認してください。
消火栓の数値を全部並べる
| 種別 | 水平距離 | 放水圧力 | 放水量 | 水源水量 | ポンプ吐出量 | 立上り管 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1号消火栓 | 25m以下 | 0.17MPa以上 | 130L/min以上 | 2.6m³ | 150L/min | 50mm以上 |
| 易操作性1号 | 25m以下 | 0.17MPa以上 | 130L/min以上 | 2.6m³ | 150L/min | 50mm以上 |
| 2号消火栓 | 15m以下 | 0.25MPa以上 | 60L/min以上 | 1.2m³ | 70L/min | 32mm以上 |
| 広範囲型2号 | 25m以下 | 0.17MPa以上 | 80L/min以上 | 1.6m³ | 90L/min | 40mm以上 |
| 屋外消火栓 | 40m以下 | 0.25MPa以上 | 350L/min以上 | 7m³ | 400L/min | — |
根拠は水平距離・放水圧力・放水量・水源水量が消防法施行令第11条第3項(屋外は第19条第3項)、ポンプ吐出量と立上り管が消防法施行規則第12条(屋外は第22条)です。
易操作性1号は1号と数値が完全に同じです。違うのは「開閉弁の開放やホースの延長操作と連動して起動する」という起動方式(規則第12条第1項第7号ヘただし書)で、数値は覚え直す必要がありません。
① 水源水量は全部「放水量の20分ぶん」
ここが最大の省略ポイントです。4種類すべてで、水源水量は放水量を20分続けられる量になっています。
| 種別 | 放水量 | ×20分 | 条文上の水源水量 |
|---|---|---|---|
| 1号 | 130L/min | 2,600L | 2.6m³ |
| 2号 | 60L/min | 1,200L | 1.2m³ |
| 広範囲型2号 | 80L/min | 1,600L | 1.6m³ |
| 屋外 | 350L/min | 7,000L | 7m³ |
放水量さえ覚えれば、水源水量は暗記不要です。「放水量に20分を掛けて立方メートルに直す」だけで4つ全部が出ます。水源水量の4つを別途語呂にしていた人は、そのぶんを丸ごと削れます。
なお水源水量は設置個数(2を超えるときは2とする)を乗じた量です(令第11条第3項第1号ハ等)。「設置個数の上限が2個」という意味ではなく、計算上2で頭打ちにするという規定なので、そこは読み違えないでください。
② 放水圧力とポンプの全揚程は「×100」で対応する
放水圧力と、加圧送水装置に必要な換算水頭は、数値が100倍で対応しています。
| 種別 | 放水圧力 | 全揚程・落差に足す値 |
|---|---|---|
| 1号・広範囲型2号 | 0.17MPa | 17m |
| 2号 | 0.25MPa | 25m |
| 屋外消火栓 | 0.25MPa | 25m |
ポンプ方式の全揚程は「H=h1+h2+h3+(換算水頭)」、高架水槽方式の落差は「h1+h2+(換算水頭)」、圧力水槽方式は「p1+p2+p3+(放水圧力)」という形です。MPaの数値を100倍すればメートルになると覚えれば、圧力を思い出すだけで揚程側も出ます。
⚠️ 広範囲型2号の揚程は「2号」ではなく1号と同じ17m系です。消防法施行規則第12条第3項の柱書が第2項の該当号を適用除外しており、第1項(1号消火栓)側の規定が適用されるためです。名前が「2号」なので2号と同じ25mだと思い込むのが定番の失点です。
③ 覚えるのは「25・15・25・40」と「17・25・17・25」と放水量だけ
①②を使うと、暗記が要るのは次の3列だけになります。
水平距離 — 1号25、2号15、広範囲型2号25、屋外40。 「イチゴー、ニーゴー」(1号が25m、2号が15m)と入れ替えて読むと混ざりやすいので、「1号と広範囲型は25、2号だけ15、屋外は40」と、仲間外れを名指しする形で覚えます。
放水圧力 — 1号0.17、2号0.25、広範囲型2号0.17、屋外0.25。 放水圧力は「1号系が0.17、2号は0.25」と2種類しかありません。屋外は2号と同じ0.25です。
放水量 — 130 / 60 / 80 / 350。 「イチサンマル、ロクジュウ、ハチジュウ、サンビャクゴジュウ」。ここだけは素直に覚えます。
⚠️ 「25」が2か所に出てくるのが最大の罠です。1号の水平距離が25m、2号の放水圧力が0.25MPa。数字が同じで意味が違うので、「25といえばどっち」で迷わないよう、距離と圧力を別々の表で覚えることをおすすめします。
④ 上限は屋内0.7・屋外0.6
放水圧力には上限側の措置もあります。
| 上限を超えない措置 | 根拠 | |
|---|---|---|
| 屋内消火栓 | 0.7MPa | 規則第12条第1項第7号ホ |
| 屋外消火栓 | 0.6MPa | 規則第22条第10号ニ |
屋内が0.7、屋外が0.6で、下限(屋内0.17〜0.25、屋外0.25)と向きが逆になります。「内は7、外は6」と1文字で覚えると取り違えません。
⑤ スプリンクラーのヘッドは「1.7・2.1・2.3」
閉鎖型スプリンクラーヘッドの水平距離は3段階です(消防法施行令第12条第2項第2号イ)。
| 対象 | 水平距離 |
|---|---|
| 舞台部・指定可燃物 | 1.7m以下 |
| 耐火建築物以外 | 2.1m以下 |
| 耐火建築物 | 2.3m以下 |
高感度型ヘッドは「R=X×r」で求め、係数Xは指定可燃物0.75・耐火建築物以外0.9・耐火建築物1です(消防法施行規則第13条の2第3項)。Xの並びも「小さい対象ほど小さい」で、水平距離の並びと向きがそろいます。
ヘッドの種別も定義で押さえます。
- 標準型ヘッド = 感度種別が一種のもの 又は 有効散水半径が2.3のもの
- 高感度型ヘッド = 感度種別が一種 かつ 有効散水半径が2.6以上のもの
「又は」と「かつ」が違うのが問われます(規則第13条の2第1項・第2項)。
小区画型は水平距離2.6m以下かつ防護面積13㎡以下、側壁型は両側1.8m以内かつ前方3.6m以内です。側壁型の「1.8と3.6」は倍の関係なので一組で覚えられます。
⑥ 単発で出る数値
| 項目 | 値 | 根拠 |
|---|---|---|
| ポンプの過負荷特性 | 吐出量が定格の150%のとき全揚程は定格の65%以上 | 規則第12条第1項第7号ハ(ハ) |
| 配管の耐圧 | 締切圧力の1.5倍以上 | 規則第12条第1項第6号リ |
| 圧力水槽の水量 | 体積の3分の2以下 | 規則第12条第1項第7号ロ(ロ) |
| 自家発電設備の容量 | 有効に30分間以上作動 | 規則第12条第1項第4号ロ(イ) |
| 屋内消火栓の開閉弁の高さ | 床面から1.5m以下 | 規則第12条第1項第1号 |
| 位置表示の赤色灯火 | 取付け面と15度以上の角度の方向に沿って10m離れたところから識別できる | 規則第12条第1項第3号ロ |
| 屋外消火栓の開閉弁 | 地盤面から1.5m以下 又は 地盤面からの深さ0.6m以内 | 規則第22条第1号 |
| 屋外消火栓箱 | 屋外消火栓からの歩行距離5m以内 | 規則第22条第2号 |
150%と65%は消防設備士の他の類でも共通して出るので、ここで固めておくと使い回せます。
語呂は条文に戻して確かめる
語呂で数字を思い出したあと、必ず単位(MPaかmか、L/minかm³か)と向き(以上/以下)を確認してください。放水圧力は「以上」、水平距離は「以下」、放水圧力の上限措置は「超えない」と、同じ設備の中で向きが混在します。
そして甲1でいちばん効くのは、「この数値は計算で出せないか」を先に問うことです。水源水量は放水量×20分、揚程は圧力×100。この2つを使うだけで、覚える数値がおよそ半分になります。
算定そのものの手順は計算対策にまとめました。この 20分ルールはスプリンクラーとドレンチャーでも成立するので、水系の設備すべてに使えます。
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