QC検定®3級の計算対策では、公式を覚えるだけでなく、何を求めるか、どの数値を使うか、式の条件に合うかを確認します。この記事では、基本統計量から工程能力指数・相関係数まで、独自に作成した例題で練習します。
公式の3級レベル表には管理図なども含まれます。以下は学習用に選んだ例で、計算問題の全種類や出題頻度を示す一覧ではありません。公式過去問の転載でもありません。
平均・分散・標準偏差を計算する
データを12、15、11、18、14とします。まず、中心を求めるのか、ばらつきを求めるのかを区別しましょう。
| 求めるもの | 計算・並べ方 | 答え |
|---|---|---|
| 平均 | (12+15+11+18+14)÷5 | 14 |
| メディアン | 11、12、14、15、18の中央 | 14 |
| 範囲 | 18−11 | 7 |
この例では平均とメディアンが同じですが、いつも一致するわけではありません。平均は合計から、メディアンは小さい順に並べた中央から求めます。
次に、データ2、4、6で不偏分散と標準偏差を計算します。平均は4です。
- 平均からの偏差を求める:−2、0、2。
- 二乗して足す:平方和S=4+0+4=8。
- 不偏分散を求める:V=S÷(n−1)=8÷2=4。
- 平方根を取る:s=√V=2。
ここで求めているのは、n−1で割る不偏分散です。8÷3≒2.67は別の計算になります。データ全体の記述でnで割った分散を扱う場合もあるため、設問の定義を先に読みましょう。標準偏差を問われたら、分散を求めたところで終わらず平方根まで進めます。
データ変換では、平均とばらつきへの影響を分ける
y=(x−a)÷hとします。この節ではhを正の数として扱います。
| 求めるもの | 変換後の関係 | a=10、h=2の例 |
|---|---|---|
| 平均 | 元の平均からaを引き、hで割る | 元の平均14なら、(14−10)÷2=2 |
| 標準偏差 | 元の標準偏差をhで割る | 元の標準偏差2なら、2÷2=1 |
| 分散 | 元の分散をhの二乗で割る | 元の分散4なら、4÷4=1 |
元データ12、14、16を変換すると1、2、3です。全データから同じaを引いても、データ同士の距離は変わりません。したがって、標準偏差からaを引く操作はしません。
hが負の場合、標準偏差はhの絶対値で割ります。標準偏差が負になることはありません。h=0ではこの変換を定義できません。
正規分布は、表を読む前に標準化する
平均μ、標準偏差σが与えられた正規分布では、z=(x−μ)÷σとして標準化します。σは正とします。
x=74、μ=62、σ=8なら、z=(74−62)÷8=1.5です。これは平均より標準偏差1.5個分上の位置という意味であり、確率が1.5という意味ではありません。
正規分布で平均±1σ、±2σ、±3σに入る割合は、それぞれ約68%、95%、99.7%です。確率を求めるときは、用いる表が上側確率なのか、平均からの面積なのかなど、表の定義も確認します。
管理図へ結びつける場合は、何を打点する図かを先に確認してください。例えば平均を打点する図と、個々の測定値のばらつきは区別が必要です。この記事の割合だけから、どの管理図も同じ数値の管理限界になるとは判断できません。
Cp・Cpkは、分母と平均の位置を確かめる
両側規格の工程能力指数は、Cp=(上限規格−下限規格)÷(6×標準偏差)です。以下は標準偏差を与えた計算練習です。工程能力として解釈する際は、工程が安定しているか、正規分布の仮定などが適切かも確認します。NISTの解説で式と前提を確認できます。
| 条件 | 計算 | Cp |
|---|---|---|
| 上限62・下限38・標準偏差4 | 24÷(6×4) | 1.00 |
| 上限70・下限30・標準偏差5 | 40÷(6×5) | 約1.33 |
最初の例で、6を抜けば24÷4=6.00、6を3にすれば24÷12=2.00です。どちらも元の式とは違います。大きな値が出たときは、規格幅と分母を別々に書いて確かめましょう。
Cpは規格幅とばらつきの幅を比較するので、平均が規格の中央からずれても値が変わりません。Cpだけで「この工程は十分」と決めず、平均の位置を考慮するCpkも確認します。
Cpkは、(上限規格−平均)÷(3×標準偏差)と、(平均−下限規格)÷(3×標準偏差)の小さい方です。
| 同じ上限62・下限38・標準偏差4 | 上側/下側の計算 | Cpk |
|---|---|---|
| 平均50 | 12÷12/12÷12 | 1.00 |
| 平均54 | 8÷12/16÷12 | 約0.67 |
両方のCpは1.00ですが、平均54の例では上限までの余裕が小さくなっています。指数は計算値と、その値で説明できる範囲をセットで読みましょう。
二項分布は、平均・分散・確率を区別する
各試行が独立で、不適合となる確率pが一定、試行回数がnのとき、不適合品数を二項分布として考えられます。有限個の品物から戻さずに抜き取る場合などは、独立性やモデルの条件を別に確かめる必要があります。
| 求めるもの | 式 | n=50、p=0.1の例 |
|---|---|---|
| 平均 | np | 5 |
| 分散 | np(1−p) | 4.5 |
| 標準偏差 | 分散の平方根 | √4.5≒2.12 |
平均5は、必ず5個の不適合品が出るという意味ではありません。また、分散4.5を確率として読むこともできません。
確率の例として、独立な5回の試行で各回の不適合確率が0.2なら、不適合が0回の確率は(1−0.2)の5乗=0.8の5乗=0.32768です。「少なくとも1回」なら、1−0.32768=0.67232になります。何回起こる事象を求めるのか、文章を式の前に書いてみてください。
相関係数も確認し、管理図の練習へつなぐ
手法編の公式マトリックスでは、3級に相関係数やX̄−R管理図も含まれます。前の例題だけで手法分野を学び終えたとは考えないようにしましょう。
相関係数は、偏差積和Sxyを、偏差平方和SxxとSyyの積の平方根で割って求めます。両変数のばらつきが0ではない場合の式です。
例えばSxy=8、Sxx=4、Syy=25と与えられたら、r=8÷√(4×25)=0.8です。正の線形関係を示しますが、原因と結果の関係が証明されたという意味ではありません。散布図の形や外れ値も確認します。
管理図・工程能力指数・相関分析の演習では、それぞれの考え方を問題で確認できます。管理図では、規格限界と管理限界を混同せず、図の種類と群の大きさなど、設問の条件を読んで進めてください。
計算を捨てる前に、どこで止まったかを見る
3級には手法・実践それぞれ概ね50%以上という条件があります。ただし、手法分野のすべてが計算問題という意味ではなく、計算問題だけの配点も公表されていません。「計算を捨てても大丈夫」と保証したり、逆に計算の1問を落とすだけで不合格と決めたりすることはできません。詳しくは合格基準の見方へ。
解けなかった例題を、次のように分類してみてください。
| 止まった場所 | 解き直しで行うこと |
|---|---|
| 何を求めるか分からない | 平均・分散・確率など、答える量を言葉で書く |
| 式を選べない | 使える条件と、各記号が示す量を確認する |
| 代入すると間違える | 規格幅、偏差、分母を別々の行に書く |
| 最後の値が違う | 符号・平方根・丸める桁を確認する |
基本統計量と変換はデータの取り方とまとめ方、標準化と二項分布は統計的方法の基礎から練習できます。全体はQC検定®3級のオリジナル練習問題300問へ。通常の問題と解説は登録不要・無料です。
CBTの電卓操作も、事前に確かめる
CBT-Solutionsの案内では、電卓の持ち込みはできず、3級のみ試験画面上の電卓機能が使えます。公式ページの試験画面説明動画とCBT体験で、入力や画面の操作を確認しておきましょう。
数式を選ぶ練習と、電卓へ正しく入力する練習を分けると、見直す場所が分かります。教材を併用する場合はQC検定®のテキスト選びを確認してください。







