危険物甲種の過去問は、試験を行う一般財団法人消防試験研究センターが、過去の問題から45問をまとめた1回分をPDFで無料公開しています。ただし 付いているのは最後のページの解答の表だけで、解説はありません。この記事では、公式の1回分(令和8年6月更新)にある計算4問と、性質と消火の最初に出る類ごとの性状の概論について、公式の問の答えと決め手を1行で示し、数値と問い方を変えた自作の例題で解き方まで説明します。公式の問題文と選択肢は写さず、問番号と何を問う型かだけを示します。科目ごとの練習問題は 危険物甲種の練習問題のページ から解けます。
解説はどこにあるか
| 探す先 | あるもの | 気をつけること |
|---|---|---|
| 消防試験研究センター | 甲種の45問1回分と解答の表(年度・回ごとの問題は公開されていない。2026年10月21日に確認。詳しくは入手先の記事) | 解き方の説明はない |
| 市販の問題集・講座の教材 | 問題ごとの解説 | 法令の数値が、受ける日に施行されている法令と合っているかを確かめる |
| 自分で作る | 型ごとの解き方のメモ | 同じ型の問題を、数値を変えて解き直す |
公式の1回分の場所と中身、科目ごとの論点の一覧は「危険物甲種の過去問の入手先」にまとめています。
試験は45問(法令15問・物理学及び化学10問・性質と消火20問)の五肢択一で、試験時間は2時間30分です。科目ごとに60%以上 で合格なので、法令は9問・物理学及び化学は6問・性質と消火は12問の正解が要ります(消防試験研究センター)。計算の4問は、決まりや公式を1〜2個使えば解ける型です。
型1 法令:類が違う危険物の、指定数量の倍数の合計
公式の1回分の問2は、第4類の品目の組合せから、指定数量の倍数の合計がいちばん大きいものを選ぶ問題です。答えは1で、指定数量が 200 L と小さいガソリンを多く含む組合せが最大になります(合計16倍)。甲種では、類をまたいだ組合せでも同じ計算をします。
例題(自作) 同じ場所で、硫黄 300 kg、ナトリウム 20 kg、硝酸 600 kg、ガソリン 100 L を貯蔵する。指定数量の倍数の合計はいくらか。
解き方
- 指定数量を、危険物の規制に関する政令の別表第三で確かめる。硫黄(第2類)100 kg、ナトリウム(第3類)10 kg、硝酸(第6類)300 kg、ガソリン(第4類の第1石油類・非水溶性)200 L
- 品目ごとに、貯蔵量 ÷ 指定数量。硫黄 300 ÷ 100 = 3、ナトリウム 20 ÷ 10 = 2、硝酸 600 ÷ 300 = 2、ガソリン 100 ÷ 200 = 0.5
- 合計は 3 + 2 + 2 + 0.5 = 7.5
ポイント 倍数は「品目ごとに割ってから足す」です。よくある誤りは、量を全部足してから割ることと、品目ごとの指定数量を取り違えることです。甲種では、第3類のカリウム・ナトリウム・アルキルアルミニウム・アルキルリチウム(10 kg)、黄りん(20 kg)、第5類の第一種自己反応性物質(10 kg)のような小さい指定数量が、倍数を大きく動かします。
同じ型の練習(ぴよパスのオリジナル問題): 4種類の危険物の倍数の合計・炭化カルシウム・硫化りん・アセトン・過酸化水素の倍数
型2 法令:3基のタンクを1つの防油堤で囲むときの容量
公式の1回分の問6は、容量の違う3基の屋外貯蔵タンクを1つの防油堤で囲むときの、防油堤の最低限の容量を問う問題です。答えは4で、いちばん大きいタンクの容量の110%が決め手です。
例題(自作) 重油を貯蔵する屋外貯蔵タンクが3基(300 kL、500 kL、800 kL)あり、1つの防油堤で囲む。防油堤の容量は何 kL 以上必要か。
解き方
- 屋外タンク貯蔵所の防油堤は、危険物の規制に関する規則 第22条で決まっている。1基なら、そのタンクの容量の110%以上
- 2基以上を囲むときは、いちばん大きいタンクの容量の110%以上
- 800 × 1.1 = 880 kL
ポイント 3基の合計(1,600 kL)は使いません。流れ出すのは、いちばん大きいタンク1基分と考えるからです。引火点のない液体の危険物のタンクは、110%が100%に読み替えられます(同条第3項)。
よく混ぜられる決まり 製造所や一般取扱所の屋外にある、危険物を 取り扱う タンクの防油堤は別の決まりで、いちばん大きいタンクの 50% に、ほかのタンクの容量の合計の 10% を足した量以上です(同規則 第13条の3)。上の3基が製造所の取扱いタンクなら、800 × 0.5 + (300 + 500) × 0.1 = 480 kL になります。問題文の「屋外タンク貯蔵所」か「製造所の屋外のタンク」かを先に確かめます。
同じ型の練習: 屋外タンク貯蔵所の防油堤の容量・製造所の屋外の3基のタンクの防油堤
型3 物理学及び化学:燃焼に使う酸素の体積を、0℃以外で答える
公式の1回分の問17は、メタノールが完全燃焼するときに使う酸素の体積を、0℃の1 molの体積から求め、20℃のときの値で答える問題です。反応式の係数と、温度による体積の変化の2段で解く型です。答えは4で、反応式(2CH₃OH + 3O₂ → 2CO₂ + 4H₂O)からメタノール 3 mol に要る酸素 4.5 mol を出し、0℃の体積を20℃に直すのが決め手です(0℃のままの値で答えると誤り)。
例題(自作) エタノール(C₂H₅OH)46 g を完全燃焼させるのに必要な酸素の体積は、27℃・1気圧で約何 L か。原子量は H = 1、C = 12、O = 16、0℃・1気圧の気体 1 mol の体積は 22.4 L とする。
解き方
- 反応式を書く。C₂H₅OH + 3O₂ → 2CO₂ + 3H₂O
- エタノールの分子量は 12 × 2 + 1 × 6 + 16 = 46 なので、46 g は 1 mol。必要な酸素は係数から 3 mol
- 0℃では 3 × 22.4 = 67.2 L
- 圧力が一定なら、体積は絶対温度に比例する(シャルルの法則)。27℃は 300 K、0℃は 273 K なので、67.2 × 300 ÷ 273 ≒ 73.8 L
ポイント 反応式の係数で mol を出し、0℃の体積を出してから温度で直す、の順番を守ります。よくある誤りは、0℃のままの値(67.2 L)で答えることと、温度の直しを逆にする(67.2 × 273 ÷ 300 ≒ 61.2 L)ことです。絶対温度は ℃ + 273 です。
近い型の練習: メタン 11.2 L の完全燃焼に必要な酸素の体積・エタノールの完全燃焼に必要な酸素の質量・温度と圧力を変えたときの気体の体積
型4 物理学及び化学:2つの容器の気体を合わせたときの全圧
公式の1回分の問25は、温度一定で、2つの気体を1つの容器に入れたときの全圧を問う問題です。気体ごとに「容器の体積に広がったあとの圧力(分圧)」を出して足す型で、答えは2です。
例題(自作) 4.0 L の容器 A に 150 kPa の窒素、6.0 L の容器 B に 50 kPa の酸素が入っている。温度を変えずに A と B をつなぐと、全体の圧力(全圧)は何 kPa になるか。つなぐ管の体積は考えない。
解き方
- つないだあとの体積は 4.0 + 6.0 = 10.0 L
- 温度一定なら、圧力 × 体積は変わらない(ボイルの法則)。窒素の分圧は 150 × 4.0 ÷ 10.0 = 60 kPa
- 酸素の分圧は 50 × 6.0 ÷ 10.0 = 30 kPa
- 全圧は分圧の和(ドルトンの分圧の法則)。60 + 30 = 90 kPa
ポイント よくある誤りは、圧力をそのまま足す(200 kPa)ことと、平均する(100 kPa)ことです。気体ごとに「新しい体積に広がったら何 kPa か」を出してから足します。
近い型の練習: 混合気体の全圧から酸素の分圧を求める
型5 性質と消火:類ごとの性状の概論は、性質の名前と固体・液体で決まる
公式の1回分の性質と消火の20問は、最初の問26が第1類から第6類までの性状をまとめて問う概論で、そのあと類ごとの問題が続きます。問26の答えは1で、類と性質の名前の組合せが正しいのは第1類(酸化性固体)の肢だけ、ほかの肢は別の類の性質を当てていました。概論は、消防法の別表第一にある 性質の名前 と、その備考にある 固体か液体か で判断できます。
| 類 | 性質(消防法 別表第一) | 固体・液体(別表第一の備考) |
|---|---|---|
| 第1類 | 酸化性固体 | 固体 |
| 第2類 | 可燃性固体 | 固体 |
| 第3類 | 自然発火性物質及び禁水性物質 | 固体又は液体 |
| 第4類 | 引火性液体 | 液体 |
| 第5類 | 自己反応性物質 | 固体又は液体 |
| 第6類 | 酸化性液体 | 液体 |
例題(自作) 危険物の類ごとの性状について、誤っているものはどれか。
- ア 第1類と第6類は、どちらも酸化性の性状を持ち、第1類は固体、第6類は液体である
- イ 第3類には、固体のものも液体のものもある
- ウ 第5類は、すべて固体である
- エ 第4類は、すべて液体である
解き方 第5類(自己反応性物質)は、別表第一の備考で「固体又は液体」です。液体の硝酸エステル類(ニトログリセリンなど)があります。誤りは ウ。
ポイント 「固体だけ」は第1・2類、「液体だけ」は第4・6類、「どちらもある」は第3・5類、と組で覚えます。性質の名前に「固体」「液体」が入っている類は、その状態だけです。語呂で覚える方法は「危険物甲種の語呂合わせ」にまとめています。
同じ型の練習: 第1類と第6類の区分・類と品名の組合せ
解説のない1回分を、解説つきの練習に変える手順
- 解答の表で答え合わせをする — 科目ごとに正解数を数え、60%に何問足りないかを出します。
- 間違えた問題に、型の名前を付ける — 「防油堤は最大の110%」「分圧を出してから足す」のように、何を問う型かを短く書きます。
- 型ごとに、解き方を3〜4行で書く — 上の例題の「解き方」と「ポイント」の形で、自分のノートに書きます。法令の数値には、条番号も書き添えます。
- 数値を変えて解き直す — 自分で数値を変えて解き、書いた解き方が使えるかを確かめます。ぴよパスの同じ分野の練習問題にも、1問ごとに解説が付いています。
- 元の1回分に戻る — 何日か空けて、もう一度45問を通して解きます。
ぴよパスの危険物甲種の練習問題は、科目ごとに登録不要・無料で解けます。間違えた問題の解き直しも無料です。
本番と同じ45問・2時間30分で通して解く 模擬試験 は Premium(月980円)の機能です。
当サイトの問題について
ぴよパスの問題と、この記事の例題は、消防試験研究センターが公表している問題を写したものではなく、消防法・危険物の規制に関する政令・危険物の規制に関する規則などの法令と、化学の基本的な法則をもとに独自に作った オリジナルの予想問題 です。本試験の問題は、センターのホームページでご覧ください。
出典
- 一般財団法人消防試験研究センター「過去に出題された問題」甲種(令和8年6月更新。問2・問6・問17・問25・問26の型と解答の確認にだけ使い、問題文と選択肢は写していません)
- 同「試験科目及び問題数」「試験の方法」(問題数・試験時間・合格基準。2026年10月21日に確認)
- 消防法 別表第一(類・性質・品名と備考)
- 危険物の規制に関する政令 別表第三(指定数量)
- 危険物の規制に関する規則 第13条の3(二十号防油堤)・第22条(防油堤)
- 法令は、2026年9月25日に施行されている版を e-Gov 法令検索で確かめました。
次に読む
- 危険物甲種の過去問の入手先 — 公式の1回分の中身と、乙種のPDFと重なる問題
- 危険物甲種の計算問題 — モル・気体・熱量・指定数量の解き方
- 危険物甲種の語呂合わせ — 指定数量・性質・消火を音で覚える










