「危険物甲種は意味ない」という声を見かけたら、まず法令で確かめます。甲種でできることは、乙種の第1類から第6類までを全部持つのと同じ です。乙4だけを持つ人と比べると、扱える危険物が全部の類に広がります。甲種に意味があるかどうかは、職場で扱う危険物の類 と、甲種の受験資格があるか で決まります。この記事では、消防法と危険物の規制に関する規則(以下「規則」)の条文から、甲種・乙種・丙種の違い、乙種を全部そろえる道との比べ方、甲種が向く人と乙種で足りる人をまとめます。
甲種・乙種・丙種でできること
| 免状 | 自分で取り扱える危険物 | 危険物取扱者でない人の取扱作業に立ち会えるか(消防法 第13条第3項) | 危険物保安監督者になれるか |
|---|---|---|---|
| 甲種 | すべての類 | すべての類で立ち会える | 製造所等で6か月以上の実務経験があれば、すべての類で |
| 乙種 | 免状に指定された類 | 免状に指定された類で立ち会える | 製造所等で6か月以上の実務経験があれば、免状の類で |
| 丙種 | ガソリン・灯油・軽油・第3石油類(重油・潤滑油・引火点130℃以上のもの)・第4石油類・動植物油類 | 立ち会えない(定期点検の立会いは別。下の注) | なれない |
- 取り扱える危険物と立ち会える危険物の種類は、規則 第49条が免状ごとに決めています。
- 製造所等で、危険物取扱者でない人が危険物を取り扱うときは、甲種か乙種の危険物取扱者が立ち会わなければなりません(消防法 第13条第3項)。丙種は、この取扱作業の立会いはできません。
- 定期点検は別の決まりです。危険物取扱者でない人が定期点検をするときの立会いは、丙種もできます(規則 第62条の6第2項)。
- 危険物保安監督者は、甲種か乙種の危険物取扱者で、6か月以上の実務経験がある人から選びます(同 第13条第1項)。実務経験は製造所等でのものに限られ(規則 第48条の2)、監督できるのは「その者が取り扱うことができる危険物の取扱作業」です。
つまり、甲種と乙種の違いは、扱える類の広さ に尽きます。立会いができるのも、保安監督者になれるのも、甲種と乙種で同じです。
練習問題で確かめる: 危険物保安監督者の問題・立会いの問題・丙種と定期点検の問題(丙種)
乙4だけを持つ人と比べると
ガソリン・灯油・軽油・重油などは、第4類の危険物です。第4類だけを扱う職場なら、乙種第4類で取り扱いも立会いも、実務経験を積めば危険物保安監督者もできます。甲種を取っても、その職場でできることは増えません。
甲種で増えるのは、第1類(酸化性固体)・第2類(可燃性固体)・第3類(自然発火性物質及び禁水性物質)・第5類(自己反応性物質)・第6類(酸化性液体) を扱えることです。いくつもの類の危険物を扱う製造所等では、甲種か、扱う類ごとの乙種が要ります。
乙種を全部そろえる道と比べる
全部の類を扱えるようになる道は、甲種を1回受けるか、乙種を類ごとに受けるかの2つです。
| 比べること | 甲種を受ける | 乙種を第1類〜第6類そろえる |
|---|---|---|
| できること | すべての類 | すべての類(6つの類の免状で) |
| 受験資格 | 要る(下の表) | 要らない |
| 受ける試験の数 | 1つ | 6つ(支部によっては同じ日に複数の類を受けられ、同時に受けると法令と物化は1つ分で兼ねられる。規則 第55条第4項) |
| 1つの試験 | 45問・2時間30分(法令15問・物理学及び化学10問・性質と消火20問) | 1つ目は35問・2時間。乙種の免状の交付を受けた後に受ける類は、法令と物化が免除になり、性質と消火の10問・35分 |
| 範囲 | 物理学及び化学(乙種の「基礎的な」より広い)、性質と消火は全部の類 | 物化は基礎的な範囲。性質と消火は、全部の類の基礎的な概論と、受ける類の詳しい内容 |
| 合格の基準 | 3科目それぞれ60%以上 | 免除されなかった科目それぞれ60%以上 |
試験の問題数と時間、科目の免除は、消防試験研究センターの「試験科目及び問題数」によります。乙種の免状を1つ持っていれば、ほかの類の乙種は法令と物理学及び化学が免除されます(規則 第55条第6項)。同時に受ける場合のまとめ方は「危険物乙種の同時受験」にまとめています。合格の基準は規則 第55条の2です。
甲種の受験資格の主なものは、化学に関する学科の卒業、化学に関する授業科目の15単位以上の修得、化学を専攻した修士・博士、乙種の免状を受けた後の製造所等での2年以上の実務経験、乙種の免状4種類(「第1類か第6類」「第2類か第4類」「第3類」「第5類」)です(消防法 第13条の3第4項、規則 第48条の2・第53条の3)。このほか、旧制の学校の卒業者などが当たる場合があります(規則 第53条の3第6号)。どれに当たるかの確かめ方は「危険物甲種の受験資格」にまとめています。
受験資格がない人は、乙種をそろえていくと、4種類そろった時点で甲種の受験資格になります。そのまま残りの乙種を受けるか、甲種を受けるかは、残りの類の試験の手間と、甲種の範囲の広さを比べて決めます。
練習問題で確かめる: 甲種の受験資格の問題
甲種が向く人・乙種で足りる人
| あなたの状況 | 向く道 |
|---|---|
| 職場で扱う危険物が第4類だけ | 乙種第4類で足りる |
| いくつもの類の危険物を扱う、扱う類が変わることがある | 甲種か、扱う類の乙種 |
| 化学系の学科を卒業している・化学の単位が15単位以上ある | 甲種に1回合格して免状を受ければ、全部の類を扱える |
| 受験資格がない | 乙種から始める(4種類で甲種の受験資格) |
| 乙4の免状を受けた後、製造所等で2年以上の実務経験がある | 甲種の受験資格がある |
資格手当の額や、採用で甲種をどう扱うかは、会社ごとに違います。求人票や社内の規程で、甲種と乙種がどう書き分けられているかを確かめてください。
甲種でも乙種でも、取った後に続くこと
製造所等で危険物の取扱作業に従事する危険物取扱者は、甲種・乙種・丙種に関係なく、保安に関する講習を受けます。従事することになった日から1年以内(その前2年以内に免状を受けたか講習を受けた場合は、その日以後の最初の4月1日から3年以内)に受け、その後は、講習を受けた日以後の最初の4月1日から3年以内ごとに受けます(規則 第58条の14)。
移動タンク貯蔵所(タンクローリー)で危険物を移送するときは、その危険物を取り扱える危険物取扱者が乗車し、免状を携帯します(消防法 第16条の2)。
練習問題で確かめる: 保安講習の期限の問題
甲種を受けると決めたら
甲種の試験は、法令15問・物理学及び化学10問・性質と消火20問で、3科目それぞれ60%以上が要ります。乙種を持っている人も、甲種では法令と物理学及び化学が免除になりません。ぴよパスの甲種の練習問題は、3科目とも登録不要・無料です。
当サイトの問題について
ぴよパスの問題は、消防試験研究センターが公開している問題を写したものではなく、消防法や危険物の規制に関する政令・規則などの法令や公的な資料をもとに独自に作った オリジナルの予想問題 です。
出典
次に読む
- 危険物甲種の問題はどんな形か — 45問の内訳と例題
- 危険物甲種の試験日 — 都道府県別の日程
- 危険物甲種の過去問はどこにある — 公式の45問1回分
- 危険物の全類の比べ方 — 甲種・乙種・丙種と6つの類の一覧
- 危険物甲種と乙4の違い — 試験範囲と難しさ










