保育士試験の子ども家庭福祉で押さえたいのは、児童福祉法の「児童」(満18歳未満)と児童福祉施設13種、こども基本法の「こども」(年齢の区切りなし)、児童虐待の4つの類型と通告義務です。 どれも条文に答えがはっきり書かれていて、年齢の区切りや設置の主体を入れ替えた文は誤りになります。
子ども家庭福祉の試験は、1日目の14:30〜15:30の60分で、20問・100点満点、満点の6割以上でその科目が合格です(令和8年の時間割と問題用紙の表紙)。社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の資格がある人は、申請すると子ども家庭福祉・社会福祉・社会的養護の3科目が免除になります(全国保育士養成協議会のQ&A)。
この記事の条文は、2026年10月時点のe-Gov法令検索の現行の版で確かめ、令和8年後期の筆記試験の基準(「令和8年4月1日以前に施行されたもの」で出題)の版と文言が同じことも確かめました。令和9年前期の基準日は、2026年10月20日時点で協議会の案内にまだ出ていないので、受ける回の案内で確かめてください。ぴよパスでは、子ども家庭福祉のオリジナル予想問題を子ども家庭福祉の練習問題で登録不要・無料で解けます。
結論: 子ども家庭福祉で取り違えやすい5つ
- 児童は 満18歳に満たない者。乳児は満1歳未満、幼児と少年の境目は 小学校就学の始期(児童福祉法第4条)。
- こども基本法の「こども」は 心身の発達の過程にある者 で、年齢の区切りがない(第2条)。施行とこども家庭庁の設置は 2023年4月1日。
- 児童福祉施設は 13種。2024年4月1日に 里親支援センター が加わった(第7条)。
- 児童相談所は 都道府県と指定都市が設置しなければならない(第12条・第59条の4)。こども家庭センターは 市町村が設置に努める(第10条の2)。
- 児童虐待は 身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待 の4つ。面前DVは心理的虐待。「受けたと思われる」段階で通告の義務がある。
児童福祉法の理念と「児童」の定義
児童福祉法第1条は、全て児童は児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されることや生活を保障されることなど、福祉を等しく保障される権利を有すると定めています。第2条第2項は 保護者が児童の育成について第一義的責任を負う とし、第3項は国と地方公共団体も保護者とともに責任を負うとしています。
| 区分 | 児童福祉法第4条第1項の定義 |
|---|---|
| 児童 | 満18歳に満たない者 |
| 乳児 | 満1歳に満たない者 |
| 幼児 | 満1歳から、小学校就学の始期に達するまでの者 |
| 少年 | 小学校就学の始期から、満18歳に達するまでの者 |
「少年」が小学生から高校生の年齢までを指すこと、幼児と少年の境目が年齢(満6歳)ではなく「小学校就学の始期」であることが、入れ替えの対象になりやすいところです。
児童福祉施設は13種
児童福祉法第7条第1項は、児童福祉施設を次の13種と定めています(条文の順)。
- 助産施設
- 乳児院
- 母子生活支援施設
- 保育所
- 幼保連携型認定こども園
- 児童厚生施設
- 児童養護施設
- 障害児入所施設
- 児童発達支援センター
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
- 児童家庭支援センター
- 里親支援センター(2024年4月1日から)
この13種が社会福祉法の第一種・第二種のどちらに当たるかは、保育士試験の社会福祉の覚え方で整理しています。乳児院・児童養護施設など、社会的養護の施設の条文の違いは、保育士試験の教育原理と社会的養護で扱っています。
里親支援センターは、令和4年法律第66号による改正で、令和6年(2024年)4月1日から児童福祉施設に加わりました。それより前の教材は「12種」としていることがあるので注意します。
児童相談所とこども家庭センター — 設置の主体が違う
| 機関 | 設置の主体と義務 | 条文 |
|---|---|---|
| 児童相談所 | 都道府県 は設置しなければならない(義務)。指定都市 にもこの規定が当てはまり、政令で定める市(児童相談所設置市。特別区を含む)も設置する | 児童福祉法第12条第1項・第59条の4第1項、地方自治法施行令第174条の26 |
| こども家庭センター | 市町村 は設置に努めなければならない(努力義務) | 児童福祉法第10条の2第1項(2024年4月1日から) |
こども家庭センターは、児童と妊産婦の福祉に関する包括的な支援を行う施設で、地域子育て相談機関と密接に連携を図るものとされています(第10条の2第2項・第3項)。「都道府県が設置する」「設置しなければならない」と入れ替えた文は誤りです。
保育士の定義と義務
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第18条の4(定義) | 保育士登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育と児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者 |
| 第18条の21(信用失墜行為の禁止) | 保育士の信用を傷つけるような行為をしてはならない |
| 第18条の22(秘密保持義務) | 正当な理由がなく、業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保育士でなくなった後も同様 |
保育士の仕事には、子どもの保育だけでなく 保護者への保育に関する指導 が入っています。秘密保持義務は、保育士でなくなった後も続く ことが押さえどころです。保育士の定義や義務を問う練習問題は、ぴよパスでは保育実習理論の練習問題に入れています。
こども基本法とこども家庭庁 — 2023年4月1日
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法律 | こども基本法(令和4年法律第77号)。令和5年(2023年)4月1日施行 |
| 「こども」の定義 | 心身の発達の過程にある者(第2条第1項。年齢の区切りはない) |
| 基本理念 | 第3条の6つ。個人としての尊重と差別の禁止、福祉の権利と教育の機会、意見を表明する機会と社会参画の機会、意見の尊重と最善の利益の優先、家庭での養育を基本とした保護者への支援、子育てに夢と喜びを持てる社会環境 |
| こども家庭庁 | こども家庭庁設置法により、令和5年(2023年)4月1日に 内閣府の外局 として設置 |
児童福祉法の「児童」(18歳未満)と、こども基本法の「こども」(年齢の区切りなし)を対にして覚えます。こども家庭庁は厚生労働省の外局ではありません。
児童虐待の4類型と通告義務
児童虐待の防止等に関する法律第2条は、保護者がその監護する児童(18歳に満たない者)について行う次の行為を児童虐待としています。条文に類型の名前は書かれていないので、こども家庭庁の説明の呼び名と並べます。
| 号 | 呼び名(こども家庭庁) | 条文の中身(要約) |
|---|---|---|
| 第1号 | 身体的虐待 | 身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること |
| 第2号 | 性的虐待 | わいせつな行為をすること、又はさせること |
| 第3号 | ネグレクト | 著しい減食や長時間の放置、同居人による虐待の放置など、監護を著しく怠ること |
| 第4号 | 心理的虐待 | 著しい暴言や拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(いわゆる面前DVを含む)など |
通告については、第6条第1項が「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者」に、市町村・都道府県の設置する福祉事務所・児童相談所への通告を義務づけています(児童委員を介してもよい)。確証がなくても「思われる」段階で通告の対象です。第6条第3項は、守秘義務の規定が通告を妨げるものと解釈してはならないとしています。
例題: ぴよパスの子ども家庭福祉の問題から
ぴよパスのオリジナル予想問題から2問です(本試験の問題ではありません)。
例題1 児童福祉法及び母子保健法に定めるこども家庭センターに関する記述として、最も不適切なものを一つ選びなさい。
- こども家庭センターは、児童及び妊産婦の福祉に関する包括的な支援を行うことを目的とする施設である。
- こども家庭センターは、支援を行う者の確保や、その者が連携して円滑に支援を行うための体制の整備などにより、児童の健全育成に係る支援を促進する。
- こども家庭センターは、都道府県が設置しなければならない施設であり、市町村が設置することはない。
- こども家庭センターは、業務を行うに当たって、地域子育て相談機関と密接に連携を図るものとされている。
- 母子保健法上、こども家庭センターは、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導などの事業を行う。
答え: 3。こども家庭センターは、市町村が設置に努めるものです(児童福祉法第10条の2第1項)。 この問題を解く →
例題2 次の事例について、児童虐待の防止等に関する法律第2条に定める児童虐待のうち、父の行為が当たるものとして、最も適切なものを一つ選びなさい。
【事例】Aちゃん(3歳)は両親と3人で暮らしている。父は母に対し、殴る・蹴るなどの暴力をたびたび振るい、Aちゃんはその場面を何度も見聞きしている。父母がAちゃん本人に暴力を振るったことはなく、食事や身の回りの世話は母が行っている。
- 身体的虐待
- 性的虐待
- ネグレクト
- 虐待には当たらない
- 心理的虐待
答え: 5。児童が同居する家庭での配偶者に対する暴力は、第2条第4号(心理的虐待)に入ります。 この問題を解く →
子ども家庭福祉の練習問題の使い方
ぴよパスの子ども家庭福祉の練習問題は、児童福祉法・こども基本法・児童虐待防止法のほか、母子保健法、児童手当法、少年法、こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律、子ども・子育て支援法なども扱っています。分野ごとの練習問題と解説は無料です。9科目を通しで解く模擬試験(各科目の問題数と時間を本試験の半分にした、ぴよパス独自の形)は Premium の機能です。
- 子ども家庭福祉の練習問題
- 社会福祉の練習問題 — 社会福祉法の第一種・第二種や苦情解決は、子ども家庭福祉と重なります
まとめ
- 児童は満18歳未満、乳児は満1歳未満、幼児と少年の境目は小学校就学の始期。
- こども基本法の「こども」は心身の発達の過程にある者(年齢の区切りなし)。2023年4月1日施行、こども家庭庁は内閣府の外局。
- 児童福祉施設は13種。里親支援センターは2024年4月1日から。
- 児童相談所は都道府県と指定都市の設置義務、こども家庭センターは市町村の努力義務。
- 虐待は身体的・性的・ネグレクト・心理的の4つ。「思われる」で通告、守秘義務は通告を妨げない。
関連記事
出典
- 児童福祉法 第1条・第2条・第4条・第7条・第10条の2・第12条・第18条の4・第18条の21・第18条の22・第59条の4(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版。令和8年4月1日施行の版と同じ文言): https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164
- 地方自治法施行令 第174条の26(指定都市が処理する児童福祉に関する事務。e-Gov法令検索・2026年4月1日施行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/322CO0000000016
- こども基本法 第1条〜第3条・附則第1条(e-Gov法令検索・2026年10月20日に参照した現行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/504AC1000000077
- こども家庭庁設置法 第2条・附則第1項(e-Gov法令検索・2026年10月20日に参照した現行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/504AC0000000075
- 児童虐待の防止等に関する法律 第2条・第6条(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC1000000082
- 社会福祉法 第2条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000045
- こども家庭庁「児童虐待防止対策」(児童虐待の4種類の呼び名): https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai
- 全国保育士養成協議会「筆記試験について」(法令の基準): https://www.hoyokyo.or.jp/exam/guidance/writtenexam2.html
- 全国保育士養成協議会 試験日程(時間割と満点): https://www.hoyokyo.or.jp/exam/schedule02.html
- 全国保育士養成協議会 Q&A(免除): https://www.hoyokyo.or.jp/exam/qa/


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