保育士試験の社会福祉で取り違えやすいのは、社会福祉事業の第一種・第二種(保育所は第二種)、苦情解決の主体(運営適正化委員会は都道府県社会福祉協議会)、生活保護の原理4つ・原則4つ・扶助8つです。 どれも条文に答えがあり、条文の言葉を入れ替えた文は誤りになります。この記事では、取り違えやすい条文を表にまとめ、覚え方の目安を付けます。
社会福祉の試験は、1日目の16:00〜17:00の60分で、20問・100点満点、満点の6割以上でその科目が合格です(令和8年の時間割と問題用紙の表紙)。社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の資格がある人は、申請すると社会福祉・子ども家庭福祉・社会的養護の3科目が免除になります(全国保育士養成協議会のQ&A)。
条文は、2026年10月時点のe-Gov法令検索の版で確かめ、令和8年後期の筆記試験の基準(「令和8年4月1日以前に施行されたもの」で出題)の版と文言が同じことも確かめました。令和9年前期の基準日は、2026年10月20日時点で協議会の案内にまだ出ていないので、受ける回の案内で確かめてください。ぴよパスでは、社会福祉のオリジナル予想問題を社会福祉の練習問題で登録不要・無料で解けます。
結論: 社会福祉で取り違えやすい5つ
- 社会福祉事業は 第一種と第二種。児童養護施設・乳児院などの入所施設は第一種、保育所は第二種(社会福祉法第2条)。
- 苦情の解決は、まず 社会福祉事業の経営者 が努める(第82条)。運営適正化委員会 は 都道府県社会福祉協議会 に置く(第83条)。
- 生活保護の 基本原理 は第1〜4条(目的・無差別平等・最低生活・保護の補足性)、保護の原則 は第7〜10条(申請保護・基準及び程度・必要即応・世帯単位)。
- 扶助は 8種類(生活・教育・住宅・医療・介護・出産・生業・葬祭)。
- 福祉六法は、1947〜1950年の3法と、1960〜1964年の3法。知的障害者福祉法と母子及び父子並びに寡婦福祉法は、題名が変わっている。
社会福祉法 — 目的・理念・事業の区分
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第1条(目的) | 福祉サービスの利用者の利益の保護と、地域における社会福祉(地域福祉)の推進などを図り、社会福祉の増進に資する |
| 第3条(福祉サービスの基本的理念) | 個人の尊厳の保持を旨とし、利用者が心身ともに健やかに育成され、又は能力に応じ自立した日常生活を営めるよう支援する、良質かつ適切なもの |
| 第2条第2項 | 第一種社会福祉事業 |
| 第2条第3項 | 第二種社会福祉事業 |
第一種と第二種 — 代表的な事業
| 区分 | 代表的な事業(社会福祉法第2条) |
|---|---|
| 第一種 | 生活保護法の救護施設・更生施設、児童福祉法の乳児院・母子生活支援施設・児童養護施設・障害児入所施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設、老人福祉法の養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム、障害者支援施設、女性自立支援施設などを経営する事業 |
| 第二種 | 保育所・助産施設・児童厚生施設・児童家庭支援センター・里親支援センター・幼保連携型認定こども園を経営する事業、放課後児童健全育成事業・一時預かり事業・小規模保育事業などの児童福祉法の事業、老人デイサービス事業、福祉サービス利用援助事業など |
覚え方の目安は、児童福祉法の施設では、入所して暮らす施設が第一種 です。乳児院・母子生活支援施設・児童養護施設・障害児入所施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設の6つが第一種で、保育所は通う施設なので第二種です。例外として、助産施設は妊産婦を入所させる施設ですが第二種です。また、児童心理治療施設と児童自立支援施設は、保護者の下から通わせることもできますが第一種です。
この目安は、児童福祉法の施設の外では当てはまらないことがあります。
| 目安に合わないもの | 区分(社会福祉法第2条) |
|---|---|
| 小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)・児童自立生活援助事業(自立援助ホーム) | 子どもが暮らす場だが 第二種(第3項第2号) |
| 老人短期入所施設・認知症対応型老人共同生活援助事業 | 入所・入居だが 第二種(第3項第4号) |
| 生計困難者のための無料又は低額な料金の宿泊所など | 第二種(第3項第8号) |
| 授産施設、生計困難者への無利子又は低利の資金の融通 | 入所の施設ではないが 第一種(第2項第7号) |
迷ったら第2条の列挙で確かめます。第一種社会福祉事業は、国・地方公共団体・社会福祉法人が経営することを原則とします(社会福祉法第60条)。
苦情の解決と質の向上
| 条文 | 誰が | 何を |
|---|---|---|
| 第78条第1項 | 社会福祉事業の経営者 | 自ら福祉サービスの質の評価を行うことなどにより、良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努める |
| 第78条第2項 | 国 | 福祉サービスの質の公正かつ適切な評価の実施に資するための措置を講ずるよう努める |
| 第82条 | 社会福祉事業の経営者 | 利用者等からの苦情の適切な解決に努める |
| 第83条 | 都道府県社会福祉協議会 | 運営適正化委員会を置く(福祉サービス利用援助事業の適正な運営の確保と、苦情の解決のため) |
運営適正化委員会は、社会福祉・法律・医療に関し学識経験を有する者で構成されます。置き場所を 市町村社会福祉協議会 や福祉事務所と入れ替えた文は誤りです。
福祉事務所が扱う法律の数
福祉事務所は、都道府県と市(特別区を含む)は設置しなければならず、町村は設置することができます(社会福祉法第14条第1項・第3項)。第14条は、福祉事務所が扱う法律も並べています。都道府県の福祉事務所は3つ(生活保護法・児童福祉法・母子及び父子並びに寡婦福祉法)、市町村の福祉事務所は6つ(この3つに、老人福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法を加えたもの)です。
生活保護法 — 基本原理4つ・保護の原則4つ・扶助8つ
生活保護法は、第1条〜第4条を「この法律の基本原理」と呼び(第5条)、第2章を「保護の原則」としています。
| 区分 | 条文と見出し | 内容(要約) |
|---|---|---|
| 基本原理 | 第1条(この法律の目的) | 日本国憲法第25条の理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に必要な保護を行い、最低限度の生活を保障し、自立を助長する |
| 基本原理 | 第2条(無差別平等) | 要件を満たす限り、保護を無差別平等に受けられる |
| 基本原理 | 第3条(最低生活) | 保障する最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持できるもの |
| 基本原理 | 第4条(保護の補足性) | 資産・能力その他あらゆるものの活用が要件。扶養義務者の扶養や他の法律の扶助が優先。急迫した事由があるときは必要な保護を妨げない |
| 保護の原則 | 第7条(申請保護の原則) | 要保護者・扶養義務者・同居の親族の申請で開始。急迫した状況では申請がなくても保護できる |
| 保護の原則 | 第8条(基準及び程度の原則) | 厚生労働大臣の基準で測った需要のうち、本人の金銭や物品で満たせない不足分を補う程度 |
| 保護の原則 | 第9条(必要即応の原則) | 年齢・性別・健康状態など、個人や世帯の実際の必要の違いを考えて行う |
| 保護の原則 | 第10条(世帯単位の原則) | 世帯を単位として要否と程度を決める。これによりがたいときは個人単位 |
第1条〜第3条の原理は、資料によって呼び名が違います。たとえば沖縄県の「生活保護制度」のページは、第1条を「国家責任による最低生活保障の原理」、第2条を「保護請求権無差別平等の原理」、第3条を「健康で文化的な最低生活保障の原理」と呼んでいます。呼び名が違っても、中身は上の表の条文のとおりです。4つの原理は「国が責任を持つ・差別なく・健康で文化的な最低限・まず自分の力と扶養」と1行で言えるようにしておくと、選択肢の入れ替えに気づけます。
扶助は第11条の 8種類 です。
| 扶助 | 扶助 |
|---|---|
| 生活扶助 | 介護扶助 |
| 教育扶助 | 出産扶助 |
| 住宅扶助 | 生業扶助 |
| 医療扶助 | 葬祭扶助 |
8つは、要保護者の必要に応じて 単給又は併給 として行われます(第11条第2項)。「保育扶助」「就労扶助」のような、ない扶助を混ぜた選択肢に気をつけます。
福祉六法 — 制定の年と題名の変わり方
| 現行の題名 | 法令番号(制定) | 題名の変わり方 |
|---|---|---|
| 児童福祉法 | 昭和22年(1947年)法律第164号 | ― |
| 身体障害者福祉法 | 昭和24年(1949年)法律第283号 | ― |
| 生活保護法 | 昭和25年(1950年)法律第144号 | 1946年の旧法を廃止して作られた新法 |
| 知的障害者福祉法 | 昭和35年(1960年)法律第37号 | 制定時は「精神薄弱者福祉法」。平成10年法律第110号で改題(1999年4月1日施行) |
| 老人福祉法 | 昭和38年(1963年)法律第133号 | ― |
| 母子及び父子並びに寡婦福祉法 | 昭和39年(1964年)法律第129号 | 制定時は「母子福祉法」。1982年4月1日に「母子及び寡婦福祉法」、2014年10月1日に現在の題名 |
1947〜1950年の3法と、1960〜1964年の3法に分けると覚えやすくなります。昭和38年の厚生事務次官通達は、老人福祉法の施行について、福祉事務所が「いわゆる福祉四法」に老人福祉法を加えた「福祉五法」の事務をつかさどることになると書いています。
1950年勧告 — 社会保障を4つに分けた
社会保障制度審議会の「社会保障制度に関する勧告」(昭和25年10月16日)は、社会保障制度を 社会保険・国家扶助・公衆衛生及び医療・社会福祉 の編に分けて勧告しました。総説は、社会保障の中心を社会保険とし、国家扶助を補完的な制度と位置づけています。
相談援助の7つの原則
相談援助の考え方として知られる「バイステック(バイスティック)の7原則」は、法令ではなく、アメリカの社会福祉学者バイステックが提唱した原則です。厚生労働省の研修資料などでは、次の7つとして説明されています(意味の欄は、ぴよパスの言い換えです)。
| 原則 | 意味(ぴよパスの言い換え) |
|---|---|
| 個別化 | 一人一人の困りごとや事情の違いを踏まえて関わる |
| 意図的な感情表出 | 利用者が気持ちを自由に出せるよう、援助者が意図して働きかける |
| 統制された情緒的関与 | 援助者は自分の感情に気づいて抑え、利用者の気持ちに適切に応える |
| 受容 | 利用者を、ありのままの姿で受け止める |
| 非審判的態度 | 援助者の価値観で、利用者の善し悪しを決めつけない |
| 自己決定 | 利用者が自分で決めることを大切にする |
| 秘密保持 | 利用者について知ったことを、必要もなく外に出さない |
人の名前は「バイステック」「バイスティック」、原則の名前は「意図的な感情表出/意図的な感情の表出」「自己決定/自己決定の尊重」と、資料によって表記がゆれます。
例題: ぴよパスの社会福祉の問題から
ぴよパスのオリジナル予想問題から2問です(本試験の問題ではありません)。
例題1 社会福祉法に規定する社会福祉事業に関する次のA〜Dの記述について、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 福祉サービス利用援助事業は、第一種社会福祉事業である。
- B 生活保護法に規定する救護施設を経営する事業は、第二種社会福祉事業である。
- C 児童養護施設を経営する事業は、第一種社会福祉事業である。
- D 保育所を経営する事業は、第二種社会福祉事業である。
- ○ × ○ ×
- × × ○ ×
- ○ ○ ○ ×
- × × ○ ○
- ○ × × ×
答え: 4。福祉サービス利用援助事業は第二種、救護施設は第一種です。 この問題を解く →
例題2 生活保護法に関する記述として、最も不適切なものを一つ選びなさい。
- 生活保護法の目的は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することにある。
- すべて国民は、生活保護法の定める要件を満たす限り、保護を無差別平等に受けることができる。
- 生活保護法に定める保護の種類には、生活扶助、教育扶助、住宅扶助などのほかに、保育扶助がある。
- 生活保護法により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。
- 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを活用することを要件として行われる。
答え: 3。扶助は8種類で、保育扶助はありません。 この問題を解く →
社会福祉の練習問題の使い方
ぴよパスの社会福祉の練習問題は、社会福祉法・生活保護法のほか、介護保険法、障害者総合支援法、生活困窮者自立支援法、民生委員・児童委員、成年後見制度、年金・医療保険・雇用保険なども扱っています。分野ごとの練習問題と解説は無料です。9科目を通しで解く模擬試験(各科目の問題数と時間を本試験の半分にした、ぴよパス独自の形)は Premium の機能です。
まとめ
- 児童福祉法の施設では入所して暮らす施設が第一種、保育所は第二種(助産施設は例外で第二種)。ファミリーホームや老人短期入所施設のような例外は第2条で確かめる。
- 苦情解決はまず経営者、運営適正化委員会は都道府県社会福祉協議会。
- 福祉事務所は都道府県と市が設置義務、町村は任意。
- 生活保護は、基本原理4つ(第1〜4条)、保護の原則4つ(第7〜10条)、扶助8つ(第11条)。
- 福祉六法は1947〜1950年の3法と1960〜1964年の3法。題名の変わった2法に注意。
- 1950年勧告は社会保険・国家扶助・公衆衛生及び医療・社会福祉。
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出典
- 社会福祉法 第1条・第2条・第3条・第14条・第60条・第78条・第82条・第83条(e-Gov法令検索・2026年6月25日施行の版。令和8年4月1日時点の版と同じ文言): https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000045
- 生活保護法 第1条〜第5条・第7条〜第11条(e-Gov法令検索・令和8年4月1日施行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144
- 福祉六法の法令番号(e-Gov法令検索): 児童福祉法 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164 / 身体障害者福祉法 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000283 / 知的障害者福祉法 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000037 / 老人福祉法 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000133 / 母子及び父子並びに寡婦福祉法 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000129
- 社会福祉法 第2条(第一種・第二種の例外の表。e-Gov法令検索・2025年10月1日施行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000045
- 沖縄県「生活保護制度」(原理の呼び名の例): https://www.pref.okinawa.jp/kyoiku/seikatufukushi/1007896/1007906.html
- 衆議院「制定法律」: 精神薄弱の用語の整理のための関係法律の一部を改正する法律(平成10年法律第110号) https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/h143110.htm / 母子福祉法の一部を改正する法律(昭和56年法律第79号) https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/09419810611079.htm / 平成26年法律第28号 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/18620140423028.htm
- 厚生事務次官通達「老人福祉法の施行について」(昭和38年7月15日 発社第235号): https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4203&dataType=1&pageNo=1
- 社会保障制度審議会「社会保障制度に関する勧告」(昭和25年10月16日。国立社会保障・人口問題研究所の掲載): https://www.ipss.go.jp/publication/j/shiryou/no.13/data/shiryou/syakaifukushi/1.pdf
- 厚生労働省「令和元年度 相談支援従事者指導者養成研修」参考資料(バイスティックの7原則の説明): https://www.mhlw.go.jp/content/12203000/000583939.pdf
- 厚生労働省 令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「はじめて一時保護所に着任する職員のためのハンドブック」(こども家庭庁のサイトに掲載。バイステックの7原則): https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/6666f757-7772-4156-9835-2c8bca59be64/00f3771d/20231013_policieskosodateshienchousasuishinchosar03-02_s3.pdf
- 全国保育士養成協議会「筆記試験について」(法令の基準): https://www.hoyokyo.or.jp/exam/guidance/writtenexam2.html
- 全国保育士養成協議会 試験日程(時間割と満点): https://www.hoyokyo.or.jp/exam/schedule02.html
- 全国保育士養成協議会 Q&A(免除): https://www.hoyokyo.or.jp/exam/qa/


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