保育士試験の保育の心理学は、60分・100点満点・選択式20問で、満点の6割以上が合格です。 全国保育士養成協議会が公開している2回(令和8年前期・令和7年後期)では、人名の出る問が6問と7問あり、人名と理論の組み合わせや、理論の段階・定義を取り違えた誤りの記述が7件ありました。語群や空欄に用語を当てはめる問も出ていて、人物・理論・用語を組み合わせで覚えるのが近道です。
- 公開2回で人名は16人と12人。2回とも出たのは、アイゼンバーグ・エリクソン・マーシア・ボウルビィの4人です。
- 人名の入った記述14件のうち7件が誤りで、5件は別の人の理論を付けたもの、2件は同じ人の理論の中での取り違えでした。
- 人名の出ない問も2回とも13問以上あり、共同注意・情動伝染・心の理論・メタ認知などの用語と、保育の場面の事例で問われます。
- 語群・空欄・結びつけ(Ⅰ群とⅡ群)の問が7問と4問、2つ選ぶ・3つ選ぶ問が4問ずつありました(数え方はぴよパスのもの)。
ぴよパスの保育の心理学の練習問題では、保育所保育指針などの公的な文書から、乳児の言葉の芽生え、愛着関係、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」などの問題を無料で解けます。人物と理論の組み合わせは、この記事の一覧とオリジナルの練習問題で確かめてください。どれもぴよパスのオリジナル予想問題で、本試験の問題ではありません。
この記事は、全国保育士養成協議会の試験案内・出題範囲・公開の問題と正答、こども家庭庁と文部科学省の資料、大学の研究紀要・講義資料・広報誌など(どれも2026年10月21日に確認)で確かめた内容です。協議会の問題文は写していません。人物の理論は原典ではなく、それを説明した資料で確かめています。
保育の心理学の形と出題範囲
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時間・満点 | 60分・100点 |
| 問題数 | 選択式20問(問題用紙の表紙) |
| 合格 | 満点の6割以上 |
| 正答の数 | 問題文に示される。示された数と違う数を答えると不正解 |
| 日程(令和8年後期) | 10月24日(土)の1科目目・11時〜12時 |
国の通知の別添「保育士試験出題範囲」は、保育の心理学を、養成施設の教科目「保育の心理学」「子ども家庭支援の心理学」「子どもの理解と援助」の内容としています。出題の方針は、保育実践に関わる心理学の知識と発達の基本原理を体系的に理解しているかを問うこととされ、発達課題や初期経験の重要性など、保育の実際に役立つ知識も問うと書かれています。
国の通知は、筆記試験全体について、機械的な記憶に頼る出題を避けること、偏った特殊な学説に基づく出題を避けることも求めています。人名だけを覚えるより、理論の中身と保育の場面を結びつけて覚える方が、問いの形に合います。
公開2回に出た人物と理論の一覧
公開2回に出た人物のうち理論の中身を資料で確かめられた人と、取り違えの相手として知っておく人物(エインズワース・ローレンツ)を並べました(「出方」はぴよパスの数え)。
| 人物 | 結びつく理論・用語 | 公開2回での出方 |
|---|---|---|
| ピアジェ | 認知発達の4段階(感覚運動期・前操作期・具体的操作期・形式的操作期)。同化と調節。道徳判断は他律から自律へ | 記述(令和8年前期) |
| エリクソン | 心理社会的発達の8段階。青年期は自我同一性 対 拡散、成人初期は親密性 対 孤独、老年期は統合 対 絶望。「心理・社会的モラトリアム」 | 語群・記述(2回とも) |
| マーシア | アイデンティティ・ステイタス。「危機」と「傾倒」の有無で、達成・早期完了・モラトリアム・拡散の4つに分ける | 語群・記述(2回とも) |
| アイゼンバーグ | 向社会的道徳推論のレベル(快楽主義的な指向から、強く内面化された段階まで) | 語群・記述(2回とも) |
| コールバーグ | 道徳性の3水準6段階。道徳的ジレンマへの答え方を調べた | 記述(令和7年後期) |
| ギリガン・ホフマン | 配慮と責任の道徳性(ギリガン)、共感と道徳性(ホフマン) | 語群(令和8年前期) |
| ボウルビィ | アタッチメント(愛着) | 記述(2回とも) |
| エインズワース | ストレンジ・シチュエーション法(アタッチメントの実験的な測り方) | 人名は出ていない(ボウルビィとの取り違えで出た) |
| ヴィゴツキー | 発達の最近接領域(一人でできる水準と、助けがあればできる水準のあいだ) | 文中(令和7年後期)。用語は2回とも |
| パーテン | 遊びの社会的参加の6分類(何もしていない行動・傍観・ひとり遊び・並行遊び・連合遊び・協同遊び) | 問いの文(令和8年前期) |
| ゲゼル・シュテルン・ワトソン | 成熟説(ゲゼル)・輻輳説(シュテルン)・学習説(ワトソン) | 記述(令和8年前期) |
| ローレンツ | 刷り込み(刻印づけ)と臨界期 | 人名は出ていない(ワトソンとの取り違えで出た) |
| サメロフ | 相乗的相互作用説(発達の交流型モデル) | 記述(令和8年前期) |
| ギブソン | アフォーダンス(環境が動物に提供する価値) | 記述(令和8年前期) |
| ポルトマン | 生理的早産(ヒトは生後約1年の未熟な時期を親の保護のもとで過ごす) | 語群(令和8年前期) |
| パブロフ・スキナー・バンデューラ・ケーラー | 古典的条件づけ・オペラント条件づけ・観察学習(モデリング)・洞察 | 結びつけ(令和7年後期) |
| バルテス | 補償を伴う選択的最適化(SOC) | 記述(令和7年後期。協議会の正答で正しい記述) |
- ピアジェの4段階の年齢のめやすは、こども家庭庁の子育て支援員研修の資料では、感覚運動期が0〜2歳頃、前操作期が2〜7、8歳頃、具体的操作期が7〜11、12歳頃、形式的操作期が11、12歳以降です。年齢の区切りは資料によって幅があります。
- エリクソンの各段階の訳語(積極性・自主性など)も資料によって違います。
- 令和8年前期の語群には、役割(視点)取得の研究で知られるセルマンも出ていました。
人名をずらした誤りの見分け方
公開2回で人名の入った記述(○×や選ぶ問の肢。語群・結びつけ・空欄の文は除く)14件のうち、7件が誤りの記述でした(正しい記述も7件)。5件は別の人の理論や用語を付けたもの、2件は同じ人の理論の中で段階や定義を取り違えたものです。
別の人の理論や用語を付けた誤り(5件)は次のとおりです。
| ずらし方(ぴよパスの言い方) | 正しい組み合わせ |
|---|---|
| ストレンジ・シチュエーション法を、ボウルビィが開発したとする | エインズワースらが標準化した方法 |
| 他律的な道徳から自律的な道徳への2段階を、アイゼンバーグの説とする | ピアジェ(1932)の道徳判断の理論 |
| 臨界期を明らかにしたのを、ワトソンとする | 臨界期はローレンツの刷り込みの話。ワトソンは学習説・古典的条件づけ |
| サメロフを、大人の援助を足場にする考え方の人とする | サメロフは相乗的相互作用説。足場かけは、ヴィゴツキーの発達の最近接領域と並べて説明される |
| ボウルビィが、発達の交流型(トランザクショナル)モデルを唱えたとする | 交流型モデルはサメロフの相乗的相互作用説の言葉。ボウルビィはアタッチメント |
同じ人の理論の中での取り違え(2件)は次のとおりです。
| 取り違え方(ぴよパスの言い方) | 正しい中身 |
|---|---|
| エリクソンの老年期の危機を「統合 対 孤独」とする | 老年期は統合 対 絶望。孤独は成人初期(親密性 対 孤独) |
| 検討も選択もしていない状態を、マーシアの「モラトリアム」とする | マーシアのモラトリアムは、危機の最中で傾倒が漠然としている状態 |
見分けるコツは2つです。人名を見たら「この人の代表の用語は何か」を先に思い出し、記述の用語と合っているかを確かめます。用語が別の人のものなら、その記述は誤りの候補です。用語が本人のものでも、段階の対や定義の中身まで合っているかを確かめます。
人名の出ない問 — 用語と事例
公開2回とも、20問のうち13〜14問は人名が出ない問でした。
- 用語を当てはめる: エントレインメント(同期)・情動伝染・共鳴動作・共同注意(身近な人とのやり取り)、アニミズム・心の理論(認知)、観察学習・オペラント条件づけ・アンダーマイニング(学び)、メタ認知・ワーキングメモリ(記憶と認知)など。
- 保育の場面の事例: 5歳児の遊びの場面から関係する用語を選ぶ、いざこざへの保育士の対応を選ぶ、など。
- 家庭と社会: ひとり親世帯や子育て家庭の統計、産後のメンタルヘルス、子どもの貧困、虐待が子どもに与える影響。
- 発達の見方: 発達検査(遠城寺式・津守式など)、小学校への接続(小1プロブレム・スタートカリキュラム)。
用語は、意味と、保育のどんな場面で見られるかをセットで覚えます。統計の問は調査の名前と年が問題文に書かれるので、何年の調査かを添えて覚えます。
覚える手順
- 人物と理論の一覧を、用語から引けるようにする — 「臨界期 → ローレンツ」「ストレンジ・シチュエーション法 → エインズワース」のように、用語から人名を言えるようにします。
- 段階のある理論は、順番と対で覚える — ピアジェの4段階、エリクソンの8段階、マーシアの4つ、コールバーグの3水準6段階、パーテンの6分類。
- 似た言葉を並べて区別する — エリクソンの「心理・社会的モラトリアム」とマーシアの「モラトリアム」、連合遊びと協同遊び、古典的条件づけとオペラント条件づけ。
- 用語を保育の場面に当てはめる — 事例の問は、子どもの姿から用語を選ぶ形なので、用語ごとに「保育所で見られる場面」を1つ思い浮かべておきます。
オリジナルの練習問題
ぴよパスのオリジナルの練習問題です(本試験の問題ではありません)。
問1(人物と理論) 人物と、その人物に結びつく理論・用語の組み合わせとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ボウルビィ — ストレンジ・シチュエーション法を開発した
- ワトソン — 刷り込みの臨界期を明らかにした
- サメロフ — 相乗的相互作用説(発達の交流型モデル)を唱えた
- エリクソン — 老年期の心理社会的危機を「統合 対 孤独」とした
- アイゼンバーグ — 道徳判断が他律から自律へ進むとした
答え: 3。1はエインズワースら、2はローレンツの話です。4のエリクソンの老年期は「統合 対 絶望」、5の他律から自律への道徳判断はピアジェの理論です。
問2(アイデンティティ・ステイタス) マーシアのアイデンティティ・ステイタスで、「危機の最中にあり、傾倒はまだ漠然としている状態」を表すものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- アイデンティティ達成
- 早期完了
- モラトリアム
- アイデンティティ拡散
- 心理・社会的モラトリアム
答え: 3。マーシアは、危機の有無と傾倒の有無で4つのステイタスに分けました。5の「心理・社会的モラトリアム」は、大人としての役割や責任を引き受けるのを社会が待ってくれる時期を指すエリクソンの用語で、マーシアのステイタスの名前ではありません。
問3(遊びの分類) パーテンの遊びの分類で、「何人かが一緒に同じ遊びをしているが、決まったルールや役割の分担はまだ見られない遊び」として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 傍観的行動
- ひとり遊び
- 並行遊び
- 連合遊び
- 協同遊び
答え: 4。協同遊びは、共通の目標をもち、ルールや役割を分けて、仲間としてまとまって遊ぶものです。並行遊びは、近くで同じような遊びをしていても交流はありません。
ぴよパスの在庫の問題では、保育所保育指針などをもとにした発達の問題を解けます。
練習問題と模擬試験
9科目の練習問題は保育士試験のページから無料で解けます。9科目を、各科目の問題数と時間を半分にして1回で通して解く模擬試験は Premium の機能です。ぴよパスの問題はすべて1つを選ぶ形なので、本番の語群の当てはめや「3つ選ぶ」の形は、選択肢を1つずつ○×で判断する練習で補います。
まとめ
- 保育の心理学は60分・選択式20問で6割以上が合格。公開2回では人名が16人と12人、2回とも出たのはアイゼンバーグ・エリクソン・マーシア・ボウルビィ。
- 人名の入った記述14件のうち7件が誤りで、5件は別の人の理論を付けたもの、2件は同じ人の理論の中での取り違えだった。用語から人名を言えるようにし、段階の対や定義も確かめる。
- 人名の出ない問が13問以上。用語は意味と保育の場面をセットで覚える。
- 段階のある理論は順番と対で、似た言葉は並べて区別する。
関連記事
出典
- 一般社団法人 全国保育士養成協議会「筆記試験(後期)概要」: https://www.hoyokyo.or.jp/exam/guidance/writtenexam2.html ・「保育士試験出題範囲」: https://www.hoyokyo.or.jp/files/range2020.pdf
- 同 令和8年前期 筆記試験 問題・正答: https://www.hoyokyo.or.jp/exam/pasttest/08-1.html ・令和7年後期: https://www.hoyokyo.or.jp/exam/pasttest/52.html
- こども家庭庁「保育士試験の実施について」(協議会の掲載): https://www.hoyokyo.or.jp/implementation.pdf
- こども家庭庁「子育て支援員専門研修(放課後児童コース)」講義資料(ピアジェ・エリクソン): https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a403ad66-5106-4844-9f3b-3686fd713b35/026a255e/20231013-policies-kosodateshien-kosodateshien-kyozai-000926911.pdf
- 文部科学省「子どもの徳育に関する懇談会」資料「子どもの道徳性の発達に関する心理学的研究」(ピアジェ・アイゼンバーグ・コールバーグ・ギリガン・ホフマン): https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/12/22/1363845_001.pdf
- 文部科学省の委託事業の研修プログラム「児童生徒の発達的理解と発達の多様性」(発達の原理・サメロフ・発達の最近接領域): https://www.mext.go.jp/content/20260605-mxt_jidou02-000050127_204.pdf
- 国立保健医療科学院の掲載する厚生省の研究報告(ストレンジ・シチュエーション法): https://www.niph.go.jp/wadai/mhlw/1980/s5504023.pdf
- くらしき作陽大学・作陽短期大学 研究紀要 第56巻第2号 藤田由起(マーシア): https://lib.ksu.ac.jp/search/kiyo56-2/kiyo-56-2fujita.pdf
- 高松大学 研究紀要 第68号 中村多見「乳幼児期における仲間関係の発達」(パーテン): https://www.takamatsu-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/11/68_JK020_tami-nakamura.pdf
- 北海道大学 オープンコースウェア「基礎心理学入門 第七章 学習」(パブロフ・ワトソン・スキナー・ローレンツ): https://ocw.hokudai.ac.jp/wp-content/uploads/2016/02/Psychology-2009-Note-12.pdf
- 京都大学 オープンコースウェア「認知心理学概論II 学習」(バンデューラ): https://ocw.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2021/03/2010_ninchishinrigakugairon-2_2.pdf
- 静岡県立大学短期大学部附属図書館「私の一冊」(ポルトマン): https://oshika.u-shizuoka-ken.ac.jp/media/watasino9.pdf
- 筑波大学 芸術系 木村浩研究室「アフォーダンス 1」(ギブソン): https://www.geijutsu.tsukuba.ac.jp/~cookie/contents/basic/basic07.html
- 中央大学 広報誌の記事(ケーラー): https://www.chuo-u.ac.jp/uploads/2018/10/2017_02-07.pdf
- 文部科学省「子どもの徳育に関する懇談会(第2回)」子安増生 資料(ボウルビィのアタッチメント): https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2015/12/22/1363846_001.pdf
- 上越教育大学 林泰成「初等道徳教育論」講義資料(コールバーグの道徳的ジレンマ): https://www.juen.ac.jp/lab/yasunari/es7.pdf
- 新潟青陵学会誌 第6巻第1号 本間・内山「役割(視点)取得能力に関する研究のレビュー」(セルマン): https://n-seiryo.repo.nii.ac.jp/record/1363/files/sg_0601_10.pdf
- 大阪大学「高齢期における心理的適応に関する諸理論」(補償を伴う選択的最適化): https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/8134/15_5.pdf


![いちばんわかりやすい保育士合格テキスト [上巻] '27年版](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/4415241816.09.LZZZZZZZ.jpg)
![いちばんわかりやすい保育士合格テキスト [下巻] '27年版](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/4415241824.09.LZZZZZZZ.jpg)







