電気工事士は、電気工事士法に基づく国家資格です。法律の目的は、電気工事の作業に従事する人の資格と義務を決めて、電気工事の欠陥による災害を防ぐことです(電気工事士法第1条)。そのため、住宅の屋内配線や、高圧で受電する中小のビル・工場の電気設備の工事の作業は、原則として電気工事士の免状を受けた人でなければ従事できません(同法第3条。600V以下の部分の簡易電気工事は認定電気工事従事者も従事できます)。
この記事は、e-Gov法令検索の電気工事士法(2025年6月1日施行の版)・電気工事士法施行令(2025年11月14日施行の版)・電気工事士法施行規則(2023年12月28日施行の版)・建設業法(2025年12月12日施行の版)と同法施行令(2026年4月1日施行の版)・電気事業法(2026年8月3日施行の版)と、電気技術者試験センターの「電気工事士の資格概要」「令和8年度電気工事士試験の実施日程等のご案内」「試験結果と推移」をもとに書いています(2026年10月20日に確認)。
電気工事士の資格は第一種と第二種の2つ
電気工事士の免状は、第一種電気工事士免状と第二種電気工事士免状の2種類です(電気工事士法第4条第1項)。違いは、作業に従事できる電気工作物の範囲です。
| 区分 | 作業に従事できる範囲 | 根拠 |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士 | 一般用電気工作物等(600V以下で受電する住宅・小規模な店舗や事務所の配線、出力50kW未満の太陽電池発電設備などを含む。10kW以上50kW未満の太陽電池は小規模事業用電気工作物)の電気工事 | 電気工事士法第3条第2項 |
| 第一種電気工事士 | 第二種の範囲に加えて、自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備に限る。高圧で受電する中小のビル・工場など)の電気工事 | 同法第3条第1項・第2項 |
たとえば、一般住宅のコンセントを増やす工事は第二種の範囲です。高圧で受電し、最大電力が500kW未満の事務所ビルの配線工事は、第一種の範囲になります。第二種のできることは 第二種電気工事士とは、第一種のできることは 第一種電気工事士とは で詳しく整理しています。
「電気工事士1級・2級」と「電気工事施工管理技士」
「電気工事士1級」「電気工事士2級」と呼ばれることがありますが、法律上の区分は「第一種」「第二種」です。名前の似た1級・2級電気工事施工管理技士は、建設業法第27条の技術検定(検定種目「電気工事施工管理」)の第二次検定に合格した人の称号で(建設業法施行令第37条・第40条)、工事の施工計画や工程・品質・安全の管理をするための資格です。電気工事の作業に従事するための電気工事士とは、根拠の法律も役割も違います。
電気工事士のほかにある資格区分
電気工事士法には、第一種・第二種のほかに、決まった種類の工事だけに従事できる資格が2つあります。
| 資格 | 従事できる工事 | 主な取り方 |
|---|---|---|
| 認定電気工事従事者 | 自家用電気工作物のうち、600V以下で使う部分の工事(簡易電気工事。電線路を除く) | 第一種電気工事士試験の合格、第二種の免状を受けた後の3年以上の実務経験か講習の修了など(同法施行規則第4条の2第2項) |
| 特種電気工事資格者 | ネオン工事、非常用予備発電装置工事(特殊電気工事) | 電気工事士の免状を受けた後の5年以上の実務経験と講習の修了など(同規則第4条の2第1項) |
特殊電気工事は、第一種電気工事士でも、それぞれの特種電気工事資格者の認定証がなければ従事できません(同法第3条第3項)。認定電気工事従事者の取り方は 認定電気工事従事者とは で整理しています。
資格がなくてもできる作業
電気に関する作業のすべてに資格が要るわけではありません。
- 軽微な工事:600V以下で使う差込み接続器やソケットにコードをつなぐ工事、電力量計やヒューズの取付け・取外しなどは、電気工事士法の「電気工事」に当たりません(同法第2条第3項、同法施行令第1条)。
- 軽微な作業:露出型の点滅器(スイッチ)やコンセントを取り換える作業などは、電気工事士でなくてもできる作業とされています(同法施行規則第2条)。
一方で、電線どうしを接続する作業、電線管に電線を収める作業、配線器具を壁などに取り付けて電線をつなぐ作業(露出型の点滅器・コンセントの取換えを除く)は、電気工事士でなければできない作業です(同規則第2条)。
試験から免状を受けるまでの流れ
第一種・第二種とも、電気技術者試験センターの試験は、学科試験(四肢択一。CBT方式か筆記方式)と、技能試験(支給された材料を持参した工具で配線図どおりに完成させる実技)の2段階です。学科試験の合格者と学科試験の免除者が技能試験を受けます。
| 項目 | 第二種 | 第一種 |
|---|---|---|
| 受験資格 | なし | なし |
| 受験手数料(インターネット申込み) | 11,100円 | 13,000円 |
| 令和8年度下期の技能試験 | 12月12日(土)または12月13日(日) | 11月21日(土) |
| 免状の条件 | 試験に合格すれば申請できる(ほかに指定養成施設の修了・都道府県知事の認定の道) | 試験合格に加えて3年以上の実務経験(ほかに都道府県知事の認定の道) |
| 免状を交付する人 | 都道府県知事 | 都道府県知事 |
| 定期講習 | なし | 免状の交付から5年以内、その後は前の講習から5年以内ごと |
学科試験は、令和9年度から第一種・第二種とも原則としてCBT方式に移ります(電気技術者試験センター「電気工事士学科試験(一種、二種)のCBT方式への移行について」令和8年4月8日)。第二種の今の申込みの流れは 第二種電気工事士の申込み、技能試験の中身は 第二種電気工事士の技能試験とは で整理しています。
令和7年度の合格率
電気技術者試験センターの「試験結果と推移」から計算した、令和7年度(上期と下期の合計)の合格率です。
| 区分 | 学科試験(受験者・合格者・合格率) | 技能試験(受験者・合格者・合格率) |
|---|---|---|
| 第二種 | 139,087人・78,711人・56.6% | 99,610人・71,471人・71.8% |
| 第一種 | 36,154人・20,735人・57.4% | 28,403人・16,509人・58.1% |
電気主任技術者との違い
電気工事士とよく比べられるのが電気主任技術者(電験)です。電気工事士は、電気工事士法に基づいて電気工事の作業に従事する資格です。電気主任技術者は、電気事業法に基づいて、ビルや工場、発電所などの事業用電気工作物の工事・維持・運用の保安の監督をするために選任される資格です(電気事業法第43条第1項)。第三種電気主任技術者については 電験三種とは で整理しています。
取り違えやすい点
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 電気工事士には1級と2級がある | 誤り | 法律上の区分は第一種と第二種(電気工事士法第4条第1項) |
| 第二種電気工事士は、最大電力500kW未満で高圧で受電するビルの配線工事に従事できる | 誤り | 自家用電気工作物で、第一種の範囲(600V以下の部分は認定電気工事従事者も) |
| 第一種電気工事士は、ネオン工事にも認定証なしで従事できる | 誤り | 特殊電気工事は特種電気工事資格者の認定証が要る(同法第3条第3項) |
| 露出型コンセントの取換えは、電気工事士でなくてもできる | 正しい | 電気工事士法施行規則第2条 |
| 電気工事士の免状は、国(経済産業大臣)が交付する | 誤り | 都道府県知事が交付する(同法第4条第2項) |
ぴよパスのオリジナル予想問題で、電気工事士の資格と作業の範囲を確かめられます。
出典
- 電気工事士法 第1条〜第5条(e-Gov法令検索・2025年6月1日施行の版)
- 電気工事士法施行令 第1条、電気工事士法施行規則 第2条・第2条の3〜第2条の5・第4条の2(e-Gov法令検索・施行令は2025年11月14日施行の版、施行規則は2023年12月28日施行の版)
- 建設業法 第27条、建設業法施行令 第37条・第40条(e-Gov法令検索・建設業法は2025年12月12日施行の版、施行令は2026年4月1日施行の版)
- 電気事業法 第43条(e-Gov法令検索・2026年8月3日施行の版)
- 一般財団法人電気技術者試験センター「電気工事士の資格概要」「令和8年度電気工事士試験の実施日程等のご案内」「第一種電気工事士試験の試験結果と推移」「第二種電気工事士試験の試験結果と推移」「電気工事士学科試験(一種、二種)のCBT方式への移行について」(https://www.shiken.or.jp/ 、2026年10月20日に確認)
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