運行管理者試験は、数字を入れ替えた選択肢がよく作られる試験です。 改善基準告示の拘束時間・休息期間・運転時間、記録の保存期間、初任運転者の指導の時間、適性診断の時期、事故報告の期限、点検の間隔は、どれも条文や告示に数字で書かれています。この記事では、それらを貨物と旅客に分けて表にまとめます。2024年4月1日の改善基準告示の改正で変わった数字も並べます。
数字はすべて、法令(e-Gov)と国土交通省・厚生労働省の告示・指針の原文から取りました。試験の形と受験資格は運行管理者試験とはの記事にまとめています。
ぴよパスでは、運行管理者試験(貨物)と旅客のオリジナル予想問題を無料で解けます。運行管理者試験センターとは関係がなく、本試験の問題を載せたものではありません。
結論: まず覚える数字
| 決まり | 数字 |
|---|---|
| トラックの拘束時間 | 1か月284時間・1年3,300時間(協定で310時間・3,400時間)、1日13時間・最大15時間 |
| 休息期間(トラック・バス・タクシー日勤) | 継続11時間以上が基本、9時間が下限 |
| 運転時間(トラック) | 2日平均で1日9時間、2週間平均で1週44時間 |
| 連続運転時間(トラック・バス) | 4時間以内(中断は合計30分以上。1回の中断はトラックがおおむね10分以上、バスが10分以上) |
| 点呼・業務の記録・運行記録計・運行指示書(貨物) | 1年保存 |
| 事故の記録・指導監督の記録・運転者等台帳(貨物) | 3年保存 |
| 初任運転者の指導(貨物) | 15時間以上+実技20時間以上 |
| 適齢診断 | 65歳以後1年以内、その後3年以内ごと(旅客は75歳以後は1年以内ごと) |
| 事故報告・速報 | 報告書は30日以内、速報は24時間以内 |
| 点検(事業用) | 日常点検は1日1回運行の開始前、定期点検は3か月ごと |
試験のどこで出るか
試験は30問・90分で、出題は5つの分野に分かれます(運行管理者試験センターの受験案内)。
| 分野 | 問題数 | 数字が出る主な決まり |
|---|---|---|
| 貨物自動車運送事業法関係(旅客は道路運送法関係) | 8 | 点呼・記録の保存期間・運行指示書・指導監督・事故報告 |
| 道路運送車両法関係 | 4 | 日常点検・定期点検・点検整備記録簿・車検の有効期間 |
| 道路交通法関係 | 5 | 速度・積載など |
| 労働基準法関係 | 6 | 改善基準告示 |
| 実務上の知識及び能力 | 7 | 改善基準告示の計算・点呼・適性診断 |
合格には、総得点で18問以上と、分野ごとの最低の正解数((1)〜(4)は各1問以上、(5)は2問以上)の両方が要ります。試験センターは、法令が改正されたときは、原則として施行後6か月間は改正の前と後で答えが変わる問題を出さないとしています。
改善基準告示 — トラック
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)は、令和4年厚生労働省告示第367号で改正され、2024年4月1日から適用されています。1日は始業時刻から24時間、2日は始業時刻から48時間です。
| 項目 | 数字(第4条) |
|---|---|
| 1か月・1年の拘束時間 | 1か月284時間以内・1年3,300時間以内。労使協定で、1年のうち6か月までは1か月310時間・1年3,400時間まで延長できる |
| 284時間を超える月 | 3か月を超えて連続しない。1か月の時間外労働と休日労働の合計は100時間未満となるよう努める |
| 1日の拘束時間 | 13時間以内。延長しても最大15時間。14時間を超える回数はできるだけ少なく。1週間の運行が全て長距離(1運行450キロメートル以上)で休息を住所地以外でとる場合は、週2回まで16時間 |
| 休息期間 | 継続11時間以上を与えるよう努めることが基本、継続9時間を下回らない。長距離の特例の週は2回まで8時間(その運行の終了後は継続12時間以上) |
| 運転時間 | 2日を平均して1日9時間以内、2週間を平均して1週44時間以内 |
| 連続運転時間 | 4時間以内(1回がおおむね連続10分以上、合計30分以上の中断)。サービスエリアなどが満車でやむを得ないときは4時間30分まで |
| 分割休息 | 1回3時間以上で2分割か3分割、1日の合計は2分割なら10時間以上・3分割なら12時間以上。一定期間の全勤務回数の2分の1まで |
| 2人乗務 | 身体を伸ばして休息できる設備があれば最大20時間・休息4時間まで短縮。ベッドなどで勤務終了後に継続11時間以上の休息を与える場合は24時間(8時間以上の仮眠を与えるなら28時間) |
| 隔日勤務 | 2暦日の拘束時間21時間以内、勤務終了後に継続20時間以上の休息 |
| 休日労働 | 2週間に1回まで |
改善基準告示 — バスとタクシー
バス(第5条)
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 拘束時間(どちらかの基準) | 1か月281時間以内・1年3,300時間以内、または4週間平均で1週65時間以内・52週間で3,300時間以内 |
| 貸切バス等乗務者の延長(労使協定) | 1年のうち6か月までは1か月294時間・1年3,400時間まで、または52週のうち24週までは4週平均で1週68時間・52週3,400時間まで |
| 1日の拘束時間・休息期間 | 13時間以内・最大15時間、休息は継続11時間以上が基本・9時間が下限 |
| 運転時間 | 2日平均で1日9時間以内、4週間平均で1週40時間以内(貸切バス等乗務者は協定で52週のうち16週まで1週44時間、52週で2,080時間以内) |
| 連続運転時間 | 4時間以内(1回が連続10分以上、合計30分以上の中断) |
| 分割休息 | 2回に分割、1回継続4時間以上・合計11時間以上 |
「貸切バス等乗務者」は、貸切バスの営業所で運転の業務に従事する人、貸切バスに乗務する人、高速道路を長く走る乗合バス(キロ程おおむね100キロメートル超など)の運転者などです。一般の乗合バスの運転者に、294時間の延長はありません。
タクシー(第2条)
| 勤務 | 数字 |
|---|---|
| 日勤 | 1か月288時間以内(車庫待ち等は協定で300時間まで)、1日13時間以内・最大15時間、休息は継続11時間以上が基本・9時間が下限 |
| 隔日勤務 | 1か月262時間以内(協定で1年のうち6か月まで270時間)、2暦日22時間以内かつ2回の平均で21時間以内、休息は継続24時間以上が基本・22時間が下限 |
2024年4月の改正で変わった数字
| 改正前(2024年3月31日まで) | 今 | |
|---|---|---|
| トラック 1か月 | 293時間(協定で320時間) | 284時間(協定で310時間) |
| トラック 1年 | 3,516時間 | 3,300時間(協定で3,400時間) |
| 最大拘束時間(トラック・バス・タクシー日勤) | 16時間 | 15時間 |
| 休息期間(トラック・バス・タクシー日勤) | 継続8時間以上 | 継続11時間以上が基本・9時間が下限 |
| タクシー日勤 1か月 | 299時間 | 288時間 |
| タクシー隔日 休息 | 継続20時間以上 | 継続24時間以上が基本・22時間が下限 |
運転時間(2日平均9時間・2週平均44時間、バスは4週平均40時間)と連続運転4時間の数字は、改正の前後で変わっていません。ただしトラックは、中断の1回が「おおむね」連続10分以上になり、サービスエリアなどに止められないときの4時間30分までの延長ができました。古い問題集の数字と混ざりやすいところです。
記録の保存期間
| 記録 | 貨物(輸送安全規則) | 旅客(運輸規則) |
|---|---|---|
| 点呼の記録 | 1年(第7条) | 1年。貸切は電磁的記録を3年、点呼の録音・録画とアルコール検知の写真は90日 |
| 業務の記録 | 1年(第8条) | 1年。貸切は3年 |
| 運行記録計の記録 | 1年(第9条) | 1年。貸切は電磁的記録を3年 |
| 運行指示書 | 運行の終了の日から1年(第9条の3) | 貸切(2026年10月1日からハイヤーも)は運行の終了の日から3年 |
| 運送引受書の写し | — | 貸切(2026年10月1日からハイヤーも)は運送の終了の日から3年 |
| 事故の記録 | 営業所で3年(第9条の2) | 営業所で3年 |
| 運転者でなくなった人の台帳 | 運転者等台帳を3年(第9条の5) | 乗務員等台帳を3年 |
| 指導監督の記録 | 営業所で3年(第10条) | 営業所で3年 |
| 点検整備記録簿(事業用) | 記載の日から1年(自動車点検基準) | 同じ |
旅客の貸切バスの3年(それまでは1年)と、点呼の録音・録画や写真の90日(新しくできた決まり)は、2024年4月1日からです。運行記録計は、貨物では車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の普通自動車などに付けます。業務の記録に貨物の積載状況を書くのは、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の普通自動車です。
点呼
- 業務前: 酒気帯びの有無、疾病・疲労・睡眠不足などで安全に運転できないおそれの有無、日常点検の実施または確認を報告させ、確認し、指示する。
- 業務後: 自動車・道路・運行の状況の報告と、酒気帯びの有無の確認。
- 中間点呼: 貨物は、業務前・業務後のどちらも対面など(またはそれと同等の方法)でできない業務で、途中に少なくとも1回。旅客は、貸切バスの夜間の長距離の運行で途中に少なくとも1回(確認事項に酒気帯びは入っていない)。
- アルコール検知器: 営業所ごとに備え、常時有効に保持し、酒気帯びの確認では目視等に加えて使う。
- 記録: 1年保存(貸切は上の表)。
- 補助者: 補助者に点呼の一部を行わせても、運行管理者が行う点呼は総回数の少なくとも3分の1以上(国土交通省の通達)。
- 遠隔点呼・自動点呼: 遠隔点呼と業務後自動点呼は2023年4月1日から、業務前自動点呼は2025年4月30日から認められています(国土交通省告示)。
指導監督と適性診断
特別な指導の時間(指導監督の指針)
| 対象 | 貨物 | 旅客(貸切バス以外) | 旅客(貸切バス) |
|---|---|---|---|
| 初任運転者 | 15時間以上+安全運転の実技20時間以上 | 6時間以上 | 10時間以上+実技20時間以上 |
| 事故惹起運転者 | 6時間以上 | 6時間以上 | 10時間以上+実技20時間以上 |
適性診断
| 診断 | 対象と時期 |
|---|---|
| 初任診断 | 新たに雇い入れた運転者。ただし、貨物は乗務する前3年間に、旅客(貸切バス以外)は雇入れの日前3年間に初任診断を受けた人を除く(貸切バスは除外なし)。貨物は初めて乗務する前(やむを得ないときは乗務開始後1か月以内)、旅客は運転者に選任する前 |
| 適齢診断 | 65歳以上。65歳に達した日以後1年以内に1回、その後3年以内ごとに1回。旅客は75歳に達した日以後1年以内に1回、その後1年以内ごとに1回 |
| 特定診断Ⅰ・Ⅱ | 事故惹起運転者。死者・重傷者の事故で事故前1年間に事故が無い人などはⅠ、事故前1年間に事故がある人はⅡ |
事故報告
- 報告書: 事故があった日から30日以内に、自動車事故報告書3通を、使用の本拠の位置を管轄する運輸監理部長または運輸支局長を経由して国土交通大臣に出す(自動車事故報告規則第3条)。
- 速報: 次の事故などは、24時間以内においてできる限り速やかに、電話などで運輸監理部長または運輸支局長に速報する(同規則第4条)。
- 死者が2人以上(旅客自動車運送事業者などの自動車は1人以上)
- 重傷者が5人以上、または旅客に重傷者が1人以上
- 負傷者が10人以上
- 酒気帯び運転を伴うもの
- 旅客自動車運送事業者などの自動車の転覆・転落・火災・鉄道車両との衝突や接触
- 積載した危険物などの飛散・漏えい(転覆・衝突などで生じたもの)
- 報告書が要る事故には、10台以上の衝突、高速道路で3時間以上通行を禁止させたもの、運転者の疾病で運行を続けられなくなったもの、なども入ります(同規則第2条)。
点検と車検
| 決まり | 数字 |
|---|---|
| 日常点検(事業用) | 1日1回、その運行の開始前(道路運送車両法第47条の2) |
| 定期点検(事業用) | 3か月ごと(同法第48条) |
| 点検整備記録簿(事業用) | 記載の日から1年保存 |
| 自動車検査証の有効期間 | 事業用の旅客・貨物の自動車は1年。車両総重量8トン未満の貨物の自動車は、初めて交付するときは2年 |
| 整備管理者の選任の届出 | 選任の日から15日以内 |
最近の改正と出題
- 2024年4月1日: 改善基準告示の改正、貸切バスの記録の3年、中間点呼の方法の改正
- 2025年4月30日: 業務前自動点呼
- 2026年9月1日: 中央線などがない一般道路の自動車の法定速度が時速30キロメートルに
- 2026年10月1日: ハイヤーの運送引受書・運行指示書の3年保存
試験センターの「施行後6か月間は答えが変わる問題を出さない」の原則があるので、施行から間もない改正がいつ出題されるかは、試験センターの案内で確かめます。
例題: ぴよパスの運行管理者の問題から
ぴよパスのオリジナル予想問題から2問です(本試験の問題ではありません)。
例題1 貨物自動車運送事業輸送安全規則に定める記録の保存期間について、誤っているものは次のうちどれか。
- 業務の記録 (乗務記録) は、1年間保存しなければならない。
- 運行記録計による記録は、1年間保存しなければならない。
- 事故の記録は、事業用自動車の運行を管理する営業所において3年間保存しなければならない。
- 運行指示書及びその写しは、運行の終了の日から3年間保存しなければならない。
答え: 4。運行指示書とその写しは、運行の終了の日から「1年間」です(輸送安全規則第9条の3第4項)。 この問題を解く →
例題2 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示) に定めるトラック運転者の拘束時間及び休息期間について、正しいものは次のうちどれか。
- 1年の拘束時間は3,516時間以内、1か月の拘束時間は原則293時間以内で、労使協定があれば320時間まで延長できる。
- 1日の拘束時間は13時間以内を基本とし延長しても15時間が上限で、休息期間は継続11時間以上に努め、継続9時間を下回らない。
- 1日の休息期間は、勤務終了後に継続8時間以上与えれば足り、それより長く与えるよう努める必要はないとされている。
- 1か月の拘束時間が284時間を超える月は、労使協定があれば連続する月数に制限なく何か月でも続けてよい。
答え: 2。肢1と肢3は改正前の数字、肢4は「連続3か月まで」が正しい決まりです。 この問題を解く →
練習問題と模擬試験の使い方
数字は、表で覚えたあとに、入れ替えられた選択肢で確かめると定着します。ぴよパスの練習問題は試験の5つの分野ごとに四肢択一で解け、全問に解説があります。貨物の練習問題・旅客の練習問題の記事で分野ごとの内訳を紹介しています。本試験と同じ30問・90分で、分野ごとの足切りまで判定する模擬試験は Premium の機能です。
まとめ
- 改善基準告示(2024年4月1日から): トラックは月284時間・年3,300時間、1日13時間・最大15時間、休息11時間が基本で9時間が下限、運転は2日平均9時間・2週平均44時間、連続運転4時間。
- 保存期間(貨物): 点呼・業務の記録・運行記録計・運行指示書は1年、事故の記録・指導監督の記録・運転者等台帳は3年。貸切バスは2024年4月から多くが3年。
- 指導と診断: 初任運転者(貨物)は15時間+実技20時間、適齢診断は65歳以後1年以内・その後3年以内ごと。
- 事故報告は30日以内、速報は24時間以内。日常点検は1日1回運行前、定期点検は3か月ごと。
関連記事
出典
- 厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」(令和4年厚生労働省告示第367号による改正後の全文・改正前の告示)
- 貨物自動車運送事業輸送安全規則(e-Gov法令検索・2026年4月1日施行の版)第7条〜第10条
- 旅客自動車運送事業運輸規則(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版)第7条の2・第24条〜第28条の3・第37条・第38条
- 国土交通省「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」(平成13年国土交通省告示第1366号)、「旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」(平成13年国土交通省告示第1676号)、「運転者に対する指導監督」、「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」、遠隔点呼・自動点呼の告示(令和5年第266号・令和7年第347号)
- 自動車事故報告規則(e-Gov法令検索)第2条〜第4条
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索)第47条の2・第48条・第49条・第52条・第61条、自動車点検基準 第4条
- 公益財団法人運行管理者試験センター「令和8年度第1回運行管理者試験のご案内」「CBT試験新規受験申請の概要」






