運行管理者の講習は、基礎講習(16時間)・一般講習(5時間)・特別講習(13時間)の3つです(国土交通省)。 基礎講習を修了すると、運行管理の実務経験が1年無くても運行管理者試験を受けられ、事業者は運行管理者の業務を手伝う「補助者」に選任できます。一般講習と特別講習は、運行管理者に選任されたあとに事業者が受けさせる講習です。
この記事では、3つの講習の違い、基礎講習の受け方(対面とeラーニングの「eナスバ」・受講料・日数)、試験の申請との関係、選任後に受ける講習の決まりを、貨物自動車運送事業輸送安全規則・旅客自動車運送事業運輸規則と、国土交通省・自動車事故対策機構(NASVA)・運行管理者試験センターの案内で整理します。試験の全体像は運行管理者試験とはの記事にまとめています。
ぴよパスでは、運行管理者試験(貨物)と旅客のオリジナル予想問題を無料で解けます。運行管理者試験センター・NASVAとは関係がなく、本試験の問題を載せたものではありません。
結論: 運行管理者の講習の要点
- 基礎講習(16時間): 運行管理者や補助者になろうとする人向け。修了すると、実務経験が無くても試験を受けられる(試験と同じ種類 = 貨物か旅客の講習に限る)。補助者の要件にもなる。
- 一般講習(5時間): 選任された運行管理者が受ける。新たに選任された年度に基礎講習か一般講習(基礎講習を受けたことがない人は基礎講習)、その後は2年ごと(最後に受けた年度の翌々年度から)に基礎講習か一般講習。
- 特別講習(13時間): 死者や重傷者が出た事故、輸送の安全に関わる行政処分のあった営業所で、統括運行管理者と、運輸支局などが指定した運行管理者(運行管理者が1人ならその人)が受ける。
- 受講料(NASVA): 対面は基礎講習8,900円・一般講習3,200円・特別講習17,900円(2026年度の東京・神奈川などの案内)。eナスバは基礎講習9,560円・一般講習3,860円(どちらもテキストの配送料660円を含む)。
- 講習の申込みと試験の申請は別の手続き。基礎講習を「修了予定」で試験を申請し、期限までに修了証を出すこともできる。
3つの講習の違い
国土交通省の「運行管理者について」は、運行管理者講習を次の3つに分けています(表の言葉は国土交通省の表のまま)。
| 講習 | 対象 | 時間 | 中身 |
|---|---|---|---|
| 基礎講習 | 運行管理者及び補助者になろうとする者 | 16時間 | 運行管理を行うために必要な法令及び業務等に関する必要な基礎知識の習得を目的とする講習 |
| 一般講習 | 運行管理者 | 5時間 | 運行管理を行うために必要な法令及び業務等に関する知識の習得を目的とする講習 |
| 特別講習 | 事故を惹起した運行管理者 | 13時間 | 事故の再発防止を図るための知識の習得を目的とする講習 |
講習は、国土交通大臣が認定した講習実施機関が行います。認定機関は NASVA のほか、各地の自動車学校・トラック協会などが国土交通省の一覧に地方別に載っています。
基礎講習を修了すると、試験を受けられる
運行管理者試験の受験資格は、次のどちらかです(輸送安全規則第31条・運輸規則第48条の12)。
- 試験日の前日に、事業用自動車(緑ナンバー)の運行の管理について1年以上の実務の経験があること
- 国土交通大臣が認定した講習実施機関で、試験と同じ種類の基礎講習を修了したこと(平成7年4月1日以降の修了に限る)
条文は、実務の経験を「講習であって…国土交通大臣の認定を受けたものを修了することをもって代えることができる」と定めています(輸送安全規則第31条第2項)。運行管理者試験センターの案内では、貨物の試験を受けるなら貨物の基礎講習、旅客の試験なら旅客の基礎講習で、「講習の種類と試験の種類が同じでなければなりません」。
基礎講習は修了予定で試験を申請することもできます。令和8年度第1回の試験では、修了予定で申請した人は令和8年7月29日までに基礎講習を修了し、基礎講習の修了証書(NASVA の書類名は修了証明書)か講習手帳の写しを出す決まりでした。講習の申込みと試験の申請は別の手続きなので、試験の申請の受付期間と講習の日程を両方確かめてから予約します。
補助者にもなれる
事業者は、運行管理者資格者証を持つ人か、認定を受けた講習を修了した人の中から、運行管理者の業務を補助させる「補助者」を選任できます(輸送安全規則第18条第3項)。国土交通省の表のとおり、基礎講習は「補助者になろうとする者」のための講習でもあります。
ただし、基礎講習を修了しただけでは運行管理者にはなれません。運行管理者に選任されるには運行管理者資格者証が要ります。国土交通省の表では、資格の要件は「運行管理者試験に合格」するか、「5年以上の実務経験、かつ、所定の講習5回以上受講」(貸切バスを除く)です(貨物は輸送安全規則第24条)。
基礎講習の受け方 — 対面とeナスバ
| 対面(NASVA の会場) | eラーニング(eナスバ) | |
|---|---|---|
| 基礎講習の受講料 | 8,900円(講習初日の受付で現金) | 9,560円(テキストの配送料660円を含む) |
| 一般講習の受講料 | 3,200円(受付で現金) | 3,860円(同じく配送料660円を含む) |
| 基礎講習の日数 | 3日間連続。2日目以降の遅刻・欠席は未修了 | 1日に受けられるのは6単元まで。受講期間の終わりの3日前までに始めないと修了できない |
| 期間・申込 | 講習の予約システムで会場と日を選ぶ(どの都道府県の会場でもよい) | 受講期間は毎月1日から30日間(4月と5月は開催なし)。AI による本人認証あり |
| 特別講習 | 17,900円・2日間 | 対象外 |
対面の受講料は、NASVA の東京主管支所・神奈川支所などの2026年度の案内の額です。会場には講師の講義を受ける「対面」のほかに、動画を視聴する形の回もあります。NASVA の Q&A は、3日間続けて受けるのが難しい人に eナスバを勧めています。
NASVA は令和7年4月1日から講習手帳の交付と記載をやめ、講習(基礎・一般・特別)を受けた人には A4 の修了証明書を交付しています。会場で受けた講習の修了証明書は1度だけの発行で、再発行はできません(eナスバの修了証明書は、マイページから何度でもダウンロードし直せます)。試験の申請に写しを出すので、なくさないようにします。NASVA 以外の認定機関の受講料と日程は、それぞれの機関の案内で確かめます。
選任後に受ける講習 — 一般講習と特別講習
運行管理者に選任されたあとは、事業者が講習を受けさせる義務を負います。国土交通省の案内は「自動車運送事業者は、選任する運行管理者について、運行管理者講習を2年に1回受講させなければいけません」としています。貨物の輸送安全規則第23条第1項は、事業者は次の運行管理者に、国土交通大臣の認定を受けた講習を受けさせなければならないと定めています。
| 対象(第23条第1項) | 条文の中身 |
|---|---|
| 第1号 | 死者または重傷者が生じた事故を引き起こした事業用自動車の運行を管理する営業所、または輸送の安全に関わる処分の原因となった違反行為が行われた営業所で選任している者 |
| 第2号 | 運行管理者として新たに選任した者 |
| 第3号 | 最後に国土交通大臣が認定する講習を受講した日の属する年度の翌年度の末日を経過した者 |
いつ、どの講習を受けさせるかは、国土交通省の告示(平成24年国土交通省告示第455号・旅客は第454号)が決めています。
| 場面 | 受けさせる講習と時期(告示) |
|---|---|
| 新たに選任した | 選任の届出をした年度に、基礎講習か一般講習(基礎講習を受けたことがない人は基礎講習) |
| その後 | 最後に受けさせた年度の翌々年度から、2年ごとに基礎講習か一般講習 |
| 死者・重傷者の事故や、輸送の安全に関わる処分があった | その営業所の運行管理者に、その年度と翌年度に基礎講習か一般講習。あわせて、統括運行管理者と指定された運行管理者(1人ならその人)は1年(やむを得ないときは1年6か月)以内に特別講習 |
たとえば令和7年度に一般講習を受けた運行管理者は、令和8年度の末日を過ぎると第3号に当たるので、次は令和9年度に受けさせます。国土交通省の案内の「2年に1回」はこの決まりのことです。旅客の運輸規則第48条の4にも同じ決まりがあります。
例題: ぴよパスの運行管理者の問題から
ぴよパスのオリジナル予想問題から1問です(本試験の問題ではありません)。講習の決まりは、試験の「貨物自動車運送事業法関係」の分野で問われます。
例題 一般貨物自動車運送事業者等が運行管理者に受けさせなければならない講習について、法令上、正しいものは次のうちどれか。
- 運行管理者として新たに選任した者は、事業者が講習を受けさせなければならない運行管理者に含まれない。
- 最後に認定講習を受講した日の属する年度の翌々年度の末日を経過した運行管理者に、講習を受けさせなければならない。
- 受けさせる講習は、営業所を管轄する地方運輸局長が行う講習でなければならない。
- 死者又は重傷者が生じた事故を引き起こした事業用自動車の運行を管理する営業所の運行管理者に、認定講習を受けさせる。
答え: 4。輸送安全規則第23条第1項第1号です。新たに選任した者も対象(第2号)、期限は「翌年度」の末日(第3号)、講習は国土交通大臣の認定を受けたものです。 この問題を解く →
練習問題と模擬試験の使い方
基礎講習で法令の全体を聞いたら、試験の形で確かめます。ぴよパスの練習問題は、試験の5つの分野ごとに四肢択一で解け、全問に解説があります。貨物の練習問題・旅客の練習問題の記事で内訳を説明しています。本試験と同じ30問・90分で、分野ごとの足切りまで判定する模擬試験は Premium の機能です。
まとめ
- 運行管理者の講習は、基礎講習(16時間)・一般講習(5時間)・特別講習(13時間)の3つ。
- 基礎講習を修了すると、実務経験が無くても試験と同じ種類の運行管理者試験を受けられる。補助者の要件にもなる。運行管理者になるには、別に試験の合格と資格者証が要る。
- NASVA の対面の基礎講習は3日間連続。eナスバは9,560円で、1日6単元までなので最短3日。
- 選任後は、新たに選任したとき、最後の講習の年度の翌年度の末日を過ぎたとき、重大な事故や処分のあったときに、事業者が講習を受けさせる。
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出典
- 貨物自動車運送事業輸送安全規則(e-Gov法令検索・2026年4月1日施行の版)第18条・第23条・第24条・第31条
- 旅客自動車運送事業運輸規則(e-Gov法令検索)第47条の9・第48条の4・第48条の12
- 平成24年国土交通省告示第455号(貨物)・第454号(旅客)「運行の管理に関する講習の種類等を定める告示」(関東運輸局の掲載資料。番号と題名は国土交通省の「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」と一致)
- 国土交通省「運行管理者について」(運行管理者講習の種類・講習認定機関一覧)
- 独立行政法人自動車事故対策機構「指導講習 Q&A(対面講習)」「よくある質問(eナスバ)」「指導講習 Q&A(共通)」「eラーニング(eナスバ)について」、2026年度の運行管理者指導講習の会場案内(東京主管支所・神奈川支所・札幌主管支所)
- 公益財団法人運行管理者試験センター「令和8年度第1回運行管理者試験のご案内」「CBT試験新規受験申請の概要」






