運行管理者試験の過去問を探している人に、まず伝えたいことが2つあります。1つは、本試験の問題と正答は公表されないことです。試験は全国のテストセンターのパソコンで受けるCBT方式で行われ、問題を持ち帰ることもできません。もう1つは、試験を実施している運行管理者試験センターが、代わりに 「出題例」 を公開していることです。
この記事では、試験センターの公表資料をもとに、出題例の入手先と中身、古い出題例を解くときの注意(2024年4月1日から適用された改善基準告示の改正)、出題例を使った採点のしかたをまとめます。
結論: 公式に解けるのは令和6年度・令和5年度の出題例、貨物・旅客それぞれ30問
- 本試験(CBT)の問題と正答は公表されない。試験センターのFAQは、問題の持ち帰りはできず、後日の試験問題と正答の公表も行わないとしている。
- 公式に解けるのは、試験センターの「過去の試験問題(CBT)」のページにある 令和6年度と令和5年度の出題例。貨物と旅客のそれぞれに、問題のPDF(30問)と正答のPDFがある。
- 正答は番号だけで、解説は付いていない。どの回(第1回・第2回)の問題かも書かれていない。
- 令和5年度の出題例は、2024年4月1日に改正後の基準が適用される前の改善基準告示(運転者の拘束時間・休息期間などの基準)で作られている。 拘束時間や休息期間を問う設問には、いまの基準では成り立たないものがある。
- 本試験は30問・90分。合格には総得点18問以上に加えて、分野ごとの最低正解数(足切り)がある。
公式の出題例の入手先
試験センターのWebサイトの「過去の試験問題(CBT)」のページに、年度ごとの出題例が並んでいます。2026年10月12日に確かめたときの中身は次のとおりです。
| 年度 | 種類 | 問題 | 正答 | 解説 |
|---|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 貨物・旅客 | 各30問(PDF) | 正答表(PDF・番号だけ) | なし |
| 令和5年度 | 貨物・旅客 | 各30問(PDF) | 正答表(PDF・番号だけ) | なし |
出題例には、「正しいものを2つ選びなさい」「正しいものをすべて選びなさい」「誤っているものを1つ選びなさい」のような選び方の問題や、文中のA〜Dに当てはまる語句を選ぶ穴埋め、勤務の表や図から拘束時間・運転時間を読み取る事例の問題が入っています。本試験の形に慣れるには、いちばん確かな材料です。
ページの冒頭には、試験問題と正答についての個別の問い合わせには応じないと書かれています。正答の理由を知りたいときは、法令の条文や改善基準告示を自分で確かめることになります。
本試験の問題は公表されない
運行管理者試験は、令和3年度から筆記試験をやめて、全面的にCBT方式で行われています。試験センターのFAQでは、受験者の間の公平を保つために問題の持ち帰りはできず、後日の試験問題と正答の公表も行わないとしています。試験問題は著作権法で保護されているとも書かれていて、問題を他の人と共有したり漏らしたりすることは、不正行為として扱われます。
そのため、CBTになった令和3年度以降の本試験の問題は、公式には出ていません。筆記試験だった令和2年度までは、試験センターが回ごとの問題と正答を公表していましたが、いまのページには載っておらず、法令も古くなっています。インターネット上で「◯回の過去問」として出回っているものは、筆記の時代のものか出所の分からないものなので、そのまま覚えないでください。
古い出題例は改善基準告示の改正に注意
トラック・バス・タクシーの運転者の拘束時間や休息期間を定めた「改善基準告示」(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)は、2024年4月1日から改正後の基準が適用されています。
試験センターは、改正前の告示で出題するのは令和5年度第2回までで、令和6年度第1回からは改正後の告示で出題すると案内していました。いまページに並んでいる令和5年度の出題例も改正前の告示で作られていますが、PDFにもページにも「いまの基準とは違う」という注記はありません。
ぴよパスが改正後の告示の条文と照らした範囲では、次の設問がいまの告示と合いません(公式の正答表は改正前の基準のままです)。
| 出題例 | 設問 | いまの告示と合わないところ |
|---|---|---|
| 令和5年度 貨物 | 第20問(穴埋め) | 時間外労働協定の「一定期間」(2週間及び1か月以上3か月以内)の規定が、改正後の告示には無い |
| 令和5年度 貨物 | 第21問 | 分割休息を「継続8時間・1回4時間以上・合計10時間」の旧基準で書いている |
| 令和5年度 貨物 | 第23問 | 最大拘束16時間・休息期間8時間の旧基準が前提。いまの基準で解くと答えが変わる |
| 令和5年度 旅客 | 第20問(穴埋め) | 分割休息の合計時間と、協定で延ばせる4週平均1週の拘束時間(旧71.5時間)が旧基準の数値 |
| 令和5年度 旅客 | 第21問 | 正答に入る肢が、最大拘束時間16時間の旧基準 |
| 令和5年度 旅客 | 第23問 | 貨物の第23問と同じく、最大拘束16時間・休息期間8時間の旧基準が前提 |
主な数値がどう変わったかは次のとおりです。
| 項目 | 改正前(2024年3月31日まで) | いまの基準(2024年4月1日から) |
|---|---|---|
| トラック 1か月の拘束時間 | 293時間 | 284時間(年3,300時間) |
| トラック 1日の最大拘束時間 | 16時間(15時間超は週2回以内) | 15時間(14時間超はできるだけ少なく。週の運行がすべて450km以上の長距離で、住所地の外で休息する場合は週2回まで16時間) |
| バス 拘束時間 | 4週平均1週65時間(協定で52週のうち16週まで71.5時間) | 1か月281時間・年3,300時間、または4週平均1週65時間・52週3,300時間(貸切バス等は協定で延長できる) |
| バス 1日の最大拘束時間 | 16時間(15時間超は週2回以内) | 15時間(14時間超はできるだけ少なく) |
| 休息期間(トラック・バス) | 継続8時間以上 | 継続11時間以上が基本、9時間を下回らない(トラックの長距離の特例は週2回まで継続8時間。その場合は運行の終了後に継続12時間以上) |
令和5年度の出題例は、問題の形に慣れる練習には使えますが、上の6問は採点から外し、いまの数値を確かめる材料にしてください。貨物の第20問は問われている規定がいまの告示に無く、旅客の第20問はいまの数値(11時間・68時間)が選択肢にありません。第21問・第23問は、いまの基準で解くと答えが変わります。旧基準のまま覚えると、本試験で失点します。
法改正の出題についての試験センターの方針
試験センターは、法令が改正された場合、原則として施行後6か月の間は、改正の前と後で答えが変わる問題を出さないとしています。最近では、生活道路の自動車の法定速度が2026年9月1日から時速30kmに引き下げられました(道路交通法施行令の改正)。施行から6か月は2027年2月末までで、例年の第2回の受験期間の途中に当たります。この改正がいつから問われるかは、試験センターのお知らせで確かめてください。令和6年度の出題例も、2026年の改正(この法定速度など)とすべての設問を照らし切れてはいないので、法令の数値は最新の条文で確かめながら解いてください。
出題例の使い方 — 本試験と同じ30問・90分で採点する
本試験は、貨物・旅客とも30問・90分です。出題の分野と問題数は次のとおりです。
| 分野 | 問題数 |
|---|---|
| 貨物自動車運送事業法関係(旅客は道路運送法関係) | 8問 |
| 道路運送車両法関係 | 4問 |
| 道路交通法関係 | 5問 |
| 労働基準法関係 | 6問 |
| その他、運行管理者の業務に必要な実務上の知識と能力 | 7問 |
合格の基準は、原則として総得点が30問中18問以上で、さらに上の表の最初の4分野で各1問以上、最後の実務の分野で2問以上正解していることです。
出題例を解くときも、この2つの線で採点すると本番の感覚に近づきます。
- 90分で30問を通して解く。 拘束時間の事例問題は時間がかかるので、後回しにしても間に合うかを確かめる。
- 正答表で採点し、総得点と分野ごとの正解数を書き出す。 18問に届いても、分野の足切りに引っかかっていないかを見る。令和5年度は、上の表の6問を除いて見る。
- 間違えた問題の根拠を、条文や告示で確かめる。 正答表には理由が書かれていないので、ここがいちばん力になる。
2026年度の試験の日程と合格率
令和8年度(2026年度)の第1回は、2026年8月8日〜9月6日に行われ、9月24日に結果が発表されました。第2回の日程は10月12日の時点でまだ発表されておらず、試験センターは11月ごろに知らせる予定としています(前年度の第2回は、2026年2月14日〜3月15日に受験、申請は2025年12月8日〜2026年1月14日でした)。
直近4回の合格率は次のとおりです。
| 回 | 貨物 受験者数 | 貨物 合格率 | 旅客 受験者数 | 旅客 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和8年度第1回(2026年8〜9月) | 29,323人 | 41.1% | 7,128人 | 42.7% |
| 令和7年度第2回(2026年2〜3月) | 21,577人 | 38.9% | 6,679人 | 38.3% |
| 令和7年度第1回(2025年8月) | 25,318人 | 37.2% | 7,611人 | 34.1% |
| 令和6年度第2回(2025年2〜3月) | 20,755人 | 34.1% | 6,430人 | 29.6% |
受験するには、運行管理の実務経験1年以上か、受ける試験と同じ種類(貨物・旅客)の基礎講習の修了(修了予定を含む)が必要です。受験手数料は6,000円で、インターネット申請のCBTシステム利用料が別にかかります(新規の申請は660円、再受験は事務手数料を含めて860円)。
ぴよパスの練習問題の使い方
公式の出題例は2年度分しかないので、解き終えると演習の材料が足りなくなります。ぴよパスでは、出題の5分野にそって独自に作った四肢択一の練習問題を、貨物・旅客それぞれ40問無料で解けます(複数選択と穴埋めの形式は出題例で慣れてください)。本試験の問題の写しではなく、法令の条文と改善基準告示のいまの基準にもとづいた予想問題です。
- 運行管理者試験(貨物)の練習問題 — 事業法・車両法・道交法・労基法・実務の5分野
- 運行管理者試験(旅客)の練習問題 — 道路運送法・車両法・道交法・労基法(バス・タクシーの改善基準)・実務の5分野
出題例で分野ごとの正解数を出したら、足切りに近い分野から練習問題で埋めていく使い方がおすすめです。
まとめ
- 運行管理者試験の本試験(CBT)の問題と正答は公表されない。公式に解けるのは、試験センターの令和6年度・令和5年度の出題例(貨物・旅客 各30問・正答は番号だけ)。
- 令和5年度の出題例は改正前の改善基準告示で作られていて、改善基準告示に照らすと貨物・旅客それぞれ3問がいまの基準と合わない。その6問は採点から外し、拘束時間・休息期間はいまの数値で覚える。
- 出題例は30問・90分で通して解き、総得点18問と分野ごとの足切りの両方で採点する。
- 令和8年度第2回の日程は11月ごろに発表される予定。
関連記事
出典
- 運行管理者試験センター「過去の試験問題(CBT)」(令和6年度・令和5年度の出題例と正答): https://www.unkan.or.jp/past.html
- 運行管理者試験センター トップページ(第2回の案内の予定・前年度第2回の申請期間のお知らせ): https://www.unkan.or.jp/
- 運行管理者試験センター「よくあるご質問」(Q40: 試験問題の持ち帰りと公表): https://www.unkan.or.jp/help.html
- 運行管理者試験センター「受験概要」(出題分野と問題数・合格基準・受験資格・法令改正の出題の扱い): https://www.unkan.or.jp/outline/cbt_new.html
- 運行管理者試験センター「令和8年度第1回 受験案内」: https://www.unkan.or.jp/contents/examinfo_pdf/20260625/examinfo.pdf
- 運行管理者試験センター「改善基準告示の改正に伴う出題について」(2023年11月8日): https://www.unkan.or.jp/contents/infofiles/59/R52inf20231108_4.pdf
- 運行管理者試験センター 試験結果(令和8年度第1回): https://www.unkan.or.jp/after/
- 運行管理者試験センター 令和7年度 事業報告(合格率): https://www.unkan.or.jp/pdf/infodisclosure/r7/07inf01.pdf
- 運行管理者試験センター 令和6年度 事業報告(合格率): https://www.unkan.or.jp/pdf/infodisclosure/r6/06inf01.pdf
- 厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html
- 警察庁「生活道路における自動車の法定速度が引き下げられます」: https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seikatsudouro/seikatsudoro.html


