2026年10月20日時点の法令に、登録販売者の制度をなくす決まりは見当たりません。 第2類・第3類医薬品は薬剤師か登録販売者が売るという条文(医薬品医療機器等法第36条の9)は、2027年5月20日に施行される改正後の版でも同じ文言です。濫用のおそれのある医薬品を売るときに薬剤師か登録販売者が確かめる決まりは前から省令にあり、2026年5月からは法律の決まりになって、書面での情報提供や18歳未満・数量の決まりが加わりました。
個人の側では、試験の合格に期限は無く、働くのをやめて販売従事登録を消除しても、また登録できます。ただし、長いブランクがあると、管理者の要件を満たさなくなり「研修中の登録販売者」に戻ることがあります。この記事では、法令(e-Gov法令検索で2026年10月20日に確認)と厚生労働省の通知で、一つずつ確かめます。
結論: 「なくなる」と心配されることと、制度の事実
| 心配されること | 制度の事実 |
|---|---|
| 制度そのものがなくなる | 法令にも改正の資料にも、そうした決まりは見当たらない。第36条の9は2027年5月施行の版でも同じ |
| 2分の1ルールの廃止で要らなくなった | 2021年8月に「医薬品を売る時間は開店時間の2分の1以上」の決まりが無くなった。第2類・第3類を売る時間は常時、薬剤師か登録販売者が勤務する決まりは変わらない |
| ネット販売や無人の受け渡しで要らなくなる | 売るのは許可を持つ薬局・店舗で、第2類・第3類は薬剤師か登録販売者が売る。2027年5月からの登録受渡店舗も、委託元に受渡管理者を置く |
| 合格が無効になる | 合格通知書に期限は無い(大阪府)。合格者名簿は都道府県が永年保管する(局長通知) |
| 研修を受けないと取り消される | 知事が登録を消除する事由(施行規則第159条の10第5項)に、研修の未受講は入っていない。受けさせる義務は事業者にある |
| 働かないと登録が消える | 休んでいるだけで自動的に消えることはない。販売に従事する意思がなくなったら、本人が30日以内に消除を申請する。働くときに、あらためて登録する |
| ブランクで研修中に戻る | 戻ることがある。管理者の要件の2つは過去5年間で数える |
制度はなくならない — 法令の文言
医薬品医療機器等法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、一般用医薬品を売る人を区分ごとに決めています。
| 区分 | 売る人(第36条の9) |
|---|---|
| 第1類医薬品 | 薬剤師 |
| 第2類医薬品・第3類医薬品 | 薬剤師又は登録販売者 |
- 2026年10月20日時点の版と、2027年5月20日に施行される改正後の版(e-Gov法令検索で施行日を指定して確認)で、第36条の9の文言は同じです。
- 試験と登録の根拠(第36条の8)も、両方の版で同じです。都道府県知事が試験を行い、合格して医薬品の販売に従事しようとする人は、都道府県知事の登録を受けます。
- 第2類・第3類は、薬剤師か登録販売者でないと売れません。資格のない人は売れないので、この区分を売る薬局・店舗には資格者が要ります(2027年5月からの登録受渡店舗での受け渡しは、下の節)。
「2分の1ルール」の廃止(2021年8月)で要らなくなった?
「登録販売者の資格がなくなる」という話の中で、「2分の1ルール」の廃止が挙げられることがあります。これは、薬局と店舗の体制の決まりを定めた省令(薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令)の第1条(薬局)と第2条(店舗)にあった号のことです。
| 時期 | 店舗販売業の体制の基準(第2条) |
|---|---|
| 2021年7月31日まで | 第5号「要指導医薬品又は一般用医薬品を販売し、又は授与する開店時間の一週間の総和が、当該店舗の開店時間の一週間の総和の二分の一以上であること。」があった |
| 2021年8月1日から(令和3年厚生労働省令第116号) | 旧第5号が削られた(要指導医薬品・第1類医薬品を売る時間の2分の1の号も同時に削られ、号が繰り上がった)。医薬品を売る時間を、店舗の開店時間の半分より短くしてもよくなった |
| 改正の前もいまも同じ | 第2号「第二類医薬品又は第三類医薬品を販売し、又は授与する営業時間内は、常時、当該店舗において薬剤師又は登録販売者が勤務していること。」 |
- 薬局にも同じ「2分の1以上」の決まり(第1条)があり、同じ時に無くなりました。
- 無くなったのは「医薬品を売る時間の長さ」の決まりで、「医薬品を売る時間には資格者がいる」という決まりは変わっていません。資格のない人だけの時間は、第2類・第3類を売れません。
- 医薬品を売る時間を短くできるようになったことで、店舗が資格者を置く時間がどう変わったかは、公的な統計では確かめられません。
2025年の法改正で変わること
医薬品医療機器等法は、2025年(令和7年法律第37号)に改正されました。登録販売者にかかわる部分は次のとおりです。
| 施行日 | 変わること | 登録販売者へのかかわり |
|---|---|---|
| 2026年5月1日(施行済み) | 濫用のおそれのある成分を含む「指定濫用防止医薬品」の売り方の見直し(第36条の11) | 前から省令にあった、薬剤師か登録販売者による確認(年齢・ほかの店での購入の状況など)が法律の決まりになり、書面での情報提供と、18歳未満への販売や定める数量を超える販売の扱いが加わった |
| 2027年5月20日 | 薬剤師などが常駐しない「登録受渡店舗」での受け渡し(遠隔管理の下での販売) | 受け渡しを委託する薬局・店舗に「受渡管理者」を置く。第2類・第3類なら、薬剤師か、従事期間などの要件を満たす登録販売者。登録受渡店舗の責任者には、薬剤師・登録販売者の資格の要件は無い(薬局・店舗が自分で受け渡す場合は、その管理者が責任者)。第1類でも、薬剤師を受渡管理者にできない場合は、過去5年間に通算3年以上などの要件を満たす登録販売者を受渡管理者にできる |
- 「無人の店でも薬が受け取れるようになるから、登録販売者は要らなくなる」という心配は、2027年5月からの受け渡しの仕組みから来ていると考えられます。売るのは委託元の薬局・店舗で、そこには受渡管理者として薬剤師か登録販売者が要ります。この仕組みが働き口の数にどう影響するかは、まだ分かりません。
- 一般用医薬品は、第1類から第3類まで、いまもネットで売れます(厚生労働省「令和7年改正法の概要」の参考資料)。ただし、指定濫用防止医薬品を18歳未満に売るときや、定める数量を超えて売るときは、ビデオ通話などの「対面等」での情報提供が要ります。ネットで売るのも許可を持つ薬局・店舗で、第2類・第3類は薬剤師か登録販売者が売ります。
- 厚生労働省の通知は、指定濫用防止医薬品の販売で、薬剤師と登録販売者に、支援が必要な購入希望者を支援につなげる「ゲートキーパー」の役割も期待するとしています。
指定濫用防止医薬品の決まりと研修中の期間の決まりは、登録販売者はやめとけ?資格は意味ない?で詳しく説明しています。
個人の合格と登録は消えるか
試験の合格 — 期限は無い
- 大阪府は「登録販売者試験の合格通知書に期限はありません」としています。
- 厚生労働省の局長通知「登録販売者制度の取扱い等について」は、都道府県が合格者名簿を永年保管するとしています。
- 受けた都道府県と働く都道府県が違っても、登録できます(同じ通知)。
販売従事登録 — 従事する意思がなくなったら消除し、働くときにまた登録する
- 登録販売者は、一般用医薬品の販売に従事しようとしなくなったとき(従事する意思がなくなったとき)は、30日以内に登録の消除を申請しなければなりません(施行規則第159条の10第1項)。また従事するつもりで一時的に休んでいるだけなら、この申請の義務はありません。
- 都道府県知事が登録を消除しなければならないのは、①本人の消除の申請や死亡・失踪の宣告のとき、②法第5条第3号イ〜ヘ(拘禁刑以上の刑の執行を終わるなどしてから3年以内、薬事に関する法令の違反から2年以内、麻薬などの中毒、心身の障害で業務を適正に行えないなど)に当たるに至ったとき、③偽りその他不正の手段で登録を受けたことが分かったとき、の3つです(施行規則第159条の10第5項)。
- 消除したときは、合格通知書が返されるか、合格の内容と消除した旨の証明書が出されるか、返納した登録証に合格の内容と消除した旨を書いて返されます(局長通知)。合格の事実は残ります。
- また働くときは、働く店舗の所在地の都道府県知事に、あらためて販売従事登録を申請します。雇われて働く場合は、勤め先との使用関係を証する書類が要ります(施行規則第159条の7)。
登録の手続きは登録販売者の実務要件と販売従事登録の記事にまとめています。
毎年の研修 — 受けないことは消除の事由に入っていない
- 店舗販売業者は、その店舗で働く登録販売者に、研修(講義で総時間数12時間以上)を毎年度受けさせなければなりません(施行規則第147条の11の3。薬局は第15条の11の3、配置販売は第149条の16)。
- 義務を負うのは事業者です。上の知事が消除する3つの事由に、研修を受けていないことは入っていません。
- 局長通知は、登録販売者本人も積極的に研修を受ける必要があるとしています。
- 管理者の要件のロ(過去5年間で通算1年以上のルート)は、この研修と追加的研修を修了していることが条件です。
ブランクで「研修中の登録販売者」に戻ることがある
ここが、個人にとっての本当の「なくなる」かもしれない点です。
研修中の登録販売者は「要件に当たらない登録販売者」
施行規則第15条第2項は、管理者になれる登録販売者(第140条第1項第2号・第149条の2第1項第2号)以外の登録販売者を「研修中の登録販売者」と呼んでいます。この定義から、一度要件を満たした人も、要件に当たらなくなれば研修中に戻ります。研修中の登録販売者は、研修中でない薬剤師か登録販売者の管理及び指導の下で働き、名札に研修中と分かる表記をします(第147条の2)。
要件の3つのルートと「過去5年間」
| ルート | 要件(施行規則第140条第1項第2号) | 過去5年間の枠 |
|---|---|---|
| イ | 過去5年間のうち、従事期間が通算2年以上 | あり |
| ロ | 過去5年間のうち、従事期間が通算1年以上で、毎年度の研修と、店舗の管理・法令遵守の研修を修了 | あり |
| ハ | 従事期間が通算1年以上で、店舗管理者か区域管理者の経験がある | なし |
- たとえば、2年働いたあとに4年続けて働かなかった人は、復職するときの過去5年間の従事期間が1年になり、イに当たらなくなります。ロの研修も、管理者の経験も無ければ、研修中に戻ります。
- ハは「過去5年間」の枠が無いので、店舗管理者か区域管理者を務めたことがある人は、ブランクのあとも要件を満たします(従事期間が通算1年以上)。
- 局長通知には、平成21年6月1日以降の従事期間が通算5年以上で、毎年度の研修と同等以上の研修も通算5年以上受けた登録販売者を、当分の間ハに当たるとみなすことができる経過措置もあります(省令の附則にも同じ趣旨の決まりがあります)。この経過措置にも過去5年間の枠はありません。
- 局長通知は、研修中でない登録販売者に、従事期間などを証明する書類を、原則として勤務する店舗に保管しておくよう求めています。辞めるときは、勤め先に従事期間の証明を出してもらえるかを確かめておくと、復職のときに通算を確かめやすくなります。
例題: ぴよパスの登録販売者の問題から
ぴよパスのオリジナル予想問題から2問です(本試験の問題ではありません)。
例題1(薬事関係法規) 登録販売者に関する記述として、正しいものを選ぶ問題です。
答え: 登録販売者は第二類医薬品及び第三類医薬品を販売できるが、第一類医薬品及び要指導医薬品は販売できない。販売従事登録の申請先は、申請者の住所地ではなく、働く薬局・店舗の所在地の都道府県知事です(施行規則第159条の7)。 この問題を解く →
例題2(薬事関係法規) 登録販売者の研修・資質向上に関する規定として、正しいものを選ぶ問題です。
答え: 薬局開設者・店舗販売業者等は、その薬局・店舗等で業務に従事する登録販売者に対し、厚生労働大臣に届出を行った研修実施機関が行う研修を毎年度受講させなければならない。研修を受けていないことで登録が自動的に取り消される、という肢は誤りです。 この問題を解く →
練習問題と模擬試験
ぴよパスの登録販売者試験の練習問題は、出題範囲の分野ごとに解け、全問に解説があります。令和8年4月の手引きの改訂(指定濫用防止医薬品など)に合わせた問題もあります。本試験の形で通しで解く模擬試験は Premium の機能です。手引きの改訂の中身は登録販売者の手引き 令和8年改訂の記事にまとめています。
まとめ
- 登録販売者の制度をなくす決まりは、2026年10月20日時点の法令にも、改正の資料にも見当たらない。第36条の9(第2類・第3類は薬剤師又は登録販売者)は、2027年5月施行の版でも同じ。
- 2021年8月の「2分の1ルール」の廃止で、医薬品を売る時間を短くできるようになった。第2類・第3類を売る時間に薬剤師か登録販売者が勤務する決まりは変わらない。
- 濫用のおそれのある医薬品の確認は前から省令にあり、2026年5月から法律(第36条の11)の決まりになって、書面での情報提供や18歳未満・数量の決まりが加わった。2027年5月からの登録受渡店舗でも、委託元に受渡管理者として薬剤師か登録販売者が要る。
- 試験の合格に期限は無い。販売に従事するつもりがなくなったら登録を消除し、働くときにまた登録する(一時的に休んでいるだけなら消除の義務は無い)。
- 知事が登録を消除する事由(施行規則第159条の10第5項)に、研修の未受講は入っていない。受けさせる義務は事業者にある。
- 管理者の要件の2つは過去5年間で数えるので、長いブランクで研修中に戻ることがある。管理者の経験がある人のルートには、その枠が無い。
関連記事
出典
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第36条の8・第36条の9・第36条の11(e-Gov法令検索・2026年10月20日の版と、2027年5月20日施行の版で確認)、同法 第5条、改正後の同法 第29条の5・第29条の6・第29条の8(2027年5月20日施行の版)
- 薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令(昭和39年厚生省令第3号)第1条・第2条(e-Gov法令検索・2021年7月31日の版と2026年10月20日の版で確認)、改正の履歴(令和3年厚生労働省令第116号・2021年8月1日施行)
- 同法施行規則 第147条の3(2026年4月30日の版)、第15条・第15条の11の3・第140条・第147条の2・第147条の11の3・第149条の16・第159条の7・第159条の10(e-Gov法令検索・2026年10月20日に確認)、改正後の同規則 第147条の22・第147条の25(2027年5月20日施行の版)
- 厚生労働省 医薬・生活衛生局長通知「登録販売者制度の取扱い等について」(令和5年3月31日 薬生発0331第16号、最終改正 令和8年6月26日): https://www.mhlw.go.jp/content/001729093.pdf
- 厚生労働省「令和7年改正法の概要」: https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001492021.pdf 、局長通知「指定濫用防止医薬品の販売等について」(令和7年12月26日): https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001628299.pdf
- 改正法の施行期日を定める政令(令和7年政令第271号): https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001580519.pdf 、一部の施行期日を定める政令(令和8年政令第209号): https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001720317.pdf
- 大阪府「販売従事登録申請」(2026年10月20日に確認)










