結論: 1冊目・通読演習・直前模試で役割を分ける
登録販売者のテキスト選びで一番避けたいのは、「定評があるテキストを何冊も買ったが、第3章で止まって最後まで使えなかった」というパターンです。
本試験は5章構成・120問・午前60問+午後60問の2部制で実施され、合格基準は全体70%以上かつ各章おおむね40%以上 (受験地により35%) の足切り付きです。最大の関門は第3章「主な医薬品とその作用」40問で、約100成分の作用機序・副作用・相互作用を体系化する必要があります。1冊で「読む・解く・直前に戻る」のすべてを担わせると、どこか1つで必ず破綻します。
まずは次の3つの役割に分けて教材を考えてください。
| 役割 | 代表候補 | 向く人 | 買う前の注意 |
|---|---|---|---|
| 最初の1冊 (全章通読) | 石川達也の登録販売者 テキスト&問題集 (改訂4版) | 薬学・医療が初めての社会人・主婦 | 演習量は別途、予想模試で補う |
| 活字疲れ対策の1冊目 | 合格のトリセツ テキスト&一問一答 (2025-26年版) | 文字だけの本がつらい人、図解と動画で進めたい人 | 法令の細かい条文整理は手薄になりやすい |
| 直前期の予想模試 | 合格のトリセツ Final 重要過去問&予想模試 (2025-26年版) | テキスト一周後、120問×2部の時間配分を確かめたい人 | 解説をテキストへ戻す導線として使う |
編集部の見立てでは、初学者は「最初の1冊+直前模試」の2段構えが安定します。1冊目と活字疲れ対策の1冊目は二択で、両方を最初から買う必要はありません。第3章で詰まったときに買い足す本ではなく、最初から自分の読みやすさに合う方を選ぶ方が、買った本を使い切りやすくなります。
独学で進めるか講座を足すかの判断は、別記事の独学設計を見てから決めてください
1冊目は「全5章を1冊で通読できる」設計を選ぶ
最初の1冊に必要なのは、網羅性より「戻れること」と「全章の地図」です。第3章だけ詳しい本を最初に開くと、第4章・第5章の薬事関係法規が手薄になり、足切りに気づかないまま受験することになります。
| 見るポイント | なぜ重要か |
|---|---|
| 第1章・第2章 (基礎・人体) の図解 | 第3章成分の副作用がどの臓器系統で起きるかを連結できる |
| 第3章成分の整理表 | 約100成分を薬効分類ごとに俯瞰でき、丸暗記から逃れられる |
| 第4章 (薬事関係法規) の独立章 | 医薬品分類・販売従事者要件・添付文書の暗記分野を短く戻せる |
| 第5章 (適正使用・安全対策) の事例整理 | 副作用報告・健康被害救済制度の制度図を視覚化できる |
| 章末の一問一答 | 読んだ章をその日のうちに自己採点でき、復習タイミングが分かる |
石川達也の登録販売者 テキスト&問題集 (改訂4版) は、現役薬剤師・登録販売者試験対策の動画講師である石川達也氏監修で、KADOKAWA から刊行されています。第3章を成分ごとの整理表で並べ、章末に一問一答を配置する設計です。第4章の薬事関係法規も独立章で扱うため、3章単独に偏らず全章のバランスを取りたい初学者に向きます。
この本が向くのは、薬学・医療が初めての社会人・主婦で、1冊で全範囲を見渡したい人です。反対に、すでに薬学系の学習経験があり、第3章の成分演習だけ増やしたい人には、1冊目としては基礎章の説明が丁寧すぎると感じる可能性があります。
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オールカラー+無料動画が必要な人は別の1冊目を選ぶ
文字主体の参考書を読み続けるのがつらい人、活字疲れで脱落しやすい人は、最初から図解中心の本を選ぶ方が安全です。「定評がある本だから」で選び、第2章で止まる方が損失は大きくなります。
合格のトリセツ テキスト&一問一答 (2025-26年版) は、東京リーガルマインド (LEC) から刊行されているオールカラーのテキストです。令和7年4月公表の手引きに対応した最新版で、第3章「主な医薬品とその作用」を成分ごとにビジュアル整理し、章末ごとに一問一答が付きます。LEC 公式の解説動画 (全12回・無料) と併用できる設計で、紙とスマホを行き来できます。
向く人と向かない人は、はっきり分かれます。
| 向く人 | 向かない人 |
|---|---|
| 文字だけの本がつらい、活字疲れする | 図表より法令条文を順序通り読みたい |
| 通勤中など、スマホで動画を見る時間がある | 動画を見る時間が取れない |
| 令和7年4月公表の新手引き対応版を選びたい | 既存テキストを継続したい |
| 図解中心の章末整理で復習したい | 一問一答より長文記述で確かめたい |
なお、第4章・第5章の薬事関係法規・適正使用は条文と数値が中心になるため、図解の本でも文字で覚える時間が一定必要です。図解の本だからといって法令章が暗記不要になるわけではありません。
直前期は「本試験120問×2部」の予想模試を1冊足す
テキストの章末問題だけでは、午前60問+午後60問の長時間試験の感覚は作れません。本試験は1問あたり平均90秒で進める必要があり、午後の集中力低下も含めた時間配分の練習は、本試験形式の予想模試でしか取れません。
直前期の予想模試で見るポイントは次の通りです。
| 確認すること | 読者への意味 |
|---|---|
| 本試験120問・午前午後形式の収録 | 時間配分と集中力配分の感覚を作れる |
| 解説の参照ページがテキストと一致 | 間違えた論点を即座にテキストへ戻せる |
| 第3章成分の出題比率 | 本試験と同じ偏りで弱点が見える |
| 法令章の数値・年度の最新性 | 古い数値で覚え直しが発生しない |
| 模試解答の自己採点シート | 各章40%足切りを自分で確かめられる |
合格のトリセツ Final 重要過去問&予想模試 (2025-26年版) は、テキスト編と同じ LEC 編集のため、解説の参照ページがテキストと一致する設計です。テキストで章末問題を回した後、本試験形式120問の予想模試で得点力を測りたい受験直前期 (2〜4週間前) に向きます。
直前期の予想模試は「点数を出す」ことより、「どの章で何点足りないか」を可視化することが目的です。全体70%は超えていても、第3章だけ35%なら受験地によっては足切りになります。点数の総和ではなく、章別の点数分布で次にやることを決めてください。
読者タイプ別の買い方
同じ教材でも、読者の状態で買い方は変わります。
| 読者タイプ | 買い方 | 理由 |
|---|---|---|
| 薬学・医療が初めて | 石川達也のテキスト+ぴよパス練習問題 | 1冊で全章を通読し、無料の章別演習で弱点を見つける |
| 文字疲れしやすい | 合格のトリセツ T&P を1冊目にする | 図解と動画で第2章・第3章を脱落せず通読できる |
| テキストを一周済み | Final 予想模試を足す | 本試験120問の時間配分と章別足切りを可視化 |
| 第3章成分で戻れない | 講座の手順動画を検討 | 同じ形式の本を増やしても作用機序の詰まりは残りやすい |
| ブロック差を気にしたい | 各都道府県の手引き・直近合格率も確認 | 受験ブロックで難易度差があり、教材だけでは埋まらない |
テキスト費だけを見ると、市販の本2冊で講座1本より安く済みます。ただし、第3章成分や薬事関係法規で戻れない詰まりがある場合は、本を増やすより動画講座で手順を見る方が短時間で抜けられることがあります。教材選びと講座選びは、競合ではなく自分の詰まり方で使い分ける役割分担として考えてください。
ブロック別合格率と足切りの読み方は、別記事の合格率記事を参照してください
買わない方がよいパターン
1. 第3章特化の薄い本を最初の1冊にする
第3章の成分整理に特化した本は便利ですが、最初の1冊にすると第4章・第5章の薬事関係法規が手薄になり、足切りに気づかないまま受験することになります。1冊目は必ず全5章を扱う本を選んでください。
2. 古い手引きの版を安さだけで選ぶ
令和7年4月に試験問題作成手引きが改訂され、機能性表示食品の健康被害情報提供義務などが追加されています。古い版は安く見えますが、改訂前の制度説明で覚え直しが発生する可能性があります。少なくとも対応手引きの公表年月を確認してください。
3. 一問一答だけで第3章を回す
第3章の一問一答は便利ですが、成分単独で問われる本試験問題は少なく、「次のうち○○の副作用として正しいものはどれか」のように複数成分を比較させる出題が中心です。一問一答だけで完結させず、整理表で薬効分類ごとに俯瞰する時間も必ず取ってください。
4. 受験ブロックの違いを無視する
登録販売者試験は都道府県ごとにブロック単位で実施され、受験地による難易度差・足切りライン (40% / 35%) の差・実施月の差があります。「全国共通の試験」と思って学習計画を立てると、自分の受験地の直近合格率や試験日に対応できません。教材を選ぶ前に、自分が受ける都道府県の公式受験案内を確認してください。
7日間の使い方
教材を買ったら、最初の7日間で次のように使うと、自分に合うかが分かります。
| 日 | やること | 判断すること |
|---|---|---|
| 1日目 | 目次と第1章・第2章を読む | 章立てと図解が戻りやすいか |
| 2日目 | 第3章の冒頭と整理表を見る | 約100成分の俯瞰ができるか |
| 3日目 | 第3章のかぜ薬・解熱鎮痛薬を解く | 副作用と作用機序の関連を追えるか |
| 4日目 | 第4章の医薬品分類・販売従事者要件を読む | 法令暗記分野を短く戻せるか |
| 5日目 | 第5章の副作用報告・救済制度を読む | 制度図を視覚化できるか |
| 6日目 | 章末一問一答で第1〜5章を自己採点 | どの章で40%を切るか分かるか |
| 7日目 | 追加教材か講座かを決める | 本を足す詰まりか、講座が必要な詰まりか |
この7日間で「分からないけれど、戻る場所は分かる」と感じるなら、独学で続けやすいです。逆に、第3章成分や薬事関係法規で解説を読んでも戻れないなら、講座を検討するタイミングです。
最後のチェックリスト
- 最初の1冊・通読演習・直前模試で役割を分けた
- 1冊目は全5章を扱う本を選び、第3章特化の薄い本にしなかった
- 文字疲れしやすいかで、図解中心の本にするかを判断した
- 直前期に本試験120問形式の予想模試を1冊足す予定にした
- 令和7年4月公表手引き対応の年版を選んだ
- 自分の受験ブロック (都道府県) の足切りライン・受験料・試験月を確認した
- 7日間使って、独学継続か講座検討かを判断する
教材選びは、正解の1冊を探すより、役割を間違えないことが大事です。1冊目で全章を通読し、章末一問一答で自己採点し、直前期に120問形式の予想模試で時間配分を作る。この順番にすると、買った教材を最後まで使い切りやすくなります。
出典:
- 厚生労働省「登録販売者試験」
- 厚生労働省「登録販売者試験問題作成に関する手引き (令和7年4月)」
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