結論:令和8年度の試験は「第4章の一部が去年と別物」になっている
登録販売者試験の出題範囲は、厚生労働省の「試験問題の作成に関する手引き」で決まります。この手引きが令和8年4月に一部改訂されました。
変更は全体に薄く散っているのではなく、第4章(薬事に関する法規と制度)に集中しています。令和7年4月版と令和8年4月版を行単位で突き合わせると、変更のおよそ7割が第4章でした。
とくに影響が大きいのは次の2点です。
| 令和7年4月版まで | 令和8年4月版から | |
|---|---|---|
| 濫用のおそれがある医薬品 | 「濫用等のおそれのある医薬品」(規則第15条の2)。確認して売る制度 | 「指定濫用防止医薬品」(法第36条の11)。数量超過と18歳未満への販売が原則禁止 |
| 要指導医薬品 | 薬剤師の対面による情報提供・指導 | 薬剤師の「対面等」。対面必須は「特定要指導医薬品」だけ |
去年のテキストや、去年の過去問だけで対策すると、この2つは正解を反対に覚えます。以下、原文に沿って整理します。
① 「濫用等のおそれのある医薬品」は「指定濫用防止医薬品」になった
呼び名が変わっただけではありません。根拠が省令から法律本体に上がり、規制の性質そのものが変わりました。
対象成分が6つから8つに増えた
指定は令和8年厚生労働省告示第32号によります。
| 令和7年4月版(6成分) | 令和8年4月版(8成分) | |
|---|---|---|
| エフェドリン | ○ | ○ |
| コデイン | ○ | ○ |
| ジヒドロコデイン | ○ | ○ |
| ジフェンヒドラミン | — | 追加 |
| デキストロメトルファン | — | 追加 |
| プソイドエフェドリン | ○ | ○ |
| ブロモバレリル尿素 | ○ | ○ |
| メチルエフェドリン | ○ | ○ |
新しい8成分にはすべて「ただし、外用剤を除く」という限定が付きました。旧版の6成分にはこの但書がありません。ここも問われうる差分です。
ジフェンヒドラミンとデキストロメトルファンは、第3章で何度も出てくる成分です。第3章で覚えた成分が第4章の規制対象として戻ってくるようになったのが、今回の改訂のいちばん実務的な変化です。
「確認すれば売れる」から「原則として売れない」に変わった
ここが最大の変更点です。
旧(令和7年4月版まで)
- 若年者なら氏名・年齢を確認する
- 他店での購入状況を確認する
- 必要と認められる数量を超えるならその理由を確認する
- 確認した事項を勘案して、必要と認められる数量に限って販売する
つまり、確認を尽くしたうえで販売する制度でした。
新(令和8年4月版から)
法第36条の11第3項により、次の2つは原則として禁止されます。
- 厚生労働省令で定める数量を超えて販売・授与すること
- 厚生労働省令で定める年齢に満たない者に販売・授与すること
例外は、薬剤師等に販売する場合と、18歳以上の者などに対面等により情報提供を行う場合などに限られます。「確認したから売ってよい」ではなくなりました。
数量は「一包装かつ原則5日分」、年齢は「18歳」
旧版の「適正な使用のために必要と認められる数量」という書き方は、具体的な数字を持ちませんでした。令和8年厚生労働省告示第33号で数字が入りました。
- 一包装であること、かつ
- 用法・用量からみて原則5日分を超えないこと
日数には成分ごとの例外があります。
| 成分 | 日数 |
|---|---|
| エフェドリン/コデイン | 5日 |
| ジヒドロコデイン/ジフェンヒドラミン/デキストロメトルファン | 5日(かぜ薬としての効能・効果を有すると認められる製剤は7日) |
| プソイドエフェドリン/メチルエフェドリン | 5日(かぜ薬または鼻炎用内服薬は7日) |
| ブロモバレリル尿素 | 5日(解熱鎮痛薬は7日) |
年齢は規則第159条の18の6第2項で18歳と定められました。旧版の「若年者」という曖昧な語が、数字に置き換わっています。
⚠️ ただし18歳未満でも完全に買えないわけではありません。規則第159条の18の6第3項により、厚生労働大臣が定める数量の範囲内で購入しようとする18歳未満の者には、対面等による情報提供を行ったうえで販売できます。「18歳未満は一律禁止」と覚えると、そこが誤りの肢になります。
確認事項も6項目に整理された
規則第159条の18の5により、確認すべき事項は次のとおりです。
- 年齢
- 18歳に満たない者である場合は、その者の氏名
- その医薬品および他の指定濫用防止医薬品の購入・譲受けの状況
- 定める数量を超えて購入しようとする場合は、その理由
- 適正な使用を目的とする購入・譲受けであることを確認するために必要な事項
- その他、情報提供を行うために確認が必要な事項
🔴 旧版は「若年者である場合にあつては、当該者の氏名及び年齢」でしたが、新版は年齢は全員に確認し、氏名は18歳未満の場合という構造に変わりました。細かいようですが、ここは肢の作りやすい箇所です。
陳列・手順書・表示にも新しい義務ができた
- 陳列(法第57条の2第4項、規則第218条の5):第二類または第三類医薬品である指定濫用防止医薬品は、①指定濫用防止医薬品陳列区画の内部の陳列設備に陳列する(鍵をかけた設備や直接手の触れられない設備なら不要)か、②情報提供設備から7メートル以内に陳列し、その設備に薬剤師または登録販売者を継続的に配置する、のいずれかが必要
- 販売等手順書:薬局開設者・店舗販売業者・配置販売業者は「指定濫用防止医薬品販売等手順書」を作成し、それに基づいて販売しなければならない
- 法定表示:指定濫用防止医薬品には「要確認」の字句を記載する。定める数量以下のものは「要確認」、それ以外は「要」を丸囲みまたは四角囲みにした字句
「7メートル」「要確認」「手順書」は、いずれも去年までの手引きに存在しなかった語です。
② 要指導医薬品は「対面」から「対面等」になった
法第4条第5項第3号の要指導医薬品の定義が変わりました。
旧:薬剤師の対面による情報の提供および薬学的知見に基づく指導が必要なもの
新:薬剤師の対面又は映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法その他の方法(=「対面等」)による情報の提供および薬学的知見に基づく指導が必要なもの
そのうえで、「適正な使用のために薬剤師の対面による販売又は授与が行われることが特に必要」なものが、特定要指導医薬品として別に指定されました(法第4条第3項第4号ロ)。対面が必須なのは、こちらだけです(法第36条の5第3項)。
要指導医薬品がネット販売の対象に入った
これに合わせて、特定販売の定義も変わりました(規則第1条の2第2項第2号)。
| 特定販売の対象 | |
|---|---|
| 旧 | 一般用医薬品、薬局製造販売医薬品 |
| 新 | 要指導医薬品(特定要指導医薬品を除く。)、一般用医薬品、薬局製造販売医薬品 |
つまり、特定要指導医薬品以外の要指導医薬品は、インターネット等による特定販売ができるようになりました。
🔴 「要指導医薬品はネット販売できない」は、令和7年度までは正しく、令和8年度からは誤りです。ここは肢として作りやすいので、真っ先に上書きしてください。
なお、販売できるのが薬剤師だけである点は変わりません(法第36条の5第1項)。登録販売者は要指導医薬品を取り扱えません。
③ 第1章にも細かい修正が入っている
第4章ほどではありませんが、第1章にも文言の修正があります。断定の仕方が変わったものが中心です。
| 箇所 | 令和7年4月版 | 令和8年4月版 |
|---|---|---|
| 保健機能食品 | 効果等を表示することが許可された健康食品 | 効果等を表示することができる健康食品 |
| 栄養機能食品 | 国が定めた規格基準に適合すれば栄養成分の健康機能を表示できる | 栄養成分の機能の表示をする食品であり、個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度である |
| サリドマイド訴訟 | 妊娠している女性が使用したことにより | 妊婦又は妊娠していると思われる女性が使用したことにより |
| C型肝炎訴訟 | 出産や手術での大量出血などの際に | 出産や手術の際に |
| セルフメディケーション税制 | (記載なし) | 令和9年1月より、消化器官用薬や一般用検査薬も税制の対象となる |
「自己認証制度」という語は令和8年4月版で初めて入ったものです。栄養機能食品を「国の審査を受けたもの」と説明する肢は、以前から誤りでしたが、より明確に否定される書き方になりました。
使っている教材が旧版かどうかの見分け方
手元の教材が令和8年4月版に対応しているかは、目次や索引に「指定濫用防止医薬品」があるかで判定できます。
- ある → 令和8年4月版対応
- 無く、「濫用等のおそれのある医薬品」しかない → 令和7年4月版まで。第4章は使えない
もう1つの確認点は「特定要指導医薬品」です。この語も令和8年4月版で新設されたので、載っていなければ旧版です。
⚠️ 中古やフリマで前年度版のテキストを買う場合、第1章から第3章はおおむね流用できますが、第4章は買い直しになります。第4章は120問中20問で、足切りもある章です。数千円を惜しんで20問分を落とすのは割に合いません。
手引きは誰でも無料で読める
改訂の一次情報は厚生労働省が公開しています。有料の教材を待たなくても、原文をそのまま確認できます。
- 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」
- 本体(行番号あり/行番号なし)と、令和7年4月版からの修正履歴入りの3種類が置かれています
- 過去の版は「これまでの登録販売者試験の作成に関する手引き」から令和4年3月版までさかのぼれます
修正履歴入りのファイルを開けば、どこが変わったかを自分の目で確認できます。手引きに書かれていないことは出題されない建前の試験なので、迷ったら原文に戻るのが最短です。
変わった箇所から先に演習する
改訂箇所は、出題側にとって出しやすい部分です。新しく入った制度は「今年から変わりました」という形で問いやすく、実際に手引きも第4章の該当箇所を書き下ろしに近い形で差し替えています。
ぴよパスでは登録販売者の練習問題を章ごとに無料公開しており、指定濫用防止医薬品と要指導医薬品の問題は令和8年4月版の手引きに合わせて更新済みです。
- 登録販売者の練習問題(医薬品に共通する特性・人体と医薬品・薬事関係法規)
第4章から始めて、「原則禁止と例外」「対面と対面等」の2つを先に固めてください。第1章から順に進めると、改訂箇所に届く前に試験日が来ます。
まとめ
- 令和8年4月の一部改訂は、変更のおよそ7割が第4章に集中している
- 「濫用等のおそれのある医薬品」は「指定濫用防止医薬品」になり、成分が6→8、数量超過と18歳未満への販売が原則禁止になった
- 数量は「一包装かつ原則5日分」(かぜ薬等は7日)、年齢は「18歳」と数字で確定した
- 要指導医薬品は「対面等」となり、対面必須は「特定要指導医薬品」だけ。それ以外はネット販売の対象に入った
- 教材が新版かどうかは「指定濫用防止医薬品」「特定要指導医薬品」の語があるかで判定できる
出典
- 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」— 第1章、第4章(法第36条の11、法第4条第5項第3号、法第4条第3項第4号ロ、法第36条の5、規則第159条の18の5、規則第159条の18の6、規則第218条の5、規則第1条の2第2項第2号)
- 同「(参考)令和7年4月版からの修正履歴入り」および「試験問題の作成に関する手引き(令和7年4月)」— 改訂前後の対照
- 令和8年厚生労働省告示第32号(指定濫用防止医薬品の指定)
- 令和8年厚生労働省告示第33号(厚生労働大臣が定める数量)
編集部の見方:令和7年4月版と令和8年4月版のテキストを行単位で機械的に突き合わせ、変更のあった箇所を章ごとに数えたうえで、原文にあたって整理しました。第4章の改訂は「用語の言い換え」ではなく規制の中身が変わったもので、旧版で覚えた内容がそのまま誤りの肢になります。
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