どこに何問あるかを先に固定する
乙種5類の出題数は決まっています。
| 科目 | 内訳 | 問題数 | 足切り |
|---|---|---|---|
| 消防関係法令 | 共通6+類別4 | 10問 | 4問 |
| 基礎的知識 | 機械5(電気なし) | 5問 | 2問 |
| 構造・機能・整備 | 機械9+規格6(電気なし) | 15問 | 6問 |
| 筆記合計 | 30問 | 全体18問 | |
| 実技 | 鑑別等5(製図なし) | 5問 | 全体の60% |
出典: 試験科目・問題数(乙種)
合格には筆記の各科目で40%以上・筆記全体で60%以上・実技で60%以上を同時に満たす必要があります。
基礎的知識は5問しかなく、足切りは2問です。3問落とすと他がどれだけ取れていても不合格になります。問題数が少ない科目ほど1問の重みが大きいので、「機械は苦手だから捨てる」という選択が構造的に取れません。
構造・機能15問のうち6問が規格 — ここが最短ルート
乙種5類の構造・機能は機械9問+規格6問で、規格が4割を占めます。乙種1類〜3類は15問中3問(2割)なので、比重は倍です。
規格が多いことは負担ではなく有利です。根拠が
- 金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第3号)
- 緩降機の技術上の規格を定める省令(平成6年自治省令第2号)
という条文がはっきりした領域で、横桟の間隔25〜35センチメートル、緩降機の最大使用荷重(最大使用者数×1,000ニュートン以上)といった数値が明記されているためです。解釈の余地が小さく、覚えれば確実に得点になります。
構造・機能の足切りは6問なので、規格6問を取り切れば理論上はそれだけで足切りを越えられます。ここから始めるのが最短です。
条文が4か所に分かれている — 乙5の難所
乙種5類でつまずくのは、探している数値がどの法令にあるかが分かりにくいことです。
| 論点 | どこにあるか |
|---|---|
| どの階に何個の避難器具が要るか | 消防法施行令第25条 |
| 個数の緩和・減算・免除 | 消防法施行規則第26条 |
| 器具の位置・構造・維持 | 消防法施行規則第27条 |
| 降下空間・操作面積・避難空地・標識・格納・取付方法 | 平成8年消防庁告示第2号 |
| 金属製避難はしごの寸法・強度・表示 | 昭和40年自治省令第3号(規格省令) |
| 緩降機の荷重・降下速度・材料・表示 | 平成6年自治省令第2号(規格省令) |
| 救助袋・すべり台などの基準 | 昭和53年消防庁告示第1号 |
とくに降下空間と操作面積は令にも規則にも数値がありません。消防法施行規則第27条第2項が「その他必要な事項は消防庁長官が定める」と告示に委任しているためです。
そして救助袋には規格省令が存在しません。規格省令があるのは金属製避難はしごと緩降機の2つだけで、規則第27条第1項第11号が「避難器具(金属製避難はしご及び緩降機を除く)は消防庁長官が定める基準に適合すること」と除外しているのはそのためです。「救助袋の規格省令によれば」という選択肢はそれ自体が誤りになります。
法令10問は「設置基準」と「免状・制度」に割れる
法令共通6問は免状・届出・点検・検定といった制度の話、法令類別4問は避難器具の設置基準そのものです。
類別で問われるのは主に次の点です。
- 令第25条第1項:どの防火対象物のどの階に、収容人員何人以上で要るか(20人/30人/50人/100人・150人/10人)
- 避難階と11階以上の階は除かれる(同項柱書)
- 令第25条第2項第1号:必要個数(100人ごと/200人ごと/300人ごとに1個追加)と適応表
- 規則第26条:読み替え(100→200、200→400、300→600)、減算(階段は等倍、渡り廊下と避難橋は×2)、免除
適応表で問われやすいのは次の3点です。
- 地階に適応するのは避難はしごと避難用タラップの2種類だけ
- 令別表第一(六)項の3〜5階では避難はしごが適応せず、6階以上では緩降機も外れる
- すべり棒と避難ロープは2階のみ
乙種は工事ができないため、着工届のような工事側の論点より、点検・整備の側から問われる傾向を想定して学習すると噛み合います。
基礎的知識5問は「人がぶら下がる」前提の力学
避難器具は人の体重が直接かかる設備なので、荷重・強度・摩擦・力のつり合いが中心です。
力のつり合いと合成、力のモーメントと偶力、重心、摩擦力と摩擦係数、応力とひずみ、フックの法則、応力集中、荷重の種類、硬さ試験、溶接欠陥、座屈、ねじのリード、仕事と力積——このあたりが範囲です。電気は1問も出ません。
5問しかないので計算問題が1〜2問混ざるだけで比重が大きくなります。公式を覚えるだけでなく手で解けるところまで持っていってください。
実技は鑑別5問だけ
乙種に製図はないので、実技対策は鑑別に集中できます。8種類の避難器具(すべり台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋・避難用タラップ・すべり棒・避難ロープ)の構造上の特徴と、緩降機の構成部品(調速器・調速器の連結部・ロープ・着用具)が中心です。
鑑別で覚える部品名と数値はそのまま構造・機能15問と重なります。鑑別を仕上げると筆記の得点も同時に上がるのが5類の構造です。











