5類の教材は「甲乙共用」が基本
乙種5類は令和6年度の受験者が1,166人と、消防設備士13区分で下から3番目の規模です。そのぶん市販教材が少なく、乙種5類だけを対象にした本はほとんどありません。5類の本はどれも「第5類」として甲種・乙種の両方を扱う構成になっています。
したがって教材選びは「乙種専用を探す」のではなく、甲乙共用の本をどう読み替えるかという問題になります。
読み替えのポイントは2つです。
- 製図の章は飛ばしてよい。乙種5類に製図はありません(公式の乙種の問題数一覧に「製図」の列そのものが存在しません)
- 工事に関する記述は参考程度でよい。乙種は整備・点検が業務範囲で、工事はできません
逆に言えば、甲種向けの本を買っても無駄にはなりません。将来 甲種5類を受けるなら同じ本がそのまま使えます。
① 出版社が「乙種5類」と名指ししている1冊から入る
5類の書籍の中で、出版社の紹介文が「消防設備士乙種5類の定番テキスト」と乙種を名指ししているものが1冊あります。1類・2類・3類の同シリーズが「甲種○類、乙種○類の定番テキスト」と両方を書くのに対し、5類だけ乙種と明記しているという違いです。
構成も、法令 → 避難器具の構造・設置 → 機械の基礎 → 鑑別 → 模擬試験、という順で、乙種5類の出題順とそのまま重なります。まずこれで全体像を作ります。
避難器具は実物を見たことがあるかどうかで理解の速度が大きく変わる設備です。金属製避難はしごの固定式・立てかけ式・つり下げ式、救助袋の垂直式・斜降式、緩降機の調速器と着用具は、文字だけで読むと最後まで像が結びません。写真や図が入っている本を選んでください。
② 出題のされ方に慣れる問題集
条文を覚えても、出題のされ方に慣れていないと取れません。乙種5類で問われ方が何通りもあるのは次の3つです。
- 設置個数の算定(収容人員から100人・200人・300人ごとの3系統を引き分ける)
- 規格省令の数値(横桟の間隔、緩降機の最大使用荷重)
- 告示側の数値(降下空間・操作面積)
5類の問題集は2026年5月に新しいものが出ており、現時点では最も新しい選択肢になります。テキストと同じ出版社の問題集を選ぶと、用語が食い違わないので余計な混乱が起きません。
③ 出題の再現収録シリーズ(乙種は上巻だけで足りる)
実際に出題された問題を再現収録するシリーズも5類にはあります。令和8年版が2026年7月に出たばかりなので、買うなら必ずこの年度を選んでください。1年古い版を買うと法令改正を落とします。
⚠️ このシリーズは上下巻に分かれていて、製図は下巻に入っています。乙種5類に製図はないので、上巻だけで足ります(甲種を受けるなら下巻も必要)。ここを知らずに両方買うと、使わない巻に2,000円以上かけることになります。
3冊の組み方まとめ
| 役割 | 何を得るか | いつ使うか |
|---|---|---|
| 総合テキスト | 器具の像と全体の枠組み | 最初の1周 |
| 問題集 | 出題のされ方と数値の引き当て | テキスト1周後 |
| 再現収録(上巻のみ) | 本番の問われ方 | 直前期 |
買う順番はこのとおりで構いません。3冊同時に買う必要はなく、テキストを1周してから次に進めば十分です。
版の年度は必ず確認する
5類は受験者数が小さいぶん改訂の間隔が長く、数年前の本が現役で流通しています。とくに次の2点は必ず確認してください。
- 再現収録のシリーズは年度版なので、最新年度かどうかで内容が変わります
- 法令の数値(設置基準・規格)は改正があると変わるので、古い版は数値の裏を条文で取り直す必要があります
条文はすべて公開されているので、当サイトの解説に付けている根拠条文(消防法施行令第25条、消防法施行規則第26条・第27条、金属製避難はしご/緩降機の規格省令、平成8年・昭和53年の消防庁告示)から e-Gov 法令検索で現行の条文を確認できます。











