乙種5類は32.1%、甲種5類より低い
令和6年度の実績です。
| 区分 | 申請者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 乙種5類 | 1,458 | 1,166 | 374 | 32.1% |
| 甲種5類 | 4,692 | 3,681 | 1,288 | 35.0% |
出典: 令和6年度 試験実施状況
乙種のほうが甲種より低いという結果です。試験そのものは乙種のほうが軽く(筆記30問・実技は鑑別のみ・1時間45分)、範囲も狭いのに合格率が下がるのは、受験資格の有無で母集団が違うためと考えられます。
甲種5類には受験資格があり、国家資格・指定学科の学歴・実務経験のいずれかを満たす人しか受けられません。つまり受験する時点で一定の素養がある層に絞られています。一方、乙種は誰でも受験できるので、準備が十分でない人も母集団に入ります。
同じ構図は他の類でも見られます。
| 類 | 乙種 | 甲種 |
|---|---|---|
| 2類 | 26.3% | 27.3% |
| 3類 | 23.6% | 25.6% |
| 5類 | 32.1% | 35.0% |
2類・3類・5類はいずれも乙種のほうが低いという結果です。乙種計37.7% > 甲種計30.1% という全体の数字だけを見ると逆に見えますが、これは受験者数の多い乙6(36.2%)と乙7(63.9%)が全体を押し上げているためで、類ごとに見ると別の像になります。
なお乙種3類の23.6%は消防設備士13区分で最低です。「乙種は易しい」という一般論は、類によっては成り立ちません。
越えるべき関門は3つ
合格には次の3つを同時に満たす必要があります。
- 筆記の各科目で40%以上(法令10問なら4問、基礎的知識5問なら2問、構造・機能15問なら6問)
- 筆記全体で60%以上(30問中18問)
- 実技で60%以上(鑑別等5問)
3つとも独立した条件なので、合計点が足りていても科目のひとつが40%を割れば不合格です。
🔴 最も危ないのは基礎的知識5問です。 足切りは2問なので、3問落とすと即不合格になります。他の科目でどれだけ稼いでもリカバリーできません。機械の基礎(力のつり合い・応力とひずみ・摩擦・仕事)は避けて通れず、しかも電気が1問も出ないので電気で埋め合わせることもできません。
実技も5問しかなく、60%は3問です。2問落とすと不合格なので、鑑別は「なんとなく分かる」では足りません。
免除は使い方を間違えると不利になる
乙種5類で使える免除は限られます。
| 保有資格 | 免除 | 試験時間 |
|---|---|---|
| 他の類の消防設備士免状 | 法令共通など | 短縮あり |
| 特定の消防団員(5年以上勤務+消防学校の専科教育機関科修了) | 基礎的知識(機械)+実技(鑑別等) | 1時間15分 |
| 電気工事士・電気主任技術者(単独) | なし | 1時間45分のまま |
🔴 電気工事士を持っていても乙種5類では免除がありません。 乙5には電気の出題が1問もないためです。免除されるのは「電気に関する部分」なので、そもそも対象が存在しません。
⚠️ 免除すると分母が減ります。 「各科目40%以上」という条件は残るので、得点源だった科目を免除すると1問あたりの重みが増えて、かえって不利になることがあります。とくに基礎的知識5問は元から薄いので、免除で他の科目が薄くなると足切りの危険が上がります。
なお、乙種5類と乙種6類だけは「特定の消防団員」の免除で実技まで外れます。乙種13区分で実技が免除されるのはこの2つだけです。
学習で最初に手を付けるところ
規格6問から入るのが最短です。構造・機能15問の足切りが6問なので、規格を取り切ればそれだけで足切りを越えられる計算になります。
規格の根拠は金属製避難はしごの規格省令(昭和40年自治省令第3号)と緩降機の規格省令(平成6年自治省令第2号)で、寸法・荷重・材料・表示が条文で明記されています。解釈の余地が小さいので、覚えた分がそのまま点になります。
次に鑑別5問。ここで覚える部品名と数値は構造・機能とそのまま重なるので、2つの科目を1回の学習でカバーできます。
法令と基礎的知識は最後で構いませんが、基礎的知識は5問しかないので「捨てる」判断だけは絶対にしないでください。
甲種5類との関係
乙種5類に合格しても、そのまま甲種5類の受験資格にはなりません(甲種の受験資格は国家資格・学歴・実務経験のいずれか)。ただし、乙種5類の免状を取って実務経験を積むルートは甲種への現実的な道筋のひとつです。
また、甲種5類は甲種特類の受験資格に必須です(甲種1類〜3類のいずれか+甲種4類+甲種5類)。将来まで見据えるなら、乙5 → 実務 → 甲5 という順序が意味を持ちます。











