実技は5問しかない — 2問落とすと不合格
乙種5類の実技は鑑別等5問だけです。製図はありません。合格には実技で60%、つまり5問中3問の正解が要ります。
言い換えると、2問落とした時点で不合格です。筆記でどれだけ稼いでも実技の60%は独立した条件なので、リカバリーできません。実技が5問しかないというのは「軽い」のではなく「1問の重みが20%ある」ということです。
幸い、鑑別で問われる内容は構造・機能15問とほぼ重なります。鑑別を固めると筆記も同時に上がるので、ここに時間を使う効率は高くなります。
8種類の避難器具を役割で分ける
消防法施行令第25条が列挙している避難器具は8種類です。
| 器具 | 降り方 | 特徴 |
|---|---|---|
| すべり台 | 滑り降りる | 自力での操作がほぼ不要。適応範囲が最も広い |
| 避難はしご | 自分で降りる | 固定式・立てかけ式・つり下げ式の3形態 |
| 救助袋 | 袋の中を降りる | 垂直式と斜降式がある |
| 緩降機 | 自重で交互に降りる | 調速器で速度を一定に保つ |
| 避難橋 | 隣の建物へ渡る | 降下しない |
| 避難用タラップ | 階段状に降りる | 地階にも適応する |
| すべり棒 | 棒を伝って降りる | 2階のみ |
| 避難ロープ | ロープで降りる | 2階のみ |
適応表(令第25条第2項第1号)で問われやすいのは次の3点です。
- 地階に適応するのは避難はしごと避難用タラップの2種類だけ
- 令別表第一(六)項の3〜5階では避難はしごが適応せず、6階以上では緩降機も外れる
- すべり棒と避難ロープは2階のみ
緩降機は4部品を先に言えるようにする
緩降機の技術上の規格を定める省令(平成6年自治省令第2号)第3条第1項第2号は、緩降機を調速器・調速器の連結部・ロープ・着用具の4つで構成すると定めています。
| 部品 | 定義(同令第2条) |
|---|---|
| 調速器 | 緩降機の降下速度を一定の範囲に調節する装置 |
| 調速器の連結部 | 取付け具と調速器を連結する部分 |
| 着用具 | 使用者が着用することにより身体を保持する用具 |
| 緊結金具 | ロープと着用具を連結する金具 |
| リール | ロープ及び着用具を収納するために巻き取る用具 |
⚠️ 緊結金具とリールは「構成」の4つには入っていません。 第3条が挙げるのは調速器・連結部・ロープ・着用具の4つで、緊結金具とリールは第4条で別に規定されています。「構成部品を選べ」という設問はここを狙います。
部品ごとに求められる要件も違います。
| 部品 | 求められること | 条 |
|---|---|---|
| 調速器 | 降下時にロープを損傷しないこと、砂等の異物が容易に入らないこと 等 | 第4条第1項 |
| 調速器の連結部 | 使用中に分解・損傷・変形又は調速器の離脱を生じないこと | 第4条第2項 |
| 着用具 | 操作を加えることなく身体の定位置を確実に保持すること 等 | 第4条第4項 |
| 緊結金具 | ロープと着用具を離脱しない方法で連結してあること 等 | 第4条第5項 |
| リール | 使用時にロープ及び着用具が円滑に展張できるように巻き取れること | 第4条第6項 |
固定式と可搬式の違い
| 固定式緩降機 | 可搬式緩降機 | |
|---|---|---|
| 定義 | 常時取付け具に固定されて使用する | 使用時に取付け具に取り付けて使用する |
| 追加の要件 | 取付け具に確実に固定できること | 調速器の質量が10kg以下/取付け具に安全環により確実かつ容易に取り付けられること |
可搬式の「10kg以下」と「安全環」はセットで問われます。
数値は「掛け算かどうか」で分ける
| 項目 | 値 | 条 |
|---|---|---|
| 最大使用荷重 | 最大使用者数 × 1,000N 以上 | 第5条 |
| ベルトの引張試験 | 最大使用荷重÷最大使用者数 × 6.5 の引張荷重を5分間保持 | 第4条第4項第9号 |
| 降下速度 | 16cm/s以上150cm/s以下 | 第9条第1号 |
🔴 最大使用荷重は「1,000N」という固定値ではありません。 最大使用者数を掛けた値以上、という規定です。最大使用者数が2人なら2,000N以上になります。ここは選択肢で固定値に置き換えられる定番です。
⚠️ 降下速度には2つの基準があります。 16〜150cm/sは第9条第1号の値で、第9条第2号は「20回の平均降下速度の80%以上120%以下」という別の判定基準です。
避難はしごの部位と寸法
金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第3号)から出ます。
| 項目 | 値 | 条 |
|---|---|---|
| 横桟の間隔 | 25cm以上35cm以下(同一間隔) | 第3条第6項 |
| 縦棒の間隔(2本以上) | 内法寸法で30cm以上50cm以下 | 第3条第4項 |
| 横桟の断面 | 直径14mm以上35mm以下の円形断面 又は 同等の握り太さ | 第3条第5項 |
| 縦棒1本のものの突子 | 横桟の先端に、縦棒の軸と平行に長さ5cm以上 | 第3条第3項第1号 |
| 収納式固定はしご | 保安装置に至る動作を除き2動作以内 | 第4条第2号 |
| 立てかけはしご | 上部支持点(先端から60cm以内)に滑り・転倒防止の安全装置 | 第5条第1号 |
| つり下げはしご | 防火対象物から10cm以上の距離を保つ有効な突子を横桟の位置ごとに | 第6条第1号 |
表示事項は9項目(第11条)。緩降機の表示にある「最大使用者数」は避難はしごの表示には入りません。表示事項の比較は取り違えを誘う設問の定番です。
点検の側から見る
乙種5類は整備・点検が業務範囲なので、「設置されている状態が基準に適合しているか」を判断する視点が要ります。
- 操作面積は0.5㎡以上かつ一辺0.6m以上確保されているか(避難器具用ハッチ格納のものを除く避難はしごの場合)
- 降下空間に物が置かれていないか(縦棒の中心線から外方向に各0.2m以上、器具の前面から奥行0.65m以上)
- 最下部横桟から降着面までが0.5m以下か
- 架空電線との間隔(降下空間は1.2m以上、はしご上端は2m以上)
- 標識が見やすい箇所にあり、避難器具である旨とその使用方法が表示されているか
これらは令にも規則にもなく、平成8年消防庁告示第2号にあります。
⚠️ 救助袋には規格省令がありません。 避難器具の規格省令は金属製避難はしごと緩降機の2つだけで、救助袋の基準は昭和53年消防庁告示第1号にあります。「救助袋の規格省令によれば」という選択肢はそれ自体が誤りです。
答え方の型
- 器具の名称を言えるか
- その器具がどの階・どの防火対象物に適応するかを言えるか
- 部品名を言えるか(緩降機なら調速器・連結部・ロープ・着用具)
- その部品に数値の規定があるかを言えるか
3と4まで言えると、構造・機能15問がそのまま得点になります。











