危険物施設の定期点検は、政令で定める製造所等の所有者・管理者・占有者が、定期に点検し、点検記録を作成して保存する義務です(消防法第14条の3の2)。点検は1年に1回以上(危険物の規制に関する規則第62条の4)、記録の保存は原則3年間です(規則第62条の8)。点検できるのは危険物取扱者(丙種を含む)と危険物施設保安員で、危険物取扱者の立会いがあれば免状のない人も点検できます(規則第62条の6)。
対象の施設・回数・保存期間・点検できる人は、試験科目「危険物に関する法令」(規則第55条)の範囲に入る論点で、甲種・乙種・丙種に共通です。この記事は、e-Gov法令検索の2026年10月時点の版(消防法は2025年6月1日施行、危険物の規制に関する政令は2026年4月4日施行、同規則は2026年6月30日施行の版)で条文を確かめて書いています。
定期点検の要点を1枚で
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 義務を負う人 | 製造所等の所有者・管理者・占有者 | 消防法第14条の3の2 |
| 対象 | 政令第8条の5で定める製造所等(下の表) | 危険物の規制に関する政令第8条の5 |
| 回数 | 1年に1回以上(告示で定める構造・設備は告示の期間) | 規則第62条の4第1項 |
| 何を見るか | 製造所等の位置・構造・設備が技術上の基準(消防法第10条第4項)に合っているか | 規則第62条の4第2項 |
| 点検できる人 | 危険物取扱者・危険物施設保安員。危険物取扱者の立会いがあればそれ以外の人も | 規則第62条の6 |
| 記録の中身 | 名称、点検の方法と結果、点検年月日、点検をした人・立ち会った危険物取扱者の氏名 | 規則第62条の7 |
| 保存期間 | 原則3年間(例外は下の表) | 規則第62条の8 |
| 報告 | 点検のたびに市町村長等へ報告する義務の定めはない(市町村長等は必要なときに報告を求められる) | 消防法第14条の3の2・第16条の5 |
定期点検をしなければならない施設
政令第8条の5は、政令第7条の3の製造所等と、地下タンクを持つ施設などを対象にしています。鉱山保安法の保安規程や火薬類取締法の危害予防規程を定めている製造所等は除かれます(規則第9条の2)。
| 施設 | 定期点検が必要なもの |
|---|---|
| 製造所 | 指定数量の倍数が10以上のもの、または地下タンクを持つもの |
| 屋内貯蔵所 | 指定数量の倍数が150以上のもの |
| 屋外タンク貯蔵所 | 指定数量の倍数が200以上のもの |
| 屋外貯蔵所 | 指定数量の倍数が100以上のもの |
| 地下タンク貯蔵所 | すべて |
| 移動タンク貯蔵所 | すべて |
| 給油取扱所 | 地下タンクを持つもの |
| 一般取扱所 | 指定数量の倍数が10以上のもの(倍数30以下で引火点40℃以上の第4類だけを容器に詰め替える一般取扱所 = 政令第31条の2第6号ロを除く)、または地下タンクを持つもの |
| 移送取扱所 | 政令第8条の3に当たる移送取扱所(配管の延長が15kmを超えるものなど)を除いたもの |
| 屋内タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・販売取扱所 | 政令第8条の5の対象に入っていない |
覚えるときは「地下タンク貯蔵所と移動タンク貯蔵所はすべて」「地下タンクがあれば製造所・給油取扱所・一般取扱所も」「屋内タンク・簡易タンク・販売取扱所は対象外」の3点を先に押さえ、倍数の数字(10・150・200・100)を後から足すと整理しやすくなります。
点検できる人 — 丙種もできる・立会いがあれば無資格者も
規則第62条の6は次のように定めています。
- 点検は、危険物取扱者または危険物施設保安員が行う(第1項)
- 危険物取扱者の立会いを受けた場合は、危険物取扱者以外の人も点検を行える(第2項)
「危険物取扱者」には甲種・乙種・丙種がすべて含まれます。危険物の取扱いに立ち会えるのは甲種と乙種だけですが(消防法第13条第3項)、定期点検の規定は「危険物取扱者」と書いているので、丙種も点検でき、点検に立ち会うこともできます。取扱いの立会いと定期点検の立会いを混ぜないことがポイントです。
ただし、地下貯蔵タンク・地下埋設配管・移動貯蔵タンクの漏れの点検は告示で定める点検の方法に関する知識と技能を持つ人、第三種の固定式の泡消火設備を設ける屋外タンク貯蔵所で行う泡の適正な放出を確かめる一体的な点検(規則第62条の5の5)は泡の発泡機構などの知識と技能を持つ人に限られます(規則第62条の6の括弧書き)。
漏れの点検・内部点検は期間が別
年1回の点検に加えて、定期点検の一部として次の点検には別の期間が決まっています(規則第62条の5〜第62条の5の4 は「前条の規定によるほか」と定めています)。
| 点検 | 期間(原則) | 記録の保存 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 年1回の定期点検 | 1年に1回以上 | 3年間 | 規則第62条の4・第62条の8第5号 |
| 屋外貯蔵タンクの内部点検(引火点を有する液体の危険物・容量1,000kL以上10,000kL未満) | 完成検査済証の交付日・直近の内部点検の日などから13年(保安のための措置を講じて届け出た場合は15年)を超えない日までに1回以上 | 26年間(措置の場合は30年間) | 規則第62条の5・第62条の8第1号 |
| 地下貯蔵タンクの漏れの点検 | 完成検査済証の交付日・直近の点検日から1年(条件によって3年)を経過する日の属する月の末日までに1回以上(二重殻タンクの強化プラスチック製の外殻は3年) | 3年間 | 規則第62条の5の2・第62条の8第2号 |
| 地下埋設配管の漏れの点検 | 完成検査済証の交付日・直近の点検日から1年(条件によって3年)を経過する日の属する月の末日までに1回以上 | 3年間 | 規則第62条の5の3・第62条の8第3号 |
| 移動貯蔵タンクの漏れの点検 | 完成検査済証の交付日・直近の点検日から5年を経過する日の属する月の末日までに1回以上 | 10年間 | 規則第62条の5の4・第62条の8第4号 |
保存期間は「原則3年」「移動貯蔵タンクの漏れの点検は10年」「屋外貯蔵タンクの内部点検は26年(30年)」の3つに分けると整理できます。
正誤の文で確かめる — ひっかけの型
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 定期点検は、すべての製造所等で行わなければならない | 誤り | 対象は政令第8条の5の製造所等 |
| 移動タンク貯蔵所は、指定数量の倍数にかかわらず定期点検の対象 | 正しい | 政令第8条の5第3号 |
| 屋内タンク貯蔵所は定期点検の対象 | 誤り | 政令第8条の5に入っていない |
| 定期点検は3年に1回以上行う | 誤り | 1年に1回以上(3年は記録の保存の原則。地下貯蔵タンクなどの漏れの点検は3年の場合がある) |
| 点検記録は原則3年間保存する | 正しい | 規則第62条の8第5号 |
| 丙種危険物取扱者は定期点検を行えない | 誤り | 危険物取扱者に丙種も含まれる |
| 危険物取扱者の立会いがあれば、免状のない人も定期点検を行える | 正しい | 規則第62条の6第2項 |
| 点検の結果は、点検のたびに市町村長等に報告しなければならない | 誤り | 作成と保存の義務。点検のたびに報告する義務の定めはない(第16条の5 で必要なときに報告を求められることはある) |
ぴよパスのオリジナル予想問題で確かめられます。
危険物施設保安員の業務(構造・設備の定期・臨時の点検)と、施設保安員を置かない施設で保安監督者がその業務を行う決まりは 危険物保安監督者とは にまとめています。丙種でできることの全体は 危険物丙種でできることの範囲 で扱っています。
出典
- 消防法 第10条・第13条・第14条の3の2(e-Gov法令検索・2025年6月1日施行の版)
- 危険物の規制に関する政令 第7条の3・第8条の3・第8条の5・第31条の2(同・2026年4月4日施行の版)
- 危険物の規制に関する規則 第9条の2・第55条・第62条の4・第62条の5・第62条の5の2〜第62条の5の5・第62条の6・第62条の7・第62条の8(同・2026年6月30日施行の版)
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