乙種の免状が1つあれば、他の類は「性質・消火10問」だけ
危険物取扱者 乙種の試験は本来3科目35問(法令15問・物理化学10問・性質消火10問)を2時間で解きます。ところがすでに乙種のいずれかの類の免状を持っている人は、次の2科目が免除されます。
- 危険物に関する法令(15問)
- 基礎的な物理学及び基礎的な化学(10問)
残るのは 性質・消火の10問だけ。試験時間も 35分 に短縮されます。乙4を取った人が乙6・乙5・乙2・乙1・乙3へ広げていくとき、実質的にこの免除受験が標準ルートになっています。
合格基準は変わらず各科目60%以上なので、10問のうち 6問正解で合格です。
免除の条件
| 持っている免状 | 免除される科目 |
|---|---|
| 乙種のいずれかの類 | 法令・物理化学(=性質消火10問のみ) |
| 甲種 | (乙種を受ける必要がない) |
| 丙種 | 免除なし(丙種は乙種の下位で、科目構成も別) |
丙種免状では乙種の科目免除を受けられない点が誤解されやすいところです。丙種は「第4類の一部を取り扱える」資格で、乙種の3科目構成とは別立てになっています。
なお免除は申請時に選択するものです。願書で免除を申請し、必要な免状の写しを添付します。詳細な手続きは受験する都道府県支部の受験案内で確認してください。
合格率が6割を超えるのはこの免除が理由
令和6年度の公表値(消防試験研究センター)を並べると、乙4だけが極端に低いことが分かります。
| 類 | 受験者数 | 合格率 |
|---|---|---|
| 乙1 | 8,247人 | 66.6% |
| 乙2 | 9,411人 | 67.0% |
| 乙3 | 10,896人 | 66.3% |
| 乙4 | 223,846人 | 31.7% |
| 乙5 | 11,211人 | 63.8% |
| 乙6 | 10,746人 | 67.2% |
乙4以外が6割台なのは、試験が易しいからではなく受験者の多くが乙4合格者で、範囲の狭い免除受験をしているからです。逆に言えば、免除を使わずに3科目で受ける人にとっては数字ほど楽ではありません。
免除を使うべきか — 判断の基準
ほとんどの場合は使ってよいのですが、次の2点は知っておいてください。
1. 1問の重みが3.5倍になる
35問中10問なら1問ミスの影響は小さいですが、10問中では1問が10%です。6問取れば合格とはいえ、5問しか合っていなければ即不合格で、法令や物理化学で稼いで補うことはできません。範囲が狭いぶん取りこぼしが許されない試験に変わります。
2. 学習範囲は狭いが、暗記の密度は上がる
性質・消火の10問は、その類に属する物質の性状・危険性・消火方法に集中して出ます。たとえば第6類なら過塩素酸・過酸化水素・硝酸・ハロゲン間化合物の4系統、第2類なら硫化りん・赤りん・硫黄・鉄粉・金属粉・マグネシウム・引火性固体の7系統です。「どれが水と反応するか」「注水してよいか」の区別が答案を分けます。
つまり免除受験は短時間で仕上がるが、詰めが甘いと落ちるタイプの試験です。1〜2週間で1類ぶんを仕上げる計画が現実的です。
類ごとの「押さえるべき軸」
免除受験で問われるのは結局この一点に集約されます — その類は水をかけてよいか。
| 類 | 性質 | 消火の軸 |
|---|---|---|
| 第1類 | 酸化性固体(不燃だが酸素を出す) | 原則は大量注水。ただしアルカリ金属の過酸化物は注水厳禁 |
| 第2類 | 可燃性固体 | 赤りん・硫黄は注水可、鉄粉・金属粉・マグネシウム・硫化りんは注水厳禁 |
| 第3類 | 自然発火性・禁水性 | 禁水性物品は注水厳禁。乾燥砂等 |
| 第5類 | 自己反応性物質 | 大量注水が原則(窒息消火は無効)。アジ化ナトリウムは例外で注水厳禁 |
| 第6類 | 酸化性液体(不燃) | 水系可だがハロゲン間化合物は注水厳禁 |
どの類にも「原則」と「例外の1つ2つ」があり、その例外が本試験で狙われます。ここを表で整理して覚えるのが最短です。
演習で仕上げる
当サイトでは各類の性質・消火を無料で演習できます。免除受験なら、性質・消火のカテゴリだけ集中して解けば十分です。
いずれも登録不要・解説付きです。10問中6問で合格という試験なので、性質・消火の正答率が安定して8割を超えたら受験時期と考えてよいでしょう。
複数の類をまとめて取りにいく戦略は乙種の複数類同時受験の記事で解説しています。乙種4種類を揃えると甲種の受験資格にもなります。











