危険物取扱者の免状には、有効期限の定めがありません。「危険物取扱者の更新」と呼ばれる手続きの正体は、免状の写真の書換えです。免状の記載事項の1つが「過去十年以内に撮影した写真」なので(危険物の規制に関する規則第51条第2項)、写真が10年を過ぎる前に書換えを申請します。手数料は1,600円です。
取扱作業に従事している人が3年ごとに受ける危険物保安講習は、写真の書換えとは別の制度です。この記事は、e-Gov法令検索の2026年10月時点の版(消防法は2025年6月1日施行、危険物の規制に関する政令は2026年4月4日施行、同規則は2026年6月30日施行の版)と、一般財団法人消防試験研究センターの案内(2026年10月19日に確認)をもとに書いています。
「更新」と呼ばれる3つの手続きの違い
| 手続き | 何のためか | いつ | 手数料 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 写真の書換え | 免状の写真を新しくする | 写真が10年を過ぎる前 | 1,600円 | 政令第34条・規則第51条第2項 |
| 書換え(写真以外) | 氏名・本籍地の都道府県などが変わった | 変わったら遅滞なく | 700円 | 政令第33条・第34条 |
| 再交付 | 免状をなくした・汚した・破った | 必要になったとき(申請できる) | 1,900円 | 政令第35条 |
| (別の制度)保安講習 | 取扱作業に従事している人の講習 | 従事から1年以内、その後は最初の4月1日から3年以内ごと | 5,300円(標準額) | 消防法第13条の23・規則第58条の14 |
手数料は消防試験研究センターの案内と、国の標準額(地方公共団体の手数料の標準に関する政令・同省令)によります。都道府県によって納め方(収入証紙など)が違います。
保安講習の受講義務と期限の数え方は 危険物保安講習とは にまとめています。
写真の「10年」の数え方 — 法令と案内の書き方の違い
- 法令: 免状の記載事項は「過去十年以内に撮影した写真」(規則第51条第2項)。基準は写真の撮影日です
- 消防試験研究センターの案内: 「免状が交付されてから10年が経過する前に、写真の書換えの申請をしてください。(写真書換えを完了した日が次回写真書換えの基準日になります。)」
写真は申請の前6か月以内に撮るので(規則第52条第2項第1号)、撮影日は必ず交付日(書換えの完了日)より前になります。つまり法令の基準(撮影日から10年)は、センターの案内の基準(交付日から10年)より、最大で半年あまり早く来ます。書換えの処理にも日数がかかるので、免状の交付日(前回の写真の書換えをした人はその完了日)から9年ごろまでに申請すると、両方に余裕を持って間に合います。免状の交付年月日は免状に書かれています。
書換えが必要なとき・不要なとき
免状の記載事項は、政令第33条と規則第51条第2項で決まっています。
- 免状の交付年月日と交付番号
- 氏名と生年月日
- 本籍地の属する都道府県
- 免状の種類、取り扱える危険物・立ち会える危険物の種類
- 過去10年以内に撮影した写真
記載事項に変更が生じたら、遅滞なく書換えを申請します(政令第34条)。
| 変わったこと | 書換え |
|---|---|
| 結婚などで氏名が変わった | 必要 |
| 本籍地の都道府県が変わった | 必要 |
| 写真が10年を過ぎる | 必要 |
| 住所が変わった(引っ越し) | 不要(住所は記載事項ではない) |
| 勤務先が変わった | 不要 |
申請先と必要なもの
申請先は、免状を交付した都道府県知事か、居住地または勤務地を管轄する都道府県知事です(政令第34条)。実際の受付は、消防試験研究センターの道府県支部(東京都は中央試験センター)が案内しています。センターの案内では、東京都内の消防署(稲城市・島しょを除く)にも出せます。
消防試験研究センターの案内による必要なものは次のとおりです。
- 書換・再交付申請書(危険物取扱者用の様式。専用の申請書が要る支部もある)
- 写真1枚(縦4.5cm×横3.5cm、申請前6か月以内に撮影、正面・無帽・無背景、裏面に撮影年月日・氏名・年齢)
- いま持っている免状(オンラインで保安講習を受けた人は、その修了証なども一緒に)
- 免状の送付用の封筒(郵送で受け取る場合)
- 手数料(収入証紙など。都道府県で納め方が違う)
申請すると、いまの免状を一緒に出すことになります。移動タンク貯蔵所(タンクローリー)に乗車して移送をする危険物取扱者は免状を携帯する義務があるので(消防法第16条の2第3項)、消防試験研究センターは、タンクローリー乗務など携帯義務のある人の書換えは支部(東京都は中央試験センター)に相談するよう案内しています。
写真の規格は規則第52条第2項第1号でも決められています。氏名や本籍の書換えでは、写真の代わりに書換えの事由を証明する書類を添えます(同項第2号)。
期限を過ぎていたら — 気づいた時点で申請する
- 消防法と政令・規則には、写真の期限を過ぎると免状が失効するという定めはありません
- ただし、記載事項に変更が生じたら「遅滞なく」書換えを申請することは政令の義務です(政令第34条)。危険物取扱者が消防法や命令の規定に違反しているときは、免状を交付した都道府県知事が返納を命じることができます(消防法第13条の2第5項)
期限を過ぎていることに気づいたら、上の手順で書換えを申請します。
再交付 — なくしたとき・汚したとき
| 場面 | 申請先 | 注意 |
|---|---|---|
| 亡失・滅失・汚損・破損 | 免状を交付した都道府県知事か、書換えをした都道府県知事 | 居住地・勤務地であることを理由には申請できない(書換えとの違い。居住地の知事で書換えをした人は、その知事にも申請できる) |
| 汚損・破損 | 同上 | 申請書に、その免状を添える |
| なくした免状が出てきた | 再交付を受けた都道府県知事 | 10日以内に提出する |
根拠は政令第35条です。書換えは居住地・勤務地の知事にも申請できるのに、再交付は交付・書換えをした知事に限られる、という違いがあります。
正誤の文で確かめる — ひっかけの型
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 現住所が変わったときは、免状の書換えを申請しなければならない | 誤り | 住所は記載事項ではない |
| 本籍地の都道府県が変わったときは、書換えを申請しなければならない | 正しい | 政令第33条第3号・第34条 |
| 書換えは、居住地を管轄する都道府県知事にも申請できる | 正しい | 政令第34条 |
| 再交付は、勤務地を管轄する都道府県知事にも申請できる | 誤り | 交付または書換えをした知事 |
| 亡失した免状を発見したら、10日以内に再交付を受けた知事に提出する | 正しい | 政令第35条第3項 |
| 免状は10年ごとに更新しないと失効する | 誤り | 有効期限・失効の定めはない。10年は写真の基準 |
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合格した後に最初の免状を受け取るまでの手続きは 危険物乙4 合格後の手続き にまとめています。
出典
- 消防法 第13条の2・第13条の23・第16条の2(e-Gov法令検索・2025年6月1日施行の版)
- 危険物の規制に関する政令 第33条・第34条・第35条(同・2026年4月4日施行の版)
- 危険物の規制に関する規則 第51条・第52条・第53条・第58条の14(同・2026年6月30日施行の版)
- 地方公共団体の手数料の標準に関する政令 本則の表二十一の項(同・2025年4月1日施行の版)、同政令に規定する総務省令で定める金額等を定める省令 第3条
- 一般財団法人消防試験研究センター「写真の書換え」「書換・再交付等申請書」「免状の交付・書換え等」(2026年10月19日に確認)
当サイトの問題は危険物取扱者試験の問題ではありません。法令をもとに独自に作った練習問題です。消防試験研究センターとは関係ありません。










