保育所の保育士の配置基準は、0歳児3人に1人、1・2歳児6人に1人、3歳児15人に1人、4・5歳児25人に1人以上です(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項)。 3歳児と4・5歳児の数は、2024年4月1日の改正で20人・30人から変わりました。保育の提供に支障を及ぼすおそれがあるときは改正前の基準によることも認める経過措置があり(使うかどうかは条例を定める都道府県等が判断)、3歳児は令和10年3月31日まで、4・5歳児は当分の間です。1歳児の「5:1」は基準の改正ではなく、令和7年4月からの公定価格の加算の条件です。
この記事では、条文(e-Gov法令検索で2026年10月20日の版を確認)と、こども家庭庁の通知・資料で、配置基準の数字、改正と経過措置、保育士とみなせる人、小規模保育や認定こども園との違い、保育士試験での問われ方を整理します。
結論: 保育所の保育士の配置基準
| 子どもの年齢(条文の区分) | 保育士1人あたり | 2024年3月まで | 経過措置(支障のおそれがあるとき改正前の基準によれる期間) |
|---|---|---|---|
| 乳児(0歳) | おおむね3人 | 同じ | — |
| 満1歳以上満3歳に満たない幼児(1・2歳) | おおむね6人 | 同じ | — |
| 満3歳以上満4歳に満たない幼児(3歳) | おおむね15人 | おおむね20人 | 令和10年3月31日まで |
| 満4歳以上の幼児(4・5歳) | おおむね25人 | おおむね30人 | 当分の間 |
| 下限 | 保育所1つにつき2人を下ることはできない | 同じ | — |
- 乳児は満1歳に満たない者、幼児は満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者です(児童福祉法第4条)。
- 数字には「おおむね」が付きます。
- 1歳児の5:1は、公定価格の「1歳児配置改善加算」の条件で、基準は6:1のままです。
保育所の配置基準 — 第33条
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)の第33条は、保育所の職員を定めています。
- 置く職員(第1項): 保育士、嘱託医、調理員。調理業務の全部を委託する施設は、調理員を置かないことができます。
- 保育士の数(第2項): 「乳児おおむね三人につき一人以上、満一歳以上満三歳に満たない幼児おおむね六人につき一人以上、満三歳以上満四歳に満たない幼児おおむね十五人につき一人以上、満四歳以上の幼児おおむね二十五人につき一人以上とする。ただし、保育所一につき二人を下ることはできない。」
- 専門職のみなし(第3項): 2026年4月1日から、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門職を、1人に限り保育士とみなせるようになりました(下の「保育士とみなせる人」)。
年齢ごとの数え方の例
たとえば、0歳児が6人いれば6÷3で保育士2人以上、4・5歳児が50人いれば50÷25で2人以上です。複数の年齢の子どもがいるときの合計の出し方や端数の扱いは、第33条の条文には書かれていません。実際の配置は、自治体の条例や、公定価格の算定の決まりで確かめます。
2024年4月の改正と経過措置
3歳児15:1・4・5歳児25:1に
2024年3月13日に公布され、4月1日に施行された改正(令和6年内閣府令第18号)で、3歳児は20:1から15:1に、4・5歳児は30:1から25:1になりました。
- 施行の通知(こども家庭庁成育局長ほか・令和6年3月13日)は、こども未来戦略の「制度発足以来75年間一度も改善されてこなかった4・5歳児について、30対1から25対1への改善を図」るという方針を受けた改正だと説明しています。
- こども家庭庁の資料「保育提供体制の強化(職員配置基準の改善等)」(令和8年3月版)は、これを「制度創設以来76年ぶり」の改善と書いています。
- 同じ日に、小規模保育事業や事業所内保育事業の基準(家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準。同じ令和6年内閣府令第18号)と、幼保連携型認定こども園の基準(令和6年内閣府・文部科学省令第1号)も同じ数字に改正されました。
経過措置は2つに分かれた
改正の附則は、保育士などの配置の状況から、保育の提供に支障を及ぼすおそれがあるときは、改正前の基準によることを認めています。2026年3月16日の改正(令和8年内閣府令第10号)で、この経過措置は次のように分かれました。
| 年齢 | 経過措置の期間(いまの附則) |
|---|---|
| 3歳児(改正前 20:1) | 令和10年3月31日まで |
| 4・5歳児(改正前 30:1) | 当分の間 |
- こども家庭庁の「令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項」は、3歳児を15:1以上にしている施設の割合(幼稚園・保育所・認定こども園の全体)が、改正時(令和6年3月)の94.3%から令和7年7月には97.2%に上がったことを踏まえ、配置の改善を進めるため、3歳児の経過措置の期間を令和9年度末(令和10年3月31日)までにした、と説明しています。
- 施行の通知は、経過措置を使うかどうかを、条例を定める都道府県等が判断し、その区域内で一律に改正前の基準が効力を持つ形だとしています。
- 令和7年7月1日時点の配置改善の実施率は、幼稚園・保育所・認定こども園の全体で3歳児が97.2%、4・5歳児が93.9%、保育所だけでは97.1%・94.9%でした(こども家庭庁の資料)。
1歳児の「5:1」は基準ではなく加算
1歳児の配置基準は、第33条第2項のとおり、いまも6:1(満1歳以上満3歳に満たない幼児おおむね6人につき1人以上)です。
5:1は、令和7年4月から公定価格に設けられた 「1歳児配置改善加算」 の条件です。こども家庭庁の資料は、次の3つをすべて満たす施設・事業所が、1歳児の配置を5:1以上に改善した場合に加算するとしています(配置基準がすでに5:1以上の小規模保育C型・家庭的保育・居宅訪問型保育は対象外)。
- 処遇改善等加算の区分1〜3をすべて取得している
- 業務でICTの活用を進めている
- 施設・事業所の職員の平均経験年数が10年以上
令和7年7月1日時点の加算の取得率(取得予定を含む)は47.1%でした。こども家庭庁は、1歳児は3歳児や4・5歳児より多くの保育人材が要るので、まずは基準の見直しではなく加算で対応を進めた、と説明しています。
保育士とみなせる人・人数の特例
保育士の数を数えるとき、次の人を保育士とみなせる特例があります。
| みなせる人 | 上限・条件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 保健師・看護師・准看護師 | 1人に限り。乳児が4人未満の保育所では、子育てに関する知識と経験を持つ人を置き、保育士の支援を受けられる体制をつくる | 平成10年厚生省令第51号 附則第2項 |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員など(特定理学療法士等) | 1人に限り(2026年4月1日から)。子育てに関する知識と経験を持ち、保育士の支援を受けられる体制をつくる | 第33条第3項・第98条 |
| 幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭(普通免許状) | 当分の間。本来の保育士の数の3分の2以上は保育士を置く | 第95条・第97条 |
| 都道府県知事等が保育士と同等の知識と経験があると認める人 | 1日8時間を超えて開所する保育所で、利用定員に応じた数を超えて要る分。3分の2以上は保育士 | 第96条・第97条 |
| 同上 | 朝夕など子どもが少なく、必要な保育士が1人になるときの2人目 | 第94条 |
- 看護師等と専門職は併用でき(2人を保育士とみなせる)、その場合はそれぞれ別の保育士が支えます(こども家庭庁の通知、令和8年4月8日)。
- 第94条〜第97条の特例は、保育所・認定こども園・家庭的保育事業等が足りないことを理由に「当分の間」とされたもので、平成28年4月1日に施行された改正で設けられました(内閣の答弁書・平成28年8月15日は、この改正で保育士の配置の特例を設けたと説明しています)。
保育所以外の配置基準
| 施設・事業 | 配置の決まり | 根拠 |
|---|---|---|
| 幼保連携型認定こども園 | 比は保育所と同じ(25・15・6・3)。常時2人を下ってはならない。3歳以上は学級ごとに専任の保育教諭等を1人以上 | 幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準 第5条 |
| 小規模保育事業A型 | 保育所と同じ比で出した数の合計に1を加えた数以上を保育士で。看護師等・専門職を1人ずつ保育士とみなせ、附則に幼稚園教諭等の特例もある(保育所と同じ形) | 家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準 第29条第2項〜第4項・附則 |
| 小規模保育事業B型 | 合計に1を加えた数以上。そのうち半数以上が保育士(残りは研修を修了した保育従事者) | 同 第31条第2項 |
| 小規模保育事業C型 | 家庭的保育者1人が保育できるのは3人以下(家庭的保育補助者と一緒なら5人以下)。利用定員は6人以上10人以下 | 同 第34条第2項・第35条 |
| 家庭的保育事業 | 家庭的保育者1人あたり3人以下(家庭的保育補助者と一緒なら5人以下) | 同 第23条第3項 |
国の基準と自治体の条例
- 児童福祉施設の基準は、都道府県(指定都市・中核市を含む)が条例で定めます。配置する従業者とその員数は、国の基準に「従い定める」ものとされています(児童福祉法第45条第1項・第2項)。条例は国の数を下回れません。
- 都道府県等が条例で定める基準は「最低基準」と呼ばれ、児童福祉施設は最低基準を超えて、常に設備と運営を向上させなければならないとされています(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第2条・第4条)。実際の配置の基準は、施設のある自治体の条例で確かめます。
保育士試験での問われ方
保育士試験の筆記試験の法令は、令和8年の前期が「令和7年4月1日以前に施行されたもの」、後期が「令和8年4月1日以前に施行されたもの」に基づいて出題されます(全国保育士養成協議会の筆記試験の案内)。2024年4月の改正(15:1・25:1)は令和8年の前期・後期とも範囲に入り、2026年4月1日に施行された専門職のみなし(第33条第3項)は後期から範囲に入ります。配置基準は、保育原理(保育の制度)や子ども家庭福祉(児童福祉施設)の範囲で、次のような形が考えられます。
- 第33条(置く職員・年齢ごとの比・2人の下限)を、第34条(保育時間は1日8時間が原則で、保育所の長が定める)や第35条(養護及び教育を一体的に行う)と並べて、不適切なものを選ぶ。
- 小規模保育A型(+1)・B型(半数以上が保育士)・C型(定員6〜10人・3人以下)や、家庭的保育者1人あたりの人数を問う。
- 「国の基準に従い条例で定める」(児童福祉法第45条)の穴埋め。
例題: ぴよパスの保育士試験の問題から
ぴよパスのオリジナル予想問題から2問です(本試験の問題ではありません)。
例題1(保育原理) 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準に定める保育所の職員、保育時間及び保育の内容について、最も不適切なものを選ぶ問題です。
答え: 「保育所における保育時間は1日につき11時間と定められており、保育所の長がこれを変えることはできない」 が不適切。保育時間は1日8時間が原則で、保育所の長が地方の保護者の労働時間や家庭の状況を考えて定めます(第34条)。保育士の数(乳児おおむね3人に1人以上、1・2歳児おおむね6人に1人以上、保育所1につき2人を下らない)は適切な記述です。 この問題を解く →
例題2(保育原理) 家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準に定める小規模保育事業について、最も不適切なものを選ぶ問題です。
答え: C型の利用定員を「6人以上19人以下の範囲で定める」とする肢が不適切。C型の利用定員は6人以上10人以下です(第35条)。A型の保育士は合計に1を加えた数以上、B型は保育従事者の半数以上が保育士、C型で補助者と一緒なら1人あたり5人以下、はどれも適切です。 この問題を解く →
練習問題と模擬試験
ぴよパスの保育士試験の練習問題は、筆記試験の9科目ごとに解け、全問に解説があります。配置基準のような法令の数字は、保育原理の問題でまとめて確かめられます。9科目を通しで解く模擬試験(各科目の問題数と時間を本試験の半分にした、ぴよパス独自の形)は Premium の機能です。
まとめ
- 保育所の保育士の数は、0歳3:1・1〜2歳6:1・3歳15:1・4〜5歳25:1(いずれも「おおむね」)、保育所1つにつき2人以上(第33条第2項)。
- 2024年4月1日の改正で、3歳児は20:1から15:1、4・5歳児は30:1から25:1になった。こども家庭庁は、4・5歳児の改善を「制度創設以来76年ぶり」と説明。
- 改正前の基準によることもできる経過措置は、3歳児が令和10年3月31日まで、4・5歳児が当分の間。
- 1歳児の5:1は基準ではなく、令和7年4月からの公定価格の加算の条件。
- 看護師等と専門職は1人ずつ保育士とみなせる。幼稚園教諭などのみなしは、保育士を3分の2以上置くのが条件。
- 実際の配置は自治体の条例で決まり、国の数を下回れない。
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出典
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第4条・第33条・第94条〜第98条・附則(e-Gov法令検索・2026年10月20日の版と2024年3月31日の版で確認)、令和6年内閣府令第18号の附則(2026年3月16日以後の版)、児童福祉施設最低基準の一部を改正する省令(平成10年厚生省令第51号)附則第2項
- 家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第61号)第23条・第29条・第31条・第34条・第35条、幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準 第5条、児童福祉法 第4条・第45条(e-Gov法令検索・2026年10月20日に確認)
- こども家庭庁ほか「幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する命令等の施行について(通知)」(令和6年3月13日): https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/d63646dc/20240319_policies_hoiku_92.pdf
- こども家庭庁「保育提供体制の強化(職員配置基準の改善等)」【令和8年3月版】: https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/4514ac13/20260401_policies_hoiku_206.pdf
- こども家庭庁「令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項 ~各改定事項概要資料~」(令和8年4月): https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/330bfaef/20260409_policies_kokoseido_178.pdf
- こども家庭庁ほか「保育所等における特定理学療法士等の配置に関する特例について」(令和8年4月8日): https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/9e63c920/20260410_policies_hoiku_227.pdf
- 内閣「参議院議員田村智子君提出児童福祉施設最低基準の引き下げに関する質問に対する答弁書」(平成28年8月15日): https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/191/touh/t191007.htm


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