保育士資格は、都道府県知事が指定する保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格して取ります(児童福祉法第18条の6)。 そのあと都道府県の保育士登録簿に登録を受けて、はじめて「保育士」として働けます(同法第18条の18)。
この記事では、2つのルートの違い、通信や夜間で学べる養成施設、保育士試験の受験資格、幼稚園教諭免許状がある人の免除、合格してから登録までの流れを、児童福祉法・こども家庭庁・全国保育士養成協議会(保育士試験の指定試験機関)の案内で整理します。
ぴよパスでは、保育士試験の9科目のオリジナル予想問題を無料で解けます。全国保育士養成協議会とは関係がなく、本試験の問題を載せたものではありません。
結論: 保育士資格の取り方
- ルートを決める: 指定保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格する。
- 養成施設なら: 大学(4年)・短大(2年)・専門学校(2〜3年)など。通信教育や夜間の課程もある。卒業すれば試験は受けない。
- 保育士試験なら: まず受験資格(短大卒程度。高卒は児童福祉施設で2年以上・2,880時間以上の実務など)を確かめる。試験は年2回、筆記9科目のすべてに合格したあと実技試験。
- 幼稚園教諭免許状がある人は、保育の心理学・教育原理・実技試験が免除になる。
- 保育士登録をする: 登録事務処理センターで手続きをし、おおむね2か月で保育士登録証が交付される。
2つのルート — 養成施設を卒業するか、試験に合格するか
児童福祉法第18条の6は、保育士となる資格を持つ人を次のように定めています。
| 指定保育士養成施設ルート(第1号) | 保育士試験ルート(第2号) | |
|---|---|---|
| 中身 | 都道府県知事の指定する保育士養成施設(大学・短大・専門学校など)を卒業する | 保育士試験に合格する |
| 期間の目安 | 施設により2年制から4年制まで(こども家庭庁) | 受験資格を満たせば、年2回の試験から受けられる |
| 実習 | 保育の現場での保育実習がある | 筆記試験と実技試験。実習は無い |
| 向いている人 | 高校卒業後に学ぶ人、学び直す人 | 社会人、養成施設ではない学校を出た人 |
もう1つ、内閣総理大臣の認定を受けた都道府県・指定都市(認定地方公共団体)が行う地域限定保育士試験に合格して地域限定保育士の登録を受け、登録から3年を経過し、所定の期間その業務に従事した人も、保育士となる資格を持ちます(同条第3号・第18条の26〜第18条の28)。地域限定保育士は、登録をした自治体の区域の中でだけ働けます。
指定保育士養成施設 — 通信・夜間の課程もある
こども家庭庁の案内では、指定保育士養成施設は全国に675か所(令和3年4月1日時点。令和7年4月1日時点の一覧には667の課程が載っています)あり、大学(4年制)・短期大学(2年制)・専門学校(2年制・3年制)などがあります。卒業すれば試験を受けずに保育士となる資格を持ちます。
同じ案内は「通信教育や夜間学部を設けている学校もあるので、働きながら学ぶことも可能」としています。こども家庭庁の指定保育士養成施設一覧(令和7年4月1日時点)では、開講形態が通信教育制の課程が23あり、そのうち5は募集停止です(夜間部は10、昼夜開講制は8)。通信の課程を選ぶときは、一覧と学校の募集要項で、いま募集しているか、保育実習をどこで受けるかを確かめます。
保育士試験の受験資格
保育士試験は、受験資格を満たした人が受けられます(児童福祉法施行規則第6条の9)。全国保育士養成協議会の「受験資格詳細」から、主なものをまとめます。
| 区分 | 主な受験資格 |
|---|---|
| 大学・短大など | 大学に2年以上在学して62単位以上修得した人、短大・高等専門学校を卒業した人(卒業見込みも含む)、修業年限2年以上の専修学校の専門課程を卒業した人 など |
| 高校卒業 | 高校卒業者で、児童福祉施設で2年以上・総勤務時間2,880時間以上、児童の保護に従事した人 |
| 学歴を問わない | 児童福祉施設で5年以上・総勤務時間7,200時間以上、児童の保護に従事した人 |
| 経過措置 | 平成3年3月31日までに高校を卒業した人、平成8年3月31日までに高校の保育科を卒業した人 |
| 知事の認定 | 高校卒業者で、認定こども園・幼稚園・小規模保育事業・放課後児童健全育成事業・届出をした認可外保育施設などで2年以上かつ2,880時間以上児童等の保護に従事した人、学歴を問わず同じ施設等で5年以上かつ7,200時間以上従事した人 など |
「知事の認定」の区分は、受験を希望する都道府県知事の認定(受験資格認定)を先に受ける必要があります。こども家庭庁の案内も、受験資格は「概ね短期大学卒業程度」で、高校卒業でも「児童福祉施設で実務経験2年以上」などの条件を満たせば受けられる、としています。
保育士試験の形と費用
- 年2回(前期・後期)行われる。
- 筆記試験は、保育原理・教育原理及び社会的養護・子ども家庭福祉・社会福祉・保育の心理学・子どもの保健・子どもの食と栄養・保育実習理論(教育原理と社会的養護は別の科目として数えるので9科目)。科目ごとに満点の6割以上で合格(教育原理と社会的養護は同じ回で両方6割以上)。
- 実技試験は、筆記試験のすべてに合格した人が受ける。音楽・造形・言語の3分野から2分野を選ぶ。
- 合格した科目は、通常3年間は受け直さなくてよい。対象施設で所定の期間・時間、児童等の保護に従事すると、最長5年まで延びる。
- 受験手数料は12,700円(ほかに払込の手数料など。合計はオンライン申請で13,054円、郵送申請で13,963円)。オンライン申請と郵送申請がある。
令和7年度の合格率は19.4%(申請者54,807人中、合格者10,621人から計算。国家戦略特区の地域限定保育士試験を含む)でした。実技試験の課題と選び方は保育士試験の実技とは、公式の過去の試験問題は保育士試験の過去問はどこにあるの記事で説明しています。
幼稚園教諭免許状がある人の免除と特例
- 免除: 幼稚園教諭免許状(臨時免許を除く)を持つ人は、免除申請をすると「保育の心理学」「教育原理」「実技試験」が免除になります。1種・2種・専修の区分による違いはありません。
- 特例制度: 幼稚園教諭免許状を取ったあとに、対象施設で「3年以上かつ4,320時間以上」の実務経験がある人は、「保育実習理論」も免除され、指定保育士養成施設での学びで、ほかの科目も免除されます。特例の実施期間は令和11年度末までに延長されています。
合格・卒業のあと — 保育士登録
児童福祉法第18条の18は「保育士となる資格を有する者が保育士となるには、保育士登録簿に、氏名、生年月日その他内閣府令で定める事項の登録を受けなければならない」と定めています。保育士登録簿は都道府県に置かれ、登録をすると都道府県知事から保育士登録証が交付されます。
全国保育士養成協議会の案内では、保育士試験の合格者は「登録事務処理センター」で、合格通知書を使って登録の手続きをします。申請書類の受付から、おおむね2か月程度かかります。働き始める時期が決まっている人は、合格が分かったらすぐに手続きを始めます。
なお、「保育士免許」は通称で、法律の言葉は「保育士となる資格」と「保育士登録」です。全国保育士養成協議会は保育士を「国家資格」と案内しています。
保育士登録をするとできること
- 「保育士」と名乗れる(登録を受けた人だけ)。児童福祉法第18条の23は、保育士でない人が保育士やまぎらわしい名称を使うことを禁じています。
- 保育所は保育士を置かなければならない。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第33条は、保育所に保育士を置くことを求め、乳児おおむね3人に1人以上、満4歳以上の幼児おおむね25人に1人以上などの人数の基準を定めています(保育の提供に支障を及ぼすおそれがあるときは、附則の経過措置で、満3歳以上満4歳未満の部分は令和10年3月31日まで、満4歳以上の部分は当分の間、改正前の基準によれます)。
例題: ぴよパスの保育士の問題から
ぴよパスのオリジナル予想問題から2問です(本試験の問題ではありません)。保育士の資格と登録の決まりは、保育実習理論の範囲で問われます。
例題1 児童福祉法に規定する保育士に関する記述として、最も適切なものを一つ選びなさい。
- 保育士の業務は児童の保育に限られ、児童の保護者に対する保育に関する指導は保育士の業務に含まれない。
- 保育士試験に合格した者は、保育士登録を受けなくても、保育士の名称を用いて業務を行うことができる。
- 保育士登録簿は国に備えられ、保育士登録はこども家庭庁長官が行う。
- 児童福祉法は、保育士でない者が児童の保育の業務を行うことを禁止している。
- 保育士でない者は、保育士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならないとされている。
答え: 5。第18条の23の名称の使用の禁止です。合格しただけでは名乗れず(第18条の18第1項)、登録簿は都道府県に置かれます(同条第2項)。 この問題を解く →
例題2 児童福祉法に定める保育士となる資格、指定保育士養成施設及び保育士試験に関する記述として、最も適切なものを一つ選びなさい。
- 指定保育士養成施設とは、内閣総理大臣の指定する保育士を養成する学校その他の施設をいい、これを卒業した者は保育士となる資格を有する。
- 地域限定保育士登録を受けた日から起算して1年を経過し、かつ、内閣府令で定める期間以上その業務に従事した者は、保育士となる資格を有する。
- 保育士として必要な知識及び技能を有するかどうかの判定に関する事務を行わせるため、市町村に保育士試験委員を置く。
- 保育士試験委員は、在任中に限り、判定に関する事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないとされている。
- 保育士試験は、内閣総理大臣の定める基準により、保育士として必要な知識及び技能について、毎年1回以上、都道府県知事が行う。
答え: 5。第18条の8です。養成施設を指定するのは都道府県知事(第18条の6第1号)、地域限定保育士は「3年」(同条第3号)です。 この問題を解く →
練習問題と模擬試験の使い方
試験ルートで取る人は、受験資格を確かめたら筆記9科目の練習に移ります。ぴよパスの保育士試験の練習問題は科目ごとに解け、全問に解説があります。問題の内訳と公式の過去問との使い分けは保育士試験の予想問題を無料で解く、独学の進め方は保育士試験の勉強法の記事で説明しています。
本試験の科目の比率のまま、問題数と時間を半分にして通しで解く模擬試験は Premium の機能です。
まとめ
- 保育士資格は、指定保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格して取る(児童福祉法第18条の6)。
- 養成施設は2年制から4年制まで。通信・夜間の課程もある(令和7年4月1日時点の一覧で、開講形態が通信教育制の課程は23、うち5は募集停止)。
- 保育士試験の受験資格は短大卒程度。高卒は児童福祉施設で2年以上・2,880時間以上の実務、学歴を問わず5年以上・7,200時間以上の実務などで受けられる。
- 筆記9科目は科目ごとに6割で合格し、合格科目は通常3年有効。全科目に合格したら実技試験(3分野から2分野)。
- 幼稚園教諭免許状がある人は保育の心理学・教育原理・実技試験が免除になる。
- 保育士として働くには保育士登録が必要。手続きにはおおむね2か月かかる。
関連記事
出典
- 児童福祉法(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版)第18条の4・第18条の6・第18条の8・第18条の18・第18条の23・第18条の26〜第18条の28
- 児童福祉法施行規則(e-Gov法令検索)第6条の9・第6条の10
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)第33条・附則(令和6年4月1日施行の改正)
- こども家庭庁「保育士になるには」「保育」(指定保育士養成施設一覧 令和7年4月1日時点)、「保育士試験の実施状況(令和7年度)」
- 一般社団法人全国保育士養成協議会「保育士試験とは」「受験資格詳細」「受験申請方法」「幼稚園教諭免許状所有者の免除」「特例制度」「合格科目免除期間延長制度」「保育士の登録について」


![いちばんわかりやすい保育士合格テキスト [上巻] '27年版](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/4415241816.09.LZZZZZZZ.jpg)
![いちばんわかりやすい保育士合格テキスト [下巻] '27年版](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/4415241824.09.LZZZZZZZ.jpg)







