税務3級は、銀行業務検定試験の種目の1つです。主催は銀行業務検定協会で、個人の申込・正解表・問題解説集は経済法令研究会のサイトで扱っています。公式の案内によると、中堅の職員などを対象に、得意先や渉外の係に必要な、所得税と相続税・贈与税を中心にした基本的な税の知識を見る試験です。
成績が公表された直近3回の合格率は約25〜36%で、2026年3月の第163回は24.59%でした。受験資格の制限はなく、紙の公開試験(次は2026年12月6日)と、テストセンターのパソコンで受けるCBT方式(2027年3月31日まで)のどちらでも受けられます。
この記事では、銀行業務検定協会と経済法令研究会の公表資料から、試験の形・合格率・正解率の低かった論点・受け方の選び方と、2026年度に気をつけたい税制改正をまとめます。受験料や日程は年度で変わるので、申し込む前に公式の案内も確かめてください。
要点
- 五答択一50問・各2点・120分。100点満点中60点以上で合格。科目は 所得税20問・相続税と贈与税18問・法人税7問・その他の税金5問。
- 受験料は5,500円(税込)。CBT方式は別に事務手数料330円(税込)。
- 公開試験は2026年度から7月・12月の年2回。次は 第165回・2026年12月6日(日)10:00〜12:00(午前)、申込は 10月5日〜10月19日(個人のWeb申込は19日23:30まで)。
- CBT方式は 2026年6月1日〜2027年3月31日。法務3級・財務3級(4月27日から)より遅く始まる。
- 合格率は第160回36.04%・第162回32.64%・第163回24.59%。平均点は45〜50点台(45.06〜50.88点)。
- 生前贈与加算と譲渡所得は、直近5回のうち3回ずつ「正解率の低かった問題」に入った。
試験の形
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題形式 | 五答択一式50問(各2点) |
| 科目構成 | 所得税 20問 / 相続税・贈与税 18問 / 法人税 7問 / その他の税金 5問 |
| 試験時間 | 120分(公開試験は、始まってから60分と終わる前の10分は退席できない) |
| 合格基準 | 100点満点中60点以上(公開試験は「試験委員会にて最終決定」) |
| 受験料 | 5,500円(税込)。CBT方式は別に事務手数料330円(税込) |
| 電卓 | 公開試験は1台まで(金融計算・関数・メモ機能つきは不可)。CBT方式は持ち込めず、画面に出る電卓を使う |
所得税と相続税・贈与税で50問中38問を占めます。正解率の低かった問題にも、譲渡所得の金額や減価償却限度額のように、計算を伴うものが入っています。
2級・4級との違い
| 4級 | 3級 | 2級 | |
|---|---|---|---|
| 出題形式 | 三答択一式50問 | 五答択一式50問 | 三答択一付記述・計算式10題 |
| 試験時間 | 90分 | 120分 | 180分 |
| 受験料(税込) | 4,950円 | 5,500円 | 8,250円 |
| 2026年度の公開試験 | 12月だけ | 7月・12月 | 12月だけ |
| CBT方式 | あり | あり | なし |
| 第163回の合格率 | 62.14% | 24.59% | 28.46% |
第163回では、3級の合格率が2級より低くなりました。級が上がるほど合格率が下がるわけではないので、3級を「入門」と軽く見ずに準備することが大切です。
合格率と難易度
銀行業務検定協会の事務局報に載った成績結果は次のとおりです。旧日程の税務3級は、10月と3月の回に行われていました。第164回(2026年7月)の成績は、10月12日の時点では事務局報に載っていません。
| 回 | 実施日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 平均点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第157回 | 2024年3月3日 | 3,831人 | 955人 | 24.93% | 45.83点 |
| 第159回 | 2024年10月27日 | 2,545人 | 1,153人 | 45.30% | 55.69点 |
| 第160回 | 2025年3月2日 | 3,135人 | 1,130人 | 36.04% | 50.88点 |
| 第162回 | 2025年10月26日 | 1,915人 | 625人 | 32.64% | 48.54点 |
| 第163回 | 2026年3月1日 | 2,554人 | 628人 | 24.59% | 45.06点 |
回によって25%前後から45%まで大きく動き、この5回で平均点が60点に届いた回はありません。2023年3月の第154回では、成績が想定より大きく下回ったとして、合格基準点を60点から50点に下げた記録もあります。それだけ回ごとの難しさに差が出る試験です。
第163回は受験者の4割が信用金庫
事務局報の業態別の数字を見ると、受験者がいちばん多いのは信用金庫で、第163回は2,554人中1,080人でした。
| 回 | 信金 | 地銀 | 信連・農協 | 他団体・個人 | 全体 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第160回 | 1,269人・30.89% | 716人・46.79% | 574人・34.84% | 141人・42.55% | 3,135人・36.04% |
| 第162回 | 633人・29.54% | 450人・32.44% | 381人・29.66% | 114人・47.37% | 1,915人・32.64% |
| 第163回 | 1,080人・19.54% | 518人・32.24% | 458人・27.51% | 136人・30.15% | 2,554人・24.59% |
※ほかの業態(第二地銀・信組など)は省いています。
信用金庫の合格率は3回とも全体を下回り、第163回は2割を切りました。事務局報は理由を書いていませんが、勤め先を通して受ける人は、全体の合格率よりも自分の業態の数字を見て準備の量を決めてください。
正解率の低かった論点
事務局報は、回ごとに「正解率の低かった問題」を5問ずつ挙げています。
| 回 | 正解率の低かった問題 |
|---|---|
| 第157回 | 不動産所得の金額の計算・一時所得の課税対象・所得の損益通算等・生前贈与加算の扱い・消費税の免税事業者 |
| 第159回 | 不動産所得における資産損失の扱い・総合課税される譲渡所得の金額の計算・相続税の課税価格の合計額・各人の納付相続税額の評価(原文のまま)・家屋の評価 |
| 第160回 | 土地建物等の譲渡所得の金額の計算方法・生前贈与加算・葬式費用・相続税の未成年者控除・相続税の申告・納付 |
| 第162回 | 譲渡所得の課税対象・純損失および雑損失の扱い・事業承継税制・減価償却限度額の計算・受取配当金の益金不算入 |
| 第163回 | 生前贈与加算・取引相場のない株式の評価・贈与税の配偶者控除を適用した贈与税額の計算・交際費等の損金算入限度超過額の計算・法人事業税の課税 |
生前贈与加算(第157・160・163回)と 譲渡所得(第159・160・162回)は、5回のうち3回ずつ入りました。不動産所得と損益通算・純損失も2回ずつです。法人税では、第162回に減価償却限度額の計算と受取配当金の益金不算入、第163回に交際費等の損金算入限度超過額の計算が入りました。
ぴよパスでは、法令と公表資料から作ったオリジナル予想問題で、次の分野を練習できます(本試験の問題を再現したものではありません)。
| つまずく論点 | 練習できる分野 |
|---|---|
| 一時所得 | 所得の種類と金融商品の課税 |
| 譲渡所得・不動産所得・資産損失 | 不動産所得・事業所得・譲渡所得 |
| 損益通算・純損失と雑損失の繰越し | 損益通算・所得控除・税額控除と申告 |
| 生前贈与加算・葬式費用・課税価格 | 相続人と相続税の課税価格 |
| 未成年者控除・相続税の申告と納付 | 相続税額の計算と申告・納付 |
| 取引相場のない株式・家屋の評価 | 財産の評価 |
| 贈与税の配偶者控除 | 贈与税と相続時精算課税 |
| 減価償却・受取配当等の益金不算入・交際費 | 法人税 |
| 消費税の免税事業者・事業税(法人事業税は選択肢と解説で) | その他の税金(消費税・地方税・印紙税) |
第162回の事業承継税制の練習問題は、まだありません。
2026年度の税制改正の注意
CBT方式の期間(2026年6月1日〜2027年3月31日)の途中で、試験に関わる税の決まりがいくつも変わります。2026年度の試験がどの時点の法令で出題されるかは、公式サイトの案内には見当たりません(2020・2021年度のCBTの受験案内には「原則として(その年の)4月1日現在で施行されている法令等に基づいて出題されます」とありました)。前の年度のテキストで覚えた数字は、そのまま使えないことがあります。
- 所得税の基礎控除など(2025年12月1日施行・令和7年分から): 基礎控除は(合計所得金額2,350万円以下なら)48万円から58万円に、給与所得控除の最低額は55万円から65万円に上がりました。さらに合計所得金額に応じて基礎控除を上乗せする特例があります。
- 所得税の基礎控除など(2026年12月1日施行予定・令和8年分から): 基礎控除が62万円に、給与所得控除の最低額が69万円になり、扶養親族などの所得要件も変わります。上乗せの特例も、令和8・9年分は合計所得金額489万円以下なら42万円に変わります。
- 生前贈与加算(相続税法第19条): 相続の前の贈与を相続財産に足す期間は、2026年12月31日までの相続なら3年です。2027年1月1日以後の相続では「2024年1月1日から相続の開始の日まで」に延びていきます(最終的には7年)。
- 取引相場のない株式の評価: 純資産価額方式で差し引く法人税額等相当額の割合が、2026年4月1日以後の相続・贈与から37%から38%になりました。
- 消費税のインボイス: 2割特例は2026年9月30日の属する課税期間までです。2026年10月1日からは、免税事業者などからの仕入れに使える経過措置の割合が、2028年9月30日まで70%(その後は50%、30%と段階的に縮小)に変わりました。個人事業者には、令和9年・令和10年に売上税額の70%を仕入税額とみなせる特例(いわゆる3割特例)が設けられました。
ぴよパスの練習問題は、2026年4月1日に施行されている法令を基本にしています。答えが年によって変わる問題には「令和7年分の所得税」のように年分や日付を書いて、答えが1つに決まるようにしています(令和8年分からの数字は、解説で誤りの肢として触れています)。
2026年度の日程と受け方
| 方式 | 日程 | 申込 |
|---|---|---|
| 公開試験 第164回 | 2026年7月5日(日) | 終了 |
| 公開試験 第165回 | 2026年12月6日(日)10:00〜12:00 | 10月5日(月)9:00〜10月19日(月)23:30(個人のWeb申込) |
| CBT方式 | 2026年6月1日(月)〜2027年3月31日(水)のうち、申込日から3日目以降の好きな日 | 2027年3月28日まで |
12月6日の第165回は午前(10:00〜12:00)の実施です(7月の第164回は午後でした)。経済法令研究会の案内では、午前と午後を合わせて1日に2種目まで受けられます。同じ午前の財務3級・相続アドバイザー3級とは同じ日に受けられませんが、午後の法務3級・年金アドバイザー3級となら同じ日に受けられます。2026年度の公開試験は12月6日が最後で、2027年度の日程はまだ公表されていません。金融機関にお勤めの人は、勤務先を通した団体申込のことがあり、その方法は所属先に確かめるよう案内されています。個人で申し込んだ後に団体申込へ変えることはできません。
公開試験とCBTの違い
| 公開試験(紙) | CBT方式 | |
|---|---|---|
| 日程 | 7月・12月の決まった日 | 期間中の好きな日 |
| 電卓 | 1台まで持ち込める(金融計算・関数・メモ機能つきは不可) | 持ち込めない。画面の電卓を使う |
| 合否 | 成績は試験の約4週間後から通知 | その日に分かる(即時判定) |
| 問題 | 問題用紙を持ち帰れる | 持ち帰れない。スコアレポートと出題項目一覧を受け取る |
| 受験料 | 5,500円 | 5,500円+事務手数料330円 |
協会は、CBT方式の合格基準と出題範囲は公開試験と同じだと案内しています。公開試験の正解(番号だけ)は試験の3日後に経済法令研究会のサイトに出るので、12月6日の回なら12月9日です。過去問の入手先は、税務3級の過去問はどこで解ける?にまとめました。
まとめ
- 税務3級は、所得税と相続税・贈与税を中心に、法人税・消費税なども問う銀行業務検定の種目。五答択一50問・120分・60点以上で合格。
- 直近3回の合格率は約25〜36%(24.59〜36.04%)。表の5回で平均点が60点に届いた回は無い。
- 生前贈与加算と譲渡所得は、直近5回のうち3回ずつ正解率の低い問題に入った。法人税も第162回・第163回と続けて入っている。
- 2026年度は基礎控除・生前贈与加算・株式の評価・インボイスなどの決まりが変わる途中。年分と日付を意識して覚える。
- 次の公開試験は2026年12月6日の午前(個人のWeb申込は10月19日まで)。CBTなら2027年3月31日まで。
関連記事
出典
- 経済法令研究会「税務3級」(全国一斉公開試験の第165回の日程・申込・出題形式・科目構成・合格基準・試験時間・持込品): https://www.khk.co.jp/exam/exam_detail.php?pid=52136&oid=42
- 経済法令研究会「CBT税務3級」(CBT方式の期間・申込・事務手数料): https://www.khk.co.jp/exam/exam_detail.php?pid=54643&oid=2000000
- CBT-Solutions「税務3級」(予約・電卓・即時判定・スコアレポート): https://cbt-s.com/examinee/examination/khk-zeimu03.html
- 銀行業務検定協会「2026年度 検定試験 実施概要」: https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7361.pdf
- 銀行業務検定協会「事務局報」No.339(第154回の合格基準点)・No.344(第157回)・No.347(第159回)・No.349(第160回)・No.352(第162回)・No.354(第163回): https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/6243.pdf ・ https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/6844.pdf ・ https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/6951.pdf ・ https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7142.pdf ・ https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7380.pdf ・ https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7634.pdf
- 銀行業務検定協会「CBT方式 銀行業務検定試験 受験案内」2020年度・2021年度(「原則として2020年4月1日現在」「原則として2021年4月1日現在で施行されている法令等」): https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/4961.pdf ・ https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/5106.pdf
- 経済法令研究会「よくあるご質問」(1日2種目まで・CBTの問題の持ち帰りと電卓): https://www.khk.co.jp/faq/
- 経済法令研究会「税務2級」「税務4級」: https://www.khk.co.jp/exam/exam_list.php
- 経済法令研究会「試験の流れ」(正解の発表・成績の通知): https://www.khk.co.jp/exam/exam_flow.php
- e-Gov法令検索「所得税法」「相続税法」「租税特別措置法」・所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号): https://laws.e-gov.go.jp/
- 国税庁「財産評価基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし」(令和8年4月1日以後の法人税額等相当額): https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/r0803/01.htm











