日商簿記の3級と2級は、同じ「簿記」でも範囲と時間がかなり違います。3級は商業簿記だけ、2級は工業簿記と、連結会計などの商業簿記の応用が加わります。どちらの級を受けるかは、この差を見てから決めると迷いません。
この記事では、日本商工会議所の検定試験サイトの公表内容(2026年10月20日に確認)をもとに、3級と2級の違いを表で並べます。2027年4月1日から出題区分表と3級の配点が変わるので、その点も添えます。
試験の形の違い
| 項目 | 3級 | 2級 |
|---|---|---|
| 科目 | 商業簿記 | 商業簿記・工業簿記(原価計算を含む) |
| 題数 | 3題以内 | 5題以内 |
| 試験時間 | 60分 | 90分 |
| 合格基準 | 70%以上 | 70%以上 |
| 受験料(税込) | 3,300円 | 5,500円 |
| 受験資格 | なし | なし |
| 方式 | 統一試験(紙・年3回)・ネット試験(随時)・団体試験 | 同じ |
統一試験とネット試験は、出題範囲・問題の難易度・合格基準が同じで、合格も同じ扱いです。ネット試験をインターネットで申し込むと、受験料とは別に事務手数料550円(税込)がかかります。受験料は2024年4月1日施行分から今の額です。
日本商工会議所は、3級を「ビジネスパーソンが身に付けておくべき必須の基本知識」、2級を「経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ」と位置づけています。
範囲の違い — 2級で新しく入るもの
商工会議所簿記検定試験の出題区分表(2026年度の試験までは2022年度版)で、2級の欄から始まる主な項目を並べます。
| 区分 | 2級で新しく入る主な項目 |
|---|---|
| 工業簿記・原価計算 | 工業簿記の全体(費目別・部門別・個別原価計算・総合原価計算・標準原価計算・直接原価計算・原価・営業量・利益関係など)。3級には工業簿記の区分が無い |
| 連結会計 | 資本連結・非支配株主持分・のれん・連結会社間取引・未実現損益の消去・連結精算表と連結財務諸表 |
| 本支店会計 | 本支店間の取引・本支店合併財務諸表 |
| 税効果会計 | 引当金・減価償却・その他有価証券に係る一時差異に限る |
| 取引の処理 | 有価証券・リース取引(借手側)・外貨建取引・収益認識・無形固定資産(のれん・ソフトウェア)・引当金の一部・会社の合併 |
| 決算 | 株主資本等変動計算書 |
3級の範囲(現金預金・売掛金と買掛金・3分法・商品有高帳・減価償却の定額法など)は、2級の土台として使われます。3級の範囲の考え方は簿記3級の勘定科目の覚え方、2級で最初の壁になる工業簿記は簿記2級の工業簿記入門、連結は簿記2級の連結会計で扱っています。
合格率の違い
日本商工会議所の受験者データ(合格率 = 合格者数 ÷ 実受験者数)です。
| 方式 | 3級 | 2級 |
|---|---|---|
| 統一試験 第173回(2026年6月14日) | 33.8% | 15.1% |
| 統一試験 第172回(2026年2月22日) | 33.6% | 15.1% |
| 統一試験 第171回(2025年11月16日) | 34.5% | 23.6% |
| ネット試験 2026年4月〜6月 | 44.5% | 31.9% |
| ネット試験 2025年4月〜2026年3月 | 40.8% | 32.9% |
受験者の大半はネット試験です。2025年4月〜2026年3月のネット試験の受験者は、3級が276,477名、2級が141,072名でした。統一試験は第171回〜第173回で、3級が1回あたり約1.4万〜1.7万名、2級が約4.8千〜6.3千名(実受験者数)です。
2級の統一試験の合格率は、第171回の23.6%から第172回・第173回の15.1%まで、回によって大きく動きます。合格率の読み方は簿記2級の合格率と難易度と簿記3級の合格率と難易度で説明しています。
3級を飛ばして2級から受けてもよいか
受けられます。日本商工会議所は、学歴・年齢・性別・国籍を一切問わず、3級に合格していなくても2級を受験できるとしています。同時に、公式は「下位級から実力の到達レベルを確認しながら、順に受けていくこと」を勧めています。
| 出発点 | 考え方(ぴよパスの見立て) |
|---|---|
| 簿記を初めて学ぶ | 2級の商業簿記は3級の仕訳と決算の手順を使うので、3級の範囲から入るほうが遠回りにならない |
| 3級の範囲を独学で一通り終えた | 3級の受験を飛ばして2級に進む選択肢もある。ネット試験なら3級で力を確かめてから2級を予約できる |
| 経理の実務がある | 工業簿記と連結が新しい範囲になる。そこに時間を寄せる |
ネット試験では、会場に空席があれば、2級と3級を時刻を変えて同じ日に申し込めます。統一試験で同じ日に両方を受けられるかは全国の案内ページに書かれていないので、申し込む商工会議所に確かめてください。
2027年4月1日から変わること
| 変更 | 内容 |
|---|---|
| 出題区分表 | 2027年度版(2027年4月1日〜2028年3月31日の試験に適用)。紙の手形の廃止に合わせ、手形に関する規定はすべて削除 |
| 2級から3級へ移る範囲 | 販売のつど売上原価勘定に振り替える方法、有形固定資産の除却・廃棄、定率法による減価償却(3級では保証率・改定償却率の問題は出さない) |
| 2級のリース | 借手側に限るのは従来どおり。新しいリース会計基準に合わせ、短期リース・少額リースの取扱いを新設 |
| 3級の配点 | 第1問45点・第2問25点・第3問30点(合計100点・合格基準70点は同じ) |
| 2級の配点・出題形式 | 変更なし |
| 工業簿記・原価計算 | 区分表の変更なし |
2027年3月31日までの受験は、今の区分表と配点のままです。年度をまたいで受ける人は、使う教材がどちらの年度版かを確かめておくと安全です。
練習の進め方
ぴよパスでは、3級(仕訳問題・帳簿・勘定記入・決算)と2級(商業簿記・仕訳・商業簿記・個別論点・決算・財務諸表・工業簿記・原価計算・CVP)の練習問題を、無料で分野別に解けます。問題はすべてオリジナル予想問題です。3級は60分、2級は90分で通して解く模擬試験(3級・2級)は Premium(月980円)の機能です。
まとめ
- 3級は60分・3題以内・商業簿記だけ。2級は90分・5題以内で、工業簿記・連結会計・税効果会計などが加わる。
- 合格基準はどちらも70%以上。受験料は3級3,300円・2級5,500円(税込)。
- 受験資格は無く、3級を飛ばして2級も受けられる。公式は下位級から順を勧めている。
- 統一試験の合格率は第173回で3級33.8%・2級15.1%。ネット試験(2026年4〜6月)は3級44.5%・2級31.9%。
- 2027年4月1日から区分表が変わり、手形が削除され、2級の一部が3級へ移る。3級の配点も45・25・30点になる。
関連記事
出典
- 日本商工会議所「日商簿記2級 試験科目・注意事項」: https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2/exam
- 日本商工会議所「日商簿記3級 試験科目・注意事項」: https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class3/exam
- 日本商工会議所「日商簿記検定」(各級のレベル): https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping
- 日本商工会議所「2026年度 試験日程」(統一試験の日程・受験料): https://www.kentei.ne.jp/calendar_2026
- 日本商工会議所「ネット試験」(方式・事務手数料・合格の扱い): https://www.kentei.ne.jp/33013
- 日本商工会議所 よくあるご質問(受験資格・3級を持たずに2級): https://www.kentei.ne.jp/qa
- 日本商工会議所 簿記のよくあるご質問(併願・順に受けることの推奨・統一とネットの難易度): https://www.kentei.ne.jp/36388
- 日本商工会議所 ネット試験のよくあるご質問(同じ日に2級と3級): https://www.kentei.ne.jp/net-qa
- 日本商工会議所「受験者データ」: https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data
- 日本商工会議所「出題区分表」(2022年度版・2027年度版と改定項目の説明): https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/exam-list
- 日本商工会議所「2027年4月1日以降の日商簿記3級の配点について」(2026年9月25日): https://www.kentei.ne.jp/51504
2026年10月20日に日本商工会議所の検定試験サイトで確かめました。
※ ぴよパスは日本商工会議所・各地の商工会議所とは関係のない学習サイトです。試験名は試験を特定するために使っています。










