日商簿記2級の 過去問は、回ごとの全問は公開されていません。 日本商工会議所が回ごとに公開している過去問は1級の第158回以降だけで、2級・3級は「掲載いたしません」とされています。その代わりに、2021年度以降に2級・3級で出題された問題の一部 が「サンプル問題」として無料で公開されていて、2級は大問ごとに5セットあります。この記事では、公式が出しているもの・出していないものを整理し、サンプル問題の中身と答えの探し方、2027年4月からの出題区分表と勘定科目表の変更をまとめます。
公式が出しているもの・出していないもの
| 種類 | 2級の扱い |
|---|---|
| 本試験の問題(回ごとの全問) | 公開なし。回ごとの公開は1級の第158回(2021年6月)から。2級・3級は「掲載いたしません」 |
| 統一試験の問題の冊子 | 2021年度から試験後に回収。2級は問題用紙・答案用紙・計算用紙が一体の冊子で、全部回収 |
| ネット試験の問題 | 公開なし。試験後に、問題を含め試験で知った情報を複製・外部に開示すること(SNSなどへの掲載を含む)は禁止。計算・メモ用紙も会場で回収 |
| サンプル問題 | 2021年度以降に2級・3級で出題された問題の一部。2級は第1問・第2問・第3問・第4問(1)・第4問(2)・第5問を各5セット(問題と答案用紙のPDF) |
| サンプル問題の答え | 日本商工会議所は出していない(TACとネットスクールの解答を「ご参考」で紹介) |
| 出題の意図・講評 | 2級は第157回まで(第155回は試験が中止)。第158回からは1級だけ |
| 関連書籍のページ | 公認模擬試験サイト(有料・クレイポルド株式会社)と、市販の本試験問題集・予想問題集・テキストを紹介 |
日本商工会議所は2024年4月30日のお知らせで、2021年度から統一試験・団体試験の問題を試験後に回収していること、実際に過去に出題された問題がほしいという声を受けて、2021年度以降に2級・3級で出題された問題の一部を「サンプル問題」として無料で公開することを説明しています。つまり、サンプル問題は本試験で出た問題から選ばれたものです。ただし、どの回の問題かは書かれておらず、回ごとの全問がそろうわけではありません。
市販の本やウェブで「過去問」と書かれているものは、いつの、どの試験の問題か(今の出題区分表に合っているか)を確かめてから使いましょう。
サンプル問題5セットの場所と中身
サンプル問題は、日本商工会議所の「サンプル問題」のページ(級ごとの一覧)から、2級の「サンプル問題」に進むとあります。大問ごとに分かれていて、それぞれ問題と答案用紙のPDFが付いています。番号は大問ごとに付いているので、「サンプル5」は第1問から第5問の5番目のセットという意味です。
| セット | 掲載 |
|---|---|
| サンプル1・2・3 | 2024年4月 |
| サンプル4 | 2025年4月 |
| サンプル5 | 2026年4月 |
いちばん新しいサンプル5の中身は、次のとおりです。
| 大問 | サンプル5の内容 |
|---|---|
| 第1問 | 仕訳5問。勘定科目は設問ごとの8つの候補から選び、記号で答えます。建設仮勘定から建物への振替、土地の売却で生じた営業外電子記録債権、2つの履行義務がある販売と契約資産、貸倒引当金の損金不算入と税効果会計、利益準備金の取崩しと剰余金の配当 |
| 第2問 | 有価証券。売買目的で買った国債の勘定記入(端数利息を含む)と売却損益、同じ国債を満期保有目的で持った場合の満期保有目的債券の次期繰越額、その他有価証券で持った場合のその他有価証券評価差額金の次期繰越額(税効果会計を適用) |
| 第3問 | 決算整理前残高試算表と決算整理事項から、貸借対照表を完成させる(外貨建ての売掛金の換算、棚卸減耗と評価損、減価償却、のれんの償却、退職給付引当金など) |
| 第4問(1) | 工業簿記の仕訳3問。材料副費の予定配賦、賃金の消費、製造間接費の予定配賦 |
| 第4問(2) | 総合原価計算(平均法・正常減損は度外視法)。製造原価明細書を埋め、売上原価を計算する |
| 第5問 | CVP分析。営業利益、損益分岐点の販売枚数、同じ営業利益を上げるための固定費の削減額、記述のうち最も不適切なものを1つ選ぶ問題 |
サンプル問題では、第1問から第3問が商業簿記、第4問と第5問が工業簿記です。サンプル問題のページには、問題等の著作権は日本商工会議所にあり、無断転載・無断営利利用を禁じると書かれています。問題をそのまま他のサイトなどに載せることはできません。
サンプル問題の答えの探し方
日本商工会議所の2級のサンプル問題のページに載っているのは、問題と答案用紙だけで、正解は付いていません。答えは、1つ上の「サンプル問題」のページ(2級・3級の一覧)の「【ご参考】2級・3級 サンプル問題の模範解答・解説講義等」で、次の2社のページが紹介されています。
- TAC株式会社 — 2級の模範解答
- ネットスクール株式会社 — 2級・3級のサンプル問題の解説講義
どちらも、2026年5月にサンプル5の解答を足したと書かれています。ただし日本商工会議所は、これらは各企業・団体が独自に作ったもので、商工会議所としての公式な情報ではなく、内容の質問にも答えないとしています。答えが合わないときは、テキストや出題区分表で理由を確かめましょう。
本番の形(2級)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 科目 | 商業簿記・工業簿記(原価計算を含む) |
| 問題 | 5題以内 |
| 試験時間 | 90分 |
| 合格基準 | 70%以上 |
| 出題の基準 | 毎年度4月1日に施行されている法令等に準拠 |
| 受験料(ネット試験) | 5,500円(税込)。事務手数料はインターネット申込方式で550円(税込)、会場問い合わせ方式では0円〜(施行機関により異なる) |
サンプル問題は紙の答案用紙の形で、ネット試験の画面を操作できる体験版はありません(操作体験版があるのは簿記初級・原価計算初級だけです)。ネット試験では、仕訳問題の勘定科目はプルダウンで選び、金額は数字だけを入力します。金額や勘定科目名を入力する問題も出るので、入力の決まりは別に確かめておきましょう。ネット試験と統一試験の違いは「簿記2級のネット試験(CBT)と統一試験の違い」にまとめています。
2027年4月から変わること
配点と出題形式は変わりません。 日本商工会議所が2026年9月25日に発表した配点の変更は3級だけで、1級・2級などの配点と出題形式に変更はないと明記されています。
変わるのは 出題区分表と勘定科目表 です。2026年7月31日に2027年度版の確定版が出ました。紙媒体による手形・小切手の廃止と、リースの新しい会計基準(企業会計基準第34号)等にともなう改定で、2級に関係する主な点は次のとおりです。工業簿記・原価計算の区分表は変わりません。
- 手形の項目が削られます。 区分表の「手形」の項目がなくなり、2級の手形の更改(書換え)、手形の不渡、営業外支払(受取)手形、手形の(裏書)譲渡と割引は出題範囲から外れます。「債権の譲渡」の項目も、内容は「売掛金および買掛金ならびに電子記録債権等」の項目に移ります。電子記録債権の譲渡・割引は2級に残り、営業外電子記録債権・営業外電子記録債務も明記されます。
- 売掛債権の譲渡(ファクタリング) が明記されます。これまでの「その他の債権譲渡」を言い換えたもので、2級では、いわゆる買取型の簡易な出題に限るとされています。
- リース は、借手側のファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分がなくなります。2級は従来どおり借手側の処理だけで、利子込み法と利子抜き法の両方が出題されます。改定の説明書の仕訳例では「使用権資産」「リース負債」という勘定科目が使われていて、使う勘定科目に注意するよう書かれています。
- 短期リース・少額リース の取扱い(賃貸借処理)が2級に加わります。2級以上では、不動産の賃借を賃貸借処理するときは、支払家賃・支払地代ではなく支払リース料の勘定を使います。
- 勘定科目表 では、受取手形・支払手形・手形売却損などの手形の勘定科目がなくなり、売掛債権売却損が加わります。リースは、リース資産・リース債務に代わって使用権資産・使用権資産減価償却累計額・リース負債になります。
- 2026年度(2027年3月31日まで)の試験は、2022年度版の区分表のままです。
今出ているサンプル問題には、2027年度版の区分表で削られる論点も入っています。たとえばサンプル5の第3問には、取立てを頼んだ手形の代金の未記帳があり、残高試算表に受取手形があります。2027年4月以降に受ける人は、受ける時期に合わせて区分表で確かめましょう。
過去問の代わりの練習のしかた
- 論点ごとに仕訳と計算を固める — テキストを一通り読んだら、商業簿記の論点(有価証券・税効果・収益認識・連結など)と工業簿記の論点(材料・労務・経費、総合原価計算、CVP分析など)ごとに短い問題を解き、間違えた論点をテキストに戻って直します。
- サンプル問題を90分で通して解く — 第1問から第5問までの答案用紙を印刷し、本番と同じ90分で解きます。電卓は、試験で使える四則演算の機種を使います。
- TAC・ネットスクールの解答で採点する — 2級は大問ごとの配点が公式には示されていないので、正答がおおよそ7割に届いたかと、間違えた大問、時間が足りなかった大問を書き出します。
- 予想問題集で回数を増やす — サンプル問題は5セットしかないので、通しの練習は市販の本試験問題集・予想問題集で増やします。テキストと問題集の選び方は「簿記2級のおすすめテキスト・問題集」にまとめました。
工業簿記の考え方は「簿記2級 工業簿記の入門」、連結会計は「簿記2級 連結会計の攻略」も参考にしてください。
例題: ぴよパスの予想問題から2問
例題1(決算・税効果会計) 決算で貸倒引当金を100,000円繰り入れたが、そのうち40,000円は税法上の損金として認められず、将来減算一時差異になった。法定実効税率30%で税効果会計を適用する仕訳を選ぶ問題です。
答え: (借)繰延税金資産 12,000 /(貸)法人税等調整額 12,000。税効果の金額は、繰入額の全額ではなく一時差異の40,000円に税率を掛けて、40,000円×30%=12,000円です。将来減算一時差異は将来の税金を減らす効果があるので、資産の繰延税金資産を計上し、相手は法人税等調整額にします。 この問題を解く →
例題2(CVP分析) 売上高2,000,000円、変動費1,200,000円、固定費480,000円のとき、損益分岐点売上高はいくらか、という問題です。
答え: 1,200,000円。貢献利益は2,000,000円−1,200,000円=800,000円で、貢献利益率は800,000円÷2,000,000円=40%です。損益分岐点売上高は固定費÷貢献利益率で、480,000円÷0.4=1,200,000円になります。 この問題を解く →
ぴよパスでは、簿記2級のオリジナル予想問題を、商業簿記・仕訳、商業簿記・個別論点、決算・財務諸表、工業簿記、原価計算・CVPの5分野に分けて、登録不要・無料で公開しています。全問に解説が付いています。
ぴよパスの問題は4つの選択肢から1つを選ぶ形で、本試験の、勘定科目を選んで金額を書く(入力する)形とは違います。また、2026年度の試験(2022年度版の出題区分表)に合わせて作っています。論点の確認にはぴよパス、通しの練習にはサンプル問題と予想問題集、と使い分けてください。分野ごとの予想問題の解き方は「簿記2級の予想問題を無料で解く」にまとめています。全分野をまとめて時間を計って解く模擬試験は Premium(月480円)の機能です。出題内容はぴよパスのオリジナル予想問題で、本試験の合否を判定するものではありません。
当サイトの問題について
ぴよパスの問題は、日本商工会議所のサンプル問題や本試験の問題を写したものではなく、出題区分表などの公開資料をもとに独自に作った オリジナルの予想問題 です。
出典
- 日本商工会議所「1級過去問題(第158回~)」
- 日本商工会議所「簿記検定試験2・3級のサンプル問題の公開について」(2024年4月30日)
- 日本商工会議所「サンプル問題」「2級 サンプル問題」
- 日本商工会議所「出題の意図・講評」
- 日本商工会議所「2級 試験科目・注意事項」
- 日本商工会議所「2級関連書籍」
- 日本商工会議所「日商簿記検定試験(2級・3級・簿記初級・原価計算初級)ネット試験について」
- 日本商工会議所「2027年度以降の日商簿記3級試験問題の配点について」(2026年9月25日)
- 日本商工会議所「出題区分表」(2027年度適用の区分表・変更箇所・商業簿記標準・許容勘定科目表)と、改定項目等の説明書(2026年7月31日)
次に読む
- 簿記2級のおすすめテキスト・問題集 — 独学で使う本の選び方
- 簿記2級のネット試験(CBT)と統一試験の違い — どちらで受けるか
- 簿記2級の合格率と難易度 — ネット試験と統一試験の合格率









