簿記2級の仕訳問題を、第1問(商業簿記)と第4問(1)(工業簿記)の形で解けるオリジナルの15問にしました。答えと解説は問題のあとにまとめています。問題はすべてぴよパスが作ったもので、日本商工会議所の試験問題ではありません。
解き方: 問題の前に示した勘定科目の一覧から選んで、借方と貸方の科目と金額を書きます。商業簿記の13問は1問2〜3分、工業簿記の2問は1問1〜2分が目安です。
簿記2級の仕訳問題はどんな形か
日本商工会議所が公表している2級の試験の形は、商業簿記と工業簿記(原価計算を含む)の5題以内・90分・70%以上で合格です。統一試験(紙)とネット試験は、出題範囲・問題の難易度・合格基準が同じとされています。
| 項目 | 公式に書かれていること |
|---|---|
| 仕訳の問題数 | 公表されていない。公式のサンプル問題では、第1問が商業簿記の仕訳5問(勘定科目の候補は7〜8つ)、第4問(1)が工業簿記の仕訳3問(候補は6つ) |
| 配点 | 大問ごとの配点は公表されていない。2級の配点・出題形式は2027年度も変わらないと公表 |
| 採点のしかた | 採点基準・方法についての質問には一切答えない、としている |
| ネット試験の答え方 | 勘定科目はプルダウンで選ぶ。金額は数字だけ(カンマ不要)。同じ勘定科目は借方・貸方の中でそれぞれ1回まで |
| 法令の基準 | 毎年度4月1日現在で施行されている法令等に準拠して出題 |
2027年4月1日からは出題範囲が変わります。 2027年度の出題区分表では、紙の手形が廃止されたことから手形の項目がすべて削除されます。リースは借手の処理を「使用権資産」「リース負債」の勘定科目で扱う形に改められ、短期リース・少額リースの扱いが加わりました。売掛債権の譲渡(ファクタリング)も明記されています。この記事の15問は2026年度(2027年3月31日まで)の出題区分表の範囲から作り、手形とリースの問題は入れていません。
商業簿記の仕訳問題13問
勘定科目は、次の一覧から選んでください(公式のサンプル問題では、設問ごとに7〜8つの候補が示されています)。
当座預金・普通預金・未収入金・売掛金・電子記録債権・売買目的有価証券・商品・備品・機械装置・その他有価証券・建物・建物減価償却累計額・前払利息・未決算・繰延税金資産・買掛金・未払金・未払配当金・その他有価証券評価差額金・資本金・資本準備金・利益準備金・繰越利益剰余金・売上・仕入・有価証券売却益・投資有価証券売却益・国庫補助金受贈益・売上原価・為替差損益・減価償却費・固定資産圧縮損・電子記録債権売却損・火災損失・法人税等調整額
有価証券・固定資産(問1〜問6)
問1 売買目的でA社株式1,000株を1株1,200円で購入し、代金は証券会社への手数料12,000円とともに後日支払うこととした。
問2 問1で購入したA社株式のうち500株を1株1,300円で売却し、代金は後日受け取ることとした。
問3 備品(現金で買えば600,000円)を割賦で購入した。代金は毎月末に126,000円ずつ5回で支払う。利息に当たる額は資産の勘定で処理する。
問4 国庫補助金400,000円を受け取り、当座預金に預け入れた。
問5 問4の補助金を使って機械装置1,000,000円を購入し、代金は当座預金から支払った。あわせて、補助金の額について直接控除方式による圧縮記帳を行った(取得と圧縮を相殺せず、1つの仕訳の中に両方を示す)。
問6 前期に取得し、その他有価証券としていたB社株式(取得原価800,000円)を830,000円で売却し、代金は普通預金口座に振り込まれた。前期末に時価で評価した仕訳は、当期首に振り戻してある。
外貨・商品売買・債権(問7〜問10)
問7 米国の取引先から商品10,000ドルを輸入し、代金は掛けとした。取引日の為替相場は1ドル150円である(商品売買は三分法)。
問8 問7の買掛金10,000ドルを当座預金から支払った。支払日の為替相場は1ドル148円である。
問9 商品(原価70,000円)を100,000円で売り上げ、代金は掛けとした。商品売買は、販売のつど売上原価勘定に振り替える方法で記帳している。
問10 手元の電子記録債権300,000円を取引銀行に譲渡した。銀行は割引料3,000円を差し引き、残りを当座預金口座に入金した。
純資産・火災(問11〜問13)
問11 増資のため、株式200株を1株50,000円で発行し、払込金の全額が当座預金口座に入金された。払込金額のうち4分の3を資本金とし、残りは会社法の定めにしたがって処理する。
問12 株主総会で、繰越利益剰余金を財源とする1,500,000円の配当が決議された。決議の直前の資本金は8,000,000円、資本準備金は1,200,000円、利益準備金は500,000円である。利益準備金は、会社法と会社計算規則で積立てが必要とされる額だけ積み立てる。
問13 当期の6月30日に、倉庫として使っていた建物(取得原価4,000,000円、期首の減価償却累計額1,600,000円。間接法で記帳)が火災で焼失した。倉庫は保険金額3,000,000円の火災保険に入っており、同じ日に保険会社へ請求の手続きをした(支払われる額はまだ決まっていない)。決算日は3月31日で、この建物の減価償却費は1年120,000円を月割で計上する。
工業簿記の仕訳問題2問
勘定科目: 材料・仕掛品・製造間接費・買掛金・現金
問14 材料300,000円を掛けで購入し、引取運賃6,000円は現金で支払った。
問15 製造間接費を予定配賦する。予定配賦率は直接作業時間1時間あたり1,200円、当月の実際直接作業時間は500時間である。
答えと解説
| 問 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 売買目的有価証券 | 1,212,000 | 未払金 | 1,212,000 |
| 2 | 未収入金 | 650,000 | 売買目的有価証券 / 有価証券売却益 | 606,000 / 44,000 |
| 3 | 備品 / 前払利息 | 600,000 / 30,000 | 未払金 | 630,000 |
| 4 | 当座預金 | 400,000 | 国庫補助金受贈益 | 400,000 |
| 5 | 機械装置 / 固定資産圧縮損 | 1,000,000 / 400,000 | 当座預金 / 機械装置 | 1,000,000 / 400,000 |
| 6 | 普通預金 | 830,000 | その他有価証券 / 投資有価証券売却益 | 800,000 / 30,000 |
| 7 | 仕入 | 1,500,000 | 買掛金 | 1,500,000 |
| 8 | 買掛金 | 1,500,000 | 当座預金 / 為替差損益 | 1,480,000 / 20,000 |
| 9 | 売掛金 / 売上原価 | 100,000 / 70,000 | 売上 / 商品 | 100,000 / 70,000 |
| 10 | 当座預金 / 電子記録債権売却損 | 297,000 / 3,000 | 電子記録債権 | 300,000 |
| 11 | 当座預金 | 10,000,000 | 資本金 / 資本準備金 | 7,500,000 / 2,500,000 |
| 12 | 繰越利益剰余金 | 1,650,000 | 未払配当金 / 利益準備金 | 1,500,000 / 150,000 |
| 13 | 建物減価償却累計額 / 減価償却費 / 未決算 | 1,600,000 / 30,000 / 2,370,000 | 建物 | 4,000,000 |
| 14 | 材料 | 306,000 | 買掛金 / 現金 | 300,000 / 6,000 |
| 15 | 仕掛品 | 600,000 | 製造間接費 | 600,000 |
解説(間違えやすいところ)
- 問1 売買目的有価証券の取得原価には、証券会社への手数料を含めます(1,200 × 1,000 + 12,000 = 1,212,000。1株あたり1,212円)。
- 問2 売った株式の原価は 1,212 × 500 = 606,000円。売った金額650,000円との差額44,000円が有価証券売却益です。代金の後受けは未収入金です。
- 問3 支払総額 126,000 × 5 = 630,000円と現金で買ったときの600,000円の差額30,000円が利息に当たる額で、問題文の指示どおり「前払利息」(資産)にします。商品以外の代金の後払いなので未払金です。手形を振り出して払う形(営業外支払手形)は、2027年度の出題区分表から削除されます。
- 問4・問5 受け取った補助金は「国庫補助金受贈益」(収益)。直接控除方式では、補助金の額だけ「固定資産圧縮損」を立てて機械装置の帳簿価額を減らします(1,000,000 − 400,000 = 600,000)。同じ設問の中で、機械装置が借方と貸方に1回ずつ出るのは決まりの範囲内です。
- 問6 その他有価証券の決算の時価評価は、翌期首に振り戻します(洗替法)。そのため売るときの帳簿価額は取得原価の800,000円で、売った額との差30,000円が「投資有価証券売却益」です。売買目的有価証券の「有価証券売却益」とは科目が違います。
- 問7・問8 輸入した日の相場(150円)で仕入と買掛金を計上し、支払った日の相場(148円)との差20,000円を「為替差損益」にします。円で払う額が減ったので、貸方(差益)です。
- 問9 販売のつど売上原価勘定に振り替える方法では、売り上げるたびに原価70,000円を「商品」から「売上原価」に移します。三分法の「仕入」は使いません。
- 問10 電子記録債権を銀行に譲渡して差し引かれた割引料は「電子記録債権売却損」(費用)です。
- 問11 払込金額は 50,000 × 200 = 10,000,000円。会社法は、払い込まれた額の2分の1を超えない額を資本金にしないことを認め、資本金にしなかった額は資本準備金にするとしています(会社法 第445条第2項・第3項)。資本金は 10,000,000 × 3/4 = 7,500,000円、残りの2,500,000円が資本準備金です。資本金にしない額が2分の1以内なので、この配分は認められます。
- 問12 積み立てる準備金は、配当の10分の1(150,000円)と、資本金の4分の1(2,000,000円)から今の準備金の合計(1,200,000 + 500,000 = 1,700,000円)を引いた額(300,000円)の、少ない方の150,000円です(会社法 第445条第4項・会社計算規則 第22条)。繰越利益剰余金を財源とする配当なので、利益準備金を積み立てます。準備金の合計が資本金の4分の1に近いときは、引き算の側が少なくなることもあります。
- 問13 期中に焼失したので、まず4月から6月までの3か月分の減価償却費 120,000 × 3/12 = 30,000円を計上します。焼失したときの帳簿価額は 4,000,000 − 1,600,000 − 30,000 = 2,370,000円で、これを保険金が確定するまで「未決算」にします。保険金額(3,000,000円)が帳簿価額を上回っているので、この時点では損失を計上しません。保険金の額が決まったら、未決算と比べて差額を火災損失または保険差益にします。
- 問14 材料の引取運賃(材料副費)は、材料の取得原価に含めます(300,000 + 6,000 = 306,000)。
- 問15 予定配賦額は 1,200 × 500 = 600,000円。製造間接費から仕掛品へ振り替えます。実際の発生額との差は、月末に製造間接費配賦差異にします。
間違えやすいところ
| 論点 | 分かれ目 |
|---|---|
| 有価証券の取得原価 | 手数料などの付随費用は取得原価に含める(問1) |
| 割賦購入の利息 | 問題文が「資産の勘定」なら前払利息、「費用の勘定」なら支払利息(問3) |
| 圧縮記帳 | 2級は直接控除方式に限る。圧縮損を立てて資産を減らす(問5) |
| その他有価証券の売却 | 売却益は「投資有価証券売却益」。期末の評価差額は損益にせず純資産に置き、翌期首に振り戻す(問6) |
| 為替差損益 | 取引日と決済日の相場の差。円で払う額が減れば差益(問8) |
| 準備金の積立て | 配当の10分の1と、資本金の4分の1までの不足額の少ない方(問12) |
| 未決算 | 保険金が確定するまでは帳簿価額で未決算にする(問13) |
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まとめ
- 2級の仕訳の問題数と配点は公表されていません。公式のサンプル問題では、第1問が仕訳5問、第4問(1)が工業簿記の仕訳3問でした。
- 間違えやすいのは、付随費用の扱い・圧縮記帳・その他有価証券の売却益の科目・為替差損益・準備金の積立額・期中の焼失の減価償却と未決算です。
- 2027年4月から、手形の項目が削除され、リースの勘定科目が変わります。古い問題集の手形とリースの問題は、受ける時期に合わせて扱ってください。
関連記事
出典
- 日本商工会議所「2級 試験科目・時間・合格基準」(商業簿記・工業簿記5題以内・90分・70%以上、毎年度4月1日現在施行の法令等に準拠): https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2/exam
- 日本商工会議所「日商簿記検定試験(2級・3級・簿記初級・原価計算初級)ネット試験について」(プルダウン方式・金額の入力・同じ勘定科目は借方・貸方の中でそれぞれ1回): https://www.kentei.ne.jp/33013
- 日本商工会議所「2027年度以降の日商簿記3級試験問題の配点について」(1級・2級の配点・出題形式は変更なし): https://www.kentei.ne.jp/51504
- 日本商工会議所「簿記検定試験 出題区分表等」(2026年度は2022年度版を適用・商業簿記標準・許容勘定科目表)と、2027年度の出題区分表の確定(2026年7月31日)・改定の説明書: https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/exam-list ・ https://www.kentei.ne.jp/51147
- 日本商工会議所「サンプル問題」(2級第1問・第4問(1)): https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/sample/sample-two
- e-Gov法令検索: 会社法 第445条、会社計算規則 第22条(2026年4月1日の時点で施行されている版): https://laws.e-gov.go.jp/
2026年10月21日に日本商工会議所の検定試験のサイトとe-Gov法令検索で確かめました。
※ ぴよパスは日本商工会議所とは関係のない学習サイトです。試験名は試験を特定するために使っています。問題はすべてぴよパスのオリジナルで、本試験の問題ではありません。











