結論: 合格率は CBT 約 40% 安定 / 統一試験 28〜42% 変動
簿記3級の合格率を見るときに最初に押さえるべきは、ネット試験 (CBT) と統一試験 (ペーパー) で合格率が違う という事実です。
日本商工会議所が公表している直近 5 回分の統一試験合格率と、直近 6 年分の CBT 合格率は次のとおりです。
統一試験 (ペーパー) 過去 5 回
| 回 | 試験日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 第 172 回 | 2026/2/22 | 17,140 名 | 5,757 名 | 33.6% |
| 第 171 回 | 2025/11/16 | 16,648 名 | 5,743 名 | 34.5% |
| 第 170 回 | 2025/6/8 | 18,935 名 | 8,024 名 | 42.4% |
| 第 169 回 | 2025/2/23 | 21,026 名 | 6,041 名 | 28.7% |
| 第 168 回 | 2024/11/17 | 19,588 名 | 5,785 名 | 29.5% |
統一試験は 28.7% から 42.4% まで 14 ポイント の振れ幅があります。回によって難易度がばらつき、合格率は予測しにくい構造です。
ネット試験 (CBT) 過去 6 年
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025 年度 | 276,477 名 | 112,797 名 | 40.8% |
| 2024 年度 | 254,433 名 | 98,235 名 | 38.6% |
| 2023 年度 | 238,155 名 | 88,264 名 | 37.1% |
| 2022 年度 | 207,423 名 | 85,378 名 | 41.2% |
| 2021 年度 | 206,149 名 | 84,504 名 | 41.0% |
| 2020 年度 (12月-3月) | 58,700 名 | 24,043 名 | 41.0% |
CBT は 6 年連続で 37〜42% の範囲 に収まっています。年度間の振れ幅は約 4 ポイントと、統一試験の 14 ポイントと比べてはるかに安定しています。
編集部の見立てでは、合格率だけを見て「簿記3級は易しい」と判断するのは危険です。合格率 40% = 受験者の 6 割が落ちる試験 であり、80〜100 時間の独学計画を立てずに挑むと、本番で第3問の精算表に対応できず合格点 70 点に届かないケースが目立ちます。
勉強時間の具体的な配分は、別記事の勉強時間記事を参照してください
統一試験の合格率が揺れる理由
統一試験は 同じ日に全員が同じ問題を解く ため、出題内容の難易度がそのまま合格率に反映されます。日本商工会議所の公式データを見ると、過去 5 回でも以下のような特徴があります。
| 合格率レンジ | 該当回 | 出題の傾向 |
|---|---|---|
| 40%超 (易しい回) | 第 170 回 (42.4%) | 第3問が定番パターン (精算表)、第2問が基本問題 |
| 30%台 (標準回) | 第 171・172 回 (33.6〜34.5%) | 第3問に応用要素、第2問で頻度低めの論点 |
| 30%未満 (難しい回) | 第 168・169 回 (28.7〜29.5%) | 第3問が変則的、第2問で出題頻度の低い論点 (伝票・補助簿) |
「過去に出題頻度が低かった論点」「応用的な出題形式」が出ると、受験者の正答率が下がり合格率も下がります。直前期にテキストの章末問題ばかり解いていた受験者は、応用形式に対応できず本番で失点します。
統一試験で 1 発合格を狙うなら、予想問題集 (本試験形式 60 分 3 部構成) を直前 2 週間で 5 回以上回し、第2問の出題頻度の低い論点 (伝票・補助簿の細部) と第3問の応用パターン (精算表ではなく財務諸表作成形式 等) にも対応できるようにする必要があります。
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ネット試験 (CBT) の合格率が安定する理由
CBT は 受験者ごとに問題がランダムで配信される 仕組みのため、出題の難易度が平準化されます。1 人が「難しい問題ばかり当たる」可能性もあれば、別の 1 人が「易しい問題ばかり当たる」可能性もあり、母集団で見ると合格率が安定します。
| 比較項目 | CBT (ネット試験) | 統一試験 (ペーパー) |
|---|---|---|
| 出題範囲 | 同一 | 同一 |
| 配点 | 第1問 45 / 第2問 20 / 第3問 35 | 第1問 45 / 第2問 20 / 第3問 35 |
| 合格基準 | 70 点以上 | 70 点以上 |
| 試験時間 | 60 分 | 60 分 |
| 出題パターン | 受験者ごとにランダム | 全員同一 |
| 合格率の安定性 | 6 年連続 37〜42% で安定 | 28.7〜42.4% で変動 |
| 受験日 | 通年随時 (3 日前まで予約) | 年 3 回 (6/11/2 月) |
| 結果通知 | 試験終了直後にスコア表示 | 試験後 約 1 か月 |
| 受験料 | 3,300 円 + 事務手数料 550 円 | 3,300 円 (試験会場により別途) |
CBT の利点は 合格率が予測しやすい ことです。標準的な学習量 (100 時間) で挑めば、約 40% の合格率に乗ります。
ただし「CBT は易しい」と思って学習量を減らすと逆に落ちます。CBT も統一試験も合格基準 70 点・出題範囲同一なので、必要な勉強量は同じです。
「難しい」と感じる人が落ちる典型 4 パターン
合格率 40% = 受験者の 6 割が落ちる中で、落ちる人の典型を分析すると 4 パターンに集約されます。
1. 第3問 (精算表/財務諸表 35 点) で 10 点台に沈む
最も多いパターンです。第1問の仕訳 15 問は 30 時間程度の演習で 30 点以上取れる人が多いですが、第3問の決算整理仕訳 + 精算表/財務諸表の作成手順は習熟に時間がかかります。第1問 30 点 + 第2問 12 点 + 第3問 12 点 = 合計 54 点 で不合格、というケースが目立ちます。
対策: 第3問対策に 100 時間中 30 時間 を割く。具体的には決算整理仕訳の典型 8 パターン (売上原価計算・売掛金/買掛金残高調整・貸倒引当金・減価償却・前払/未払・前受/未収・消費税の精算・当期純利益の算定) を覚え、精算表 + 損益計算書 + 貸借対照表の 3 形式すべてで解けるようにする。
2. 第1問の仕訳ばかり練習して第2問・第3問を後回し
第1問の仕訳は 100 問単位で反復しやすく、達成感を得やすいため、ここに時間を集中しがちです。しかし第2問 (20 点) と第3問 (35 点) で 55 点を占めるので、第1問 45 点で満点を取っても他で 25 点しか取れないと 合計 70 点ぎりぎり で危険です。
対策: 第1問・第2問・第3問の 配分時間を 30 : 15 : 30 で均等化する (合計 75 時間)。
3. テキストを読むだけで問題を解かない
簿記は概念を理解する科目ではなく、手を動かして仕訳を書く スキルが必要な科目です。テキスト読了に 60 時間以上を使い、問題演習が 30 時間しかなかった人は、本番で手が動かず時間切れになります。
対策: テキスト 30〜40 時間 + 問題演習 60〜70 時間 に配分を逆転する。
4. CBT 受験なのに紙のテキストだけで終わる
CBT は画面で電卓を使い、用紙に下書きをし、画面で回答を入力します。紙のテキストだけで学習すると、本番の画面操作に 5〜10 分を浪費します。
対策: CBT 受験予定なら Web 模擬試験プログラム付き の教材を選び、本番形式で 5 回以上練習する。
CBT と統一試験 どちらを選ぶか
公式データを踏まえると、判断軸は次のとおりです。
| 自分の状況 | 推奨 |
|---|---|
| 1 発合格の確率を最大化したい | CBT (約 40% 安定) |
| 受験日を柔軟に決めたい (社会人/学生) | CBT (通年随時、3 日前まで予約) |
| 結果をすぐ知りたい | CBT (試験終了直後にスコア) |
| 統一試験の易しい回を狙いたい | 統一試験 第 170 回タイプ (42.4%) |
| 紙の答案用紙でじっくり解きたい | 統一試験 |
| 周囲と同時受験で士気を上げたい | 統一試験 (年 3 回の集中受験) |
「とりあえず CBT で受けてみよう」と複数回挑戦するアプローチは可能ですが、受験料 3,300 円 + 事務手数料 550 円 = 3,850 円 × 受験回数 で 1 万円超のコストになります。100 時間の標準計画を立てて 1 発合格する方が、結果的にコストも時間も安く済みます。
受験前のチェックリスト
合格率 40% の中の合格 4 割側に入るために、本番前に確認すべき項目です。
- 公式合格率 (CBT 約 40% / 統一試験 28〜42%) を理解した
- 第1問 45 点 + 第3問 35 点 = 80 点が合否を分ける配点と理解した
- 第3問の決算整理仕訳 8 パターンを覚えた
- テキスト読了 30〜40 時間 + 問題演習 60〜70 時間の配分にした
- CBT 受験なら Web 模擬試験プログラムで本番形式 5 回以上練習した
- 統一試験受験なら直前 2 週間で予想問題集 60 分 3 部構成を 5 回以上回した
- 当日は第1問 → 第3問 → 第2問 の順 (合計点で 80 点先確保) で解く戦略にした
合格率は受験する側を選ぶ数字ではなく、自分が 4 割側に入るか 6 割側に入るかは学習配分で決まる ことを覚えておいてください。
出典:













