消火器の種類は、放射する消火剤で分かれます。消火器の技術上の規格を定める省令(以下「規格省令」)第1条の2は、水・酸アルカリ・強化液・泡・ハロゲン化物・二酸化炭素・粉末の消火器を定義し、圧力のかけ方で加圧式と蓄圧式を分けています。どの消火器がどの火災に使えるかは、消防法施行令の別表第二の表で決まっています。
消火器の種類と適応性は、消防設備士乙種6類の構造・機能と実技(鑑別)で学ぶ論点です。この記事は、e-Gov法令検索の2026年10月時点の版(消防法施行令は2025年10月1日施行の版、規格省令と消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令は2019年7月1日施行の版)をもとに書いています。
消火器の種類と適応する火災を1枚で
消防法施行令別表第二から、建築物その他の工作物・電気設備・第4類の危険物の3つの欄を抜き出しました。一般に「普通火災(A火災)」「油火災(B火災)」「電気火災(C火災)」と呼ばれるものにおおむね対応します。
| 消火器(別表第二の区分) | 建築物その他の工作物 | 電気設備 | 第4類の危険物 |
|---|---|---|---|
| 棒状の水を放射する消火器 | ○ | — | — |
| 霧状の水を放射する消火器 | ○ | ○ | — |
| 棒状の強化液を放射する消火器 | ○ | — | — |
| 霧状の強化液を放射する消火器 | ○ | ○ | ○ |
| 泡を放射する消火器 | ○ | — | ○ |
| 二酸化炭素を放射する消火器 | — | ○ | ○ |
| ハロゲン化物を放射する消火器 | — | ○ | ○ |
| 消火粉末(りん酸塩類等)を放射する消火器 | ○ | ○ | ○ |
| 消火粉末(炭酸水素塩類等)を放射する消火器 | — | ○ | ○ |
○は、別表第二でその対象物に適応するとされているものです。別表第二にはこのほか、第1類〜第6類の危険物の細かい区分や指定可燃物の欄があり、乾燥砂・膨張ひる石なども並んでいます。
粉末消火器 — りん酸塩類等と炭酸水素塩類等
粉末消火薬剤は、防湿加工をしたナトリウムやカリウムの重炭酸塩その他の塩類、またはりん酸塩類・硫酸塩類その他防炎性のある塩類(りん酸塩類等)でなければなりません(消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令第7条)。呼び寸法180マイクロメートル以下の微細な粉末であることなども決まっています。
| りん酸塩類等 | 炭酸水素塩類等 | |
|---|---|---|
| 一般的な呼び名 | ABC消火器(ABC粉末) | BC消火器(BC粉末) |
| 建築物その他の工作物 | 適応する | 適応しない |
| 電気設備・第4類の危険物 | 適応する | 適応する |
| 着色 | 淡紅色系の着色が義務(同条第2項) | — |
水と強化液 — 棒状か霧状かで電気設備が変わる
水と強化液の消火器は、霧状に放射するものだけが電気設備に適応し、棒状のものは適応しません(別表第二)。さらに第4類の危険物(油)に適応するのは、霧状の強化液だけです。
強化液消火薬剤は、アルカリ金属塩類等の水溶液で、アルカリ金属塩類の水溶液はアルカリ性反応を示し、凝固点が零下20度以下でなければなりません(消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令第3条)。
泡・二酸化炭素・ハロゲン化物
泡を放射する消火器は、建築物その他の工作物と第4類の危険物に適応し、電気設備には適応しません。泡消火器には、化学反応で泡を作る化学泡消火器と、それ以外の機械泡消火器があります。放射できる量の基準は充てん量の90パーセント以上で、化学泡消火薬剤だけは85パーセント以上です(規格省令第10条第4号)。住宅用消火器は、消火剤によらず85パーセント以上に読み替えられます(第45条)。
二酸化炭素とハロゲン化物を放射する消火器は、電気設備と第4類の危険物に適応し、建築物その他の工作物には適応しません。また、二酸化炭素またはハロゲン化物(ハロン1301を除く)を放射する消火器は、地下街・準地下街と、換気に有効な開口部の面積が床面積の30分の1以下で、かつ床面積が20平方メートル以下の地階・無窓階・居室に置いてはいけません(消防法施行令第10条第2項第1号ただし書、消防法施行規則第11条)。
蓄圧式と加圧式の違い
| 蓄圧式の消火器 | 加圧式の消火器 | |
|---|---|---|
| 定義(規格省令第1条の2) | 本体容器内の圧縮ガス(空気・窒素ガス等)の圧力、または充てんされた消火剤の圧力で放射する | 加圧用ガス容器の作動、化学反応、または手動ポンプの操作で生じる圧力で放射する |
| 指示圧力計 | 設ける(二酸化炭素消火器とハロン1301消火器を除く。第28条) | 指示圧力計の定めはない。圧力調整器を設けるものは、その圧力計の調整圧力の範囲を緑色で明示(第26条第3号) |
| 指示圧力計の表示 | 使用圧力の範囲を緑色で明示(第28条第7号) | — |
| 住宅用消火器 | 住宅用消火器は蓄圧式で、消火剤を再充てんできない構造(第39条) | 住宅用消火器にはできない |
| 内部及び機能の点検 | 製造年から5年を経過したもの | 製造年から3年を経過したもの(化学泡消火器は設置後1年) |
見分けるときは、本体の表示で加圧式か蓄圧式かを確かめます(第38条第1項第3号)。指示圧力計があれば蓄圧式の手がかりになりますが、二酸化炭素消火器とハロン1301消火器は蓄圧式でも指示圧力計がなく、加圧式でも圧力調整器付きのものには圧力計があります。点検の年数は、消防庁の点検要領の「第1 消火器具」によります。製造から10年で要る耐圧性能の点検と、使用期限の表示は 消火器の使用期限 にまとめています。
本体の表示で種類を確かめる
規格省令第38条は、本体に表示する事項として、消火器の区別(第1項第1号)、住宅用消火器でない旨(第2号)、加圧式か蓄圧式かの区別(第3号)、B火災や電気火災に使ってはいけない消火器はその旨(第6号)などを挙げています。同条第4項は、適応する火災を「普通火災用」「油火災用」「電気火災用」と表示し、絵表示を付けることを決めています。
| 火災の区分 | 絵表示の地色 | 絵表示の色 |
|---|---|---|
| A火災(普通火災) | 白色 | 炎は赤色、可燃物は黒色 |
| B火災(油火災) | 黄色 | 炎は赤色、可燃物は黒色 |
| 電気火災 | 青色 | 電気の閃光は黄色 |
消火器の外面は、その25パーセント以上を赤色仕上げにします(規格省令第37条)。どの建物に何本置くかは 消火器の設置基準 で、鑑別での見分け方は 消防設備士乙6の鑑別対策 で扱っています。
取り違えやすい文
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 炭酸水素塩類等の粉末消火器は、建築物の普通の火災にも適応する | 誤り | 適応するのは電気設備と第4類の危険物など(消防法施行令別表第二) |
| 棒状の強化液を放射する消火器は、電気設備に適応する | 誤り | 電気設備に適応するのは霧状のもの |
| 蓄圧式の二酸化炭素消火器には、指示圧力計を設けなければならない | 誤り | 二酸化炭素消火器とハロン1301消火器は除かれる(規格省令第28条) |
| 住宅用消火器には、加圧式のものもある | 誤り | 住宅用消火器は蓄圧式(規格省令第39条) |
| ハロン1301消火器は、床面積20平方メートル以下の無窓階にも置ける | 正しい | 消防法施行規則第11条第1項でハロン1301は除かれる |
ぴよパスのオリジナル予想問題で、乙6 の消火器の論点を確かめられます。
出典
- 消防法施行令 第10条・別表第二(e-Gov法令検索・2025年10月1日施行の版)
- 消防法施行規則 第11条(e-Gov法令検索・2026年6月26日施行の版)
- 消火器の技術上の規格を定める省令 第1条の2・第10条・第26条・第28条・第37条・第38条・第39条・第45条(e-Gov法令検索・2019年7月1日施行の版)
- 消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令 第3条・第7条(e-Gov法令検索・2019年7月1日施行の版)
- 消防庁予防課長通知「消防用設備等の点検要領の一部改正について」(平成22年12月22日付け消防予第557号)と別添「第1 消火器具」
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