乙種6類の実技は鑑別等だけです。製図はありません。そのかわり実技単独で60%以上が必要なので、筆記が取れていても鑑別で落ちれば不合格になります。
鑑別で問われるものは大きく2つです。写真から消火器を見分けられるかと、設置と点検の基準を数値で言えるか。この記事では後者を消防法施行令・施行規則の条番号つきで整理し、前者は見分けの手がかりを表にします。数値は2026年4月1日時点で施行されている版で確認しています。
消火器の見分けは「何を消せるか」から入る
消火器は薬剤で分類されます。そして薬剤が決まれば適応する火災が決まります。だから種類を覚えるより、薬剤と適応火災を対で覚えるほうが早く、記述でも使えます。
| 消火器 | 普通火災(A) | 油火災(B) | 電気火災(C) | 外観の手がかり |
|---|---|---|---|---|
| 粉末(ABC) | ○ | ○ | ○ | 最も普及。ノズルは細め |
| 強化液(霧状) | ○ | ○ | ○ | 液体を放射。霧状で電気にも適応 |
| 機械泡 | ○ | ○ | × | 発泡ノズルが太く特徴的 |
| 二酸化炭素 | × | ○ | ○ | ホーン(ラッパ状の放射口) と高圧容器 |
| 水(棒状) | ○ | × | × | 単純な構造 |
見分けで最も確実なのは二酸化炭素消火器のホーンです。ラッパ状の大きな放射口は他の消火器には付きません。機械泡は発泡させるためノズルが太く、粉末はノズルが細い。この3つを写真で切り分けられれば、鑑別の識別問題はかなり通ります。
強化液は棒状と霧状で適応が変わります。霧状にすると電気火災にも適応するという点が、記述で問われる余地があります。
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数値1: 歩行距離は20m、大型は30m
配置の基本はこれです。消防法施行規則第6条第6項は、防火対象物の階ごとに、各部分から一の消火器具に至る歩行距離が20m以下となるように配置しなければならないと定めています。
大型消火器は別で、同規則第7条第1項により歩行距離30m以下です。指定可燃物を政令で定める数量の500倍以上貯蔵・取扱いする場所に、階ごとに設けます。
| 歩行距離 | |
|---|---|
| 消火器具(通常) | 20m以下 |
| 大型消火器 | 30m以下 |
「歩行距離」であって直線距離ではない点も押さえます。壁や什器を迂回して実際に歩く距離で測ります。
数値2: 設置の高さ・標識・転倒防止
消防法施行規則第9条は設置の細目を並べています。
- 消火器具は、床面からの高さが1.5m以下の箇所に設ける(第1号)
- 消火剤が凍結・変質・噴出するおそれが少ない箇所に設ける(第2号)
- 消火器には、地震による震動等による転倒を防止するための適当な措置を講じる。ただし粉末消火器その他転倒により消火剤が漏出するおそれのないものは除く(第3号)
- 設置した箇所には標識を見やすい位置に設ける。消火器は「消火器」、水バケツは「消火バケツ」、水槽は「消火水槽」、乾燥砂は「消火砂」、膨張ひる石・膨張真珠岩は「消火ひる石」(第4号)
標識の文言は器具ごとに違います。「消火砂」と「消火ひる石」を取り違えないのが狙われどころです。
転倒防止の例外も重要です。粉末消火器は倒れても薬剤が漏れないので措置が不要、という理屈で覚えると忘れません。
さらに消防法施行令第10条第2項第2号により、消火器具は通行または避難に支障がなく、かつ使用に際して容易に持ち出すことができる箇所に設置します。
数値3: 能力単位の計算
能力単位まわりの数値は計算問題にも記述にも出ます。
| 場面 | 基準 | 条文 |
|---|---|---|
| 電気設備がある場所 | 床面積100㎡以下ごとに1個 | 規則第6条第4項 |
| 多量の火気を使用する場所 | 能力単位の合計数が、床面積を25㎡で除して得た数以上 | 規則第6条第5項 |
| 簡易消火用具の割合 | 簡易消火用具の能力単位の合計は、消火器の能力単位の合計の2分の1を超えてはならない | 規則第6条第7項 |
| 大型消火器を設けた場合 | その有効範囲内では、消火器具の能力単位を2分の1まで減少できる | 規則第7条第2項 |
鍛造場・ボイラー室・乾燥室のような「多量の火気を使用する場所」は、床面積を25で割ります。100㎡なら4単位です。100と25と1/2の3つの数字が別々の条項から来ている点を意識すると混ざりません。
数値4: 二酸化炭素消火器を置けない場所
これは鑑別でも筆記でも出ます。消防法施行令第10条第2項第1号ただし書は、二酸化炭素またはハロゲン化物を放射する消火器について次の場所への設置を禁じています。
- 令別表第一(十六の二)項に掲げる防火対象物 = 地下街
- 令別表第一(十六の三)項に掲げる防火対象物 = 準地下街
- 総務省令で定める地階・無窓階その他の場所
3つ目の「総務省令で定める場所」は施行規則第11条第2項が定めていて、換気について有効な開口部の面積が床面積の30分の1以下で、かつ床面積が20㎡以下の地階・無窓階・居室です。
理由は単純で、二酸化炭素は酸素濃度を下げて消火するため、換気の乏しい閉鎖空間では人が窒息する危険があるからです。数値(30分の1、20㎡)と理由をセットで覚えます。
点検で使う器具
乙種の業務は整備と点検です。だから点検器具の名称と用途が問われます。
| 器具 | 用途 |
|---|---|
| キャップスパナ | 消火器のキャップを開閉する。内部点検の入口 |
| 標準圧力計 | 蓄圧式消火器の指示圧力計が正しいかを確認する |
| 耐圧試験器 | 容器・ホースの耐圧性能を確認する |
| クランプ台 | 消火器を固定してキャップを緩める作業台 |
| 秤(はかり) | 二酸化炭素消火器などの薬剤量を重量で確認する |
| プライヤー・ドライバー類 | 部品の着脱 |
二酸化炭素消火器は圧力計を持たないため、薬剤量の確認は重量で行います。「なぜ秤なのか」まで言えるようにしておくと記述で強くなります。
部品の名称は正式名称で
写真の一部を指して「この部品の名称は」と問われます。よく出るものを正式名称で押さえます。
- 安全栓(誤操作を防ぐピン。使用時に引き抜く)
- レバー(握って放射する操作部)
- ホース・ノズル(薬剤を導き放射する)
- キャップ(容器の口をふさぐ。整備で外す)
- 指示圧力計(蓄圧式に付く。緑の範囲が正常)
- 使用済表示装置(使用したことが分かる装置)
指示圧力計は蓄圧式に付き、加圧式には付きません。二酸化炭素消火器にも付きません。「圧力計の有無」は種類を絞る手がかりになります。
記述は「名称 + 根拠」で書く
鑑別は記述式です。名称だけでは足りない設問が多いので、次の要素から必要なものを揃えます。
- 名称(「消火器」ではなく「二酸化炭素消火器」)
- 適応火災(A・B・Cのどれに適応するか)
- 放射方式・構造(蓄圧式か加圧式か、圧力計の有無)
- 数値・根拠(歩行距離20m以下、高さ1.5m以下など)
たとえば「この消火器を地下街に設置できるか、理由とともに答えよ」なら、「二酸化炭素消火器。地下街には設置できない。換気の乏しい場所では酸素濃度が低下し人命に危険が及ぶため、消防法施行令第10条第2項第1号ただし書で設置が禁止されている」と、結論・理由・根拠を並べます。
残り時間別の進め方
| 残り | やること |
|---|---|
| 1か月以上 | 薬剤と適応火災の表を固める。筆記の構造・機能と並行する |
| 2週間 | 歩行距離・高さ・能力単位の数値を追加。計算で使ってみる |
| 1週間 | 点検器具と部品名称を仕上げ、記述で手を動かす |
| 前日 | 20m / 30m / 1.5m / 100㎡ / 25㎡ の5つは確実に |
乙6でつまずきやすいのは、消火器の種類は覚えたのに数値が出てこないという状態です。識別は写真を見れば思い出せますが、数値は思い出す手がかりがありません。だから数値のほうを先に固めます。
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出典: 消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)第10条・消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第6条・第7条・第9条・第11条。2026年4月1日時点で施行されている版を e-Gov 法令検索で確認しました。試験の法令基準日は受験年度により異なるため、最新の出題範囲は消防試験研究センターの案内で確認してください。











