消防設備士乙6の実技は、写真・イラスト・図面等を用いた記述式です。筆記の4択で正しい肢を選べても、名称や理由を自分で書こうとすると止まることがあります。
対策では「図から読み取る」「名称と機能を説明する」「条件に合う規格値を書く」の3つに分けて練習しましょう。この分類は編集部による学習上の整理です。公式が出題を3パターンに限定しているという意味ではありません。
実技の問題数と合格基準を確認する
消防試験研究センターの案内では、乙種の実技は鑑別等5問。試験科目の免除がない場合、筆記は各科目40%以上かつ全体60%以上、実技は60%以上が合格基準です。免除がある場合は免除部分を除いて判定されます。
| 確認すること | 公式案内から分かること |
|---|---|
| 実技の形式 | 写真・イラスト・図面等による記述式 |
| 乙種の実技 | 鑑別等5問。免除の有無は受験案内で確認 |
| 合格基準 | 筆記の基準に加え、実技も60%以上が必要 |
| 小問の配点や部分点 | 上の問題数・合格基準だけからは決められない |
5問を均等配点と仮定し、60%を単純に3問と換算しないでください。 小問の採点方法を推測せず、問われた名称や理由を正確に書けるか練習で確かめましょう。
採点方法・部分点・ひらがな・誤字の扱いは、後半の「実技(鑑別)の採点方法・部分点・ひらがな・誤字の扱い」で、公表されている範囲と公表されていない範囲を分けて答えます。
出典:試験の方法・合格基準、試験科目及び問題数。
図や写真は、設問が指す部分から見る
写真に消火器全体が写っていても、問われているのは部品名かもしれません。最初に設問を読み、矢印・記号・表示のどれについて答えるのかを確認します。
| 設問で指定されたもの | 練習するときの見方 |
|---|---|
| 消火器の種類 | 記載された薬剤名、構造、放射口など、図で確認できる情報を組み合わせる |
| 矢印が示す部品 | 部品の位置だけでなく、何をする部品かも教材で照合する |
| 記銘板の数値 | 型式・単位・対象項目を確認して読み取る |
| 配置図 | 通路や壁を考慮した歩行距離か、能力単位を計算する条件かを分ける |
「赤いから粉末」のように、本体の色だけで薬剤を決めないでください。消火器規格省令第37条の一般規定は外面の25%以上を赤色とするもので、粉末だけの識別条件ではありません。住宅用などには別の規定もあります。
手元の教材の写真を使い、名称を隠して答えます。分からない場合は、当てずっぽうで覚えるより、写真のどこに判断材料があるかを解説で確認してください。
名称と機能は別々に一文で書く
部品名を問う設問と、機能を問う設問は答える内容が違います。まず名称を省略せず書き、機能について聞かれたときは役割を短く添える練習をします。
たとえば「指示圧力計」を見たら、名称だけでなく「指示値を見て圧力が適正か確認する計器」と説明してみます。消防庁の消火器具点検基準では、指示圧力計の変形・損傷と、指示圧力値が適正かを確認する項目があります。
| 練習用の欄 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 名称 | 指示圧力計 |
| 何を見るか | 指示圧力値が適正か |
| 外形で確認する点 | 変形・損傷等がないか |
この表は説明練習の例です。実際の設問では、聞かれた内容に合わせて答えます。略記や漢字の誤りで何点引かれるかを決めつけず、教材と照らして名称を正確に書けるようにしましょう。
規格値は「法令の基準」と「製品表示」を分ける
消火器規格省令で定める基準と、メーカーが示す特定型式の性能を同じ表に混ぜないことが大切です。
| 規格省令の項目 | 条文に書かれた基準 |
|---|---|
| 放射時間 | 第10条第2号:20℃において10秒以上 |
| 放射距離 | 第10条第3号:消火に有効な放射距離を持つこと |
| 化学泡の使用温度 | 第10条の2:基本は5℃以上40℃以下 |
| 化学泡以外の使用温度 | 第10条の2:基本は0℃以上40℃以下 |
| 使用温度範囲の拡大 | 10℃単位で拡大しても、正常な操作・消火・放射の性能を満たすこと |
「粉末ABCは8秒以上・3m以上」「強化液は60秒以上・3m以上」を種類共通の規格値として暗記しないでください。 放射時間の条文は20℃で10秒以上であり、放射距離も全種類に一律3mと定めているわけではありません。
製品の例として、モリタ宮田工業のMEA10Bは、粉末ABC薬剤3.0kg、放射時間約14秒、放射距離3〜6m、使用温度範囲−30〜+40℃と掲載されています。これはMEA10Bの製品値です。他の型式や法令の最低値へ置き換えるものではありません。
出典:消火器規格省令、メーカー公式・アルテシモの仕様表。2026年9月11日照合。
配置の20mと30mは、人が歩く距離
大型以外の消火器具は、各階の各部分からいずれか一つの消火器具に至る歩行距離が20m以下。大型消火器は30m以下です。薬剤が届く放射距離とは別の数値です。
配置図では、壁や通路を無視して直線を引かないようにします。また、歩行距離を満たせば本数の算定も終わり、とは限りません。用途・床面積等に応じた能力単位なども確認します。
大型以外の消火器の歩行距離を確認する問題を解き、選ばなかった肢との違いまで説明してみてください。根拠は消防法施行規則第6条第6項・第7条第1項です。
部分点を当てにせず、解答を見直す
結果の点数に端数があることだけでは、漢字の誤りの減点幅や部分点の配り方は分かりません。「とにかく何か書けば得点になる」とは決めつけず、分かる内容を設問に合わせて正確に書きます。
練習後は、次の順で自分の解答を見直しましょう。
- 問いに答えているか。 名称を問われているのに、使い方だけを書いていないか。
- 対象を取り違えていないか。 大型以外の条件に、大型の値を当てていないか。
- 数値に単位と条件があるか。 10秒「以上」、20m「以下」、20℃「において」を落としていないか。
- 根拠を指せるか。 規格の条文なのか、指定製品の表示なのか。
同じ間違いが続く場合は、数値を増やして覚える前に条件の違いを整理します。乙6の語呂と規格値の早見表と自作カードの練習例も使えます。
実技(鑑別)の採点方法・部分点・ひらがな・誤字の扱い
「部分点はあるのか」「ひらがなで書いたら不正解なのか」は、乙6の実技についてよく調べられている疑問です。採点について消防試験研究センターが公表しているのは、実技の形式・問題数・合格基準(60%)、FAQでの判定方法の説明、一部の公開問題の解答までです。設問ごとの配点や採点の細則は公表されていません。ここでは、公表されている事実と公表されていない事柄を分けて答えます。公表されていない事柄は断定せず、点を落としにくい書き方を勧めるにとどめます。
Q. 乙6の実技はどのように採点されますか?
センターが公表している判定の枠組みは次のとおりです。
| 項目 | センターが公表している内容 |
|---|---|
| 解答の方式 | 写真・イラスト・図面等による記述式 |
| 乙種の実技 | 鑑別等5問 |
| 合格の判定 | 筆記の各科目40%以上・全体60%以上、かつ実技60%以上 |
| 科目免除がある場合 | 実技も、免除されたものを除いた成績が60%以上 |
| 設問ごとの配点・採点の細則 | 公表されていない |
筆記の全体成績は、科目ごとの正答率の平均ではなく、解答した問題数に対する正解数で判定すると、センターのFAQ(Q32)が説明しています。一方、実技の「成績」を設問ごとにどう数えるかは示されていません。
受験後に試験問題や解答について尋ねても、答えてもらえません。センターは、試験問題及び解答についての問い合わせには一切応じないとしています(注意事項・FAQ Q31)。
乙6は、条件を満たす消防団員が試験の一部免除を受けられる類です。FAQ Q17によると、消防団に関連する一部免除の対象は乙種第5類と第6類です。5年以上消防団員として勤務し、消防学校の専科教育の機関科を修了していることが条件です。消防法施行規則第33条の11第6項は、この条件を満たす人について、乙種第5類・第6類の試験の「前条第二項第一号の試験科目及び実技試験を免除する」(申請による)と定めています。前条第二項第一号は「機械又は電気に関する基礎的知識」です。つまり、免除されるのは実技の一部ではなく実技試験の全部です。乙種用の一部免除一覧表(PDF)でも、乙6の「特定の消防団員」は基礎的知識(機械)と実技(鑑別等)が「免除」で、試験時間は1時間15分です。特定の消防団員に当たらない人は、ほかの免除資格があっても、この一覧表では乙6の実技が「免除なし」です。
Q. 実技は、全部自分で文章を書く問題ですか?
センターの案内では、実技は写真・イラスト・図面等による記述式です。ただ、センターが公開している過去に出題された問題(乙種・PDF)の第6類の例は、書く設問と選ぶ設問の組み合わせでした。消火器の一部を写した写真について、ある部分の名称を書く設問と、別の部分の働きを語群から記号で選ぶ設問です。
公開されているのは過去の問題の一部で、令和7年度以前に出題されたものです。毎回同じ形で出るとは限りません。名称を書く練習と、記号を選ぶ練習の両方をしておきましょう。記号で答える設問では、ほかの記号と読み違えられないよう、はっきり書きます。
Q. 部分点はありますか?
公表されていません。部分点があるかどうかも、あるとした場合の配り方も、センターの受験案内・FAQには書かれていません。「何か書けば点になる」「半分合っていれば半分の点」といった話は、公表情報では確かめられません。
手がかりになるのは、公開問題の解答の示し方です。乙種の実技の解答では、第5類の名称を答える設問に2つの名称が並び、どちらか一方を書けば正解とする旨の注記が付いています。第3類・第7類の理由を答える設問にも、2通りの答えが並び、同じ趣旨の注記があります。1つの設問に、正解とされる答え(名称や理由)が複数示されている場合があることは分かります。ただし、並んでいるのは名称や理由そのものの違いです。同じ語の表記の違い(漢字かひらがなか等)が許されるかどうかは、ここからは分かりません。部分点の有無までは分かりません。
練習では、次の2点を守ります。
- 問われたことに過不足なく答える。 名称・働き・理由・数値のどれを問われたかを先に確かめます。問われていない説明は長く足しません。足した部分に誤りがあった場合の扱いも公表されていないためです。
- 分からない設問も空欄で出さない。 空欄のままでは点になりようがありません。確信のある部分を書いて出します。
Q. 部品の名称はひらがなで書いてもよいですか?
ひらがなで書いた解答の扱いは公表されていません。「ひらがなでも正解」とも「ひらがなは減点」とも、センターは示していません。
公開問題の第6類の解答では、名称を答える設問の正解が漢字の部品名で示されています。点を落としにくい書き方は次のとおりです。
- 正式名称を、教材の表記どおりに書けるようにする。 漢字の部分は漢字で書きます。読めるだけで満足せず、紙に書き取って教材の表記と照らします。
- 漢字が出てこなくても空欄にしない。 ひらがなの解答の扱いは公表されていませんが、空欄では点になりようがありません。書ける形で書いて出します。
- 名称を問う設問では名称だけを書く。 用途や働きは、機能を問われたときに添えます。問われていない説明を足した場合の扱いも公表されていないため、上の「問われたことに過不足なく答える」と同じ考え方で書きます。
Q. 誤字や送り仮名の違いは減点されますか?
公表されていません。誤字1字でどれだけ引かれるか、同じ読みの別の字や送り仮名の違いをどう扱うかの基準は、センターの受験案内・FAQ・注意事項のどこにも書かれていません。
誤字を減らすために、次の3つを練習します。
- 自分が崩しやすい字を把握する。 名称を見ずに書き取り、教材の表記と1字ずつ照らします。
- 読み違えられない字で書く。 当日の筆記具は、HB か B の鉛筆またはシャープペンシルと消しゴムを持参するよう、センターが指定しています。書き直すときは、前の字が残らないように消してから書きます。
- 数値は単位と条件まで書く。 10秒「以上」、20m「以下」のような条件を落とすと、別の内容になります。見直しは上の「部分点を当てにせず、解答を見直す」の4項目で行ってください。
甲種との違いや、配点が公表されていないことの全体像は消防設備士の実技の採点を扱った記事にまとめています。名称を書く練習の手順は乙6の実技対策 3ステップ、歩行距離や設置の高さなどの数値は乙6の鑑別対策で扱っています。
出典:試験の方法・合格基準、よくある質問(消防設備士試験)Q16・Q17・Q31・Q32、注意事項、過去に出題された問題、消防法施行規則第33条の11第6項(2026年6月26日施行の版)。2026年9月25日確認。
4択の知識確認から、書く練習へつなげる
ぴよパスの乙6・実技鑑別分野のオリジナル問題は知識確認に使えます。本番の記述式に備えるときは、選択肢を見る前に、問われた名称・数値・理由を紙に書く練習も加えてください。
手元の写真付き教材では、部品名や解説を隠して答え、答え合わせで「見分けられなかった」「名称を忘れた」「条件を落とした」のどれだったかを残します。
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出典と確認先
- 消防試験研究センター・試験の方法:記述式、合格基準。
- 試験科目及び問題数:乙種の鑑別等5問、免除案内。
- 消防法施行規則:第6条・第7条の配置基準、第33条の11第6項(消防団員の免除)。
- 消火器の技術上の規格を定める省令:第10条、第10条の2、第37条。
- 消防庁・消火器具の点検基準:指示圧力計等の確認項目。
- 消防試験研究センター・よくある質問(消防設備士試験):Q16 免除時の合格基準、Q17 消防団員の一部免除、Q31 試験問題の内容には答えないこと、Q32 全体成績の判定方法。
- 消防試験研究センター・注意事項:当日の筆記具、試験問題と解答への問い合わせ。
- 消防試験研究センター・過去に出題された問題:公開問題の範囲。乙種のPDFの末尾に実技の解答。
- 乙種の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(PDF):免除資格ごとの免除範囲。
法令改正は施行日以降の試験に適用されます。受験日の案内と公式FAQ Q30も確認してください。








