合格後にやることは、免状交付申請と講習の期限管理
消防設備士乙6の試験に合格しても、免状の交付を受けるまでは消防設備士ではありません。免状は消防設備士試験に合格した者に対して都道府県知事が交付します(消防法第17条の7)。合格後に本人がすることは、①免状交付申請、②交付後の講習の期限管理、③業務・次の資格への接続の3つです。
| 手続き | 期限・目安 | 費用 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 免状交付申請 | 試験結果通知書が届いたら早めに。申請先は受験した道府県のセンター支部 | 手数料2,900円(1種類につき)+送付用封筒の切手460円分 | 消防法施行令第36条の3、消防法施行規則第33条の4、消防試験研究センター「新規免状の交付」 |
| 1回目の講習 | 免状の交付を受けた日以後における最初の4月1日から2年以内 | 講習区分ごとに7,000円 | 消防法第17条の10、消防法施行規則第33条の17、消防法施行令第36条の8 |
| 2回目以降の講習 | 前回の講習を受けた日以後における最初の4月1日から5年以内ごと | 同上 | 同上 |
| 免状の携帯 | 業務に従事するとき常に | ― | 消防法第17条の13 |
合格は免状ではない — 免状がなければ整備の業務に就けない
消防法第17条の5は、消防設備士免状の交付を受けていない者が、政令で定める消防用設備等の工事(設置に係るもの)または整備を行うことを禁じています。乙種第6類の免状で従事できるのは消火器の整備で、免状の交付を受けて初めて業務に就けます。
| 状態 | 法令上の位置づけ | 消火器の整備の業務 |
|---|---|---|
| 試験結果通知書を受け取った | 試験合格者 | 従事できない |
| 免状の交付を受けた | 消防設備士(乙種第6類) | 従事できる。業務中は免状を携帯する(消防法第17条の13) |
| 講習を期限内に受けていない | 消防法令違反の状態 | 免状の返納を命じられることがある(消防法第17条の7で準用する第13条の2第5項) |
勤務先から「免状の写し」を求められたときに、試験結果通知書では代わりになりません。合格が分かったら、免状交付申請を先に済ませます。
免状交付申請 — 受験した支部へ、手数料2,900円
消防試験研究センターの「新規免状の交付」の案内に基づく手続きです。申請先は受験した道府県のセンター支部(東京都は中央試験センター)です。住所地の支部ではありません。
必要なもの
| 必要なもの | 注意点 |
|---|---|
| 免状交付申請書および試験結果通知書 | 一体になっているので切り離さない。試験日から6か月以上たって申請する場合は新たに写真1枚が必要 |
| 既に交付を受けている危険物取扱者免状または消防設備士免状 | 持っている人のみ。新しい免状に統合される(消防法施行規則第33条の4の2)。オンライン講習を受けた人は受講証明書または修了証も一緒に提出する |
| 免状の送付用封筒 | 郵送で受け取る場合。定形封筒(長さ14〜23.5cm、幅9〜12cm)に郵便番号・住所・氏名を書き、460円分の切手(簡易書留郵便料金、50gまで)を貼り、裏面の下部に受験番号を記入 |
| 収入証紙または手数料を納付した証明 | 手数料は1種類につき2,900円。納付方法(収入証紙・納付書・電子納付など)は都道府県で異なるので、申請する支部のホームページで確認する |
収入証紙を販売していない都道府県(東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府など)では納付書やオンライン納付になります。中央試験センターの窓口では現金でも納付できます。免状の受領を窓口では扱わず郵送のみとしている支部もあるので、申請前に支部へ確認してください。
写真は「試験日から6か月以内なら不要」
免状の写真には受験申請のときに提出した写真が使われます。試験日から6か月以上たって申請する場合だけ、次の規格の写真1枚を添えます。
| 項目 | 規格 |
|---|---|
| 大きさ | 縦4.5cm×横3.5cm |
| 撮影 | 申請前6か月以内。正面・無帽(宗教上または医療上の理由がある場合を除く)・無背景の上三分身、またはパスポート規格 |
| 裏面 | 撮影年月日・氏名・年齢を記入 |
免状に記載される写真は「過去10年以内に撮影した写真」と定められています(消防法施行規則第33条の5第2項)。免状の写真が古くなったら、写真の書換えを申請します。
免状に記載されること
消防法施行令第36条の4により、免状には交付年月日と交付番号、氏名と生年月日、本籍地の属する都道府県、免状の種類、写真が記載されます。氏名や本籍地の都道府県が変わったときは、遅滞なく、免状を交付した都道府県知事または居住地・勤務地を管轄する都道府県知事に書換えを申請します(同令第36条の5)。紛失・汚損したときは再交付を申請し、亡失した免状が見つかったら10日以内に提出します(同令第36条の6)。
免状が届くまでの日数はセンターが一律には公表しておらず、支部や納付方法で差があります。申請時に支部の案内で確認してください。
講習 — 免状交付後の最初の4月1日から2年以内、以後5年ごと
消防設備士は、都道府県知事(総務大臣が指定する機関を含む)が行う工事整備対象設備等の工事または整備に関する講習を受けなければなりません(消防法第17条の10)。期限は消防法施行規則第33条の17で決まっています。
| 区分 | 期限 |
|---|---|
| 1回目 | 免状の交付を受けた日以後における最初の4月1日から2年以内 |
| 2回目以降 | 前回の講習を受けた日以後における最初の4月1日から5年以内。以後も同じ |
例: 2026年10月1日に免状の交付を受けた場合、起算日は2027年4月1日で、2029年3月31日までに1回目を受けます。2028年6月に受けたなら、次は2029年4月1日から5年以内の2034年3月31日までです。
講習区分と内容
指定講習機関の日本消防設備安全センターが実施する消防設備士講習(オンライン講習を含む)の案内では、講習区分は4つに分かれています。
| 講習区分 | 対象 |
|---|---|
| 特殊消防用設備等 | 特類の甲種 |
| 消火設備 | 第1類・第2類・第3類の甲種・乙種 |
| 警報設備 | 第4類の甲種・乙種、第7類の乙種 |
| 避難設備・消火器 | 第5類の甲種・乙種、第6類の乙種 |
乙6の人が受けるのは「避難設備・消火器」の区分です。科目は「工事整備対象設備等関係法令および防火に関する他法令等に関する事項」(2時間30分以上)と「工事整備対象設備等の工事または整備等に関する事項」(4時間以上)で、終了後に30分の効果測定があります。手数料は講習区分ごとに7,000円(非課税)で、消防法施行令第36条の8で定められた額です。乙4や乙7など別の区分の免状も持っている人は、講習区分ごとに受講します。いずれかの講習を受けた後6か月以内に別の区分を受ける場合は、法令の科目が免除されます。
講習を修了すると修了証が発行されます。修了証を免状と一緒に携行することで、講習を受けている状態を示せます。免状の裏面に受講状況の記載を希望する場合は、免状・修了証の写し・返信用封筒(460円分の切手)を安全センターに送ります。
講習を受けないとどうなるか
講習を受けないことは消防法令の違反にあたり、免状を交付した都道府県知事は免状の返納を命じることができます(消防法第17条の7で準用する第13条の2第5項)。「何か月までなら大丈夫」という猶予は法令にありません。免状交付日が分かった時点で、1回目の期限をカレンダーに入れておきます。
次の資格 — 乙4・乙7は受験資格なし、甲種は整備の経験が要る
乙種の他の類
乙種は受験資格がなく、誰でも受験できます。ビルメンテナンスの現場で乙6と並んで求められるのは乙4(自動火災報知設備など)と乙7(漏電火災警報器)です。乙6と共通する法令の知識が使えるので、続けて受けるなら学習が楽です。受験手数料は乙種4,400円、甲種6,600円(非課税)です。
| 次の類 | 対象設備 | 受験資格 |
|---|---|---|
| 乙4 | 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備など | なし |
| 乙7 | 漏電火災警報器 | なし |
| 乙1〜乙3・乙5 | 屋内消火栓設備など/泡消火設備/不活性ガス消火設備など/避難器具 | なし |
甲種は「乙種免状+2年以上の整備経験」など
甲種は工事もできる免状ですが、受験資格があります(消防法第17条の8第4項)。
| 経路 | 内容 |
|---|---|
| 学歴 | 大学・高等専門学校・高等学校・中等教育学校で機械・電気・工業化学・土木・建築に関する学科または課程を修めて卒業した人 |
| 乙種免状+経験 | 乙種消防設備士免状の交付を受けた後、2年以上、工事整備対象設備等の整備(政令で定めるもの)の経験がある人 |
| その他 | 上に準ずる人として総務省令で定める人 |
乙6の免状を取っただけでは甲種は受験できません。乙6の免状で消火器の整備に2年以上従事するか、学歴などの経路に当てはまるかを確認します。甲種特類は、甲種第1類〜第3類のいずれか、甲種第4類、甲種第5類の免状をすべて持つ人が対象です。
費用のまとめ(免状交付から最初の講習まで)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 免状交付手数料 | 2,900円 |
| 免状の送付用切手 | 460円分 |
| 申請書類の郵送料(簡易書留など) | 封筒のサイズと重さによる |
| 写真(試験日から6か月超で申請する場合のみ) | 撮影方法による |
| 1回目の講習手数料 | 7,000円 |
受験手数料4,400円とは別にかかる費用です。
合格後のチェックリスト
- 試験結果通知書が届いた。免状交付申請書と切り離していない
- 申請先が受験した道府県のセンター支部(東京都は中央試験センター)だと確認した
- 支部のホームページで手数料2,900円の納付方法を確認した
- 郵送で受け取るため、460円分の切手を貼り受験番号を書いた定形封筒を用意した
- 既に持っている危険物取扱者免状・消防設備士免状を添えた
- 試験日から6か月以上たっている場合は、規格どおりの写真1枚を用意した
- 免状が届いたら、交付日から最初の4月1日以後2年以内の講習期限をカレンダーに入れた
出典
- 一般財団法人 消防試験研究センター「新規免状の交付」(申請先・必要書類・写真・送付用封筒・手数料と納付方法)
- 同「消防設備士試験 受験案内 試験の方法」(受験手数料・合格発表)
- 消防法第17条の5(免状のない者の工事・整備の禁止)、第17条の7(免状の交付・返納命令の準用)、第17条の8(甲種の受験資格)、第17条の10(講習)、第17条の13(免状の携帯)
- 消防法施行令第36条の3(免状の交付の申請)、第36条の4(免状の記載事項)、第36条の5(書換え)、第36条の6(再交付)、第36条の8(講習の手数料7,000円)
- 消防法施行規則第33条の4(交付申請の添付書類)、第33条の4の2(既得免状との統合)、第33条の5(免状の写真は10年以内)、第33条の17(講習の期限)。いずれも2026年9月12日時点の現行版を確認
- 一般財団法人 日本消防設備安全センター「消防設備士オンライン講習 講習の概要」(受講対象・講習区分・科目と時間・効果測定・修了証・手数料)








