- 第二種衛生管理者免許で選任できるのは、製造業・建設業・運送業・医療業などを除いた「その他の業種」の事業場だけ。
- 1,000人を超える事業場などでは、少なくとも1人を専任の衛生管理者にする。
- 選任報告は2025年1月1日から電子申請が本則。当分の間は書面(様式第3号)も使える。
選任の決まりは、衛生管理者試験の「関係法令」でよく出る範囲です。ぴよパスの第二種衛生管理者の関係法令の練習問題で、たとえば衛生管理者の選任と権限の問題や安全衛生推進者等の問題を無料で解けます。どれもぴよパスのオリジナル予想問題で、本試験の問題ではありません。
この記事の条文は、e-Gov法令検索の労働安全衛生法(2026年10月1日施行の版)・同法施行令(同)・労働安全衛生規則(同)で、2026年10月24日に確かめました。ここで扱う条文は、2026年1月1日時点の版と中身が同じです(法第120条は書き方が改められましたが、罰金の額と第1号・第2号の範囲は同じです)。
結論: 衛生管理者の選任の決まり
| 項目 | 決まり | 根拠 |
|---|---|---|
| 選任が必要な事業場 | 常時50人以上の労働者を使用する事業場(業種を問わない) | 法第12条第1項・施行令第4条 |
| 人数 | 50〜200人 1人/201〜500人 2人/501〜1,000人 3人/1,001〜2,000人 4人/2,001〜3,000人 5人/3,001人以上 6人 | 規則第7条第1項第4号 |
| 期限 | 選任すべき事由が発生した日から14日以内 | 規則第7条第1項第1号 |
| 専属 | その事業場に専属の者(2人以上選任し、その中に労働衛生コンサルタントがいるときは、そのうち1人は専属でなくてよい) | 規則第7条第1項第2号 |
| 免許と業種 | 製造業・建設業・運送業・医療業などは第一種か衛生工学など/その他の業種は第二種でもよい | 規則第7条第1項第3号 |
| 専任 | 常時1,000人超、または常時500人超で有害業務などに常時30人以上を従事させる事業場は、少なくとも1人を専任に | 規則第7条第1項第5号 |
| 報告 | 遅滞なく所轄労働基準監督署長へ。電子申請が本則(当分は書面も可) | 規則第7条第3項・令和6年厚生労働省令第45号 附則第2条 |
| 選任しない場合 | 50万円以下の罰金 | 法第120条第1号 |
選任が必要な事業場 — 常時50人以上
労働安全衛生法第12条第1項は、「政令で定める規模の事業場ごとに」衛生管理者を選任するよう事業者に求めています。その規模を決めているのが施行令第4条で、「常時五十人以上の労働者を使用する事業場」です。
人数は会社全体ではなく事業場ごとに数えます。本社と工場、支店がそれぞれ別の事業場なら、50人以上のところごとに選任が要ります。業種による例外はなく、事務所だけの事業場でも50人以上なら必要です。
常時10人以上50人未満の事業場は、衛生管理者の代わりに、安全衛生推進者(安全管理者を置く業種の場合)か衛生推進者(それ以外の業種)を選任します(法第12条の2・規則第12条の2)。期限は同じく14日以内です(規則第12条の3第1項第1号)。
何人選任するか — 6段階の表
労働安全衛生規則第7条第1項第4号の表です。
| 事業場の規模(常時使用する労働者数) | 衛生管理者の数 |
|---|---|
| 50人以上200人以下 | 1人 |
| 200人を超え500人以下 | 2人 |
| 500人を超え1,000人以下 | 3人 |
| 1,000人を超え2,000人以下 | 4人 |
| 2,000人を超え3,000人以下 | 5人 |
| 3,000人を超える場合 | 6人 |
表の数は「以上」の決まりで、これより多く選任してもかまいません。境目の書き方に注意します。200人ちょうどは1人、201人からは2人です。「〇人を超え」と「〇人以下」で区切られているので、500人・1,000人・2,000人・3,000人ちょうどは、その数を「以下」とする行(人数の少ない方)に入ります。たとえば500人ちょうどは2人、1,000人ちょうどは3人です。数字の覚え方は衛生管理者の選任人数と法令数値の覚え方にまとめています。
14日以内・専属・専任
14日以内: 選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任します(第1号)。条文に例は書かれていませんが、常時使用する労働者が50人に達したときや、選任していた衛生管理者が退職・異動したときが典型です。
専属: その事業場に専属の者を選任します(第2号)。ほかの会社の人や、ほかの事業場に所属する人を名前だけ選任することはできません。例外は1つだけで、2人以上を選任し、その中に労働衛生コンサルタントがいるときは、そのうち1人は専属でなくてよいとされています。
専任: 次の事業場では、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者にします(第5号)。条文に「専任」の定義は書かれていないので、兼務の範囲は所轄の労働基準監督署に確かめてください。
- 常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
- 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働か、労働基準法施行規則第18条各号の業務(多量の高熱物体を取り扱う業務など)に常時30人以上を従事させるもの
さらに、常時500人を超える事業場で、坑内労働や労働基準法施行規則第18条第1号・第3号〜第5号・第9号の業務に常時30人以上を従事させるものは、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた人から選任します(第6号)。
第二種衛生管理者で足りる業種
第3号は、業種によって選任できる人を分けています。
| 業種 | 選任できる人 |
|---|---|
| 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業 | 第一種衛生管理者免許・衛生工学衛生管理者免許を持つ人、または規則第10条の人(医師・歯科医師・労働衛生コンサルタントなど) |
| その他の業種 | 上に加えて、第二種衛生管理者免許を持つ人 |
条文には「その他の業種」とだけあり、具体的な業種の一覧はありません。安全衛生技術試験協会は、第二種で衛生管理者になれる業種の例として、情報通信業・金融保険業・卸売小売業などを挙げています。医療業(病院など)は上の段に入るので、第二種では選任できません。取り違えやすい点です。
第一種と第二種のどちらを取るか迷うときは、第一種と第二種の違いで試験の範囲と選び方を比べています。
選任報告 — 2025年1月から電子申請が本則
規則第7条第3項は、衛生管理者を選任したときは「遅滞なく、電子情報処理組織を使用して」、所定の事項を、資格を証明できる電磁的記録を添えて所轄労働基準監督署長に報告するよう求めています。報告する事項は、事業場の名称・所在地・労働者の数、衛生管理者の氏名・生年月日・選任年月日、担当する職務の内容、専属・専任かどうか、前任者がいればその氏名と辞任・解任の年月日などです。
この形は2025年1月1日の改正(令和6年厚生労働省令第45号)からです。それまでは様式第3号の報告書を提出する決まりでした。改正の附則第2条で、改正前の規定と様式第3号は「当分の間、なお従前の例によることができる」とされているので、書面で出すこともできます。
報告先は都道府県労働局長ではなく、所轄の労働基準監督署長です。試験の選択肢では「都道府県労働局長」と取り違えやすい所です。
選任しないとき・できないとき
常時50人以上の事業場で衛生管理者を選任しないことは、法第12条第1項の違反です。法第120条第1号により、50万円以下の罰金の対象になります。
労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に衛生管理者の増員や解任を命じることができます(法第12条第2項で準用する第11条第2項)。この命令に違反したときも、同じく50万円以下の罰金の対象です(法第120条第2号)。
やむを得ない事由で規則第7条第1項のとおりに選任できない場合は、所轄の都道府県労働局長の許可を受ければ、その定めによらないことができます(規則第8条)。衛生管理者が旅行・病気などで職務を行えないときは、事業者が代理者を選任します(規則第7条第2項で準用する第3条)。
社内に有資格者がいないときは、従業員が免許を取るか、免許などの資格を持つ人を事業場の専属として迎えることになります。第二種衛生管理者の試験は3科目・30問で、科目ごとに40%以上、合計60%以上で合格です。試験の中身は第二種衛生管理者とは、合格してから免許を受けるまでの手続きは第二種衛生管理者の合格後の手続きにまとめています。
選任された衛生管理者がすること
衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備・作業方法・衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じます(規則第11条第1項)。事業者は、衛生管理者に衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければなりません(同条第2項)。権限を与えるのは努力義務ではなく義務です。
例題: ぴよパスの関係法令の問題から
第二種衛生管理者の関係法令から2問です(ぴよパスのオリジナル予想問題です)。
問題1: 衛生管理者の選任と権限に関する次の記述のうち、労働安全衛生規則上正しいものはどれか。
- 衛生管理者を2人以上選任する場合において、その中に労働衛生コンサルタントがいるときは、そのうち1人は事業場に専属の者でなくてもよい
- 衛生管理者が旅行、疾病などのやむを得ない事由によって職務を行えないときは、産業医がその職務を代行するものとされている
- 衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、所定の事項を事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長に報告しなければならない
- 医療業の事業場では、第二種衛生管理者免許を有する者のうちから、その事業場の衛生管理者を選任することができる
- 衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えることは、事業者の努力義務とされている
答え: 1。専属の例外は規則第7条第1項第2号のとおりです。2は事業者が代理者を選任する決まり、3の報告先は所轄労働基準監督署長、4の医療業は第一種などが要る業種、5は義務です。この問題を解く →
問題2: 安全衛生推進者等を選任すべき事業場は、常時何人の労働者を使用する事業場か。
答え: 常時10人以上50人未満(規則第12条の2)。50人以上になると衛生管理者の選任が必要になります。選任の期限は衛生管理者と同じ14日以内です。この問題を5択で解く →
練習問題と模擬試験
選任・人数・報告の決まりは、第二種衛生管理者の関係法令の練習問題で無料で解けます。3科目30問を本番と同じ科目・問題数で通して解く模擬試験(制限時間は90分)は Premium の機能です。第一種を受ける人は第一種衛生管理者の練習問題から解けます。
まとめ
- 衛生管理者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに選任する(施行令第4条)。10人以上50人未満は安全衛生推進者か衛生推進者。
- 人数は50〜200人で1人、201〜500人で2人、501〜1,000人で3人、1,001〜2,000人で4人、2,001〜3,000人で5人、3,001人以上で6人。
- 14日以内に、その事業場に専属の者を選ぶ。1,000人超などでは1人を専任に。
- 製造業・建設業・運送業・医療業などは第一種が要る。その他の業種は第二種でよい。
- 報告は遅滞なく所轄労働基準監督署長へ。2025年1月から電子申請が本則で、当分の間は様式第3号の書面も使える。選任しないと50万円以下の罰金の対象。
関連記事
出典
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版)第11条第2項・第12条・第12条の2・第120条: https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057
- 労働安全衛生法施行令(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版)第4条: https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000318
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版)第3条・第7条・第8条・第10条・第11条・第12条の2・第12条の3、附則(令和6年3月18日厚生労働省令第45号)第2条: https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者のご紹介」: https://www.exam.or.jp/introduction/h_shokai502/





