衛生管理者試験の労働生理では、内分泌 (ホルモン) がほぼ毎回顔を出します。ところが出題の中心はホルモン名そのものではなく、「ホルモン・分泌器官・はたらき」の組み合わせが正しいかどうかです。名前だけを語呂で10個覚えても、組み合わせを入れ替えられた選択肢の前では手が止まります。本記事では3点セットを1枚の表に落とし、出題者が狙ってくる3つの入れ替えパターンと、腎臓・尿の設問につながる2つのホルモンを整理します。試験の範囲や表現は改定されることがあるため、最終確認は公益財団法人 安全衛生技術試験協会の公表情報と最新のテキストで行ってください。
結論:覚えるのは名前ではなく「3点セット」
内分泌の設問は、次のような形で問われます。
ホルモン・分泌器官・はたらきの組み合わせとして誤っているものはどれか。
つまり試験が測っているのは記憶した個数ではなく、3つの列がずれていないかです。だから最初にやるべきことは語呂を集めることではなく、3列のフォーマットを決めて、そこに流し込むことです。
| 覚え方 | 「誤っているもの」を選べるか |
|---|---|
| ホルモン名だけを語呂で覚える | 選べない (器官とはたらきが空欄のまま) |
| 名前 + 分泌器官まで覚える | 半分だけ選べる |
| 3点セットで覚える | 選べる |
分泌器官で束ねた1枚の表
ホルモンを五十音順やテキストの掲載順で覚えると、器官がバラバラのまま頭に入るため、入れ替え問題に弱くなります。器官を見出しにして、そこにぶら下げてください。
| 分泌器官 | ホルモン | はたらき |
|---|---|---|
| 副腎皮質 | コルチゾール | 血糖量の増加 |
| 副腎皮質 | アルドステロン | 体液中の塩類バランスの調節 |
| 副腎髄質 | アドレナリン | 血糖量の増加、心拍数の増加 |
| 副腎髄質 | ノルアドレナリン | 血圧の上昇 |
| 膵臓 | インスリン | 血糖量の減少 |
| 膵臓 | グルカゴン | 血糖量の増加 |
| 甲状腺 | 甲状腺ホルモン | 代謝の促進 |
| 副甲状腺 | パラソルモン | 体内のカルシウムバランスの調節 |
| 脳下垂体後葉 | 抗利尿ホルモン | 体液中の水分量の調節 |
| 松果体 | メラトニン | 睡眠の促進 |
| 胃 | ガストリン | 胃酸分泌の刺激 |
| 十二指腸 | セクレチン | 消化液分泌の促進 |
表は「縦に読む」練習までしてはじめて使える
表を作っただけでは、横に読む (ホルモン→器官→はたらき) 方向しか身につきません。器官から引く、はたらきから引く、の2方向でも言えるかを確認してください。「血糖量を減少させるのは」と聞かれて即答できない状態は、まだ表を写しただけです。
覚える順番は「よく出るものから」でよい
すべてを同じ濃さで覚える必要はありません。血糖に関わるもの、副腎に関わるもの、水分と塩類に関わるものは繰り返し問われるため、ここから固めます。出題頻度が低いものを完璧にしてから頻出に入るのが、いちばん時間を溶かす順番です。
出題者が入れ替えてくる3つの定番ペア
正誤問題は、もっともらしく見える入れ替えで作られます。狙われるのは決まって次の3か所です。
ペア1:副腎皮質と副腎髄質
同じ副腎でも、皮質と髄質では分泌するホルモンが違います。皮質側にコルチゾールとアルドステロン、髄質側にアドレナリンとノルアドレナリン。「副腎」までしか覚えていないと、この設問で必ず迷います。皮質は体の状態をじわりと調節する側、髄質は緊急時に一気に反応する側、と方向づけておくと復元しやすくなります。
ペア2:胃と十二指腸
ガストリンは胃、セクレチンは十二指腸。どちらも消化に関わるため、器官だけ入れ替えた選択肢が作られます。消化管そのものもホルモンを出すという点を意識しておくと、内分泌の表から漏らさずに済みます。
ペア3:松果体と副甲状腺
メラトニンは松果体で睡眠、パラソルモンは副甲状腺でカルシウム。名前も器官も似ていないのに取り違えが起きるのは、どちらも登場頻度が中程度で、覚え方が浅いまま試験日を迎えるからです。この2つは器官とはたらきをセットで音読しておくと定着します。
血糖の上下で1回だけ仕分ける
内分泌でもっとも問われるのが血糖です。ここは下げる側が少数派であることを利用すると、覚える量が一気に減ります。
| 方向 | 代表 |
|---|---|
| 血糖量を減少させる | インスリン |
| 血糖量を増加させる | グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール など |
「下げるのは例外」と位置づけておく
体は飢餓に備える方向に厚く作られているため、血糖を上げる仕組みは複数用意されています。この理屈を一度通しておくと、選択肢で上下が入れ替えられていても違和感で気づけます。丸暗記した人は違和感が出ないので、そのまま通してしまいます。
同じ膵臓から逆向きの2つが出る
インスリンとグルカゴンはどちらも膵臓から分泌され、はたらきは逆向きです。器官が同じで作用が逆という構造は出題者に好まれるので、この2つはペアで書けるようにしておいてください。
語呂合わせは「器官の見出し」に対してだけ作る
「ホルモン 語呂合わせ」を探している人が失敗しやすいのは、ホルモン1個ずつに語呂を当てようとすることです。12個に12個の語呂を作ると、今度は語呂のほうを覚えられなくなります。
作るなら器官の見出しに対して1本だけ
有効なのは、器官の下にぶら下がる複数のホルモンをまとめて呼び出すタイプです。たとえば副腎については「皮質にコルチゾールとアルドステロン、髄質にアドレナリンとノルアドレナリン」という並びそのものを、音のリズムで固定してしまいます。語呂の役割は引き出しを開けることであって、中身を説明することではありません。
語呂で出せるのは名前まで、と割り切る
語呂から出てくるのはホルモン名か、せいぜい器官までです。はたらきの列は語呂では出てきません。だから語呂を唱えたあとは必ず表に戻り、3列目を口に出して補う——この往復を1セットにしてください。往復せずに語呂だけ繰り返すと、本番で「名前は出るのに正誤が判定できない」状態になります。
市販教材の語呂をそのまま使ってよい
語呂を自作する時間対効果は高くありません。テキストや問題集に載っているものをそのまま借りて、浮いた時間を演習に回すほうが得点は伸びます。教材の選び方は第二種衛生管理者 テキストおすすめで整理しています。
腎臓・尿の設問とつなげる2つのホルモン
内分泌と腎臓を別単元として覚えていると、両方の問題で取りこぼします。橋渡しになるのは次の2つです。
| ホルモン | 分泌器官 | 腎臓との関係 |
|---|---|---|
| 抗利尿ホルモン | 脳下垂体後葉 | 体液中の水分量を調節する |
| アルドステロン | 副腎皮質 | 体液中の塩類バランスを調節する |
尿の設問は「腎臓が何を戻すか」で読む
腎臓は血液から一度こし出したものの中から、体に必要なものを再び取り込みます。水分を戻す方向に働くのが抗利尿ホルモン、塩類の側を調節するのがアルドステロン、という対応で押さえると、尿量に関する設問と内分泌の設問が1本につながります。
労働生理は単元をまたいだ設問が出る
労働生理は、循環・呼吸・消化・腎臓・神経・内分泌が互いに関係しています。単元ごとに閉じて覚えると、またいだ設問で崩れます。内分泌はその接続点になりやすい単元なので、ここを厚くしておくと他の単元の得点も上がります。
やりがちな失敗と回避策
失敗1:語呂を集めるところで満足する
語呂は名前を思い出すフックとして役立ちますが、組み合わせの正誤を問う設問には直接効きません。語呂で名前が出たら、必ず表に戻って器官とはたらきを補ってください。
失敗2:表を眺めるだけで演習に入らない
表を作った直後は理解できた気になりますが、選択肢の中で判定できるかは別の能力です。ぴよパスの第二種衛生管理者 練習問題で、実際の選択肢の形で3点セットが崩れていないか判定する練習ができます。
失敗3:一種と二種で同じ重みをかける
労働生理は一種でも二種でも出題されますが、一種は有害業務の2科目が合否を分けるため、労働生理に時間を寄せすぎると全体では損をします。配分の考え方は第一種衛生管理者の語呂合わせ攻略で整理しています。
まとめ:内分泌で持ち帰るのは3つ
- 3点セット — ホルモン・分泌器官・はたらきを、器官を見出しにして束ねる
- 入れ替え3ペア — 副腎皮質と髄質、胃と十二指腸、松果体と副甲状腺
- 橋渡し2つ — 抗利尿ホルモンとアルドステロンで腎臓・尿の設問とつなぐ
労働生理全体の組み立ては第二種衛生管理者 労働生理の攻略、暗記の型そのものは第二種衛生管理者 暗記のコツで扱っています。
出題範囲や表現は改定されることがあります。最終確認は最新のテキストと公表情報で行ってください。











