ホルモンは、名前・分泌器官・はたらきをセットにすると整理できます。たとえば「インスリン」と答えたら、「膵臓のβ細胞から出て、血糖を下げる」まで続けてみてください。
この記事では、代表12種類の一覧表と、この記事で作った覚え方を紹介します。副腎の皮質と髄質、抗利尿ホルモンの放出場所、消化管ホルモンの作用先を比べ、最後に答え合わせできる確認例を用意しました。
まず覚える3点:ホルモン名・分泌器官・はたらき
名前が出てこないときと、名前は分かるのに器官や作用が混ざるときでは、確認する列が違います。表を見ながら一度読んだら、次は一列を隠して答えてみましょう。
| 隠す列 | 練習すること | 例 |
|---|---|---|
| ホルモン名 | 器官と作用から名前を出す | 膵臓・血糖を下げる→インスリン |
| 分泌器官 | どこから出るかを答える | アドレナリン→副腎髄質 |
| はたらき | 何を増やす・減らすかを答える | グルカゴン→血糖を上げる |
内分泌では、ホルモンが血液中へ放出され、標的となる細胞に情報を伝えます。「器官から出る」と「その器官に作用する」を同じ意味にしないことが、表を読む基本です。出典:日本内分泌学会「ホルモンについて」。
分泌器官とはたらきを比べる12種類の一覧表
代表例の学習用一覧です。この12種類で試験範囲をすべて網羅するという意味ではありません。 一つのホルモンに複数の作用がある場合も、表では比較に使う作用を絞っています。
| 分泌・放出される器官 | ホルモン | 覚えるはたらき |
|---|---|---|
| 副腎皮質 | コルチゾール | 血糖を上げる方向に働く |
| 副腎皮質 | アルドステロン | 腎臓でNaの再吸収、Kの排泄を促す |
| 副腎髄質 | アドレナリン | 血糖・心拍数を上げる |
| 副腎髄質 | ノルアドレナリン | 血圧を上げる方向に働く |
| 膵臓のβ細胞 | インスリン | 血糖を下げる |
| 膵臓のα細胞 | グルカゴン | 血糖を上げる |
| 甲状腺 | 甲状腺ホルモン | 基礎代謝を高める |
| 副甲状腺 | 副甲状腺ホルモン(パラソルモン、PTH) | 血液中のカルシウム濃度を上げる |
| 下垂体後葉から放出 | 抗利尿ホルモン(ADH、バソプレシン) | 腎臓で水の再吸収を促す |
| 松果体 | メラトニン | 睡眠・覚醒などの概日リズムを調節する |
| 主に胃 | ガストリン | 胃酸の分泌を促す |
| 十二指腸 | セクレチン | 膵臓から重炭酸塩を含む液の分泌を促す |
Naはナトリウム、Kはカリウムです。ADHは視床下部で作られ、下垂体後葉から血液中へ放出されます。「下垂体後葉から出る」を「そこで作られる」と読み替えないでください。
一覧の参照先は、糖尿病情報センターのホルモン解説、OpenStaxの膵臓・副腎・甲状腺、日本内分泌学会の副甲状腺ホルモンの説明です。水分調節・消化管・メラトニンの参照先は以下の各節に示します。
語呂と短いフレーズで、名前から作用へつなぐ
以下はこの記事で作成した覚え方です。公式の呼び名や医学用語ではありません。短く唱えたあと、一覧の正式名と作用に戻して確認するために使います。
| 覚えるフレーズ | 対応する内容 | 省略したままにしない点 |
|---|---|---|
| 「皮質にコル・アル、髄質にアド・ノル」 | 皮質はコルチゾール・アルドステロン、髄質はアドレナリン・ノルアドレナリン | 血糖や塩類など、作用は別に答える |
| 「インで下げる、グルで上げる」 | インスリンは血糖低下、グルカゴンは血糖上昇 | どちらも膵臓だが、β細胞とα細胞を区別する |
| 「抗利尿は、水を戻す」 | ADHが腎臓で水の再吸収を促す | 作る場所・放出場所は腎臓ではない |
たとえば「皮質にコル・アル」と唱えたら、表を隠して「コルチゾールは血糖、アルドステロンはNa・K」と続けます。名前は出ても作用が出なければ、作用の列だけをもう一度確認します。語呂が合わない場合は、正式名をそのまま組にして読む方法でも構いません。
引っかけ1:副腎皮質と副腎髄質を入れ替えない
副腎は外側が皮質、内側が髄質です。同じ副腎でも分泌されるホルモンが異なります。まず「皮質にコル・アル、髄質にアド・ノル」で名前を分けましょう。
ここで「血糖を上げるなら副腎髄質」と決めないことも大切です。髄質のアドレナリンだけでなく、皮質のコルチゾールも血糖を上げる方向に働きます。作用だけから器官を逆算すると、二つを区別できません。
| 似ている点 | 区別する点 |
|---|---|
| コルチゾールもアドレナリンも血糖を上げる方向に働く | コルチゾールは皮質、アドレナリンは髄質 |
| コルチゾールもアルドステロンも皮質から出る | この表では、血糖とNa・Kの調節をそれぞれの目印にする |
この対応は、糖尿病情報センターの副腎・血糖に関する説明で確認できます。表を見ずに答えられたら、インスリンと副腎の確認問題で器官と作用を見分けてみてください。
引っかけ2:ADHは「作る・出す・働く」を分ける
ADHは、場所を一つだけ覚えると混ざりやすい例です。次の順序で言葉をつなぎます。
視床下部で作る→下垂体後葉から放出→腎臓で水を再吸収する。
「腎臓で水分量を調節する」は作用先の説明で、ADHの分泌器官を腎臓とする説明ではありません。また、利尿に「抗う」という名前は、尿として出す水を減らす方向と対応づけられます。出典:OpenStax 下垂体と視床下部。
アルドステロンも腎臓に働くが、目印はNa・K
ADHとアルドステロンは、どちらも体液の調節に関わります。腎臓に働くという共通点だけで、分泌器官や作用をまとめないようにします。
| 比べるもの | 放出・分泌場所 | 腎臓での目印 |
|---|---|---|
| ADH | 下垂体後葉 | 水の再吸収 |
| アルドステロン | 副腎皮質 | Naの再吸収、Kの排泄 |
アルドステロンの作用は、日本内分泌学会の原発性アルドステロン症の解説に記載されています。ここでは試験のためにホルモンの作用を比べています。
下垂体の前葉と後葉も確認したい場合は、ADH・甲状腺ホルモンの確認問題へ進んでください。
引っかけ3:ガストリンとセクレチンは作用先まで読む
消化管もホルモンを出します。「胃や腸は消化液だけを出す器官」と整理すると、内分泌の表から抜けてしまいます。
| ホルモン | 主な分泌場所 | この組合せで覚える作用先・はたらき |
|---|---|---|
| ガストリン | 主に胃 | 胃の酸分泌を促す |
| セクレチン | 十二指腸 | 膵臓から重炭酸塩を含む液の分泌を促す |
セクレチンは「十二指腸から出て、膵臓へ」とつなぐと、分泌場所と作用先を分けて答えられます。ガストリンは主に胃から出ますが、「胃だけで作られる」と限定する覚え方にはしません。
松果体と副甲状腺は、作用の言葉を添えて覚える
メラトニンは松果体、パラソルモンは副甲状腺です。この二つは「睡眠・覚醒のリズム」と「血液中のカルシウム」をそれぞれ添えて答えてみましょう。
メラトニンは夜間に高くなる日内変動を示し、睡眠・覚醒などのリズムに関わります。「睡眠のホルモン」とだけ短縮せず、松果体という器官名も確認します。出典:厚生労働省 メラトニン。
副甲状腺ホルモンは、血液中のカルシウム濃度を上げる方向に働きます。甲状腺ホルモンの「代謝を高める」とは別の組合せです。一種を学習している方は、分泌器官と作用の確認問題でも確かめられます。
確認例:答えを隠して5つの組合せを答える
この記事で作成した確認例です。右列を隠して答え、違った箇所を一覧表へ戻って確認してください。
| 確認すること | 答え・理由 |
|---|---|
| コルチゾールとアドレナリンは、どちらも副腎髄質から出るか | いいえ。コルチゾールは皮質、アドレナリンは髄質 |
| 同じ膵臓から出るインスリンとグルカゴンは、血糖にどう働くか | インスリンは下げ、グルカゴンは上げる。細胞はそれぞれβとα |
| ADHが作られる場所・放出場所・水を再吸収する器官は | 視床下部・下垂体後葉・腎臓 |
| セクレチンの分泌場所と、重炭酸塩を含む液を出す器官は | 十二指腸と膵臓。出る場所と働きかける相手を区別する |
| 副甲状腺ホルモンは、血液中の何を上げる方向に働くか | カルシウム濃度。甲状腺ホルモンの代謝促進と分ける |
次は第二種の労働生理の練習問題または第一種の労働生理の練習問題で、ほかの単元と合わせて確認できます。
労働生理全体の学習順は第二種衛生管理者 労働生理の攻略、覚え方を変えたいときは第二種衛生管理者 暗記のコツを参照してください。











