この記事で分かること
- 第一種と第二種衛生管理者の試験範囲・問題数の具体的な違い
- それぞれの免許で対応できる業種・事業場の違い
- 自分の職場や将来のキャリアに合ったほうを選ぶための判断基準
- 第二種取得後に第一種を追加取得する方法
結論:「業種」で選ぶのが基本
第一種か第二種か、どちらを選ぶべきかは主に現在・将来働く予定の職場(業種)によって決まります。
結論を先にまとめると次の通りです。
| 状況 | 選ぶべき種別 |
|---|---|
| 製造業・建設業・鉱業・林業など有害業務を伴う業種 | 第一種 |
| 金融・保険・小売・情報通信・サービス業などオフィス系業種 | 第二種 |
| 将来どの業種で働くか分からない、より広い選択肢を持ちたい | 第一種 |
| まずは取りやすい資格から始めて後から第一種を追加したい | 第二種 |
第一種・第二種の基本的な違い
対応できる業種・事業場の違い
衛生管理者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任が法律で義務付けられています。ただし、どちらの種別の免許を持つ人が選任できるかは、業種によって異なります。
第一種衛生管理者免許 すべての業種・事業場で衛生管理者として選任可能です。有害業務(化学物質取り扱い・粉じん作業・有害光線への曝露など)を伴う業種に対応するための知識が求められます。
第二種衛生管理者免許 有害業務と関連性が低い業種に限定して、衛生管理者として選任できます。第二種で対応可能な業種の主な例は以下の通りです。
- 金融業・保険業
- 卸売業・小売業
- 情報通信業
- 不動産業・物品賃貸業
- 宿泊業・飲食サービス業
- 教育・学習支援業
- 医療・福祉(一部の施設)
- その他のサービス業
製造業・建設業・鉱業・林業・農業・運輸業などは、有害業務を取り扱う可能性があるため、第二種ではなく第一種の免許を持つ者が衛生管理者に選任される必要があります。
試験内容・問題数の違い
第一種と第二種の試験内容の最大の違いは、有害業務に関する出題の有無です。
| 試験科目 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 関係法令(有害業務以外) | 7問 | 10問 |
| 関係法令(有害業務に係るもの) | 10問 | 出題なし |
| 労働衛生(有害業務以外) | 7問 | 10問 |
| 労働衛生(有害業務に係るもの) | 10問 | 出題なし |
| 労働生理 | 10問 | 10問 |
| 合計 | 44問・400点満点 | 30問・300点満点 |
第二種は「有害業務に係るもの」の科目が丸ごとなくなるため、出題数が30問と少なくなります。この分だけ試験範囲が狭く、学習量が少なくて済みます。
有害業務に関する出題内容とは
第一種のみで出題される「有害業務に係るもの」では、次のような内容が問われます。
関係法令(有害業務に係るもの)の主な出題テーマ
- 特定化学物質・有機溶剤・鉛・四アルキル鉛などの規制
- 作業環境測定の実施義務と測定対象作業場
- 特殊健康診断の対象業務と実施頻度
- 局所排気装置・プッシュプル型換気装置に関する規制
- 労働安全衛生規則の有害業務関連規定
労働衛生(有害業務に係るもの)の主な出題テーマ
- 有害物質の人体への影響と健康障害(じん肺・金属中毒・有機溶剤中毒など)
- 作業環境管理の概念(管理濃度・許容濃度)
- 保護具(防毒マスク・防じんマスク・遮光保護具など)の種類と使用方法
- 電離放射線・紫外線・騒音・振動による健康障害とその予防
- 熱中症の分類(熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病)と対応
これらの内容は、化学工場・建設現場・鉱山などで働く労働者の安全衛生管理に直結する専門知識であり、オフィス系業種とは性格が大きく異なります。
合格率・難易度の違い
| 指標 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 合格率(概算) | 約45〜46% | 約49〜52% |
| 問題数 | 44問 | 30問 |
| 試験時間 | 3時間(午前・午後の2セット) | 3時間 |
| 難易度評価 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
第一種は有害業務に関する出題が加わる分、学習範囲が広く難易度が高くなります。合格率でも数ポイントの差があり、必要な勉強時間も第一種のほうが多くなります(第二種:60〜80時間、第一種:80〜100時間程度が目安)。
どちらを受けるべきか:判断フローチャート
判断基準1:現在の勤務先の業種
すでに勤務先が決まっている場合は、業種で判断するのが最もシンプルです。
自分の勤務先が製造業・建設業・鉱業・林業・農業・運輸業・電気・ガス・水道などに該当する場合は、衛生管理者の選任要件として第一種が必要です。人事・総務担当者として衛生管理者を目指す場合でも、事業場の業種によって必要な種別が決まります。
勤務先の業種が金融・保険・小売・情報通信・サービス業などであれば、第二種で衛生管理者として選任できます。
判断基準2:将来のキャリアの方向性
転職や異業種への移動を想定している場合は、第一種を取得しておくほうが選択肢が広がります。第一種はすべての業種に対応できるため、将来どのような職場に転職しても衛生管理者として活躍できます。
一方で「現在の職場(オフィス系)での選任が目的で、当面は転職の予定がない」という場合は第二種で十分です。
判断基準3:難易度と学習時間
試験勉強に充てられる時間が限られている場合は、第二種から始めることも一つの選択肢です。第二種に合格してから第一種の差分を学習して追加取得する方法もあります(ただし第一種試験を別途受験する必要があります)。
第二種取得後に第一種を追加取得する方法
第二種衛生管理者免許を持っている場合でも、第一種の試験は免除なく受験する必要があります(科目免除制度はありません)。
ただし、第二種の学習内容は第一種の試験にも活かせます。共通科目の「労働衛生(有害業務以外)」「関係法令(有害業務以外)」「労働生理」はすでに学習済みのため、第一種試験に向けては有害業務に関する2科目(計20問分)を集中的に学習するだけで対応できます。
第二種取得者が第一種を目指す場合の追加学習時間は、30〜50時間程度が目安です。
免許証の外見・名称の違い
第一種衛生管理者免許と第二種衛生管理者免許は、それぞれ異なる名称の免許証が交付されます。就職・転職時の資格証明では種別が明確に区別されるため、勤務先の業種に対応した種別を取得することが重要です。
なお、免許証の交付は都道府県労働局長が行い、取得後は更新の必要がありません(更新不要の生涯有効の免許です)。
よくある質問
第二種を持っていれば第一種の職場でも働けますか?
いいえ。第二種免許では第一種が必要な業種の事業場で衛生管理者として選任されることはできません。ただし、衛生管理者以外の一般社員として働くことには制限はありません。
転職を機に第一種を取り直す必要はありますか?
転職先の業種が第二種で対応可能な業種であれば、第一種に「取り直す」必要はありません。転職先が第一種を必要とする業種で、衛生管理者として選任される予定がある場合は、別途第一種の受験・取得が必要です。
第一種と第二種、どちらが就職に有利ですか?
第一種のほうが対応できる業種の幅が広いため、求人市場では第一種のほうが有利になるケースが多いです。特に製造業・建設業・物流業などへの転職を視野に入れている場合は、第一種を取得しておくと選択肢が広がります。
まとめ:業種と将来のキャリアで判断する
第一種・第二種衛生管理者の選び方についてまとめます。
- 業種で決まる:有害業務を伴う業種(製造・建設・鉱業など)は第一種、オフィス系業種は第二種でOK
- 試験範囲の差:第二種は30問・300点満点、第一種は有害業務関連が追加され44問・400点満点
- 合格率:第二種(約49〜52%)のほうが第一種(約45〜46%)より高い
- 将来の汎用性:どの業種でも対応できる第一種のほうが選択肢が広い
- 段階的取得も可能:第二種で実績を作ってから第一種を追加取得する戦略もある
まず自分の職場の業種を確認し、次に将来のキャリアの方向性を考えて、どちらを受験するかを決めましょう。
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