衛生管理者の試験で「過去問で見たことない問題が出た」と感じる大きな理由は、安全衛生技術試験協会が公表する問題が半年に1冊分だけだからです。 本試験は全国の会場で月に何度も行われていて、公表された冊子と同じ問題に当たるとは限りません(協会は、どの日の問題か、日ごとに問題が違うかを公表していません)。公表された冊子と違う問題に当たれば、見たことのない論点や言い回しが出るのは自然なことです。
- 公表されるのは、半年ごとに1回分の問題冊子(第二種は問1〜問30)。2026年10月21日の時点で、協会のページで見られるのは直近の2回分です。
- 本試験は全国7つのセンターと東京・大阪の試験場で、月に何度も行われます。協会は、公表した問題が何月何日の試験かを書いていません。
- 合格基準は科目ごと40%以上・合計60%以上(2026年10月時点の協会の案内)。第二種なら各科目4問・合計18問の正解で届くので、初見の問題を全部取る必要はありません。
- 対策は、公表問題の「答えの番号」ではなく選択肢ごとの根拠を覚えることと、公表問題に無い言い回しの問題で練習することです。
公表問題に無い言い回しで作った練習問題は、科目ごとに 関係法令・労働衛生・労働生理 で解けます。どれもぴよパスのオリジナル予想問題で、本試験の問題ではありません。
この記事では、公表問題の仕組みを協会のページで確かめたうえで、合格基準から見た考え方と、初見の問題の解き方・練習の仕方を整理します。第一種も公表の仕組みと合格基準の考え方は同じです。
公表試験問題とは — 半年ごとに1冊、直近の2回分
協会は、衛生管理者を含む免許試験の問題を「公表試験問題」のページに PDF で載せています。2026年10月21日に確かめた内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載の時期 | 4月掲載と10月掲載の欄がある。令和8年10月掲載は令和8年1月〜6月に、令和8年4月掲載は令和7年7月〜12月に実施した試験の問題 |
| 1回の掲載の中身 | 第二種衛生管理者は PDF 1本(問1〜問30の1回分)。第一種は問1〜問44の1回分 |
| 協会のページで見られる回数 | 直近の2回分(令和8年10月掲載・令和8年4月掲載)。それより前の回は市販の過去問題集に収録されている |
| 正答と解説 | 正答は選択肢番号の前の「○」。解説は無く、個々の問題や正答についての問い合わせには応じない |
| 法令の注意 | 「令和8年1月1日以降に施行された法令に対応しておりません」(協会のページ) |
| 実施日 | 半年のうちのどの日に実施した問題かは、ページにも PDF にも書かれていない |
公表問題の入手先と、解くときの注意(法令の改正など)は、第二種衛生管理者の過去問|公表試験問題の入手先と使い方 にまとめています。
本試験は月に何度も — 公表された日に当たるとは限らない
第一種・第二種の免許試験は、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州の7つの安全衛生技術センターと、東京試験場・大阪試験場で行われます(協会の試験日程のページ)。このほか、センターの所在地以外に会場を設ける出張試験もあります。
令和8年度の日程表を見ると、東京試験場は月に5〜11回、大阪試験場は月に4〜10回、中部センターは月に3〜5回の実施日が並んでいます。会場によっては月に1〜2回の月や、実施日の無い月もあります。
つまり、半年のあいだには全国で多くの回の試験が行われ、公表で見られるのはそのうち1冊分です。協会は「全部の回の問題を公表する」とは書いていませんし、公表した問題の実施日も示していません。受けた日の問題が公表問題と違っていても、それは仕組みから見て不思議ではありません。
ここから言えるのは「公表問題とまったく同じ問題が出るとは限らない」までです。何割が同じ問題か、どの論点が毎回出るかを、協会は公表していません。「過去問の使い回しが何割」といった数字は、一次の根拠がありません。
合格基準から考える — 初見の問題を全部取らなくてよい
協会の案内では、合格基準は次のとおりです(2026年10月時点)。
科目ごと(第一種衛生管理者試験の科目のうち範囲が分かれているものについては範囲ごと)の得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上であること。
第二種の試験は、関係法令・労働衛生・労働生理の3科目が各10問(各100点)で、合計30問・300点です。1問10点なので、合格基準は次のように数えられます。
| 基準 | 点 | 問題数に直すと |
|---|---|---|
| 各科目の40% | 40点 | 各科目4問以上 |
| 合計の60% | 180点 | 30問中18問以上 |
労働生理が免除される科目免除者は、関係法令と労働衛生の2科目20問(200点)なので、各科目4問以上・合計12問以上が基準になります(協会の配点と合格基準から数えた数)。
たとえば各科目に初見の問題が2〜3問ずつあっても、残りの問題を確実に取れば基準に届きます。逆に、ある科目で4問に届かないと、合計が60%以上でも不合格です(協会の FAQ)。初見の問題で悩みすぎて、知っている問題の見直しが減るのがいちばん損です。
第一種は44問で、関係法令と労働衛生がそれぞれ「有害業務に係るもの」と「それ以外」の範囲に分かれ、40%の基準は範囲ごとにかかります。配点の内訳は 第二種衛生管理者の科目と配点 や 合格基準 の記事で確かめられます。
「見たことない問題」の3つの型
受けた人が「見たことない」と感じる問題は、おおむね次の3つに分けられます。どれも、公表問題の答えの番号を覚えるだけでは対応しにくい型です。
- 同じ論点で、選択肢の組み合わせや言い回しが違う。 たとえば衛生管理者の選任なら、人数の区切りを聞く回もあれば、専属の要件や選任までの期限を聞く回もありえます。論点は同じでも、覚えた「正解の文」が出てこないと初見に見えます。
- 解いた公表問題に入っていない論点が出る。 協会のページで見られるのは直近の2冊です(それより前の回は市販の過去問題集に収録されています。使い方は過去問の活用法の記事にあります)。何冊解いても、そこに出ていない条文や知識はあります。
- 法令の改正が入っている。 協会は、公表問題が令和8年1月1日以降に施行された法令に対応していないと注意しています。改正後の内容で問われると、古い問題集の答えと合わなくなります。
初見の問題の解き方
本番で見たことのない問題に当たったときは、次の順で考えると落ち着いて解けます。
- 選択肢を1つずつ判定する。 問題文全体を「知っているか」で見ず、5つの選択肢(組合せの問題ならA・Bなどの記述)を1つずつ「法令や知識に照らして正しいか」で○×を付けます。初見の問題でも、選択肢の中に学んだ論点が含まれていれば、そこから判定できます。
- 確実に誤りと分かる選択肢から消す。 数字(人数・日数・期間)、主語(事業者か労働者か、誰に報告するか)、言い切り(「〜しなければならない」と「〜できる」)の違いは、知っている論点なら判定できます。消していくと、初見の選択肢が残っても答えを絞れます。
- 迷う問題は印を付けて後に回す。 第二種は30問を3時間で解きます(協会の案内の試験時間。科目免除者は2時間15分)。1問に長く止まらず、全部を一度解いてから戻る時間を取れます。
- 最後に、マークのずれと「誤っているものはどれか」の読み落としを確かめる。 問い方が「正しいもの」か「誤っているもの」かで、選ぶ肢が逆になります。
見たことない問題に強くなる練習の仕方
- 公表問題は、選択肢ごとに根拠を書き出す。 正答の番号だけでなく、誤りの選択肢がなぜ誤りか(どの条文の、どの数字が違うか)を確かめます。そうしておくと、同じ論点を別の言い回しで聞かれても判定できます。
- 数字と主語は表で覚える。 選任の人数・健康診断の時期・報告先のように、数字と「誰が・誰に」がセットの論点は、表にしておくと入れ替えに気づけます。間違えやすい用語 と ひっかけ対策 の記事に例があります。
- 公表問題に無い言い回しの問題で練習する。 同じ論点を違う聞き方で解くと、答えの文を覚えているのか、論点を理解しているのかが分かります。ぴよパスの練習問題は、公表問題を書き写さず、法令や公的な資料からオリジナルで作っています。
- 本番と同じ構成で通して解く。 3科目10問ずつ・30問を時間を決めて通しで解くと、初見の問題で止まらない練習になります。
例題: ぴよパスの予想問題から2問
ぴよパスのオリジナル予想問題から2問です(本試験の問題ではありません)。どちらも、同じ論点を公表問題とは別の言い回しで問うオリジナル問題です。
例題1(関係法令) 労働安全衛生法の「労働者」から除かれている者として、正しいものを選ぶ問題です。選択肢は「家事代行サービスの会社に雇われ、その会社の指揮命令の下で家事を行う者」「住み込みで働く旅館の従業員」「自宅で在宅勤務をしている労働者」「日々雇い入れられる者」「個人の家庭で家事に従事する家事使用人」。
答え: 個人の家庭で家事に従事する家事使用人。労働安全衛生法第2条第2号は、「労働者」を労働基準法第9条に規定する労働者とし、同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者と、家事使用人を除いています。家事を行う人でも、家事代行サービスの会社に雇われてその会社の指揮命令の下で働く人は家事使用人に当たらず、労働者として扱われます(厚生労働省の資料)。 この問題を解く →
例題2(労働生理) 耳のしくみについて、正しいものを選ぶ問題です。
答え: 蝸牛の内部の基底膜は、入口に近い基部ほど高い音に、奥の頂部ほど低い音によく反応する。半規管は頭の回転の加速度を、前庭の耳石器は直線の加速度や重力の向きを感じ取ります(逆にした肢は誤り)。耳小骨は鼓膜の側からツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨の順に並びます。 この問題を解く →
練習問題と模擬試験
科目ごとの練習問題は 第二種衛生管理者の試験ページ から解けます。第一種を受ける人は 第一種衛生管理者の試験ページ へどうぞ。3科目10問ずつ・30問の本番と同じ構成を90分で通して解く模擬試験は Premium の機能です(本試験の試験時間は3時間)。
まとめ
- 公表試験問題は半年ごとに1冊分で、協会のページで見られるのは直近の2回分。本試験は全国の会場で月に何度も行われ、公表された冊子と同じ問題が出るとは限らない。
- 合格基準は科目ごと40%以上・合計60%以上。第二種なら各科目4問・合計18問で届くので、初見の問題は消去法で拾いにいけばよい。
- 公表問題は「答えの番号」ではなく選択肢ごとの根拠を覚え、公表問題に無い言い回しの問題でも練習する。
関連記事
出典
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「公表試験問題」(2026年10月21日に確認): https://www.exam.or.jp/lckohyo/
- 同「第一種・第二種衛生管理者のご紹介」(試験科目・試験時間・合格基準): https://www.exam.or.jp/introduction/h_shokai502/
- 同「第一種・第二種衛生管理者免許試験日(令和7年10月~令和9年3月)」: https://www.exam.or.jp/schedule/h_nittei502/
- 同「免許試験についてよくあるご質問」(合格基準・出張試験): https://www.exam.or.jp/faq/
- 労働安全衛生法第2条第2号(e-Gov法令検索・2026年10月21日の版で確認): https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057
- 厚生労働省「家事使用人に係る災害補償・労災保険適用について」(審議会の資料4。家事使用人と、家事代行サービスの会社に雇われる人の違い): https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001441226.pdf










