- つり上げ荷重1トン以上のクレーンなどの玉掛けは玉掛け技能講習、1トン未満だけなら特別教育。分かれ目は荷の重さではなく機械のつり上げ荷重。
- クレーンの運転は、5トン以上はクレーン・デリック運転士免許(床上操作式なら技能講習でも可。跨線テルハは5トン以上でも特別教育)、5トン未満は特別教育。移動式クレーンは1トン以上5トン未満なら小型移動式クレーン運転技能講習でもよい。
- 2027年4月1日に、クレーンの運転の資格の一部(床上で無線で運転するクレーンなど)が変わる。玉掛けの資格は変わらない。
玉掛け技能講習の学科の修了試験では、こうした資格の決まりも「関係法令」の科目で出ます。ぴよパスの玉掛けの関係法令の練習問題で、たとえば1t以上の玉掛けの業務に就ける人の問題、玉掛けとクレーン等の運転の就業制限の問題、技能講習修了証の問題を解いてみてください。
この記事の条文は e-Gov 法令検索の労働安全衛生法・同施行令・労働安全衛生規則・クレーン等安全規則(2027年4月1日施行の改正後の版を含む)で、告示と通達は厚生労働省の法令等データベースで、修了証明書の手続きは技能講習修了証明書発行事務局のページで、2026年10月25日に確かめました。
結論: 正式名称と書き方
| 玉掛けをする機械 | 正式な名前 | 根拠 | 受けると出るもの | 履歴書の書き方の例 |
|---|---|---|---|---|
| つり上げ荷重1トン以上のクレーン・移動式クレーン・デリック(制限荷重1トン以上の揚貨装置を含む) | 玉掛け技能講習 | 労働安全衛生法施行令第20条第16号・労働安全衛生法別表第十八・クレーン等安全規則第221条(揚貨装置は労働安全衛生規則第41条・別表第三) | 技能講習修了証(労働安全衛生規則様式第17号) | 玉掛け技能講習 修了 |
| つり上げ荷重1トン未満だけ | 玉掛けの業務に係る特別教育 | 労働安全衛生規則第36条第19号・クレーン等安全規則第222条 | 法令に決まった修了証の様式は無い | 玉掛けの業務に係る特別教育 修了 |
「つり上げ荷重」は、施行令第10条第1号で、機械の構造と材料に応じて負荷させることができる最大の荷重とされています。荷が軽くても、使うクレーンのつり上げ荷重が1トン以上なら、玉掛け技能講習の修了などが要ります。
法律上は「免許」ではない
労働安全衛生法で「免許」と呼ぶものは第72条で決まっていて、免許試験に合格した人などに都道府県労働局長が免許証を交付するものです。労働安全衛生規則第69条の免許試験の区分にクレーンは「クレーン・デリック運転士免許試験」「移動式クレーン運転士免許試験」として入っていますが、玉掛けはありません。玉掛け技能講習は登録教習機関が行い、修了証も登録教習機関が交付します(同法第76条・労働安全衛生規則第81条)。
1トン以上の玉掛けをしてよいのは、玉掛け技能講習の修了者のほか、職業訓練の玉掛け科(通信の方法によるものを除く)を修了した人(クレーン等安全規則第221条第2号)と、とびの技能検定の1級・2級に合格した人など厚生労働大臣が定める人です(同条第3号・昭和47年労働省告示第113号)。
玉掛け技能講習の時間は、玉掛け技能講習規程(昭和47年労働省告示第119号)で学科12時間・実技7時間です。くわしくは玉掛け技能講習とはにまとめています。
履歴書の書き方
厚生労働省の履歴書の様式例は、資格を書く欄を「免許・資格」としていますが、書き方の説明はありません。法令の字面に合わせると次のようになります。
| 年 | 月 | 免許・資格 |
|---|---|---|
| 令和○ | ○ | 玉掛け技能講習 修了 |
| 令和○ | ○ | 小型移動式クレーン運転技能講習 修了 |
| 令和○ | ○ | 移動式クレーン運転士免許 取得 |
クレーン・デリック運転士免許や移動式クレーン運転士免許は、労働安全衛生法の免許なので「取得」と書けます。技能講習は「修了」です。
玉掛けの資格ではクレーンを運転できない
労働安全衛生法施行令第20条は、資格が要る業務を号ごとに分けていて、クレーンの運転は第6号、移動式クレーンの運転は第7号、デリックの運転は第8号、玉掛けは第16号です。労働安全衛生規則の別表第三も、業務ごとに行を分けて、それぞれの業務に就ける人を決めています。玉掛けの行に運転の免許は入っておらず、運転の行に玉掛け技能講習は入っていません。
このため、1人でクレーンを運転し、玉掛けもするなら、両方の資格が要ると読めます。厚生労働省が掲載している床上操作式クレーン運転技能講習の補助テキスト(委託事業の教材)も、運転者が玉掛けをするときは玉掛け技能講習の修了が必要と書いています。
クレーンの運転の資格(2027年3月31日までの決まり)
| 機械 | つり上げ荷重 | 運転の資格 | 玉掛けの資格 |
|---|---|---|---|
| クレーン(天井クレーンなど。跨線テルハを除く) | 5トン以上 | クレーン・デリック運転士免許(クレーン等安全規則第22条) | 玉掛け技能講習の修了など |
| クレーンのうち床上操作式(運転する人が荷と一緒に動く方式) | 5トン以上 | 上の免許、または床上操作式クレーン運転技能講習 | 玉掛け技能講習の修了など |
| 跨線テルハ(線路の上をまたぐテルハ) | 5トン以上 | 特別教育(第21条第1項第2号) | 玉掛け技能講習の修了など |
| クレーン | 1トン以上5トン未満 | 特別教育(第21条) | 玉掛け技能講習の修了など |
| クレーン | 0.5トン以上1トン未満 | 特別教育 | 特別教育(第222条) |
| 移動式クレーン | 5トン以上 | 移動式クレーン運転士免許(第68条) | 玉掛け技能講習の修了など |
| 移動式クレーン(小型移動式クレーン) | 1トン以上5トン未満 | 上の免許、または小型移動式クレーン運転技能講習 | 玉掛け技能講習の修了など |
| 移動式クレーン | 0.5トン以上1トン未満 | 特別教育(第67条) | 特別教育 |
| デリック | 5トン以上 | クレーン・デリック運転士免許(第108条) | 玉掛け技能講習の修了など |
| デリック | 0.5トン以上5トン未満 | 特別教育(第107条) | 1トン以上は玉掛け技能講習の修了など、1トン未満は特別教育 |
クレーン等安全規則は、つり上げ荷重0.5トン未満の機械には適用されません(第2条第1号)。移動式クレーンの運転の資格は、道路上を走らせる運転を除いたもので、公道を走るには道路交通法の運転免許が別に要ります。クレーン・デリック運転士免許と移動式クレーン運転士免許は、満18歳から受けられます。
無線のリモコンで動かすクレーンなど、運転する人が荷と一緒に動かない方式は、今は床上操作式に入りません(平成2年の基発第583号)。5トン以上なら、クレーン・デリック運転士免許が要ります。
2027年4月1日からの変更
令和8年4月30日に公布された改正(厚生労働省令第90号)で、2027年4月1日から「床上無線運転式クレーン」の区分ができます。スイッチ操作の無線コントローラーを使って床上で運転するクレーンのうち、つり具の真下の床の点から水平15メートルの範囲で運転し、走行と横行の定格速度が毎秒1.1メートル以下のものです。この床上無線運転式クレーンと、有線コントローラーで運転し運転する人がクレーンの走行とともに動く「床上運転式クレーン」に限ったクレーン・デリック運転士免許もできます(改正後の第22条・第224条の4)。床上操作式クレーンは、有線コントローラーで運転し、運転する人が荷の移動とともに動くものと条文に書かれます。玉掛けの資格の決まり(第221条)は変わりません。
クレーンの資格を持つ人の玉掛けの特別教育
逆に、クレーンの運転の特別教育を受けた人は、玉掛けの特別教育(1トン未満)の科目の全部を省略してよいとされています(昭和47年の基発第598号)。ただし、1トン以上の玉掛けには、玉掛け技能講習の修了などが要ります。
技能講習修了証の見方
修了証の様式は労働安全衛生規則の様式第17号で、題は「( )技能講習修了証」です。括弧の中に講習の種類が入ります。玉掛け技能講習の修了証なら「玉掛け技能講習修了証」となり、交付した登録教習機関の名前も書かれます。古い修了証に「玉掛技能講習」と書かれている場合も、同じ玉掛けの技能講習です(技能講習修了証明書発行事務局の名称一覧で、今の玉掛けに引き当てられています)。
なくしたとき・名前が変わったとき
| こんなとき | どこへ | 根拠 |
|---|---|---|
| なくした・傷んだ | 修了証を交付した登録教習機関に再交付申込書(様式第18号)を出して再交付を受ける | 労働安全衛生規則第82条第1項 |
| 氏名が変わった | 修了証を交付した登録教習機関で書替えを受ける | 同条第2項 |
| 交付した登録教習機関が講習の業務をやめている(登録の取消し・失効を含む) | 技能講習修了証明書発行事務局に申し込み、技能講習修了証明書の交付を受ける | 同条第3項 |
技能講習修了証明書発行事務局の手数料は1人1回1,500円で、コンビニ振込なら返信用の簡易書留460円と振込手数料143円を含めて2,103円です。ほかの技能講習の資格もまとめて1枚のカードにできますが、特別教育と免許は証明できません。発行事務局のデータベースに修了の記録がある場合に限られます。
クレーン・デリック運転士免許証や移動式クレーン運転士免許証は、労働安全衛生法の免許証なので、再交付と書替えは別の手続きで、都道府県労働局長に申請します(労働安全衛生規則第67条)。
フォークリフトの場合の書き方と手続きはフォークリフト免許の正式名称で説明しています。
関連記事
出典
- e-Gov 法令検索「労働安全衛生法」(第61条・第72条・第76条・別表第十八)
- e-Gov 法令検索「労働安全衛生法施行令」(第10条・第20条)
- e-Gov 法令検索「労働安全衛生規則」(第36条・第67条・第69条・第81条・第82条・別表第三・様式第17号・様式第18号)
- e-Gov 法令検索「クレーン等安全規則」(第2条・第21条・第22条・第67条・第68条・第107条・第108条・第221条・第222条。2027年4月1日施行の改正後の版を含む)
- 厚生労働省 法令等データベース「玉掛け技能講習規程」(昭和47年労働省告示第119号)、昭和47年労働省告示第113号
- 厚生労働省 法令等データベース 通達(昭和47年 基発第598号、平成2年 基発第583号)
- 厚生労働省「技能講習補助教材」(床上操作式クレーン運転技能講習 補助テキスト)
- 技能講習修了証明書発行事務局(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/gino/)
- 厚生労働省 労働政策審議会資料「履歴書の様式例」



