玉掛け技能講習は、つり上げ荷重1t以上のクレーン・移動式クレーン・デリックで、荷にワイヤロープなどを掛け外しする玉掛けの業務に就くために修了が必要な講習です(労働安全衛生法第61条、同法施行令第20条第16号、クレーン等安全規則第221条)。つり上げ荷重1t未満なら、事業者が行う特別の教育でよいとされています(クレーン等安全規則第222条)。技能講習は学科12時間・実技7時間で、クレーンの運転の免許などを持つ人は科目の一部が免除されます(玉掛け技能講習規程)。
この記事は、e-Gov法令検索の2026年10月時点の版(労働安全衛生法・同法施行令・労働安全衛生規則は2026年10月1日施行、クレーン等安全規則は2026年4月1日施行の版)と、厚生労働省の法令等データベースの玉掛け技能講習規程・クレーン取扱い業務等特別教育規程(2026年10月20日に確認)をもとに書いています。
1t以上と1t未満 — 技能講習と特別教育の分かれ目
| つり上げ荷重1t以上 | つり上げ荷重1t未満 | |
|---|---|---|
| 必要なもの | 玉掛け技能講習の修了など(就業制限) | 事業者が行う特別の教育 |
| 根拠 | 労働安全衛生法第61条、施行令第20条第16号、クレーン等安全規則第221条 | 労働安全衛生法第59条第3項、クレーン等安全規則第222条 |
| 行う者 | 都道府県労働局長の登録を受けた登録教習機関 | 事業者 |
| 時間 | 学科12時間・実技7時間(玉掛け技能講習規程第2条) | 学科5時間以上・実技4時間以上(クレーン取扱い業務等特別教育規程第5条) |
| 修了の証明 | 登録教習機関が技能講習修了証を交付(労働安全衛生規則第81条) | 事業者が記録を作成して3年間保存(労働安全衛生規則第38条) |
| 業務中 | 修了証などの資格を証する書面を携帯する(労働安全衛生法第61条第3項) | — |
ここでの「1t」は、玉掛けする荷の重さではなく、クレーン等のつり上げ荷重です。つり上げ荷重は、クレーン・移動式クレーン・デリックの構造及び材料に応じて負荷させることができる最大の荷重と定義されています(労働安全衛生法施行令第10条第1号の括弧書き)。0.5tの荷を掛ける作業でも、つり上げ荷重が2.8tのクレーンを使うなら技能講習の修了などが要ります。
クレーン等安全規則第221条は、技能講習の修了者のほかに、職業能力開発促進法の普通職業訓練のうち玉掛け科の訓練(通信の方法によるものを除く)を修了した人と、厚生労働大臣が定める人も、1t以上の玉掛けの業務に就ける者として挙げています。
技能講習の科目と時間 — 学科12時間・実技7時間
玉掛け技能講習規程第2条の科目と時間です。
| 区分 | 科目 | 範囲 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 学科 | クレーン、移動式クレーン、デリック及び揚貨装置(クレーン等)に関する知識 | 種類及び型式、構造及び機能、安全装置及びブレーキ | 1時間 |
| 学科 | クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識 | 力(合成、分解、つり合い及びモーメント)、重心及び物の安定、摩擦、質量、速度及び加速度、荷重、応力、玉掛用具の強さ | 3時間 |
| 学科 | クレーン等の玉掛けの方法 | 玉掛けの一般的作業方法、玉掛用具の選定及び使用の方法、基本動作(安全作業方法を含む)、合図の方法 | 7時間 |
| 学科 | 関係法令 | 労働安全衛生法・同法施行令・労働安全衛生規則・クレーン等安全規則の関係条項 | 1時間 |
| 実技 | クレーン等の玉掛け | 質量目測、玉掛用具の選定及び使用、0.5t以上の荷の玉掛けの基本作業と応用作業 | 6時間 |
| 実技 | クレーン等の運転のための合図 | 手、小旗などを用いて行う合図 | 1時間 |
学科講習はおおむね100人以内、実技講習は10人以内を1単位として行います(同条第3項)。講習の最後に、学科試験(筆記か口述)と実技試験の修了試験があります(同規程第5条)。
科目の免除と短縮の特例
| 対象の人 | 免除・短縮 | 根拠 |
|---|---|---|
| クレーン・デリック運転士免許、移動式クレーン運転士免許、揚貨装置運転士免許を受けた人/床上操作式クレーン運転技能講習・小型移動式クレーン運転技能講習の修了者 | 「クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識」と「クレーン等の運転のための合図」の受講を免除 | 玉掛け技能講習規程第3条 |
| 施行令第20条第6号・第7号の業務(クレーン・移動式クレーンの運転)や、労働安全衛生規則第36条第6号・第15号〜第17号の業務に6か月以上従事した人など | 「クレーン等の運転のための合図」の受講を免除 | 同条 |
| つり上げ荷重(制限荷重)1t以上のクレーン等の玉掛けの補助作業、または制限荷重1t未満の揚貨装置の玉掛けの業務に6か月以上従事した人 | 学科11時間(玉掛けの方法が6時間)・実技5時間(玉掛けの応用作業4時間と合図1時間)に短縮 | 同規程第4条第1項 |
| つり上げ荷重1t未満のクレーン等の玉掛けの業務に6か月以上従事した人 | 上の短縮の科目から「クレーン等の運転のための合図」を除く | 同条第2項 |
小型移動式クレーンの技能講習やクレーンの運転の資格と組み合わせて受講する人は、この免除を確かめておくと、受講の時間を短くできます。
特別教育(1t未満)の中身 — 学科5時間・実技4時間
つり上げ荷重1t未満のクレーン等の玉掛けの特別の教育は、クレーン等安全規則第222条第2項の6科目について行い、時間はクレーン取扱い業務等特別教育規程第5条で決まっています。
進む 2027年4月1日からの改正: 労働者を使う小規模の事業者や個人事業者で自ら作業をする人(作業従事役員等)も、労働者と同じ場所で1t未満の玉掛けの業務に就くときは、この特別の教育を受けなければならなくなります(改正後のクレーン等安全規則第222条第2項。科目の項は第3項に繰り下がります)。
| 区分 | 科目 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | クレーン等に関する知識 | 1時間以上 |
| 学科 | クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識 | 1時間以上 |
| 学科 | クレーン等の玉掛けの方法 | 2時間以上 |
| 学科 | 関係法令 | 1時間以上 |
| 実技 | クレーン等の玉掛け | 3時間以上 |
| 実技 | クレーン等の運転のための合図 | 1時間以上 |
取り違えやすい文
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| つり上げ荷重1t以上のクレーンの玉掛けは、特別の教育を受ければ行える | 誤り | 技能講習の修了などが要る(クレーン等安全規則第221条) |
| 1tの線は、玉掛けする荷の重さで判断する | 誤り | クレーン等のつり上げ荷重で判断する(施行令第20条第16号・第10条第1号) |
| 玉掛け技能講習の学科講習は4科目12時間 | 正しい | 玉掛け技能講習規程第2条第1項 |
| 移動式クレーン運転士免許を受けた人は、力学と合図の科目の受講が免除される | 正しい | 同規程第3条 |
| 技能講習修了証は、都道府県労働局長が交付する | 誤り | 技能講習を行った登録教習機関が交付(労働安全衛生規則第81条) |
| 1t以上の玉掛けの業務に従事するときは、修了証などの資格を証する書面を携帯する | 正しい | 労働安全衛生法第61条第3項 |
ぴよパスのオリジナル予想問題で確かめられます。
学科試験の4科目の練習は 玉掛け学科試験の練習問題 に、力学の計算は 玉掛けの計算問題を例題で練習 にまとめています。
出典
- 労働安全衛生法 第59条・第61条(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版)
- 労働安全衛生法施行令 第10条・第20条(同・2026年10月1日施行の版)
- 労働安全衛生規則 第36条・第38条・第81条(同・2026年10月1日施行の版)
- クレーン等安全規則 第221条・第222条(同・2026年4月1日施行の版。改正後の第222条は2027年4月1日施行の版)
- 玉掛け技能講習規程(昭和47年労働省告示第119号)第2条〜第5条、クレーン取扱い業務等特別教育規程(昭和47年労働省告示第118号)第5条(厚生労働省 法令等データベース。2026年10月20日に確認)
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