玉掛け技能講習は、つり上げ荷重1トン以上のクレーン等で玉掛けの業務を行うために必要な講習で、労働安全衛生法に基づき登録教習機関が実施します。学科講習の後に修了試験 (学科試験) があり、ここで落ちると修了証は交付されません。
ぴよパスでは、玉掛け技能講習規程が定める学科4科目を、講習時間の長い力学と玉掛けの方法を厚めにした合計40問の四肢択一で練習できるオリジナル問題を用意しました。安全係数や廃棄基準などの数字はクレーン等安全規則の条文を根拠にし、掛け方や作業手順は講習テキストで説明される基本に沿っています。
学科講習と修了試験の形式 (技能講習規程から)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 労働安全衛生法第61条、労働安全衛生法施行令第20条第16号、玉掛け技能講習規程 (昭和47年労働省告示第119号) |
| 対象 | つり上げ荷重1t以上のクレーン・移動式クレーン・デリック、制限荷重1t以上の揚貨装置の玉掛けの業務 |
| 学科講習 | クレーン等に関する知識 1時間 / クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識 3時間 / クレーン等の玉掛けの方法 7時間 / 関係法令 1時間 (計12時間) |
| 実技講習 | クレーン等の玉掛け 6時間 / クレーン等の運転のための合図 1時間 (計7時間) |
| 修了試験 | 学科試験 (筆記又は口述) と実技試験。問題数・形式・合格基準は規程では定められておらず、機関ごとに異なる |
| 免除 | クレーン・デリック運転士免許などの保持者は力学と合図が免除、6か月以上の関連業務の経験者は合図が免除 (規程第3条) |
| 実施 | 登録教習機関 (労働基準協会、建機メーカーの教習所、クレーン協会の支部など)。受講料は機関で異なる |
修了試験の問題数・形式・合格基準を全国一律に定めた規定はありません。「○×か四択か」「何問中何問か」は受講する機関に確認するのが正しい手順で、どの機関でも講習で扱った内容から出ることだけは共通です。
4科目と練習問題40問の対応
| 科目 (講習時間) | 練習問題で扱う内容 |
|---|---|
| クレーン等に関する知識 (1時間・6問) | つり上げ荷重と定格荷重、クレーン・移動式クレーン・デリック・揚貨装置、巻過防止装置と過負荷防止装置、作業半径と定格荷重、合図者の指名、荷振れと地切り |
| 玉掛けに必要な力学 (3時間・12問) | 質量目測 (比重・直方体・円柱)、重心とつり点、つり角度と張力係数、基本安全荷重の計算、モード係数、荷重の種類、慣性と遠心力、摩擦と滑り |
| 玉掛けの方法 (7時間・14問) | ワイヤロープの構造と端末処理、廃棄基準、つりチェーンと繊維ベルト、シャックルとフック、目通し・あだ巻き・半掛け、あて物、作業手順、荷下ろしとまくら、クランプとアイボルト、作業開始前の点検、立ち位置、長尺物と複数の荷、保管 |
| 関係法令 (1時間・8問) | 就業制限の1tと特別の教育、安全係数6と5、立入禁止の6類型、合図、不適格な玉掛用具、技能講習規程の4科目、過負荷・搭乗・強風時、修了証の携帯 |
正解の肢だけでなく誤りの肢についても「なぜ誤りか」を解説に書いています。4つの肢のうち3つは正しい知識として読めるので、全肢を読むこと自体が復習になります。
計算問題は3パターンだけ — 質量目測・張力係数・モード係数
学科試験で差がつくのは計算問題です。出るパターンは3つに絞れます。
- 質量目測: 荷の体積 × 比重。縦2m・横1m・厚さ0.1mの鋼板なら 2 × 1 × 0.1 = 0.2m³、鋼の比重7.8を掛けて1.56t。円柱は「半径 × 半径 × 3.14 × 長さ」で、直径で計算すると4倍に間違えます。
- 1本にかかる張力: 2本づりなら荷の質量を2で割り、つり角度の張力係数 (30°で1.04、60°で1.16、90°で1.41、120°で2.0) を掛けます。2tの荷を60°でつれば 1t × 1.16 = 1.16tに相当する力です。
- つれる質量: ワイヤロープの切断荷重を安全係数6で割った基本安全荷重に、本数とつり角度のモード係数 (2本づり60°で1.73) を掛けます。切断荷重58.8kNのロープは基本安全荷重9.8kN = 約1tで、2本60°なら約1.73tまでつれます。
張力係数は「1本にかかる力を求める」係数、モード係数は「その掛け方でつれる質量を求める」係数で、逆数の関係です。どちらを掛けるかを取り違えるのが最も多い失点なので、練習問題ではこの2つを別々の問題にしています。
数字で決まる論点 — 安全係数・廃棄基準・立入禁止
| 論点 | 数字・内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 技能講習が必要な範囲 | つり上げ荷重1t以上 (揚貨装置は制限荷重1t以上) | 労働安全衛生法施行令第20条第16号 |
| 特別の教育で足りる範囲 | つり上げ荷重1t未満 | クレーン等安全規則第222条 |
| 安全係数 | ワイヤロープ6以上、フック・シャックル5以上 | 同規則第213条・第214条 |
| 使用禁止のワイヤロープ | 素線の10%以上の切断、直径の7%を超える減少、キンク、著しい形くずれ・腐食 | 同規則第215条 |
| 使用禁止のつりチェーン | 伸び5%超、リンク径の減少10%超、き裂 | 同規則第216条 |
| 両端の要件 | エンドレスでないロープはアイ・フック・シャックル・リングを備える | 同規則第219条 |
| 作業開始前の点検 | ワイヤロープ・チェーン・ベルト・金具の異常の有無 | 同規則第220条 |
| 荷の下への立入禁止 | ハッカー、クランプ1個、1箇所づり (穴・アイボルト経由を除く)、固定していない複数の荷、磁力・陰圧のつり具、動力下降以外 | 同規則第29条 |
クレーン等安全規則は2026年4月1日施行の改正で「作業に従事する者」が「作業従事者」に広がった条文がありますが、上の表の数字と義務の内容は改正前後で同じです。
玉掛けと一緒に取ることが多い小型移動式クレーン運転技能講習の学科は、小型移動式クレーン学科試験の練習問題40問 で定格総荷重と作業半径の関係から練習できます。
落ちる人の共通点 — 「直感と逆」の3つ
- 1tの区分はつり荷ではなくクレーンで決まる: 500kgの荷でも、3tのクレーンで玉掛けするなら技能講習が必要です。
- つり角度が大きいほど張力は増える: 荷を安定させようとロープを広げると、1本にかかる力は大きくなります。60°以内が目安です。
- つり点は重心より上に: 重心が高い荷を、重心より低い位置に掛けたロープでつると、地切りの瞬間に回転します。
練習問題の解説では、この3つを含めて「なぜ逆なのか」を毎回書いています。受講前に一度解き、間違えた科目を講習中に重点的に聞き、講習後にもう一度解く順番が効率的です。
修了試験の形式と合格基準が機関ごとに違う理由
技能講習規程は「修了試験は学科試験及び実技試験とし、学科試験は筆記又は口述による」と定めるだけで、問題数や合格点は書いていません。修了試験を作って採点するのは各登録教習機関なので、○×式の機関、三択の機関、四択の機関があり、問題数も違います。ぴよパスの練習問題は四肢択一ですが、各肢を「○か×か」で判断する練習として使えば、どの形式にも対応できます。
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出典
- 厚生労働省 法令等データベース「玉掛け技能講習規程」(昭和47年労働省告示第119号) — 学科・実技の科目と時間、修了試験、免除 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74031000&dataType=0&pageNo=1)
- e-Gov 法令検索「労働安全衛生法施行令」第20条第16号 — 玉掛けの就業制限
- e-Gov 法令検索「クレーン等安全規則」第25条・第29条・第213〜222条 — 合図、立入禁止、玉掛用具の安全係数と使用禁止の基準、点検、資格 (2026年4月1日施行版)

