移動式クレーン運転士は、つり上げ荷重が5トン以上のトラッククレーン、ラフテレーンクレーン、クローラクレーン、浮きクレーンなどの移動式クレーンを運転するために必要な国家資格で、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が免許試験を行い、免許は都道府県労働局長が交付します。学科試験は年6回、全国のセンターで同じ日に行われ、令和7年度は4,861人が受験して65.7%が合格しました。つり上げ荷重が1トン以上5トン未満なら小型移動式クレーン運転技能講習で運転できるので、免許が要るのは大型機を扱う建設・港湾・運送の現場で、受験者はほとんどが実務者です。
ぴよパスでは、公式の学科試験4科目を各10問、合計40問の五肢択一で練習できるオリジナル問題を用意しました。本試験の問題冊子と同じ「移動式クレーンに関する知識 → 原動機及び電気に関する知識 → 関係法令 → 力学」の並びで、関係法令はクレーン等安全規則の移動式クレーンの章 (第53条〜第93条) と免許の節 (第229条〜第234条) の条文を根拠にしています。公表問題の転載ではありません。
学科試験の形式 (公式の紹介ページから)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 (指定試験機関)。免許の交付は都道府県労働局長 |
| 資格の範囲 | つり上げ荷重5トン以上の移動式クレーンの運転 |
| 受験資格 | なし (本人確認証明書の添付のみ)。免許の交付は満18歳以上 |
| 出題形式 | 五肢択一・40問・100点満点。マークシート |
| 試験時間 | 2時間30分 (13:30〜16:00)。力学免除者は2時間 (問1〜問30) |
| 合格基準 | 科目ごとの得点が40%以上、かつ合計60%以上 |
| 試験手数料 | 学科 8,800円 / 実技 14,000円 (非課税) |
| 合格発表 | 発表日にセンターのホームページに掲載し、同日に通知書を郵送。電話での照会は不可 |
4科目の配点と足切り — 問数ではなく得点で見る
| 科目 | 出題 | 配点 | 冊子上の問番号 | 足切りライン |
|---|---|---|---|---|
| 移動式クレーンに関する知識 | 10問 | 30点 | 問1〜問10 | 12点 |
| 原動機及び電気に関する知識 | 10問 | 30点 | 問11〜問20 | 12点 |
| 関係法令 | 10問 | 20点 | 問21〜問30 | 8点 |
| 移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 | 10問 | 20点 | 問31〜問40 | 8点 |
クレーン・デリック運転士〔クレーン限定〕では問11〜問20が関係法令ですが、移動式クレーンの問題冊子では問11〜問20が原動機及び電気で、関係法令は問21〜問30です。配点が30点の知識と原動機及び電気は1問3点、20点の法令と力学は1問2点なので、同じ1問の取りこぼしでも合計への響き方が違います。合計60点に届いていても、1科目でも40%を下回ると不合格です。
40問の中身 — 兄弟資格と重ならない3科目を新しく作った
| 科目 | ぴよパスの10問で扱う論点 |
|---|---|
| 移動式クレーンに関する知識 | 種類 (トラック・ラフテレーン・クローラ・オールテレーン・浮きクレーン)、定格総荷重表の読み方、上部旋回体と下部走行体、箱形とラチスのジブ、ワイヤロープの構成、過負荷防止装置と巻過防止装置、つり上げ荷重・定格速度・揚程などの用語、巻上装置とブレーキ、運転の要領、作業領域と定格総荷重 |
| 原動機及び電気に関する知識 | ディーゼルエンジンの作動、燃料装置、潤滑と冷却、吸排気と排気ガス、バッテリ、スタータとオルタネータ、感電の防止と接地、油圧装置の特徴、油圧ポンプ・シリンダ・モータ、制御弁 |
| 関係法令 | 免許と免除、製造検査と使用検査 (1.25倍・1.27倍)、検査証 (2年・10日以内・3t未満で返還)、性能検査と変更届、巻過防止装置 (0.25m・0.05m) と安全弁、使用の制限とアウトリガー、合図と搭乗 (1.3倍+500kg)、立入禁止と強風、自主検査 (1年・1月・3年保存)、玉掛用具 |
| 力学 | 力の合成、モーメントのつり合い、円柱の質量、重心と安定、遠心力、摩擦力、安全係数、引張応力、荷重の種類、安定モーメントと転倒モーメントの計算 |
原動機及び電気は、クレーン限定の免許 (三相誘導電動機と給電装置) とはまったく別の内容で、移動式クレーンではディーゼルエンジン・電装品・油圧装置が出ます。移動式クレーンに関する知識も、ジブ・アウトリガー・定格総荷重表という移動式固有の論点です。兄弟資格から流用できるのは力学だけで、それも移動式クレーンの安定 (転倒支点とカウンタウエイト) に寄せて作り直しています。
試験日程 — 年6回・全国同一日と、出張試験
令和8年度のセンター試験は、令和8年5月21日・7月3日・9月2日・11月4日、令和9年1月15日・3月11日の6回で、全国のセンター (北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州) で同じ日に行われます。東京試験場では移動式クレーンの試験は実施されず、近畿は本所と大阪試験場に分かれます。
これとは別に、センターの所在地以外に会場を設ける「出張試験」があり、移動式クレーンでは年間の実施回数のおよそ3分の1を占めます (令和6年度は学科83回のうち28回が出張試験)。出張試験は受付期間が通常の申請と別に定められているので、地元で受けたい人はセンターの日程表で出張試験の欄を確認してください。
合格率の読み方 — 3年とも6割台
| 年度 | 学科 受験者 | 学科 合格者 | 学科 合格率 | 実技 受験者 | 実技 合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 5,080 | 3,234 | 63.7% | 461 | 64.4% |
| 令和6年度 | 5,025 | 3,108 | 61.9% | 385 | 64.7% |
| 令和7年度 | 4,861 | 3,194 | 65.7% | 400 | 66.3% |
令和7年度の学科合格率65.7%は、クレーン・デリック運転士〔クレーン限定〕の57.3%より高く、3人に2人が受かる水準です。ただし3人に1人は落ちており、その多くは配点の大きい「原動機及び電気」と「移動式クレーンに関する知識」の足切り、あるいは数字の暗記が要る関係法令の取りこぼしです。学科に受かった後は、実技試験 (令和7年度の受験者は400人) ではなく、移動式クレーン運転実技教習を修了して実技を免除される人が大半です。
免除の関係 — 玉掛け・小型移動式・クレーン限定から進む人へ
クレーン等安全規則第233条の表は、持っている資格ごとに免除される科目を定めています。
| 持っている資格 | 免除されるもの |
|---|---|
| クレーン・デリック運転士免許 (クレーン限定を含む) 又は揚貨装置運転士免許 | 学科の「力学」と実技の「合図」 |
| 床上操作式クレーン・小型移動式クレーン・玉掛けの各技能講習の修了 | 実技の「合図」 |
| 移動式クレーン運転実技教習の修了 (1年以内) | 実技試験の全部 |
| 学科試験の合格 (同じ都道府県労働局長の前回試験、又は指定試験機関で1年以内) | 学科試験の全部 |
小型移動式クレーン学科 の修了者は、つり上げ荷重5トン以上の機体を扱うために免許へ進む人が多く、4科目の主題は同じでも、定格総荷重表の読み方や法令の数字 (検査証の有効期間、自主検査の周期、巻過防止装置の間隔) はこの試験のほうが深く問われます。クレーン限定 の免許を持つ人は力学が免除されるので、問1〜問30を2時間で解きます。
過去問の使い方と市販の問題集
安全衛生技術試験協会は、毎年4月と10月に直近の試験問題と正答をPDFで公表しています。公表されるのは常に直近2回分で、掲載期間の明文はないので、使う分はその都度保存しておくのが安全です。PDFには「令和8年1月1日以降に施行された法令に対応しておりません」という注記があり、法令の数字は現行の条文で確かめながら使ってください。
市販の問題集としては、毎年改訂される図解テキストと過去問6回分を組み合わせた本が定番で、令和8年版は2026年9月下旬に刊行予定です。ぴよパスの40問で「一つの記述が正しいか誤りか」を判断する型を固め、公表問題で2時間30分の時間配分を体験する、という順番を勧めます。
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