甲5の製図は「個数を出す」問題に集約される
甲種5類の実技7問のうち2問が製図です。他の類のように配管やヘッドの配置を描くのではなく、避難器具が何個必要かを算定する問題が中心になります。手順は決まっているので、順番を固定してしまえば安定して取れます。
手順は4段階です。
- 収容人員を出す(消防法施行規則第1条の3)
- どの号に当たるかを決める(消防法施行令第25条第1項)
- 必要個数を計算する(同条第2項第1号)
- 緩和・減算・免除を適用する(消防法施行規則第26条)
① 収容人員 — 用途ごとに除数が違う
収容人員は消防法施行規則第1条の3で、防火対象物の用途ごとに算定方法が決まっています。
| 令別表第一の区分 | 算定 |
|---|---|
| (一)項 | 従業者数+固定式いす席数(長いすは正面幅÷0.4m、端数切捨て)+立見席は床面積÷0.2㎡+その他は床面積÷0.5㎡ |
| (四)項 | 従業者数+飲食休憩部分は床面積÷3㎡+その他は床面積÷4㎡ |
| (五)項イ | 従業者数+洋式はベッド数+和式は床面積÷6㎡(簡易宿所・団体客主体は÷3㎡) |
| (六)項イ | 医師等の従業者数+病床数+待合室の床面積÷3㎡ |
| (十七)項 | 床面積÷5㎡ |
| (十六)項 | 用途ごとに一の防火対象物とみなして算定し合算 |
⚠️ 端数は切り捨てです。長いすの「正面幅÷0.4m」で1未満の端数が出た場合も切り捨てます。
② どの号に当たるか — 収容人員のしきい値
消防法施行令第25条第1項は5つの号に分かれています。
| 号 | 対象 | 設置階 | 収容人員 |
|---|---|---|---|
| 第1号 | (六)項 | 2階以上の階又は地階 | 20人以上(下階に一定の用途があるときは10人以上) |
| 第2号 | (五)項 | 2階以上の階又は地階 | 30人以上(同上の場合10人以上) |
| 第3号 | (一)〜(四)項・(七)〜(十一)項 | 2階以上の階(特定主要構造部を耐火構造とした建築物の2階を除く)又は地階 | 50人以上 |
| 第4号 | (十二)項・(十五)項 | 3階以上の階又は地階 | 無窓階・地階は100人、その他150人以上 |
| 第5号 | 直通階段が2以上ない階 | 3階以上の階 | 10人以上 |
避難階と11階以上の階は除かれます(同項柱書)。ここを落とすと以降の計算が全部無駄になるので、最初に確認します。
③ 必要個数 — 3系統を引き分ける
同条第2項第1号が個数を定めています。号によって刻みが違うのがここの肝です。
| 該当する号 | 必要個数 |
|---|---|
| 第1号・第2号・第5号 | 収容人員100人以下は1個。100人ごとに1個追加 |
| 第3号 | 200人以下は1個。200人ごとに1個追加 |
| 第4号 | 300人以下は1個。300人ごとに1個追加 |
計算例で確かめます。
- 第1号の階で収容人員320人 → 100人までが1個、以後100人ごとなので 4個(1+3)
- 第3号の階で収容人員850人 → 200人までが1個、以後200人ごとなので 5個(1+4)
- 第4号の階で収容人員1,000人 → 300人までが1個、以後300人ごとなので 4個(1+3)
誤りの典型は「刻みを取り違える」ことです。第3号の階に100人刻みを当てると9個になってしまいます。選択肢にはこの誤適用の値が必ず並ぶので、まず号を確定してから刻みを選んでください。
④ 緩和・減算・免除 — 適用の順序
消防法施行規則第26条に3種類の調整があります。読み替え → 減算の順で適用します。
読み替え(第1項) 特定主要構造部を耐火構造とし、かつ直通階段を避難階段又は特別避難階段としたものが2以上あるとき、しきい値を読み替えます。
| 元 | 読み替え後 |
|---|---|
| 100人 | 200人 |
| 200人 | 400人 |
| 300人 | 600人 |
減算(第2〜4項) 算出した個数から引けます。倍率が違うのがポイントです。
| 減算の対象 | 引ける数 |
|---|---|
| 避難階段・特別避難階段(建基法施行令第123条・第124条) | 階段の数そのまま |
| 渡り廊下 | 渡り廊下の数 × 2 |
| 屋上広場の避難橋(直下階から避難階段等が2以上あるもの) | 避難橋の数 × 2 |
引いた数が1に満たないときは設置しないことができます。屋上広場の有効面積は100㎡以上であることが要件です(第4項第1号)。
免除(第5〜7項)
- 屋上広場の直下階で、屋上広場の面積が1,500㎡以上(第7項第1号)
- 直通階段に直接通じる居室・住戸で収容人員30人未満(第5項第3号ニ)
- 防火戸の自動閉鎖部分は幅75cm以上・高さ1.8m以上・下端は床面から15cm以下(第5項第3号ロ(ロ))
「100㎡」(屋上広場の避難橋による減算)と「1,500㎡」(設置免除)は数字が大きく違うのに同じ屋上広場の話なので、混ざりやすい組み合わせです。減算は100㎡、免除は1,500㎡とセットで覚えてください。
適応する器具の選定も製図で出る
個数が出たら、その階にどの器具が使えるかを選びます。消防法施行令第25条第2項第1号の表が決めています。
- 地階に適応するのは避難はしごと避難用タラップの2種類だけ(第5号の地階には適応する器具がない)
- 第1号((六)項)の3〜5階では避難はしごが適応しない。使えるのは滑り台・救助袋・緩降機・避難橋
- 第1号の6階以上では緩降機も外れる。使えるのは滑り台・救助袋・避難橋
- すべり棒と避難ロープは2階だけ(第2号・第3号・第5号の2階)
第1号の行は階が上がるほど適応する器具が絞られていく構造です。3階以上で避難はしごと避難用タラップが外れ、6階以上でさらに緩降機が外れる、と順に覚えると混乱しません。
避難上有効な開口部の寸法
第5号(直通階段が2以上ない階)の判定に使う「避難上有効な開口部」は、消防法施行規則第4条の2の2に寸法があります。
- 直径1m以上の円が内接する開口部、又は 幅75cm以上かつ高さ1.2m以上の開口部
- 床面から開口部の下端までの高さは15cm以内
「直径1m」と「75cm×1.2m」はどちらかを満たせばよい(or条件)である点に注意してください。and条件に読み替えた選択肢が定番です。











