労働安全衛生法令の「ボイラー」は、使うゲージ圧力と伝熱面積などで3段階に分かれます。いちばん小さいものは「ボイラー」から除かれる、一般に簡易ボイラーと呼ばれるもの、次が小型ボイラー、それより大きいものが法令上のボイラーです(労働安全衛生法施行令第1条第3号・第4号)。区分によって、取り扱える人、検査、届出が変わります。
この区分は、二級ボイラー技士試験・一級ボイラー技士試験の「関係法令」で学ぶ論点です。この記事は、e-Gov法令検索の2026年10月時点の版(労働安全衛生法施行令は2026年10月1日施行の版、ボイラー及び圧力容器安全規則(以下「ボイラー則」)は2026年4月1日施行の版、労働安全衛生規則は2026年10月1日施行の版)をもとに書いています。
簡易ボイラー・小型ボイラー・ボイラーの区分
施行令第1条第3号(ボイラーから除くもの)と第4号(小型ボイラー)の数値を、主なものについて並べました。
| 種類 | 簡易ボイラー(ボイラーから除かれる) | 小型ボイラー |
|---|---|---|
| 蒸気ボイラー(0.1メガパスカル以下) | 伝熱面積0.5平方メートル以下、または胴の内径200ミリメートル以下かつ長さ400ミリメートル以下 | 伝熱面積1平方メートル以下、または胴の内径300ミリメートル以下かつ長さ600ミリメートル以下 |
| 蒸気ボイラー(大気に開放した内径25ミリメートル以上の蒸気管などを付けたもの) | 伝熱面積2平方メートル以下 | 伝熱面積3.5平方メートル以下 |
| 温水ボイラー(0.1メガパスカル以下) | 伝熱面積4平方メートル以下(木質バイオマス温水ボイラーは16平方メートル以下) | 伝熱面積8平方メートル以下 |
| 温水ボイラー(0.2メガパスカル以下) | — | 伝熱面積2平方メートル以下 |
| 貫流ボイラー(1メガパスカル以下・管寄せの内径150ミリメートル超の多管式を除く) | 伝熱面積5平方メートル以下 | 伝熱面積10平方メートル以下 |
簡易ボイラーには、このほかゲージ圧力0.3メガパスカル以下で内容積0.0003立方メートル以下の蒸気ボイラー、0.6メガパスカル以下・100度以下で使う伝熱面積32平方メートル以下の木質バイオマス温水ボイラーなどがあります。貫流ボイラーは、気水分離器の大きさにも条件があります。小型ボイラーは、まず第3号で「ボイラー」に当たるものの中から区分されるので、簡易ボイラーに当たるものは小型ボイラーにもなりません。
区分で変わる資格・検査・届出
| 項目 | 簡易ボイラー | 小型ボイラー | ボイラー |
|---|---|---|---|
| 法令上の位置づけ | 厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ譲渡・貸与・設置できない機械等(法第42条、令第13条第3項第25号) | 同じく規格を具備しなければ譲渡・貸与・設置できない機械等(法第42条・法別表第二第三号)で、さらに個別検定を受ける(法第44条・法別表第三第三号、令第14条第3号) | 特定機械等(法第37条、令第12条第1号)。製造許可・ボイラー検査証 |
| 取り扱う人 | 労働安全衛生法令上の資格の定めはない | 特別の教育を受けた人(安衛則第36条第14号、ボイラー則第92条) | ボイラー技士(ボイラー則第23条第1項)。小規模ボイラーはボイラー取扱技能講習の修了者も可(同条第2項) |
| 作業主任者 | — | — | ボイラー取扱作業主任者を選任(ボイラー則第24条) |
| 設置の手続き | — | 設置したら小型ボイラー設置報告(ボイラー則第91条) | 設置しようとするときにボイラー設置届(第10条)、設置後に落成検査(第14条)。どちらも移動式ボイラーを除く |
| 検査 | — | 1年以内ごとに1回の定期自主検査(ボイラー則第94条) | 1か月以内ごとに1回の定期自主検査(第32条)、ボイラー検査証の有効期間1年と性能検査(第37条・第38条。性能検査の結果により1年未満か1年を超え2年以内で更新されることもある) |
定期自主検査の記録は、ボイラーも小型ボイラーも3年間保存します(ボイラー則第32条第3項・第94条第3項)。
小規模ボイラーとボイラー取扱技能講習
ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱いの業務は就業制限の業務で(施行令第20条第3号)、ボイラー技士でなければ就けません。ただし、施行令第20条第5号イ〜ニに掲げるボイラー、いわゆる小規模ボイラーの取扱いには、ボイラー取扱技能講習の修了者も就けます(ボイラー則第23条第2項)。
| 小規模ボイラー(施行令第20条第5号イ〜ニ) | 条件 |
|---|---|
| イ 蒸気ボイラー | 胴の内径750ミリメートル以下で、かつ長さ1,300ミリメートル以下 |
| ロ 蒸気ボイラー | 伝熱面積3平方メートル以下 |
| ハ 温水ボイラー | 伝熱面積14平方メートル以下 |
| ニ 貫流ボイラー | 伝熱面積30平方メートル以下(気水分離器があるものは内径400ミリメートル以下・内容積0.4立方メートル以下) |
ボイラー取扱作業主任者 — 伝熱面積の合計で決まる
ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱いの作業には、ボイラー取扱作業主任者を選任します(施行令第6条第4号、ボイラー則第24条第1項)。
| 取り扱うボイラーの伝熱面積の合計 | 選任できる人 |
|---|---|
| 500平方メートル以上(貫流ボイラーのみの場合を除く) | 特級ボイラー技士 |
| 25平方メートル以上500平方メートル未満(貫流ボイラーのみで500平方メートル以上の場合を含む) | 特級・一級ボイラー技士 |
| 25平方メートル未満 | 特級・一級・二級ボイラー技士 |
| 小規模ボイラーのみ | 特級・一級・二級ボイラー技士、ボイラー取扱技能講習の修了者 |
合計を出すときは、次のように算定します(同条第2項)。
- 貫流ボイラーは、伝熱面積に10分の1を掛けた値
- 火気以外の高温ガスを加熱に利用するボイラーは、伝熱面積に2分の1を掛けた値
- 小規模ボイラーは算入しない
- 厚生労働大臣の定める自動制御装置を備えたボイラーは、最大の伝熱面積のもの以外を算入しないことができる
たとえば、炉筒煙管ボイラー(伝熱面積15平方メートル)と貫流ボイラー(伝熱面積60平方メートル)を取り扱うなら、15+60×1/10=21平方メートルで25平方メートル未満なので、二級ボイラー技士も選任できます(どちらも小規模ボイラーに当たらない前提)。
ボイラー取扱作業主任者には、圧力・水位・燃焼状態の監視、1日に1回以上の水面測定装置の機能の点検、適宜の吹出しなど10の事項を行わせます(ボイラー則第25条第1項)。伝熱面積そのものの算定方法(貫流ボイラーは燃焼室入口から過熱器入口までの水管の燃焼ガス等に触れる面の面積、電気ボイラーは60キロワットを1平方メートルとみなす、など)はボイラー則第2条にあります。法令の科目全体の進め方は 二級ボイラー技士の関係法令 にまとめています。
取り違えやすい文
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 小型ボイラーの取扱いには、二級ボイラー技士以上の免許が要る | 誤り | 特別の教育(安衛則第36条第14号、ボイラー則第92条)。就業制限は小型ボイラーを除くボイラー |
| 0.1メガパスカル以下で使う伝熱面積8平方メートル以下の温水ボイラーは、小型ボイラーに当たる(簡易ボイラーの条件に当たらないもの) | 正しい | 施行令第1条第4号ハ |
| 作業主任者の選任で、貫流ボイラーの伝熱面積は2分の1にして合計する | 誤り | 10分の1(2分の1は火気以外の高温ガスを利用するボイラー) |
| 小型ボイラーは、1年ごとに登録性能検査機関の性能検査を受ける | 誤り | 性能検査はボイラー検査証のあるボイラー。小型ボイラーは1年以内ごとの定期自主検査 |
| 伝熱面積3平方メートル以下の蒸気ボイラーは、ボイラー取扱技能講習の修了者が取り扱える | 正しい | 施行令第20条第5号ロ、ボイラー則第23条第2項 |
ぴよパスのオリジナル予想問題で、二級ボイラー技士の関係法令を確かめられます。
出典
- 労働安全衛生法 第37条・第42条・第44条・別表第二・別表第三(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版)
- 労働安全衛生法施行令 第1条・第6条・第12条〜第14条・第20条(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版)
- ボイラー及び圧力容器安全規則 第2条・第10条・第14条・第23条〜第25条・第32条・第37条・第38条・第91条・第92条・第94条(e-Gov法令検索・2026年4月1日施行の版)
- 労働安全衛生規則 第36条(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版)
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