指定数量の倍数は、危険物ごとに「数量÷指定数量」を計算してから足すのが基本です。同じ場所のガソリンと灯油を、数量だけ先に足したり、倍数の平均を取ったりしません。
このページでは倍数計算に絞り、条件・単位・合算・検算を7ステップで確認します。手順は学習のための整理であり、公式に定められた解法や所要時間ではありません。ほかの計算は比熱・濃度・比重・燃焼の例題集へ。
倍数計算の7ステップ
| 手順 | 確認すること |
|---|---|
| 1.問われた量を読む | 個々の倍数か、合計か、数量区分か |
| 2.品名と性状を確認する | 第一・第二石油類、水溶性・非水溶性など |
| 3.指定数量を書き添える | 数量の隣に、その危険物の基準量を書く |
| 4.単位をそろえる | Lとm³、gとkgを混在させない |
| 5.品目ごとに割る | 数量÷指定数量をそれぞれ計算する |
| 6.必要な範囲を合算する | 同一の場所か確認し、倍数を足す |
| 7.丸めず比較・検算する | 数量区分の境目を確認し、元の量へ戻して検算する |
指定数量の表を覚える段階なら、第4類の品目別数量表を開きながら解いてもかまいません。式の意味を確認できたら、表を見ずに取り組みます。
例題1:ガソリン250Lの倍数を求める
学習用の条件として、ガソリンの指定数量を200Lとします。
- 求めるものはガソリンの指定数量の倍数。
- ガソリンは第一石油類・非水溶性として扱う。
- 数量250Lの隣に、指定数量200Lを書く。
- どちらもLなので単位換算は不要。
- 250÷200=1.25。
- 1品目なので、ほかの倍数を足す必要はない。
- 1.25倍。200×1.25=250で検算できる。
1.25を2に切り上げたり、1に丸めたりしません。問題が「倍数」を聞いているなら、求めた1.25倍が答えです。
品名を見て、水溶性かどうかを勝手に変えないことも大切です。ガソリンと水溶性のアセトンは、同じ第一石油類でも指定数量が異なります。アセトンを確認する際は、水溶性400Lの区分と結びつけます。厚生労働省のモデルSDSでも、アセトンは第一石油類水溶性液体と記載されています。
例題2:単位換算を含む2品目の合算
同一の場所でガソリン0.12m³と灯油600Lを貯蔵します。指定数量はガソリン200L、灯油1,000Lとします。
- 手順1〜3:求めるのは合計倍数。2品目それぞれの指定数量を書きます。
- 手順4:0.12m³=120Lに換算します。
- 手順5:ガソリンは120÷200=0.6倍、灯油は600÷1,000=0.6倍。
- 手順6:0.6+0.6=1.2倍。
- 手順7:200×0.6=120、1,000×0.6=600で元の数量に戻ることを確認します。
個々には1倍未満でも、合計は1倍以上です。消防法第10条第2項は、品名又は指定数量の異なる危険物を同一の場所で貯蔵・取り扱う場合に、この商の和で判定する仕組みを定めています。「同じ会社だから全施設をまとめる」という式にはしません。消防法
例題3:0.995倍を1倍に丸めてはいけない
指定数量200Lのガソリン199Lを考えます。
199÷200=0.995倍です。0.995は1より小さいため、指定数量未満です。小数第2位までに四捨五入して1.00としてしまうと、元の量が200L未満であることを失います。
- 倍数を計算する途中で、不必要な切り上げ・切り捨て・四捨五入をしない。
- 表示桁の指定がある場合はその指示を確認する。
- 数量区分の判定では、丸めた見かけの数字で境目を変えない。
逆に200Lなら200÷200=1で、指定数量以上に含まれます。「以上」と「超える」の違いも数字と一緒に確認してください。
数量区分と許可の話を分ける
指定数量以上の危険物の貯蔵・取扱いは、消防法第10条による施設の規制が原則です。製造所・貯蔵所・取扱所の設置には第11条の許可が必要です。一方、第10条第1項ただし書には、所轄消防長又は消防署長の承認を受けた10日以内の仮貯蔵・仮取扱いの規定もあります。
したがって、「1倍以上という計算結果」から、条件を読まずに手続きの答えまで決めないようにします。設置の許可、仮貯蔵の承認、品名・数量変更の届出は、それぞれ別の問いです。
指定数量未満についても無規制ではなく、消防法第9条の4により貯蔵・取扱い等の技術上の基準を市町村条例で定めます。0.2倍の扱いや届出は、対象地域の条例と条件を確認します。
次の1問では、間違えた手順を確認する
解けなかった場合は「単位をLへそろえ忘れた」「倍数を平均した」のように、次に直す箇所を一言残します。毎回7項目を同じ時間で唱える必要はありません。自分の途中式で確認が抜けた箇所を、解き直しに入れてください。
3品目を合算する別の問題から試すか、乙4の計算問題一覧で次の問題を選べます。
出典・確認日:2026年9月11日
- 消防法 第9条の4・第10条・第11条・第11条の4:数量区分、合算、許可等の区別。
- 危険物の規制に関する政令 第1条の11・別表第三:指定数量。
- 稲城市消防本部「指定数量とは」:代表物質と、指定数量未満にも条例の基準があること。








