危険物乙種の法令は、類が変わっても中身が変わらない
危険物取扱者乙種の試験は 3 科目ですが、類によって変わるのは「性質・火災予防・消火の方法」だけです。法令と基礎的な物理学及び化学は全類共通です。
つまり乙4 を持っている人が乙1 や乙6 を受けるとき、法令はもう一度覚え直す必要がありません。逆に言えば、最初に固めておくと以降の類でずっと使える科目でもあります。
この記事では、類を問わず問われる法令の論点を、覚え方ごと 1 枚にまとめます。類別の性質や消火法は危険物乙種 全6類の性質・消火 早見表にあります。
手続きは「誰に」「いつ」で 3 つに分かれる
法令でいちばん問われるのが手続きです。許可・承認・届出のどれかを判別できれば、ほとんどの問題が切れます。
| 場面 | 手続き | 相手 | タイミング |
|---|---|---|---|
| 製造所等の設置 | 許可 | 市町村長等 | あらかじめ |
| 位置・構造・設備の変更 | 許可 | 市町村長等 | あらかじめ |
| 指定数量以上の仮貯蔵・仮取扱 | 承認 | 所轄消防長または消防署長 | 事前。10 日以内の期間に限る |
| 譲渡・引渡し | 届出 | 市町村長等 | 遅滞なく(事後) |
覚え方は 2 段です。
- 施設そのものを作る・変えるなら「許可」で、相手は市町村長等
- 一時的な扱い(仮貯蔵)だけが「承認」で、相手は消防長等
🔴 変更許可は規模の大小を問いません。「小さな変更なら不要」「工事完了後の届出でよい」という選択肢は誤りです。
譲渡・引渡しが届出で済むのは、施設の位置・構造・設備そのものが変わらないからです。理由から引けば、許可と届出を取り違えません。
指定数量の倍数は「品名ごとに出して足す」
指定数量の倍数 = 貯蔵し、又は取り扱う数量 ÷ 指定数量
たとえば指定数量 300kg の第二種酸化性固体を 1,500kg 貯蔵するなら、1,500 ÷ 300 = 5.0 倍です。
複数の品名を同じ場所で扱う場合が本番です。
塩素酸塩類(指定数量 50kg)を 100kg → 100 ÷ 50 = 2 硝酸塩類(指定数量 1,000kg)を 2,000kg → 2,000 ÷ 1,000 = 2 合計 4.0 倍
🔴 必ず品名ごとに倍数を出してから合計します。選択肢には決まって次の 2 つの誤答が混ざります。
- 貯蔵量の合計(2,100kg)を一方の指定数量だけで割る
- 品名ごとの倍数を掛け合わせる(2 × 2 = 4 と偶然一致することもあるので注意)
「倍数は足し算」と一言で覚えてください。
免状は「都道府県知事」と「10 日以内」
免状の再交付は都道府県知事に申請します。
- 亡失・滅失・汚損・破損を理由に申請できる
- 亡失して手元に無くても申請できる
- 汚損・破損が理由なら、その免状を添えて提出する
- 再交付後に亡失していた免状を発見したら、発見の日から 10 日以内に都道府県知事へ提出する
🔴 最後の期限を「30 日以内」に書き換えた選択肢が定番です。10 日以内です。
ここで 10 日以内が 2 か所出てくることに気づくと、記憶が固まります。仮貯蔵の期間と発見した免状の提出期限——どちらも「10 日」です。
運搬は「指定数量の 10 分の 1 超」が入口
運搬の混載制限は、指定数量の 10 分の 1 を超える数量を運搬する場合に適用されます。10 分の 1 以下なら混載制限そのものが適用されません。
🔴 この前提条件を読み飛ばすと、正しい選択肢が誤りに見えます。まず数量の条件を確認してください。
混載の組み合わせで頻出なのが第 6 類です。
第 6 類は第 1 類とのみ混載できる。第 2 類・第 3 類・第 4 類・第 5 類とは混載禁止。
運搬容器の表示は「性質から出る」
容器の外部に表示する注意事項は、収納する危険物の性質で決まります。第 2 類が分かりやすい例です。
| 対象 | 表示 |
|---|---|
| 鉄粉・金属粉・マグネシウム(およびこれらを含有するもの) | 「火気注意」+「禁水」 |
| 引火性固体 | 「火気厳禁」 |
| それ以外の第 2 類 | 「火気注意」 |
鉄粉等だけ「禁水」が付くのは、水と接触すると発熱または可燃性ガスを発生するおそれがあるからです。引火性固体が「火気厳禁」なのは、そもそも引火しやすいからです。性質から表示が出るので、丸暗記の必要はありません。
まとめ: 法令は一度固めれば全類で使える
- 手続きは 設置・変更=許可(市町村長等・あらかじめ)/仮貯蔵=承認(消防長等・10 日以内)/譲渡=届出(市町村長等・遅滞なく)
- 指定数量の倍数は 品名ごとに出して足す
- 免状の再交付は都道府県知事。発見したら 10 日以内に提出
- 運搬の混載制限は 指定数量の 10 分の 1 超が入口。第 6 類は第 1 類とのみ
- 容器の表示は性質から出る
法令は全類共通なので、ここを固めると 2 類目以降の負担が一気に下がります。実際に切れるかどうかは、受験する類の演習ページで確認してください。
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