ドローンの国家資格(二等無人航空機操縦士)は、スクール(登録講習機関)に通わなくても取れます。 学科試験は国土交通省の教則(第5版)から出るので独学で準備でき、実地試験は指定試験機関の日本海事協会で受けられます。ただ、日本海事協会は実地試験の予約が取りづらくなっていると案内していて(2026年10月21日の案内)、操縦の練習に使う機体と場所は自分で用意します。
- 初めて取る人は、スクールに通っても通わなくても学科試験を受けます。講習の修了で免除されるのは実地試験だけです。
- スクールを使わずに二等のマルチローターの基本を取る公的な費用は37,400円(学科8,800円・実地20,400円・身体検査5,200円・交付3,000円)。練習の費用は別です。
- 実地試験は机上試験・口述試験・実技試験でできていて、二等は100点の持ち点からの減点式で、70点以上残れば合格です。
- 実地試験の課題と減点の基準は、国土交通省の「実地試験実施細則」で公開されています。
学科の勉強は、教則の章ごとに練習問題で確かめると進めやすくなります。ぴよパスでは、規則の章を航空法(定義・登録・特定飛行)・航空法(操縦者の義務・罰則・技能証明)・航空法以外の法令と飛行自粛要請空域に分けて、無料で解けます。どれもぴよパスのオリジナル予想問題で、本試験の問題ではありません。
この記事は、国土交通省・日本海事協会の公開資料と、e-Gov法令検索の航空法施行規則・航空法関係手数料令・同規則(どれも2026年10月21日に確認)で確かめた内容です。
独学で取る道と、スクールで取る道
二等の技能証明を取る流れは、学科試験・身体検査・実地試験(または講習)・試験合格証明書の発行申込み・技能証明書の交付申請です。違いが出るのは、実地試験を指定試験機関で受けるか、登録講習機関の講習の修了審査で代えるかの所です。
| 独学(指定試験機関で実地試験を受ける) | スクール(登録講習機関の講習を修了する) | |
|---|---|---|
| 学科試験 | 受ける(CBT・8,800円) | 受ける(講習では免除されない) |
| 身体検査 | 受ける | 受ける |
| 実地試験 | 日本海事協会で受ける(マルチローターの基本は20,400円) | 修了審査に合格すれば免除(修了から1年以内) |
| 操縦の練習 | 機体と練習場所を自分で用意する | 講習の中で行う |
| 国が定める手数料(指定試験機関と国に払う) | 37,400円(マルチローターの基本・身体検査は書類で受ける場合) | 17,000円(学科・身体検査・交付)。別に講習の受講料(機関ごとに違う) |
日本海事協会は、試験申込システムの利用者登録・学科試験・身体検査は、登録講習機関の講習に通う前に済ませてもよいと案内しています。学科を先に独学で受けておき、実地をどうするかは後から決めることもできます。ただし、身体検査の合格は最大1年で切れるので、身体検査は実地の見通しが立ってから受ける方が安全です(下の「有効期間」)。
公的な費用 — 37,400円の内訳
スクールを使わずに、二等のマルチローターの基本(昼間・目視内・25キログラム未満の限定)を取るときに、指定試験機関と国に払う手数料です。どれも航空法関係手数料令と同規則で国が定めた額です。
| 項目 | 手数料 | 決めている所 |
|---|---|---|
| 学科試験(二等) | 8,800円 | 航空法関係手数料令 第13条第1項第2号 |
| 実地試験(マルチローター・基本) | 20,400円 | 航空法関係手数料規則 別表第二 |
| 身体検査(自動車の運転免許証などの書類で受ける場合。二輪・小型特殊・原付だけの免許は使えない) | 5,200円 | 航空法関係手数料規則 第8条第1項 |
| 技能証明書の交付(新規) | 3,000円 | 航空法関係手数料令 第13条第2項 |
| 合計 | 37,400円 |
- 身体検査を会場で受けると19,900円で、合計は52,100円になります。
- 夜間飛行・目視外飛行・25キログラム以上の機体の限定を外すには、それぞれ実地試験(マルチローターの限定変更は19,800円)が要ります。限定変更の試験は、基本の試験より先には受けられません。
- 学科試験は不合格でも受け直せますが、受けるたびに8,800円かかります。
- 練習用の機体、練習場所の利用料、保険などは含みません。
学科試験 — 教則第5版を読む順
学科試験は、CBTの三肢択一式50問を30分で解きます(日本海事協会)。合格に必要な正答率は、試験が始まった当初で80%程度とされ、問題の改定後は多少変わることがあるとされています。学科試験は教則に準拠して出題され、教則の「はじめに」は、学科試験で求められる最低限の知識を書いたものだとしています。
教則(第5版・87ページ)は国土交通省のサイトでPDFが無料で公開されています。章ごとの中身と、ぴよパスの練習問題の分け方は次のとおりです。
| 教則の章 | 主な中身 | ぴよパスの練習問題 |
|---|---|---|
| 2. 無人航空機操縦者の心得 | 操縦者の役割と責任・安全な飛行の確保・事故が起きた時の対応 | 操縦者の心得・運航体制・操縦知識 |
| 3. 無人航空機に関する規則 | 3.1 航空法全般・3.2 航空法以外の法令等 | 航空法(定義・登録・特定飛行)・航空法(操縦者の義務・罰則・技能証明)・航空法以外の法令と飛行自粛要請空域 |
| 4. 無人航空機のシステム | 機体の特徴・飛行原理と飛行性能・機体の構成・機体以外の要素技術・整備と点検 | 機体の特徴と飛行原理・機体の構成・電波・GNSS・整備 |
| 5. 無人航空機の操縦者及び運航体制 | 行動規範と遵守事項・操縦知識・操縦者のパフォーマンス・CRM | 操縦者の心得・運航体制・操縦知識 |
| 6. 運航上のリスク管理 | 運航リスクの評価・気象・機体の種類と飛行の方法に応じたリスク | 運航リスク管理と気象 |
二等で出ない所を先に外す
教則の目次には、〔一等〕の印は一等の資格の区分を対象とした項目だという注があります。国土交通省の通達「学科試験の科目について」も、二等の科目は一等の科目から「無人航空機の飛行性能」「飛行性能の基本的な計算」「カテゴリーⅢ飛行におけるリスク評価」を除いたものとしています。教則では、飛行性能、電波と通信に関わる基本的な計算、カテゴリーⅢ飛行で追加になる事項のほか、送信機の信号や機体の故障・事故の分析などにも〔一等〕が付いていて、通達で除かれる3科目より広い範囲です。独学で読むときは、この印の項目を後回しにすると範囲を絞れます。
独学の進め方
- 教則を一度、最後まで通して読む(〔一等〕の項目は後回しでよい)。
- 章ごとに練習問題を解き、間違えた問題は教則の該当する節に戻って読み直す。
- 国土交通省の二等のサンプル問題(4問・正答つき)で出題の形を見る。2022年から公開されている見本で、過去問ではありません。
- 仕上げに50問を30分で通して解く。1問あたり36秒です。CBTの画面の操作は、プロメトリックの体験版で練習できます(パソコンのみ)。
教則が第4版から第5版に変わった所(工業専用地域のDID・農薬散布の承認・技能証明の更新申請の期間など)は、ドローン学科試験のアプリの選び方の表にまとめています。第4版の教材で勉強した人は、ここだけ第5版の教則で確かめます。
有効期間と、年末年始の手続きの停止
日本海事協会によると、学科試験の合格は2年間(合格の正式な通知日から起算)、身体検査の合格は最大1年(公的な書類で受けたときは、その書類の有効期限の方が短ければそちら)です。試験合格証明書の発行から技能証明書の交付申請までの手続きは、学科・実地・身体検査の中でいちばん短い期限の中で終える必要があります。実地試験の当日に学科の合格の有効期間が過ぎていると、実地試験も受けられません。
実地の予約が取りづらいので、身体検査を早く受けすぎると、実地の枠を待つ間に期限が切れて受け直しになることがあります。学科の合格証明番号の期限は、試験申込システムで確かめられます。
日本海事協会の試験申込システムは新しいシステムへの切り替えのため、2026年12月26日から2027年1月4日まで、各試験の申込み・変更・キャンセルなどの手続きができなくなる予定です。日程はドローンの学科試験の申込み方にまとめています。
実地試験 — スクールを使わずに指定試験機関で受ける
受けられる時期と形
実地試験を申し込めるのは、学科試験に合格して学科試験合格証明番号が出た後です。手数料を払ってから、試験申込システムで日時を予約します。
| 機体と限定 | 試験の形(原則) | 機体 |
|---|---|---|
| マルチローターの基本・夜間・目視外 | 集合試験(日本海事協会が会場・日時を決めて公表し、受験者が予約する) | 日本海事協会が用意する |
| 25キログラム以上・ヘリコプター・飛行機 | 出張試験(受験者が希望する場所に試験員が来る) | 受験者が用意する |
当日は、写真付きの公的な身分証明書などと筆記用具を持っていきます(集合試験)。
試験の中身と合格の基準
国土交通省の「二等無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機(マルチローター)」(令和7年12月5日改正)によると、マルチローターの基本の実地試験は次の順で行います。
| 順 | 科目 |
|---|---|
| 1 | 机上試験 |
| 2 | 口述試験(飛行前点検) |
| 3 | 実技試験(スクエア飛行・8の字飛行・異常事態における飛行) |
| 4 | 口述試験(飛行後の点検及び記録) |
| 5 | 口述試験(事故、重大インシデントの報告及びその対応) |
- 基本の実技試験は、最大離陸重量25キログラム未満のマルチローターで行います。自動操縦の技能は机上試験で問われ、実機では試験しません。
- 二等は100点の持ち点から減点していき、各科目が終わった時点で70点以上を残していれば合格です(一等は80点以上)。
- 細則には、課題の飛行経路と減点の基準が載っています。日本海事協会のマルチローターのページに、細則と、日常点検記録・飛行記録の様式が置いてあります。独学で練習するときは、細則の課題と同じ経路を練習します。
予約の取りづらさ
日本海事協会は、実地試験の予約がとても取りづらくなっていて、手数料を払っても希望の日程が取れないことがあると案内しています。2026年10月21日に試験日程のページで公開されていた二等マルチローターの基本の枠は、茨城県の会場の分だけで、どれも満員でした。枠は追加で公開されることがあるので、日程のページとお知らせをこまめに見ます。
練習の機体と場所
スクールを使わないと、練習の機体と場所は自分で用意します。練習の飛行が人口集中地区の上空・夜間・目視外などの特定飛行に当たると、国土交通大臣の許可・承認が要ります。どの飛行が許可・承認の対象になるかは、ドローンの資格は必要?にまとめています。
例題で確かめる
ぴよパスのオリジナル予想問題から2問です(本試験の問題ではありません)。
例題1(技能証明) 技能証明の資格の区分と限定について、誤っているものを選ぶ問題です。選択肢は「一等と二等の2つの資格に区分されている」「パワードリフト機は、飛行機の種類の限定に係る資格があれば飛ばせる」「飛行の方法の限定は、昼間飛行・目視内飛行、昼間飛行、目視内飛行の3種類」。
答え: パワードリフト機は、飛行機の限定だけで飛ばせる(これが誤り)。教則第5版3.1は、パワードリフト機を飛ばすにはマルチローターと飛行機の両方の種類の限定が要るとしています。飛行機の種類で飛ばすには、飛行機の実地試験も別に受ける必要があります。 この問題を解く →
例題2(運航体制) カテゴリーⅡ飛行の許可・承認の申請書を出す期限として、教則(第5版)に示されているものを選ぶ問題です。選択肢は「飛行開始予定日の3開庁日前まで」「10開庁日前まで」「前日まで」。
答え: 10開庁日前まで。教則第5版5.1は、カテゴリーⅡ飛行は飛行開始予定日の10開庁日前までに申請書を出すとしています。練習の飛行に許可・承認が要るときも、早めに準備します。 この問題を解く →
練習問題と模擬試験
分野ごとの練習問題は二等無人航空機操縦士の学科試験のページから無料で解けます。本番と同じ50問・30分で通して解く模擬試験は Premium の機能です。
まとめ
- 二等の国家資格は、スクールに通わずに取れる。学科試験は誰でも受け、実地試験は日本海事協会で受けるか講習の修了審査で代える。
- スクールを使わない二等マルチローターの基本の公的費用は37,400円。練習の機体・場所の費用は別。
- 学科は教則第5版に準拠して出る。〔一等〕の項目を後回しにし、章ごとに練習問題で確かめ、50問・30分で仕上げる。
- 実地試験は机上・口述・実技で、二等は減点式で70点以上。課題は実施細則に載っている。予約は取りづらい(2026年10月21日の案内)。身体検査の合格は最大1年なので、受ける時期に注意する。
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出典
- 国土交通省「無人航空機操縦者技能証明等」(教則・科目・サンプル問題の掲載ページ。2026年10月21日に確認): https://www.mlit.go.jp/koku/license.html
- 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」(令和8年7月7日公布・7月14日適用): https://www.mlit.go.jp/common/002010809.pdf
- 国土交通省「無人航空機操縦者技能証明に係る学科試験の科目について」: https://www.mlit.go.jp/common/001510313.pdf
- 国土交通省「二等無人航空機操縦士の学科試験のサンプル問題」: https://www.mlit.go.jp/common/001493224.pdf
- 国土交通省「無人航空機操縦者技能証明書の交付手数料額」: https://www.mlit.go.jp/koku/content/001572203.pdf
- 一般財団法人 日本海事協会「無人航空機操縦士試験案内サイト」概要: https://ua-remote-pilot-exam.com/guide/overview/ ・学科試験: https://ua-remote-pilot-exam.com/guide/written-examination/ ・実地試験: https://ua-remote-pilot-exam.com/guide/pilot-examination/ ・回転翼航空機(マルチローター)(実地試験実施基準・実施細則): https://ua-remote-pilot-exam.com/guide/multirotor/ ・試験日程: https://ua-remote-pilot-exam.com/schedule/ ・手数料: https://ua-remote-pilot-exam.com/certificate/ ・指定試験機関で実地試験を受験: https://ua-remote-pilot-exam.com/procedure/non-licence-holder-registered-organization/ ・技能証明書の取得に向けたロードマップ(有効期限): https://ua-remote-pilot-exam.com/wp/wp-content/uploads/2026/10/loadmap.pdf ・試験申込システムの切替えのお知らせ(2026年10月7日): https://ua-remote-pilot-exam.com/2026/10/07/3939/ ・よくある質問: https://faq.ua-remote-pilot-exam.com/
- 航空法施行規則 第236条の54(e-Gov法令検索・2026年10月21日の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/327M50000800056
- 航空法関係手数料令 第13条: https://laws.e-gov.go.jp/law/409CO0000000284 ・航空法関係手数料規則 第8条・別表第二: https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000800058





