ドローンを飛ばすのに、国家資格(無人航空機操縦者技能証明)は必須ではありません。 国土交通省は「無人航空機操縦者技能証明書の取得は、無人航空機の飛行において必須事項ではありません」としています。ただし、資格とは別に、100g以上の機体の登録と、夜間・目視外・人口集中地区の上空などの「特定飛行」の許可・承認の決まりがあり、資格が無いとできない飛行もあります。
この記事では、資格なしで飛ばせる範囲、資格(技能証明)が要る飛行、民間資格の今の扱い、FPVの無線の資格、農薬散布の決まりを、航空法・電波法と国土交通省・総務省・農林水産省・警察庁の案内で整理します。国家資格の一等と二等の違いや取り方はドローンの国家資格とはの記事にまとめています。
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結論: ドローンの資格は要るか
| 飛ばし方 | 国家資格(技能証明) | 要るもの |
|---|---|---|
| 100g未満の機体(模型航空機) | 要らない | 空港周辺・高い高度の決まり、重要施設の周辺の禁止、条例、電波法 |
| 100g以上で、特定飛行に当たらない飛行(カテゴリーⅠ) | 要らない | 機体の登録とリモートID |
| 特定飛行(夜間・目視外・人口集中地区の上空など)で、第三者の上空を飛ばない(カテゴリーⅡ) | 要らない(国の許可・承認を取る場合) | 登録、国の許可・承認(包括申請もある)、飛行計画の通報、飛行日誌 |
| カテゴリーⅡの一部を、許可・承認なしで飛ばす | 要る(一等か二等) | 技能証明と機体認証の両方、飛行マニュアルなど |
| 第三者の上空の特定飛行(カテゴリーⅢ・レベル4を含む) | 要る(一等) | 一等の技能証明、第一種機体認証、国の許可・承認 |
| FPV(5.7GHz帯の映像伝送) | 100g以上をゴーグルだけで飛ばすなら、目視外飛行の承認か技能証明 | 無線の資格(第三級陸上特殊無線技士以上か、アマチュア無線技士)と無線局の免許 |
100g未満のドローン — 航空法では「模型航空機」
航空法施行規則第5条の2は、重量(機体本体とバッテリーの合計)が100g未満のものを航空法の「無人航空機」から除いています。2022年6月20日からで、それまでは200g未満でした。100g未満の機体は「模型航空機」として扱われ、登録・特定飛行の許可・承認・技能証明の仕組みの外です。
ただし、何の決まりも無いわけではありません。
- 空港の周辺や高い高度: 模型航空機も、空港の周辺や一定の高度以上での飛行は「航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」として航空法第134条の3の規制を受け、許可や届出が要ることがあります。
- 重要施設の周辺: 国の重要施設・防衛関係施設・空港などとその周囲おおむね1,000メートルの上空は、重さや大きさに関係なく、小型無人機等飛行禁止法で飛行が禁止されています(2026年7月14日の改正法の施行後の警察庁の案内)。
- 公園などの条例: 自治体が条例で公園などの上空の飛行を禁止していることがあります。他人の土地の上空は所有権の侵害とされる可能性もあります(国土交通省のガイドライン)。
- 電波法: 電波を使う以上、電波法を守ります(下のFPVの節)。
100g以上なら、資格とは別に登録とリモートID
100g以上の機体を屋外で飛ばすなら、資格の有無に関係なく、国土交通大臣の登録を受けなければなりません(航空法第132条の2。2022年6月20日から)。登録記号を機体に表示し、リモートID機能を備えます(事前登録の期間に登録した機体や、係留した飛行などの例外があります)。登録は3年ごとの更新で、手数料はマイナンバーカードで本人確認をする電子申請なら900円です。登録していない機体を飛ばすと、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です(同法第157条の7)。
資格なしで飛ばせる範囲 — カテゴリーⅠと、許可・承認を取ったカテゴリーⅡ
航空法は、次のどれかに当たる飛行を「特定飛行」としています。
- 空域: 空港などの周辺、地表や水面から150メートル以上の高さ、緊急用務空域、人口集中地区(DID)の上空
- 方法: 夜間、目視外、人や物件から30メートル未満、催しの上空、危険物の輸送、物件の投下
特定飛行に当たらない飛行(カテゴリーⅠ)は、航空法の飛行の許可・承認が要りません。特定飛行でも、第三者の上空を飛ばない(立入管理措置をとる)カテゴリーⅡなら、技能証明が無くても、国の許可・承認を受ければ飛ばせます。同じ飛行を繰り返す場合や、複数の場所で飛ばす場合は、期間(原則3か月・最大1年)や場所をまとめた包括申請もできます(審査要領 2-1(3))。
- 技能証明が無い人は、許可・承認の審査で飛行経歴・知識・能力を示します。審査要領は、飛ばす機体の種類ごとに10時間以上の飛行経歴などを求めています。
- 申請は、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前までに出すよう国土交通省は案内しています。
- 特定飛行をするときは、飛行計画の通報(第132条の88)と飛行日誌(第132条の89)も要ります。
- 2026年7月1日からは、航空法で許可が要る「人口集中地区の上空」から都市計画法の工業専用地域が除かれ、そこで飛ばすときの許可は要らなくなりました(航空法施行規則第236条の72・国土交通省告示第435号)。
資格(技能証明)が無いとできない飛行
技能証明が「無いとできない」のは次の2つです。
- カテゴリーⅢ(第三者の上空の特定飛行): 一等の技能証明を受けた人が、第一種機体認証を受けた機体を飛ばし、国の許可・承認も受けた場合に限られます(航空法第132条の85)。有人地帯での補助者なし目視外飛行(レベル4)もここに入ります。
- カテゴリーⅡの一部を許可・承認なしで飛ばす: 総重量25kg未満の機体で、人口集中地区の上空・夜間・目視外・人や物件から30メートル未満の飛行は、技能証明を受けた人が機体認証を受けた機体を飛ばし、飛行マニュアルの作成などをすれば、許可・承認が要りません。夜間と目視外をこの形で飛ばすには、技能証明の限定の変更が要ります。
空港の周辺・150メートル以上・催しの上空・危険物の輸送・物件の投下と、25kg以上の機体の飛行は、原則として、技能証明や機体認証があっても国の許可・承認を受けます(例外は下の農薬散布の節)。
民間資格は意味がない? — 2025年12月に終わったものと残ったもの
民間の講習団体の技能認証(いわゆる民間資格)について、国土交通省の FAQ は「民間ライセンスが国家ライセンスの扱いになることはありません」としています。
- 終わったもの: 民間の技能認証を持っていれば、飛行の許可・承認の申請で操縦者の書類の一部を省ける運用。国土交通省はこれを廃止し、2025年12月18日から施行しました。今、申請の一部を省けるのは技能証明(国家資格)を持つ場合です。
- 残っているもの: 民間の資格を持つ人は、登録講習機関の講習で経験者コースを選ぶと、講習時間の減免を受けられます(修了審査は同じ内容)。また、民間の講習で積んだ飛行経験は、技能証明が無い人が許可・承認の申請で示す飛行経歴の材料になります。
FPVドローンと無線の資格
ドローンの電波についての総務省の整理です。
- 2.4GHz帯の小電力の機器(技術基準適合証明などを受けたもの): 無線局の免許も無線従事者の資格も要らない(総務省は、操縦用・画像伝送用・データ伝送用の使い方を挙げている)。
- 5.7GHz帯などの映像伝送を仕事で使う: 「無人移動体画像伝送システム」の無線局の免許と、第三級陸上特殊無線技士以上の資格が要る。
- FPVをアマチュア無線で使う(趣味): アマチュア無線技士の資格とアマチュア無線局の免許が要る。アマチュア無線は「金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な興味により行う」ものなので、仕事には使えない。総務省は、10分ごとを標準にコールサインを送ることや、画像伝送に使える周波数の範囲も示しています。
電波法施行令の操作範囲では、第四級アマチュア無線技士は、30MHzを超える周波数で空中線電力20ワット以下の無線設備を操作できます(総務省のドローンのページは、何級が要るかまでは書いていません)。
なお、100g以上の機体をゴーグルやモニターの映像だけで操縦すると、航空法では目視外飛行(特定飛行)になります。国土交通省の解釈は、飛行の状況を専らモニターで見ることは「目視」に当たらないとしています。この場合は、無線の資格・免許とは別に国の承認(または目視外の限定を外した技能証明と機体認証)が要ります。100g未満の機体なら航空法の特定飛行の決まりはかかりません(小型無人機等飛行禁止法や条例の決まりは残ります)。
農薬散布のドローン — 必須の資格は無いが、承認が要る
農林水産省の Q&A は「ドローンで農薬散布を行うために、特定の団体の資格、免許、ライセンス等の取得義務はありません」としています。一方で航空法では、農薬などの液体を撒くことは物件投下、危険物に当たる農薬を運ぶことは危険物輸送にあたり、原則として飛行の承認が要ります。物件投下の承認には、原則として5回以上の物件投下の実績が求められ、技能証明が無い人は、これに加えて10時間以上の飛行経歴なども示します(審査要領)。
2026年3月23日からの例外: 航空法施行規則第236条の82第1項第2号と国土交通省の通達で、次のような条件をすべて満たす農薬などの空中散布は、危険物輸送・物件投下などの承認が要らなくなりました。
- 一等か二等の技能証明(その機体の種類の限定)を持つ人が、機体認証を受けた機体で飛ばす
- 関係者が所有・管理する、現に農業や林業に使われている農地・森林の区域で、地表や作物の上端から4メートル以下の高さで飛ばす
- 屋内などで5回以上の空中散布の練習(水などで)をしている、など
承認が要らない場合でも、機体の登録と飛行計画の通報は要り、農林水産省のガイドラインは、散布の計画書を作ることや、周辺の住民・養蜂家などに事前に知らせることを求めています。農林水産省によると、令和6年度に国土交通省へ報告された無人航空機の事故のうち、約7割は農薬散布中に起きています。
例題: ぴよパスのドローンの問題から
ぴよパスのオリジナル予想問題から1問です(本試験の問題ではありません)。
例題 模型航空機に対する航空法の規制について、正しいものはどれか。
- 重量100g未満の模型航空機は、無人航空機に当たらないので、航空法の規制を受けない
- 管制圏などの禁止空域の外では、航空路内の空域なら高度にかかわらず事前の届出が要る
- 管制圏などの禁止空域の外でも、高度250m以上の空域で飛ばすときは事前の届出が要る
答え: 3。教則(第5版)によると、100g未満のものを含む模型航空機も航空法の規制を受け、空港等の周辺、航空路内の高度150m以上の空域、高度250m以上の空域で飛ばすときは事前の届出が要ります(航空法第134条の3)。 この問題を解く →
練習問題と模擬試験の使い方
国家資格(二等)を取るなら、学科試験(三肢択一・50問・30分)の範囲は国土交通省の「無人航空機の飛行の安全に関する教則」です。ぴよパスの練習問題は教則の分野ごとに解け、全問に解説があります。内訳は二等無人航空機操縦士の学科試験の練習問題の記事で紹介しています。本試験と同じ50問・30分で解く模擬試験は Premium の機能です。
まとめ
- ドローンの国家資格(技能証明)は必須ではない。100g未満は航空法の「模型航空機」で、登録や許可・承認の仕組みの外(空港周辺・重要施設の周辺・条例の決まりはかかる)。
- 100g以上を屋外で飛ばすなら、資格と関係なく登録とリモートIDが要る。
- 特定飛行は、国の許可・承認(包括申請もある)を取れば、資格が無くてもカテゴリーⅡなら飛ばせる。
- 資格が無いとできないのは、カテゴリーⅢ(一等)と、許可・承認を省くカテゴリーⅡの飛行(一等か二等+機体認証)。
- 民間資格は国家資格にはならず、2025年12月18日から申請書類を省く運用も終わった。経験者コースの講習時間の減免は残る。
- FPVの5.7GHz帯は無線の資格と免許が要る。100g以上をゴーグルだけで飛ばすなら目視外飛行の承認も要る。農薬散布は必須の資格は無いが、原則は承認が要り、2026年3月23日から技能証明+機体認証の例外ができた。
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出典
- 航空法(e-Gov法令検索)第2条第22項・第132条の2・第132条の85〜第132条の89・第134条の3・第157条の7、航空法施行規則 第5条の2・第236条の6・第236条の8・第236条の72・第236条の82、航空法関係手数料令 第8条
- 国土交通省「無人航空機操縦者技能証明等」「無人航空機の飛行許可・承認手続」「飛行ルールの対象となる機体」「飛行禁止空域」「無人航空機登録ポータルサイト」、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」(令和8年9月29日最終改正)、「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」、通達「航空法施行規則第236条の82第1項第2号の規定により飛行の方法に係る承認が不要な飛行の取扱い」(令和8年3月23日 国空無機第338898号)、告示第435号、無人航空機の FAQ
- 警察庁「小型無人機等飛行禁止法関係」
- 総務省「ドローン等に用いられる無線設備について」「FPVドローンをアマチュア無線により利用する場合の注意事項」、電波法施行令 第3条
- 農林水産省「無人航空機による農薬等の空中散布に関する情報」「無人マルチローターによる農薬の空中散布に係る安全ガイドライン」「無人航空機による農薬等の空中散布に関するQ&A(使用者向け)」「無人航空機による農薬等の空中散布を行う皆さんへ」


