電験三種の過去問は、電気技術者試験センターが筆記方式の回の問題と解答を無料で公開しています。ただし 公式に付いているのは、解答の番号と配点だけで、解説はありません。センターは、試験問題や標準解答の内容についての問い合わせにも応じていません(受験案内)。この記事では、解説の探し方と、令和8年度上期に出た5つの型を、数値を変えた自作の例題で解き方まで説明します。公式の問題文は写さず、問番号と何を問う型かだけを示します。
解説はどこにあるか
| 探す先 | あるもの | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電気技術者試験センター | 筆記方式の回の問題・解答・配点(CBT方式の問題は非公開) | 解き方の説明はない |
| 出版社の解答速報 | 試験の日に出る解答 | センターは2026年6月にオーム社・電気書院の2社と、全国の試験が終わった後に出すことなどで協定を結んだ |
| 市販の過去問題集・講座の教材 | 問題ごとの解説 | 収録している回と、法令の基準日を確かめる |
| 自分で作る | 型ごとの解き方のメモ | 同じ型の問題を、数値を変えて解き直す |
公開されている回と入手のしかたは「電験三種の過去問の入手先」、解答速報が出る時間の目安と自己採点は「電験三種の解答速報」にまとめています。
解説が手元にないときは、問題を型に分けて、型ごとの解き方を自分で書く のがいちばん確かです。公式の過去問を4回分並べると、科目ごとに出る 分野 の並びはほぼ決まっています(理論の過去問・機械の過去問・法規の過去問)。ただし、同じ番号でも型は回ごとに替わります(例: 法規 問11 は、令和6年度下期から順に、流込式水力の流況曲線・流量曲線・接地抵抗・変圧器の損失と替わりました)。型の解き方は、次の回で同じ分野の問題が出たときに使います。
以下は、令和8年度上期(2026年8月30日)の問題から選んだ5つの型です。例題は自作で、数値は公式の問題と変えています。
型1 理論:電荷を保ったまま、コンデンサの電極の間を広げる
令和8年度上期の理論 問1は、充電したコンデンサを電源から外したあと、電極の間の距離を変えたときの静電容量と静電エネルギーを問う型です。
例題(自作) 静電容量 6 μF の平行板コンデンサを 200 V で充電し、電源から外してから、電極の間の距離を3倍にした。静電容量と静電エネルギーはいくらか。
解き方
- 電源から外したので、電荷 Q は変わらない。Q = CV = 6 μF × 200 V = 1.2 mC
- 平行板コンデンサの静電容量は、電極の間の距離に反比例する。距離が3倍なので C = 6 ÷ 3 = 2 μF
- 電荷が一定なので、エネルギーは W = Q² ÷ 2C で計算する。W = (1.2 × 10⁻³)² ÷ (2 × 2 × 10⁻⁶) = 0.36 J
- 広げる前は W = CV² ÷ 2 = 6 × 10⁻⁶ × 200² ÷ 2 = 0.12 J なので、3倍になった
ポイント 「電源から外した(電荷が一定)」なら W = Q²/2C を使い、エネルギーは距離に比例して増えます。「電源につないだまま(電圧が一定)」なら W = CV²/2 を使い、距離を3倍にするとエネルギーは1/3(0.04 J)になります。どちらが一定かを最初に決めるのが、この型のすべてです。
型2 理論:内部抵抗の違う2台の電圧計を直列につなぐ
理論 問16(B問題)は、最大目盛と内部抵抗の違う2台の直流電圧計を直列につないだときに測れる最大の電圧と、2台とも最大目盛まで振らせるための抵抗のつなぎ方を問う型です。
例題(自作) 最大目盛 100 V・内部抵抗 10 kΩ の電圧計 V1 と、最大目盛 200 V・内部抵抗 40 kΩ の電圧計 V2 がある。(a) 直列につないだときに測れる最大の電圧はいくらか。(b) V1 だけで 300 V まで測れるようにするには、何 kΩ の抵抗(倍率器)をどうつなげばよいか。
解き方
- 最大目盛のときに流れる電流を求める。V1 は 100 V ÷ 10 kΩ = 10 mA、V2 は 200 V ÷ 40 kΩ = 5 mA
- (a) 直列では同じ電流が流れるので、小さいほうの 5 mA までしか流せない。このとき V1 は 5 mA × 10 kΩ = 50 V、V2 は 200 V。最大は 50 + 200 = 250 V
- (b) V1 に流せるのは 10 mA まで。300 V で 10 mA にするには、全体の抵抗を 300 V ÷ 10 mA = 30 kΩ にする。V1 の内部抵抗が 10 kΩ なので、直列に 30 − 10 = 20 kΩ の倍率器をつなぐ
ポイント 直列の電圧計は「最大目盛のときの電流」を比べます。電流の小さいほうが先に振り切れます。2台を直列にしたまま両方を最大目盛まで振らせたいときは、電流の小さいほう(この例では V2)に 並列に 抵抗をつないで電流を逃がします(この例なら 40 kΩ で、全体は 300 V)。測れる範囲を広げる倍率器は直列、電流を逃がす抵抗は並列、と向きを分けて覚えます。
近い分野の練習: 電圧計と電流計の内部抵抗による誤差の問題
型3 電力:降水量から、水の持つエネルギーを電力量にする
電力 問2は、ある地域の面積・平均の高さ・年間降水量から、その地域の水が持つ位置エネルギーを電力量に直す型(理論的包蔵水力)です。
例題(自作) 面積 1,000 km² の地域に、年間 1,500 mm の雨が降る。地域の平均の高さを 200 m、流出係数を1とするとき、この水が1年に持つ位置エネルギーを電力量 [kW·h] で表すといくらか。
解き方
- 1年の水の量を求める。面積を m² に、降水量を m に直す。1,000 km² = 1.0 × 10⁹ m²、1,500 mm = 1.5 m。水の量は 1.0 × 10⁹ × 1.5 = 1.5 × 10⁹ m³
- 位置エネルギーは W = ρ g H V。水 1 m³ は 1,000 kg なので、W = 1,000 × 9.8 × 200 × 1.5 × 10⁹ = 2.94 × 10¹⁵ J
- 1 kW·h = 3.6 × 10⁶ J で割る。2.94 × 10¹⁵ ÷ (3.6 × 10⁶) ≒ 8.2 × 10⁸ kW·h(約 0.82 TW·h)
ポイント 単位の直しで間違える型です。km² → m²(10⁶倍)、mm → m(1/1,000)、J → kW·h(3.6 × 10⁶ で割る)を、式を書く前に済ませます。9.8 × V × H ÷ 3,600 [kW·h] と覚えておくと速く計算できます。
近い分野の練習: 流量と有効落差から発電機の出力を求める問題
型4 機械:トルクから、誘導電動機の二次入力(同期ワット)を出す
機械 問4は、誘導電動機の周波数・極数と、トルク・機械出力から、二次入力(同期ワット)を求める型です。
例題(自作) 周波数 60 Hz、4極の三相誘導電動機が、回転速度 1,728 min⁻¹、トルク 50 N·m で運転している。機械損を無視するとき、二次入力 [kW] と二次銅損 [kW] はいくらか。
解き方
- 同期速度を求める。Ns = 120f ÷ p = 120 × 60 ÷ 4 = 1,800 min⁻¹
- 同期角速度は ωs = 2π × 1,800 ÷ 60 ≒ 188.5 rad/s
- 二次入力は「トルク × 同期角速度」なので、P2 = T × ωs = 50 × 188.5 ≒ 9.42 kW
- すべりは s = (1,800 − 1,728) ÷ 1,800 = 0.04。二次銅損は s × P2 = 0.04 × 9.42 ≒ 0.38 kW
- 確かめ: 機械出力は T × ω = 50 × 2π × 1,728 ÷ 60 ≒ 9.05 kW で、9.42 − 0.38 = 9.04 とほぼ合う(端数の丸めの差)
ポイント トルクに 同期速度 を掛けると二次入力、実際の回転速度 を掛けると機械出力です。二次入力 : 二次銅損 : 機械出力 = 1 : s : (1 − s) の関係と一緒に覚えます。
型5 法規:負荷率から、変圧器の損失を比べる
法規 問11(B問題)は、(a) トップランナー制度に適合した変圧器の省エネ基準達成率の式から、定格電流のときの負荷損を逆に求め、(b) 更新の前と後の変圧器の、ある負荷のときの全損失を比べる型です。下の例題は (b) の部分です。(a) も、負荷率40%のときの負荷損が定格のときの 0.4² 倍になることを使えば、同じ考え方で解けます。
例題(自作) 定格容量 200 kV·A の変圧器 A(無負荷損 400 W、定格電流のときの負荷損 2,400 W)を、変圧器 B(無負荷損 100 W、同じく負荷損 1,600 W)に取り替える。126 kW・遅れ力率 0.9 の負荷をつないだとき、全損失は何 W 減り、B の全損失は A の何%になるか。
解き方
- 負荷の皮相電力は 126 ÷ 0.9 = 140 kV·A。負荷率は 140 ÷ 200 = 0.7
- 負荷損は負荷率の2乗に比例する。A は 2,400 × 0.7² = 1,176 W、B は 1,600 × 0.7² = 784 W
- 無負荷損は負荷に関係なく一定。全損失は A が 400 + 1,176 = 1,576 W、B が 100 + 784 = 884 W
- 減るのは 1,576 − 884 = 692 W。884 ÷ 1,576 ≒ 56%
ポイント 負荷率は kW ではなく kV·A で出します(力率で割るのを忘れない)。負荷損は負荷率の2乗、無負荷損は一定、の2つで、全日効率の問題も同じように解けます。
同じ型の練習: 1日の変圧器の損失電力量を求める問題・変圧器の全日効率を求める問題
解説のない過去問を、解説つきの練習に変える手順
- 解答の PDF で答え合わせをする — 配点も書いてあるので、科目ごとの点数を出します。
- 間違えた問題に、型の名前を付ける — 「電荷一定のコンデンサ」「電圧計の直列」のように、何を問う型かを短く書きます。
- 型ごとに、解き方を3〜4行で書く — 上の例題の「解き方」と「ポイント」の形で、自分のノートに書きます。
- 数値を変えて解き直す — 自分で数値を変えて解き、書いた解き方が使えるかを確かめます。近い分野のぴよパスの練習問題にも、1問ごとに解説が付いています。
- 元の過去問に戻る — 何日か空けて、もう一度解きます。
ぴよパスの電験三種の練習問題は、科目ごとに登録不要・無料で解けます。
当サイトの問題について
ぴよパスの問題と、この記事の例題は、電気技術者試験センターが公表している問題を写したものではなく、電気事業法や電気設備に関する技術基準を定める省令などの法令や公的な資料、電気の基本的な法則をもとに独自に作った オリジナルの予想問題 です。本試験の問題は、センターのホームページでご覧ください。
出典
- 一般財団法人電気技術者試験センター「令和8年度第三種電気主任技術者上期試験」の問題(理論 問1・問16、電力 問2、機械 問4、法規 問11)と解答(2026年8月30日公表。型の確認にだけ使い、問題文は写していません)
- 同「令和8年度第三種電気主任技術者上期試験受験案内」(試験問題・解答及び得点)
- 同「『解答速報』に関する教育関係出版2社との協定締結について」(令和8年6月1日)
次に読む
- 電験三種の解答速報 — 公式の解答の時期と、配点での自己採点
- 電験三種の過去問の入手先 — 公開されている回とCBTの扱い
- 電験三種 理論の過去問 — 問1〜問18の並び方
- 電験三種の試験日 — 下期の申込は11月9日から


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